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切削試作の公差と図面の伝え方|各社が公開している精度と、データ形式の選び方【2026年版】

切削加工の試作で、公差の指示と図面データの形式は費用と日数に直結します。掲載各社が公式に出している精度の数字、検査の体制、受け付けるデータ形式を整理し、図面を送る前に決めておくことをまとめました。

公開 2026年10月1日

切削の試作で見積が高くなる原因の多くは、形ではなく公差の指示にあります。必要以上に厳しい公差は、加工の時間と検査の手間を増やすからです。

反対に、機能に効く寸法の公差が抜けていると、届いた部品が組み付かないことがあります。このページでは、掲載各社の公式な精度の表記と、図面の渡し方を整理します。

公差とは何か、なぜ費用に効くのか

公差は、図面の寸法に対して許される誤差の幅です。幅が狭いほど、加工は慎重になり、測る回数も増えます。

  • 公差が狭い寸法は、工具や加工条件を変えて何度も仕上げる
  • 測定に三次元測定機や温度管理が必要になる
  • 1個の不良で作り直しになり、日数が延びる
  • 公差が広い寸法は、通常の加工で一度に仕上がる

つまり、全部の寸法を厳しくすると、その分だけ費用と日数が積み上がります。厳しい公差は、はめあいや位置決めなど機能に効く寸法に絞るのが基本です。

各社が公式に出している精度の数字

精度の数字を公式サイトに出している会社は、比べる材料になります。ただし多くの会社が、形状や材質によって変わると注記しています。

会社公式の精度の表記補足
友栄精密輪郭精度±2μオーダーFAQで2〜3ミクロンの対応実績
関東精密1/1000㎜の高精度対応試作1点から
ニッシン1000分の1ミリ単位切削・研削
プロトワーク±0.01の高精度加工機上測定、不良率の公開
ゼン1/100mmの公差形状・材質による
小泉精機製作所±1/100㎜(目安)アルミ。微細穴5/100mm
坂本電機製作所同軸度0.01mm〜、平面・平行度0.02mm〜丸物・角物の目安
岸本工業±0.03㎜以内を基準樹脂。フルフラット加工は指定公差に従う

ミクロン単位をうたう会社は、研削や検査の設備とあわせて精度を出しています。樹脂は温度や吸水で寸法が動くため、金属と同じ公差を求めない方が無難です。

公差を入れる寸法と、ゆるめてよい寸法の例

どの寸法を厳しくするかは、部品の役割から決めます。よくある部品で考えると、次のような分け方になります。

寸法の種類公差の考え方理由
軸や穴のはめあい径厳しく入れるガタや圧入の具合が機能を左右する
位置決めの穴や基準面厳しく入れる他の部品との位置関係が決まる
ねじ穴の位置相手部品に合わせて入れる組み付けできるかが決まる
外形や逃げの寸法ゆるめてよいことが多い多少ずれても機能に影響しにくい
面取りや角の丸みゆるめてよいことが多い見た目と安全のための形

厳しくする寸法が数か所に絞れていると、加工会社は工程を組みやすくなります。図面の余白に、機能上重要な寸法を一言で書き添えるのも有効です。

検査と測定の体制も確かめる

精度は削る力だけでなく、測る力で決まります。測定の体制を公式に書いている会社は次のとおりです。

会社公式に書いている検査・測定
アスク公差部に実測値を記入(1/100単位まで)
永和工業KEYENCE XM-5000A三次元測定機、検査機器をJQAで年1回校正
CHAMPION CORPORATION恒温(22℃±2℃)の検査室
渡辺製作所全案件で公差測定を実施
ニッシン全数検査、三次元測定機などの測定器

実測値の記録が欲しい場合は、見積の段階で伝えておくと追加の手間を避けられます。検査成績書の要否で費用が変わることもあるため、条件をそろえて比べてください。

公差を指示するときのコツ

公差の指示は、加工会社が迷わない書き方にするのが一番の近道です。次の4点を意識すると、確認の往復が減ります。

  1. 機能に効く寸法(はめあい・穴位置・基準面)にだけ厳しい公差を入れる
  2. それ以外は、一般的な許容差で足りることを図面に明記する
  3. どの面を基準に測るかを示す
  4. 樹脂は使用温度を書き、寸法が動く前提で幅を持たせる

岸本工業は、指定寸法に対して±0.03㎜以内を基準とし、フルフラット加工ではプラス・マイナスなど指定の公差に従うとしています。基準を公開している会社なら、指示がない寸法の仕上がりを事前に予想できます。

樹脂部品の公差で気をつけること

樹脂は金属より柔らかく、温度や湿度で寸法が動きます。削った直後と使う環境で、寸法が変わることを前提に公差を決めます。

  • 岸本工業: 指定寸法に対し±0.03㎜以内を基準とし、フルフラット加工では指定の公差に従う
  • ゼン: 樹脂切削は形状・材質によるが1/100mmの公差保証
  • 荒川技研: 形状・サイズ・材質で再現できる公差が異なるため事前に確認

厳しい公差が必要な樹脂部品は、使用温度と材料の種類を図面に書いておくと、加工会社が条件を選びやすくなります。反りやすい材料は、加工方法の提案を受けてから公差を決める方が確実です。

図面データの形式で、見積の速さが変わる

データ形式の希望も会社ごとに違います。公式に書いている内容を並べると次のとおりです。

会社データ形式についての記載
アスク3Dでも見積可能だが、DXFやPDFなど2Dデータの方が比較的早い
大日精機3DデータはSTEPでの支給が望ましい
ゼン2DCADデータや3DCADデータの中間ファイルだとスムーズ
青木製作所PDF、DXFなどの図面データでスムーズに見積
立昌製作所アルミの丸材の部品はWeb画面でサイズと形状を指定(図面不要)

迷ったら、寸法と公差を書いた2DのPDFと、形を示す3DのSTEPを両方送るのが確実です。2Dと3Dで寸法が食い違うと確認が入るため、送る前に照合してください。

図面がない場合の進め方

図面が用意できない段階でも、受けてくれる会社はあります。ただし対応の仕方は会社ごとに違います。

  • 関東精密: 現物を3Dスキャナーで読み取って再現
  • 岸本工業: 現物を預かり、採寸・製図して加工
  • 大日精機・八木製作所: ポンチ絵から製作
  • アスク: 図面かCADデータがない依頼は断る(簡単なものは手書き図面可)

図面なしで頼むと、図面化の時間と費用が加わります。詳しくは、図面なし・ポンチ絵からの製作をまとめたページも参考にしてください。

精度について加工会社に聞いておくこと

公式の数字は目安で、実際にどこまで出せるかは部品ごとに違います。見積の段階で次の点を聞いておくと、届いてからの食い違いを防げます。

  1. 指示した公差を、どの設備と測定方法で確かめるか
  2. 検査成績書や実測値を付けられるか、その費用はいくらか
  3. 公差を守るのが難しい箇所はどこか
  4. 公差をゆるめれば費用や日数がどれだけ変わるか

最後の質問は特に効果があります。わずかな公差の変更で工程が減るなら、機能を損なわない範囲で見直す価値があります。

送る前のチェックリスト

最後に、図面を送る前に次の項目がそろっているかを確かめます。一つでも欠けると、見積の回答が1往復分遅れます。

  • 材質(記号まで。代替可なら書く)
  • 数量と希望納期
  • 機能に効く寸法の公差と基準面
  • 表面処理・熱処理の有無
  • 検査成績書・実測値の要否
  • 2DのPDFと3DのSTEP(ある場合)

ここまでそろえば、公差の確認で止まることはほとんどありません。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

公差はすべての寸法に入れるべきですか?

機能に効く寸法(はめあい・穴位置・基準面)に絞るのが基本です。全部を厳しくすると、加工と測定の手間が増えて費用と日数が積み上がります。

切削の試作では、どのくらいの精度が出ますか?

会社と形状によります。公式の表記では、友栄精密が輪郭精度±2μオーダー、関東精密が1/1000㎜、プロトワークが±0.01、小泉精機製作所が±1/100㎜目安、樹脂の岸本工業が±0.03㎜以内を基準としています。

図面データは2Dと3Dのどちらを送ればよいですか?

両方そろえるのが確実です。アスクは2D(DXF・PDF)の方が見積が早いとし、大日精機は3DはSTEPが望ましいとしています。

【用途別】切削加工の試作会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

金属の小物を1個、とにかく早く手に入れたいなら

株式会社アスク

見積最短1時間、最短当日出荷、平均リードタイム4日。旋盤から5軸、放電まで社内一貫

大阪府枚方市の部品加工会社で、見積回答は最短1時間、出荷は最短当日、平均リードタイムは4日と公式に書いている。旋盤・5軸マシニング・放電・板金・溶接を社内で行い(表面処理・熱処理は協力工場で手配)、年間約13,000件の実績がある。単品1個から受け、得意は米粒大(約1mm)から手のひらサイズ(約150mm)の小物部品。

株式会社アスクの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

PEEKやPOMなど、樹脂部品の試作を急ぐなら

湯本電機株式会社

最短納期1.0日、見積最短2時間。汎用樹脂からスーパーエンプラまで35種類以上を常時在庫

大阪市東成区のプラスチック切削加工の会社で、最短納期1.0日、見積は最短2時間と公式に記載している。汎用樹脂からスーパーエンプラまで35種類以上の材料を常時在庫し、PEEK・PPS・MCナイロン・POMなどに対応する。5軸加工機、NC旋盤、マシニングセンタを持ち、年間18,000品目以上を加工している。

湯本電機株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

チタン・インコネルなどの難削材を、ミクロン単位で削るなら

株式会社友栄精密

輪郭精度±2μオーダー。チタン・ハステロイ・インコネルを5軸で、1個から量産まで

大阪府富田林市で1960年に創業した精密加工会社で、トップページに輪郭精度±2μオーダーの精密試作部品を作ると記載している。FAQでは空調機圧縮機部品などで随時2〜3ミクロンのオーダーに対応してきたと答え、チタン、ステンレス、ハステロイ、インコネルが切削可能とする。1個でも発注でき、量産は100個〜10000個程度まで受ける。

株式会社友栄精密の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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