ショットブラスト機 · 基礎知識
ショットブラストの方式の違い|インペラー(遠心)式・エアー式・ウェット式の仕組みと向く用途
ショットブラスト機の方式(インペラー式、エアー式の重力式・直圧式、ウェット式、超音波式)の仕組みと向く用途を、掲載15社の公式の説明と投射量などの数値で整理します。
ショットブラスト機は、投射材をどうやって加速するかで方式が分かれます。高速回転する羽根で投げるインペラー(遠心)式、圧縮空気で吹き付けるエアー式、水と研磨材を混ぜて吹くウェット式が代表的です。
このページでは、掲載15社の公式サイトに書かれた説明をもとに、方式ごとの仕組みと向く用途を整理します。
3つの方式の違いをひと目で
| 方式 | 加速のしかた | 向く用途 | 公式の例 |
|---|---|---|---|
| インペラー(遠心)式 | 高速回転する羽根に投射材を送り、遠心力で投げる | 鋳物の砂落とし、鋼材のスケール除去など広い面の大量処理 | 新東工業、伊藤機工、サンポー、三龍社、太洋マシナリー、JFEプラントエンジ |
| エアー式 | 圧縮空気で投射材を吹き付ける(重力式・直圧式) | 狙った箇所の処理、精密部品・金型の下地処理、ピーニング | 不二製作所、ニッチュー、伊藤機工(IAP) |
| ウェット式 | 水と研磨材のスラリーを圧縮エアで加速 | 粉塵を抑えたい精密部品・電子部品の処理 | マコー、不二製作所(MSF・MSG) |
今回の15社のうち、インペラー式の装置を製品として載せているのは12社、エアー式(ウェットを含む)の装置を載せているのは10社でした。両方をそろえるメーカーも多く、用途に合わせて方式から相談できます。
インペラー式の仕組みと得意な処理
サカヱ工業は、高速回転するブレードに研掃材を送り、その遠心力で工作物に投射する機械だと説明しています。投射装置(ローター)、ワークを動かす撹拌装置やテーブル、投射材を回収する装置、集塵のバッグフィルターで構成されます。
- JFEプラントエンジ:鋼板ライン用の遠心式投射装置で、投射量100kg/min〜1,500kg/min
- 三龍社:クレーンブラストの標準機でインペラー2〜5基、投射量160〜600kg/min
- アマダマシナリー:H形鋼用AM&F-9050で投射量75kg/min×4(50Hz)
- サンポー:広角投射装置(出力5.5〜15kW)と標準投射装置(5.5〜37kW)
投射量の大きさが、広い面や大量のワークを短時間で処理できる理由です。サンポーは、加工目的に応じて投射パターンを分析し、投射装置の配置を決めると説明しています。
エアー式の仕組みと重力式・直圧式
エアー式は、圧縮空気で投射材を吹き付けるため、ノズルを向けた場所だけを処理できます。不二製作所は、投射材の送り方で重力式と直圧式の手動機を分けています。
| 区分 | 公式の機種例 | 公式に書かれた特長 |
|---|---|---|
| 重力式 | 不二製作所 SG | 最も一般的な噴射方式。大型重量物対応のスイングテーブル・台車タイプもあり |
| 直圧式 | 不二製作所 FD、ニッチュー ATM-100 | 重力式と比較し加工時間が大幅短縮(不二製作所) |
| 省スペース型 | 不二製作所 SF | 手動機 |
| ルーム型 | 不二製作所 LF、ニッチュー M型 | 大型加工物の加工室内に入って作業する装置 |
エアー式は、精密部品や金型の下地処理、マスキングした部分を避ける処理など、狙いを絞った用途に向きます。不二製作所は、ショットピーニングや微粒子ピーニングの装置もエアー式でそろえています。
ウェット式と、そのほかの方式
ウェット式は、水と研磨材を混ぜたスラリーを圧縮エアで加速して吹き付けます。マコーは、水を使うことで粉塵を抑え、熱や静電気の発生も少ないため、精密部品や電子部品にも適していると説明しています。
- マコー:微細・軟質の研磨材で形状を崩さずに金属バリを除去し、脱脂・洗浄も同時に行う
- 不二製作所:MSF・MSGのウェットブラストで工程の自動化・省人化に対応
- 不二製作所:ドライアイスブラスト(TSGD・TDSD)は研磨材の代わりにドライアイスを噴射
- 東洋精鋼:SONATS社の超音波ショットピーニング装置は投射スペースをチャンバーで密閉し、投射材が少量で済み集塵機が不要
超音波式は、ピーニングを局所的に行う用途の装置です。投射材を大量に回すショットブラストとは目的が違うので、ピーニングの用途別ページで詳しく整理しています。
方式ごとに用意するものと手間
方式を選ぶと、工場側で用意する設備や日々の手間も決まります。見積の前に、工場の条件と合うかを確かめてください。
| 方式 | 工場側で用意・確認するもの | 日々の手間 |
|---|---|---|
| インペラー式 | 投射装置の動力(三龍社の標準機は1基5.5〜11kW)と集塵機の電源、設置スペース | 羽根や内張りなど摩耗部品の点検と交換、投射材の補給 |
| エアー式 | 圧縮空気(コンプレッサ)の容量 | ノズルの摩耗の点検、投射材の補給、手動機なら作業者の操作 |
| ウェット式 | 水とスラリーの管理 | 研磨材と水の管理、処理後の乾燥や防錆 |
| 超音波式(ピーニング) | 装置の電源 | 投射材が少量で済み、集塵機は不要(東洋精鋼の説明) |
インペラー式は投射量が大きいぶん、摩耗部品の交換と集塵の負担も大きくなります。ニッチューや伊藤機工のように消耗部品やメンテナンスを公式に掲げている会社は、導入後の相談先としても比べてください。
方式を決めるための質問
方式は、処理の目的と、処理する面の広さで決まります。迷ったら次の質問に答えてみてください。
- 処理したいのは製品の全面か、一部だけか(一部ならエアー式が候補)
- 1日に処理する量は多いか(多ければインペラー式が候補)
- 粉塵や熱を避けたいか(避けたいならウェット式が候補)
- ワークは鋳物・鋼材か、精密部品・樹脂か
- ピーニングで疲労強度を上げたいのか、表面をきれいにしたいのか
答えが分かれる場合は、インペラー式とエアー式の両方を持つメーカーに相談すると、方式を比べた提案を受けられます。新東工業、伊藤機工、ニッチューは、どちらの方式の装置も掲載しています。
同じ方式でも処理時間が変わる要素
同じインペラー式でも、投射装置の数と配置、ワークの動かし方で仕上がりと時間が変わります。各社は公式に次のような工夫を挙げています。
| 要素 | 公式に書かれた例 |
|---|---|
| 投射装置の数 | 伊藤機工 ILHは投射装置2基(ILH-10)〜4基(ILH-21)、三龍社は2〜5基 |
| 羽根の形 | 太洋マシナリー TCRはTK型カーブベーンで、ストレートベーンより投射時間を短縮 |
| ワークの動かし方 | サンポーはブラストムラや再ショットを防ぐローディングを重視、新東工業のドラムは上下振動回転 |
| 投射の向き | JFEプラントエンジは板サイズに応じて投射台数を制御 |
カタログの投射量だけでは処理時間は決まりません。自社のワークで試すテスト加工の頼み方は、別の基礎知識のページで整理しています。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アマダマシナリー鉄骨のH形鋼専用
- 株式会社不二製作所エアー式とテスト加工
- 伊藤機工株式会社大物の砂落としと受託テスト
- JFEプラントエンジ株式会社鋼板の下地処理ライン
- マコー株式会社粉塵を抑えるウェット式
- 株式会社ニッチューショットもエアーも一社で
- サカヱ工業株式会社ピーニング・専用機の設計製作
- 株式会社サンポー投射配置から設計する専業
- 株式会社三龍社大物鋳物のクレーンブラスト
- 新東工業株式会社形式の幅と鋳砂の分離
- 太洋マシナリー株式会社大物・重量鋳物の砂落とし
- 東洋精鋼株式会社ピーニングの受託と条件出し
参照元
よくある質問
ショットブラストとサンドブラストは何が違いますか?
一般にショットブラストはインペラーで投射材を投げる方式、サンドブラストは圧縮空気で吹き付けるエアーブラストを指すことが多い言葉です。不二製作所はエアーブラスト(サンドブラスト)装置として重力式・直圧式の装置をそろえています。
インペラー式とエアー式はどちらが処理が速いですか?
広い面を大量に処理するならインペラー式です。JFEプラントエンジの鋼板ライン用投射装置は投射量100〜1,500kg/minと公式に書いています。エアー式は狙った箇所の処理に向き、不二製作所は直圧式を重力式より加工時間が大幅に短いと説明しています。
粉塵を出したくない場合はどの方式がよいですか?
マコーのウェットブラストは、水を使うことで粉塵を抑え、熱や静電気の発生も少ないと説明しています。東洋精鋼が扱う超音波ショットピーニング装置は、チャンバーで密閉するため集塵機が不要としています。
【用途別】ショットブラスト機メーカーおすすめ3選
鋳物の砂落とし・小物〜中物の量産なら
新東工業株式会社
ドラム・テーブル・エプロン・ハンガーを1社で。鋳砂を分けるドラム機も
テーブル式SNTX(最大Φ1500×H600mm・700kg)、ドラム式CNDX・CND・STB、ゴムエプロン式SNBX、ハンガー、モノレールまでそろえる。ドラム式CNDP-Ⅱはマグネットセパレータを積み、砂分離性能95%向上(公式の一例)。加工サービス「ロルコセンター」で表面処理のテスト加工・試作・量産加工を受ける。
大物・長尺物をクレーンやコンベアで研掃するなら
伊藤機工株式会社
クレーン・トロリー・ハンガー・コンベアまで。受託加工でサンプルテスト
テーブル式・マルチテーブル式・ドラム式・バレル式・エプロン式・ロータリーハンガー式・トロリー式・クレーン式・コンベア式・エアー式をそろえる。クレーン式ILHは製品を吊って投射ゾーン内で自転させ、鋳物の砂落としや大物鋼材の塗装前処理に使う。表面処理工場で受託加工を行い、サンプルテストにも対応する。
精密部品・金型・樹脂の下地処理やピーニングをエアーで行うなら
株式会社不二製作所
エアーブラスト専業。重力式・直圧式からピーニング、受託加工まで
SG重力式、FD直圧式(重力式と比べ加工時間が大幅に短いと説明)、SF省スペース型の手動機から、自動回転テーブル・自動台車テーブル・大型ブラストルームまでそろえる。FDD・CDのショットピーニング装置、ウェットブラスト、ドライアイスブラストもある。サンプルテスト加工は来社立ち会いとサンプル郵送の両方に対応し、受託加工の専門工場と子会社を持つ。