業務用空気清浄機 · 基礎知識
喫煙専用室・脱煙ブースの技術的基準と、分煙機の役割【2026年版】
改正健康増進法の喫煙専用室の技術的基準(気流0.2m/s・区画・屋外排気)、屋外排気が困難な既存建物の経過措置である脱煙機能付き喫煙ブースの基準値(TVOC除去率95%以上・浮遊粉じん0.015mg/㎥以下)と測定頻度を整理し、分煙機・喫煙ブースの公式仕様と役割を説明します。
喫煙室に空気清浄機や分煙機を置いても、それだけでは法令の基準を満たしません。喫煙専用室の基準は気流・区画・排気の3要件で決まっており、機器はその一部を担う位置づけです。
このページでは、健康増進法施行規則の条文と厚生労働省の測定方法の資料をもとに、基準の中身と分煙機の役割を整理します。
健康増進法施行規則が定める喫煙専用室の3要件
健康増進法施行規則第十六条は、喫煙専用室の技術的基準として次の3つを定めています。厚生労働省の受動喫煙対策特設サイトにも同じ3要件が掲載されています。
- 出入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2メートル毎秒以上であること
- たばこの煙が室内から室外に流出しないよう壁、天井等によって区画されていること
- たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること
3要件のうち、機器が直接関わるのは①の気流と③の排気です。②の区画は建築側の工事で対応します。
| 要件 | 満たす手段 | 分煙機・空気清浄機の関与 |
|---|---|---|
| ①気流0.2m/s以上 | 排気量を確保し、出入口から室内へ空気が流れ込む状態を作る | 排気ファンや分煙機の吸引が寄与する |
| ②壁・天井で区画 | 間仕切り工事 | 関与しない |
| ③屋外排気 | 排気ダクト・換気扇で屋外へ出す | 室内循環型の空気清浄機は代わりにならない |
屋外排気ができない既存建物の経過措置:脱煙機能付き喫煙ブース
施行規則の附則は、既存施設で通常基準の適用が困難な場合に「たばこの煙を十分に浄化し室外に排気するために必要な措置を講ずることにより、一般的基準に適合した措置を講じた場合と同等程度にたばこの煙の流出を防止することができること」との経過措置を規定しています。
厚生労働省の「脱煙機能付き喫煙ブースの性能を確認するための測定方法の例」は、この経過措置が適用される条件を、施行時点で既に存在する建築物等で、管理権原者の責めに帰すことができない事由により屋外排気が困難な場合と説明しています。
- 対象:法施行時点で既に存在する建築物等
- 条件:管理権原者の責めに帰すことができない事由で屋外排気が困難
- 位置づけ:例外的に認められる経過措置。新築の建物では通常基準(屋外排気)が原則
脱煙ブースの3つの基準値と測定の頻度
同資料が示す脱煙機能付き喫煙ブースの基準値は3つです。設置後に自ら測定して確認する運用が前提になっています。
| 項目 | 基準値 | 測定の要点 |
|---|---|---|
| 気流 | 喫煙専用室等に向かう気流が開口面の全ての測定点で0.2m/s以上 | 開口面の複数点で測る |
| TVOC(総揮発性有機化合物) | 除去率95%以上 | 除去率={1−(排出口濃度−排出口バックグラウンド濃度)/(吸入口濃度−吸入口バックグラウンド濃度)}×100。1測定点10分間以上 |
| 浮遊粉じん | 排出口濃度で0.015mg/㎥以下 | 定員の2倍量の着火したたばこで副流煙を発生させて測定 |
測定の頻度も定められています。新規設置・変更時は速やかに測定し、設置直後の測定後は概ね3か月以内ごとに1回以上、基準値付近になれば概ね1か月以内に1回以上測定してフィルター等を交換します。
記録は3年間保存が望ましいとされています。
浮遊粉じん0.015mg/㎥という基準は、建築物衛生法の居室基準(0.15mg/㎥以下)の10分の1です。ブースの排出口から出る空気に対する数値なので、フィルターの性能維持が運用の中心になります。
分煙機・喫煙ブースの公式仕様を並べる
30社のうち、分煙機や喫煙ブースを公式サイトに載せているのはトルネックス、クリーンエア・スカンジナビア、ミドリ安全、ダスキンです。公式記載の仕様を並べます。
| メーカー・製品 | 方式(公式記載) | 数値(公式値) |
|---|---|---|
| トルネックス 分煙製品 | 直吸排気制御・プラズマクラスター・特殊活性炭による脱臭、人体検知センサ搭載 | クリーンキューブは分煙用途で2〜4人・3〜4㎡、処理風量 弱300・強600㎥/h。分煙対策実績7万件超 |
| クリーンエア SF 1000X/2000X/4000X/6000X/SF Forum | 分煙キャビン。タバコ粒子をほぼ100%捕集、ガス状成分も独自開発のガスフィルターでほぼ100%除去と記載 | 定員1/2/4/6/8人。運転音47dB以下(エコモード30dB以下)、電源100V |
| クリーンエア FS 70 SRE/FS 15 for Smoking | 喫煙室用の据置空気清浄機 | 処理風量 最大2,000㎥/h/最大675㎥/h |
| ミドリ安全 パルクリーン カウンター MKS-153RCP | 二段式電気集じん+サークルプラズマ脱臭+脱臭フィルタ | 風量 強15㎥/min、喫煙面積約4㎡(標準4人)、56kg、標準運転時38dB、820,000円(税別) |
| ダスキン 分煙機(カウンター式・テーブル式) | 3層フィルター | 5〜6名対応、標準価格272,800円(税込)、フィルターセットレンタル13,200円(税込)。在庫限りで販売終了予定 |
ミドリ安全は「分煙機業界トップクラス」を掲げ、喫煙室の設計・換気扇設置などトータル提案を公式に記載しています。トルネックスの導入事例はホテル14件・オフィス11件・商業施設7件・飲食店6件など業種別に掲載されています。
分煙機だけでは満たせないこと
分煙機と喫煙ブースは、3要件のどこを担うのかで役割が違います。公式記載と法令の要件を照らして整理します。
- 室内循環型の分煙機(カウンター型など)は、煙を吸引・浄化して室内に戻す。③屋外排気の代わりにはならないため、喫煙専用室では排気設備と併用する
- 脱煙機能付き喫煙ブースは、経過措置の対象建物でのみ屋外排気の代替として認められる。設置後の測定と記録が必要
- ①の気流0.2m/s以上は、排気量と出入口の開口面積の関係で決まる。分煙機の風量が大きくても、排気が無ければ室外から室内への気流は生じない
- ②の区画は建築工事。ブース型製品は本体が区画を兼ねるが、それ以外は間仕切りが必要
公式サイトで「喫煙室用」と書かれた製品でも、単体で法令適合を保証する記載はありません。設置前に、屋外排気の可否と経過措置の適用可否を管理権原者側で確認します。
喫煙室整備の費用と助成金
公式に価格を出しているのはミドリ安全とダスキンで、上の表の通りです。トルネックスとクリーンエア・スカンジナビアは価格記載なしで、問い合わせにより見積となります。
厚生労働省の受動喫煙防止対策助成金は、労働者災害補償保険の適用事業主かつ中小企業事業主を対象に、喫煙専用室・指定たばこ専用喫煙室の設置・改修費用を助成します。助成率は工費等の3分の2(飲食店以外は2分の1)、上限額は100万円、単位面積当たりの経費上限は60万円/㎡です。
- 助成の対象は「設置・改修」で、区画工事と排気設備が中心になる
- 単位面積当たりの上限があるため、喫煙室の面積と工費を先に出しておく
- 詳細は別記事「導入に使える助成金・補助金」で整理している
設置前に管理権原者が確認する4点
喫煙室の整備は、機器選びの前に建物側の条件で道筋が決まります。順番に確認します。
- 屋外排気ができるか:できるなら通常基準(3要件)で喫煙専用室を作る
- できない場合、法施行時点で既に存在する建物か、屋外排気が困難な事由が管理権原者の責めに帰さないものか:該当すれば脱煙機能付き喫煙ブースの経過措置を検討する
- 喫煙人数と面積:製品の定員(クリーンエアは1〜8人、ミドリ安全は標準4人、ダスキンは5〜6名)と、助成金の面積上限(60万円/㎡)を照らす
- 測定と記録の担当:脱煙ブースは3か月以内ごとの測定と3年間の記録保存が想定される。誰が測るかを決めておく
用途別の記事「喫煙室・分煙対策を法令に合わせて整えたい」では、この順番に沿った製品の選び方をまとめています。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社ダスキン手間ゼロのレンタル派に
- ミドリ安全株式会社分煙は全国保守込みで
- クリーンエア・スカンジナビア株式会社大風量+喫煙ブース
- 株式会社トルネックス分煙実績7万件の実力
参照元
よくある質問
喫煙室に空気清浄機を置けば法律の基準を満たせますか?
満たせません。健康増進法施行規則第十六条の喫煙専用室の技術的基準は、出入口の気流0.2m/s以上、壁・天井による区画、屋外排気の3要件です。室内循環型の空気清浄機や分煙機は屋外排気の代わりにならないため、排気設備と併用します。
脱煙機能付き喫煙ブースの基準は何ですか?
厚生労働省の測定方法の例では、喫煙専用室等に向かう気流が開口面の全ての測定点で0.2m/s以上、TVOC除去率95%以上、排出口の浮遊粉じん濃度0.015mg/㎥以下の3つです。既存建物で屋外排気が困難な場合の経過措置として例外的に認められるもので、設置後は概ね3か月以内ごとの測定が想定されています。
分煙機は何人用まで対応していますか?
公式記載では、クリーンエア・スカンジナビアの分煙キャビンSFシリーズが定員1〜8人、ミドリ安全のパルクリーン カウンターが喫煙面積約4㎡で標準4人、ダスキンの分煙機が5〜6名、トルネックスのクリーンキューブが分煙用途で2〜4人・3〜4㎡です。
【置く場所別】業務用空気清浄機メーカーおすすめ3選
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