ボーリング加工・深穴加工 · 基礎知識
ボーリング加工の精度・公差の伝え方|はめあい・位置精度・面粗度・ホーニング【2026年版】
ボーリング加工・深穴加工の精度を正しく伝えるために、掲載各社の公式表記(穴径精度±0.05以内、はめあいH7〜H9、軸間ピッチ±3ミクロン、BTAは一般公差など)を比較。何の精度かの見分け方、位置精度と温度管理、面粗度の限界、真直度と出口の振れ、ホーニングの扱い、図面に書く項目をまとめました。
ボーリング加工の見積で行き違いが起きやすいのが、精度の伝え方です。会社ごとに精度の書き方が違い、同じ言葉でも指しているものが違うことがあります。
この記事では、掲載各社の公式の表記を並べ、図面に何をどう書けば伝わるかを整理します。
精度の表記は会社ごとにばらばら
まずは、公式に精度に関わる数字を出している会社の表記を、そのまま並べます。
| 会社 | 公式の表記 | 何の精度か |
|---|---|---|
| ハイタック | 穴径精度±0.05以内 | 深穴の穴径 |
| ミロク機械 | はめあい公差H7〜H9程度 | ガンドリルの径公差 |
| 太陽テクニカ | 軸間ピッチ±3ミクロン以内の精度を出せると説明 | ジグボーラー加工の穴の位置 |
| 鬨一精機 | 設備紹介に位置決め精度6μm以内 | 5軸複合加工機(DMU 50)の機械の性能 |
| 日本ビーテーエー | 基本的に一般公差 | BTA加工の穴径 |
鬨一精機の6μm以内は5軸複合加工機の位置決め精度で、加工した部品の精度をそのまま表すものではありません。表記が何の精度を指しているかを確かめてから比べてください。
穴径の公差は、はめあい記号で伝える
穴径の公差は、H7のようなはめあい記号か、プラスマイナスの数値で書くのが一般的です。公式にはめあい記号を出している例があります。
- ミロク機械は、ガンドリルの径公差でJIS規格のはめあい公差H7〜H9程度の加工ができるとしている
- 鬨一精機は、加工事例にS45Cの高精度切削(はめあい公差H7)を載せている
- ハイタックは、穴径精度を±0.05以内と数値で示している
はめあいの相手(軸やピン)が決まっている穴は、記号で書くと誤解が起きにくくなります。必要以上に厳しい公差は、工程とコストを増やすので注意してください。
どこまでの公差が本当に必要かを設計者と確かめてから図面を出すと、見積の幅も小さくなります。
穴の位置精度と温度の管理
大物部品やジグでは、穴径よりも穴と穴の位置関係が重要になることがあります。位置の精度は、機械だけでなく工場の温度にも左右されます。
| 会社 | 公式の記載 |
|---|---|
| 太陽テクニカ | 仕上がり精度は作業場の温度や雰囲気などの物理的要因にも左右されやすいと説明 |
| 山崎製作所 | 精度保持のための常温室工場を2001年6月に設立 |
| 鬨一精機 | 1日の温度変化を24℃±1℃に設定した工場で加工 |
| 入江 | 横中ぐりと5面加工を連携させ、多面の位置関係の精度を高めるとしている |
位置精度が厳しい部品は、どの工程で基準面を作るかが仕上がりを左右します。基準面と穴の位置関係を図面で明確に示してください。
面粗度は方式で限界が変わる
穴の内面の粗さ(面粗度)も、方式によって出せる範囲が違います。公式の記載を並べます。
| 会社 | 公式の面粗度の記載 |
|---|---|
| 日本ビーテーエー | BTA加工では25S程度が限界。それ以上はホーニングで対応 |
| ミロク機械 | S45Cで8S〜16S、FCで6S〜10S、Alで3S以下 |
| ハイタック | 3.2S(Ra0.023の実績あり) |
面粗度の指示が厳しい場合、深穴加工のあとにホーニングを入れるのが一般的です。図面の面粗度記号は、方式の限界と照らし合わせて確かめてください。
真直度と同芯度、出口の振れ
深い穴では、穴が途中で曲がったり、出口で中心がずれたりすることがあります。公式にこの点を書いている会社があります。
- ミロク機械は、一般的に深さ1,000mmの加工で曲がりを1mm以下に抑えることが誤差の範囲とされると説明し、セルフパイロット方式で真直性を出すとしている
- ハイタックは、要求同芯度φ0.05以内の実績を挙げている
- 大阪鋳鋼所は、加工穴が出口で振れることもあるため、材料の取りしろの有無を連絡するよう案内している
出口の振れを見込んで外径に取りしろを残すか、両端から加工するかは、会社と相談して決めましょう。
穴の曲がりは、深くなるほど大きくなりやすい性質があります。L/Dが大きい穴では、真直度の要求を図面に書くかどうかも含めて事前にすり合わせてください。
硬い材料の穴の仕上げ方
焼き入れなどで硬くなった材料の穴は、切削で仕上げられる範囲が限られます。公式に硬さの目安を書いている会社があります。
- 太陽テクニカ:ジグボーラーで仕上げられるのはHRC35を多少超える辺りまでが目安。焼き入れ材はジグ研削で仕上げる
- 太陽テクニカ:図面の公差穴にJBとあればジグボーラー、JGとあればジグ研削で仕上げると判断
- ミロク機械:ガンドリルの刃先に超硬チップを使い、HRc40〜50位までの材料に対応
熱処理の前に穴を明けて、熱処理後に研削で仕上げる工程もあります。硬さと仕上げの方法は、図面の段階で決めておくと見積がぶれません。
ホーニングを工程に入れるかを決める
深穴やボーリングのあとに、ホーニングで内面を仕上げることがあります。社内で受けるか、協力会社に出すかは会社ごとに違います。
| 会社 | ホーニングについての公式の記載 |
|---|---|
| 日本ビーテーエー | 細かい公差はBTA加工後のホーニングで対応 |
| 日本高速削孔 | 材料調達から内外削、熱処理、ホーニングまで引き受ける |
| 加福製作所 | 業務内容にホーニングを含む |
| 門本鉄工所 | 内径ボーリングは公差をホーニング取代残しとし、ホーニングにも対応 |
| 藤原製作所 | 協力工場による高精度ホーニング仕上げに対応 |
| 大阪鋳鋼所 | 公差によってはホーニング加工(別途費用)が必要 |
図面に書いておきたい精度の項目
見積を正確にするために、精度に関わる次の項目を図面か依頼書に書いておきましょう。
- 穴径と公差(はめあい記号か数値)
- 穴の位置の基準面と位置公差
- 面粗度
- 真直度・同芯度が必要な場合はその値
- ホーニングなど仕上げ工程の要否
- 検査方法と、検査成績書が必要かどうか
ハイタックは、社内基準に基づく検査に加えて客先の検査基準にも対応するとしています。検査の方法は、精度の数字と同じくらい大切な取り決めです。
測定の道具も確かめておく
どれだけ精度よく削っても、測れなければ保証できません。穴の内径を測る道具を公式に並べている会社もあります。
- 北條製作所:棒型マイクロメータ、キャリパ型内マイクロ、三点マイクロメータ、内側マイクロチェッカ、リングゲージなど
- 山崎製作所:第二工場に1,500×2,500mmの石定盤
- 日本高速削孔:工場監査を行った顧客からの品質認定書類を公開
厳しい公差の穴は、どの測定器で、どの位置を測るかまで取り決めておくと、納品後の食い違いを防げます。
この記事に出てくる会社
- 株式会社藤原製作所首都圏で中小径の深穴なら
- 株式会社ハイタック小径深穴の精度で選ぶなら
- 株式会社北條製作所架台・プレートの大物加工なら
- 入江株式会社鋳物の大物を設備台数で
- 有限会社門本鉄工所大径パイプの内径を1個から
- 株式会社加福製作所中部で深孔をまとめて
- ミロク機械株式会社全国5工場で深穴をまとめて
- 日本ビーテーエー株式会社大径・超長尺の深孔なら
- 株式会社日本高速削孔長尺の深穴を3工場の能力で
- 株式会社太陽テクニカ穴位置のミクロン精度なら
- 株式会社鬨一精機中・大型の精密な穴と平面なら
- 有限会社山崎製作所大物の横中ぐりを単品で
参照元
よくある質問
ボーリング加工の精度はどれくらい出ますか?
方式と会社によります。ハイタックはガンドリルで穴径精度±0.05以内、ミロク機械ははめあい公差H7〜H9程度、太陽テクニカはジグボーラー加工で軸間ピッチ±3ミクロン以内の精度を出せると説明しています。
機械の位置決め精度と加工精度は同じですか?
同じではありません。鬨一精機が設備紹介に載せる5軸複合加工機の位置決め精度6μm以内は機械の性能で、加工した部品の精度は工程や温度、段取りでも変わります。
深穴の面粗度はどれくらいですか?
日本ビーテーエーはBTA加工で25S程度が限界としています。ミロク機械はS45Cで8S〜16S、ハイタックは3.2Sとしています。
【用途別】ボーリング加工の会社おすすめ3選
工作機械やプレスの大物部品を、横中ぐりで1品だけ仕上げたいなら
有限会社山崎製作所
横中ぐり加工に特化し横中ぐり盤11台。常温室工場で、単品・短納期・特急品にも対応
愛知県美浜町の会社で、横中ぐり盤による加工に特化しており、横中ぐり盤を計11台(東芝機械9台、倉敷機械2台)保有すると公式に書いている。精度を保つための常温室工場を2001年6月に設けた。よくある質問では単品・短納期・特急品も相談可能とし、初物1品製作がほとんどだと答えている。
長さ10mを超えるシャフトやロールに、大径の深い穴を通したいなら
日本ビーテーエー株式会社
加工径10〜700mm、ワーク長さ17m・35トン。BTA工具を自社製造し、孔奥のRやテーパーにも
1959年4月に設立した深孔明け加工の会社で、明石工場はワーク最大長さ17m、重量35トンの重量物に対応し、加工径10〜700mmのBTA工具をそろえている。1号機は加工孔径30〜700mm、加工長さ900〜17,000mm。BTA工具を自社で作り、孔の奥のR加工やテーパーにも対応するとしている。
金型の冷却穴や医療部品など、細い深穴を精度の数字で選びたいなら
株式会社ハイタック
φ0.5×30L〜φ30×1,500L、穴径精度±0.05以内。見積は当日、遅くとも翌営業日
静岡県沼津市のガンドリルマシンメーカーで、受託深穴加工の対応寸法をφ0.5×30Lからφ30.0×1,500Lと公開している。穴径精度は±0.05以内、面粗度3.2S、要求同芯度φ0.05以内の実績を挙げる。見積は依頼日当日、遅くとも翌営業日に回答するとしている。