ボーリング加工・深穴加工 · 基礎知識
ボーリング加工(中ぐり)と深穴加工の違い|横中ぐり・ジグボーラー・BTA・ガンドリルの使い分け【2026年版】
ボーリング加工は、穴を広げて仕上げる中ぐりと、深い穴を明ける深穴加工に分かれます。横中ぐり盤、ジグボーラー、旋盤での内径ボーリング、BTA、ガンドリル、現場ボーリングの違いと、それぞれ得意な会社を掲載各社の公式情報から整理しました。
ボーリング加工という言葉は、すでにある穴を広げて仕上げる中ぐりと、深い穴を明ける深穴加工の両方を指して使われることがあります。どちらを頼みたいのかで、使う機械も相談すべき会社も変わります。
この記事では、掲載各社の公式情報をもとに、加工の種類ごとの違いと代表的な会社を整理します。
穴の加工は5つに分けて考える
今回調べた17社の公式サイトに出てくる加工を、使う機械で分けると次の5つになります。
| 加工 | 主な機械 | 向く穴 | 掲載会社の例 |
|---|---|---|---|
| 横中ぐり加工 | 横中ぐり盤 | 大物部品の大きな穴、多面の位置関係 | 山崎製作所、入江、廣政鐵工所、鬨一精機 |
| ジグボーラー加工 | ジグ中ぐり盤 | 治具・ゲージの高精度な位置決め穴 | 太陽テクニカ |
| 旋盤での内径ボーリング | 大型旋盤・立旋盤 | パイプや柱状物の内径 | 門本鉄工所 |
| BTA深穴加工 | BTA方式の深穴加工機 | 中・大径の深い穴 | 日本ビーテーエー、日本高速削孔、ダイニチ工業、加福製作所 |
| ガンドリル深穴加工 | ガンドリルマシン | 小径の深い穴 | ハイタック、不二新製作所、ミロク機械、藤原製作所 |
中ぐりは穴の寸法と位置を整える加工で、深穴加工は穴径に比べて深い穴を明ける加工です。依頼の最初に、どちらが目的かをはっきり伝えると話が早く進みます。
横中ぐり盤による中ぐり加工
横中ぐり盤は、主軸が水平の大型の機械で、大物部品の穴あけや中ぐり、多面の加工に使われます。公式に台数や能力を出している会社を並べます。
- 山崎製作所は横中ぐり盤を計11台保有し、最大のBTD-130H.R22はストローク3,000×2,300×1,600mm
- 入江は全社で25台のCNC横中ぐり盤を持ち、20t積載対応の大型機は5台
- 廣政鐵工所はNC横中ぐり盤を持ち、五面加工機と中ぐり盤の最大対応を最大主軸径240mm・30tとしている
- 鬨一精機は横中ぐり盤BTD-110H.R16(加工サイズ2,000×1,000×1,450mm、最大積載重量6,300kg)とBTD-200QHを持つ
- 門本鉄工所も横中ぐり盤BTD-110R16を設備一覧に載せている
山崎製作所は、横中ぐり盤による加工は段取り8割・加工2割と云われ、仕上がり精度はオペレーターで決まると説明しています。機械の台数だけでなく、段取りの経験も会社選びのポイントです。
大物の多面加工は、横中ぐりと5面加工を組み合わせる
大物部品では、1つの面の穴だけでなく、複数の面の穴と平面の位置関係が求められます。横中ぐり盤と5面加工機・門型マシニングセンタをどう組み合わせるかが、会社ごとの腕の見せどころです。
| 会社 | 公式に書かれている組み合わせ |
|---|---|
| 入江 | 横中ぐり加工と5面加工を連携させる工程設計で、多面位置関係の精度や組立時の再現性を高める |
| 北條製作所 | 5面加工門形マシニングセンタ(最大5000×2500×1350mm)などを同時に稼働させ、加工期間を短縮 |
| 鬨一精機 | 横中ぐり盤に加え、門型五面加工機と大型ベッド研削盤で4,000mmクラスの部品を加工 |
| 山崎製作所 | 一般的な大物金属加工の会社は5面加工機・門型が主力で、横中ぐり盤は多くて2、3台と説明 |
横中ぐり盤を多く持つ会社は、穴の位置関係が厳しい大物を得意にする傾向があります。依頼する部品で何がいちばん厳しいのか(穴径か、位置か、平面か)を先に伝えましょう。
ジグボーラーによる精密な中ぐり
ジグボーラー(ジグ中ぐり盤)は、穴の位置をとくに高い精度で仕上げるための機械です。太陽テクニカは半世紀以上この加工に特化しています。
| 項目 | 太陽テクニカの公式の記載 |
|---|---|
| 精度の考え方 | 各穴の軸間ピッチを±3ミクロン以内の高い仕上がり精度で出せるのがジグボーラー加工だと説明 |
| 削れる硬さ | HRC35を多少超える辺りまでが目安。それより硬い材料はジグ研削で仕上げる |
| 下穴の残し方 | 通常の穴なら仕上げ寸法から直径で1〜2mmほど残すのが目安 |
| 向く仕事 | やり直しのきかない単品物や修正加工、完成品の追加工 |
ジグボーラーは、焼き入れをしていない材料の仕上げに使うのが一般的です。焼き入れ後の穴はジグ研削になるため、図面の指示(JBかJGか)で工程を確かめてください。
旋盤での内径ボーリング
パイプや柱状の部品の内径は、大型旋盤で回しながら仕上げることがあります。門本鉄工所は、大型の柱状物の内径ボーリング加工を得意に挙げています。
| 内径 | 最大長さ(門本鉄工所の公式) |
|---|---|
| φ175〜200mm | 1,000mm |
| φ200〜300mm | 2,250mm |
| φ300mm以上 | 3,750mm |
同社は公差についてホーニングの取代を残す前提としており、高い精度が必要な内径はホーニングで仕上げます。得意サイズは外径500〜700mm、内径350mm以上、全長3000mm程度のパイプ加工品です。
BTAとガンドリルによる深穴加工
深い穴は、普通のドリルでは切りくずが詰まって明けられません。BTA方式とガンドリル方式は、切削油で切りくずを外へ運び出しながら深い穴を明ける専用の方式です。
| 会社 | ガンドリル | BTA |
|---|---|---|
| ミロク機械 | Φ1〜35mm、深さ〜4,000mm | Φ15〜500mm、〜10,000mm |
| 藤原製作所 | Φ2〜Φ32mm、L/D=125 | Φ20〜Φ130mm |
| 加福製作所 | φ4〜φ32、最大4400mm | φ20〜φ300、最大3750mm |
| 不二新製作所 | φ0.5mm〜(能力はφ0.5〜φ30) | φ12.0〜φ200.0mm超 |
藤原製作所は、BTAは中・大径穴、ガンドリルは小径穴に向くとしています。両方を持つ会社なら、穴径を伝えればどちらの方式が合うかを判断してもらえます。
工場に運べない大物は現場でボーリングする
船の船尾管や舵のように、組み上げた構造物の中にある穴は工場に運べません。愛媛ボーリング機工は、造船所の船台やドックで現場ボーリング工事を行っています。
- 船尾軸芯・舵軸芯ボーリング工事の施工実績サイズはφ100〜φ1300mm(内径仕上り寸法)
- 船尾軸芯と舵軸芯の同時施工で工期を短縮
- ハッチカバーやランプドアのヒンジピン穴のボーリング工事にも対応
現場での加工は、機材の持ち込みと段取りが前提になります。対象の構造物と穴の位置、工期の制約を最初に伝えてください。
同社はZP据付台座面やクレーンポスト座面の加工(フランジ外径φ1200〜φ4000mm)も現場で行うとしており、穴だけでなく座面の加工もまとめて相談できます。
加工の種類が分かれば、相談先はここまで絞れる
最後に、加工の種類から相談先を絞る流れをまとめます。
- 大物の穴の位置と寸法を整えたいなら、横中ぐりの会社(山崎製作所・入江・廣政鐵工所・鬨一精機)
- ミクロン単位の穴位置なら、ジグボーラーの会社(太陽テクニカ)
- パイプの内径なら、大型旋盤の会社(門本鉄工所)
- 深い穴を明けたいなら、BTA・ガンドリルの会社(穴径で選ぶ)
- 運べない構造物の穴なら、現場ボーリングの会社(愛媛ボーリング機工)
この記事に出てくる会社
- ダイニチ工業株式会社熱処理込みの大径深穴なら
- 愛媛ボーリング機工株式会社船舶の現場ボーリングなら
- 株式会社不二新製作所深穴と前後工程を一括で
- 株式会社藤原製作所首都圏で中小径の深穴なら
- 株式会社ハイタック小径深穴の精度で選ぶなら
- 株式会社廣政鐵工所数十トンの重量物なら
- 株式会社北條製作所架台・プレートの大物加工なら
- 入江株式会社鋳物の大物を設備台数で
- 有限会社門本鉄工所大径パイプの内径を1個から
- 株式会社加福製作所中部で深孔をまとめて
- ミロク機械株式会社全国5工場で深穴をまとめて
- 日本ビーテーエー株式会社大径・超長尺の深孔なら
参照元
よくある質問
中ぐり加工と深穴加工はどう違いますか?
中ぐり加工は、すでにある穴を広げて寸法や位置を仕上げる加工で、横中ぐり盤やジグボーラー、旋盤を使います。深穴加工は穴径に比べて深い穴を明ける加工で、BTA方式やガンドリル方式の専用機を使います。
ジグボーラー加工はどんなときに使いますか?
治具やゲージの位置決め穴など、穴の位置を高い精度で仕上げたいときです。太陽テクニカは、ジグボーラー加工は各穴の軸間ピッチを±3ミクロン以内で出せる加工だと説明しています。
工場に運べない大きな部品の穴はどうしますか?
現場でボーリングする方法があります。愛媛ボーリング機工は、造船所の船台やドックで船尾軸芯・舵軸芯のボーリング工事をφ100〜φ1300mmで施工しています。
【用途別】ボーリング加工の会社おすすめ3選
工作機械やプレスの大物部品を、横中ぐりで1品だけ仕上げたいなら
有限会社山崎製作所
横中ぐり加工に特化し横中ぐり盤11台。常温室工場で、単品・短納期・特急品にも対応
愛知県美浜町の会社で、横中ぐり盤による加工に特化しており、横中ぐり盤を計11台(東芝機械9台、倉敷機械2台)保有すると公式に書いている。精度を保つための常温室工場を2001年6月に設けた。よくある質問では単品・短納期・特急品も相談可能とし、初物1品製作がほとんどだと答えている。
長さ10mを超えるシャフトやロールに、大径の深い穴を通したいなら
日本ビーテーエー株式会社
加工径10〜700mm、ワーク長さ17m・35トン。BTA工具を自社製造し、孔奥のRやテーパーにも
1959年4月に設立した深孔明け加工の会社で、明石工場はワーク最大長さ17m、重量35トンの重量物に対応し、加工径10〜700mmのBTA工具をそろえている。1号機は加工孔径30〜700mm、加工長さ900〜17,000mm。BTA工具を自社で作り、孔の奥のR加工やテーパーにも対応するとしている。
金型の冷却穴や医療部品など、細い深穴を精度の数字で選びたいなら
株式会社ハイタック
φ0.5×30L〜φ30×1,500L、穴径精度±0.05以内。見積は当日、遅くとも翌営業日
静岡県沼津市のガンドリルマシンメーカーで、受託深穴加工の対応寸法をφ0.5×30Lからφ30.0×1,500Lと公開している。穴径精度は±0.05以内、面粗度3.2S、要求同芯度φ0.05以内の実績を挙げる。見積は依頼日当日、遅くとも翌営業日に回答するとしている。