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産業用集塵機 · 基礎知識

粉じん爆発と集塵機|Kst値、圧力放散、湿式、吸引禁止の機種を見分ける

アルミ・マグネシウム・チタン・樹脂粉など爆発のおそれがある粉じんを集塵機で吸うときの考え方を、Kst値と爆発圧力放散、湿式、耐圧型、排風機の位置の決まりまで、掲載26社の公式記載で整理します。

公開 2026年10月1日

燃える粉じんは、集塵機の中で雲のように舞うと爆発することがあります。このページでは、爆発のおそれがある粉じんを吸うときに、メーカーの何を見ればよいかをまとめます。

爆発のおそれがある粉じんの例

金属の微粉や有機物の粉は、条件がそろうと爆発します。メーカーが公式に挙げている粉じんの名前を並べます。

  • アマノが対応可能と挙げる粉:アルミニウム、アルミ軽合金、チタン、コーンスターチ、エポキシ樹脂、微粉炭、マグネシウム
  • 野水機械製作所がNWS-M型の対象に挙げる粉:マグネシウム、アルミニウムなど爆燃性粉塵
  • 淀川電機製作所が吸引禁止とする粉:アルミニウム、マグネシウム、チタン、エポキシ樹脂などの爆発性粉じん

同じ金属でも、粒が細かいほど燃えやすくなります。研磨や切断で出る微粉は、塊のときより危険と考えてください。

Kst値でどこまで対応できるかを比べる

Kst値は、粉じん爆発の激しさを示す指数です。アマノは粉塵爆発圧力放散型の機種ごとに、対応できるKst値の範囲を公表しています。

機種(アマノ)対応範囲 Kst値(×10²kPa・m/s)
粉塵爆発圧力放散型集塵機 VN-SD〜400
粉塵爆発圧力放散型パルスジェット集塵機 PiF-SD/D〜300
粉塵爆発圧力放散型湿式集塵機(スクラバー)SA〜500(マグネシウム合金粉体専用)
ラプチャーディスク RD〜800

自社の粉のKst値が分かれば、この表のように機種を絞れます。分からない場合は、粉体の測定ができる会社に相談してください(アマノは粉粒体の物性測定のサービスを案内しています)。

爆発への備えは4つの考え方

メーカーの製品を見ると、爆発への備え方はいくつかに分かれます。自社の粉と置き場所に合う考え方を選びます。

考え方公式記載の例
圧力を逃がす(放散)アマノの粉塵爆発圧力放散型、ラプチャーディスク、爆発消炎ベント
水で燃えにくくする(湿式)アコーのウェットスクラバー、野水機械製作所のNWS-M型、アマノのSA
耐圧構造にするホソカワミクロンの耐圧型は、粉溜りが少ない構造で爆発放散口面積を小さくできると説明
防爆仕様・対策仕様を付けるシケンの耐熱・防爆仕様、了生の粉塵爆発安全対策仕様、新東工業の粉塵爆発対策型、アコーの防爆仕様事例、ホーコスの防爆バグフィルタ事例

排風機の位置にも決まりがある

粉じん障害防止規則の第11条は、除じん装置を付けた局所排気装置の排風機を、除じんをした後の空気が通る位置に設けるよう定めています。ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、ファンの腐食や摩耗のおそれもないときは、この限りでないとしています。

  • 爆発のおそれがある粉では、汚れた空気がファンを通らない配置が原則
  • ファンを粉じんの上流に置く構成は、爆発・摩耗のおそれがない場合の例外
  • ダクトは短く、ベンドを少なく、掃除口を設ける(同条)

火の粉と火災への備え

爆発とは別に、溶接や研磨の火の粉がフィルターに燃え移る火災もあります。火の粉を先に止める仕組みを持つ機種があります。

  • アマノFCN:火花センサー・煙センサー、旋回流式分離部、吸熱ローラー
  • 赤松電機製作所FM-220:水を使った2重の消火機能
  • 淀川電機製作所SET:金属フィルターを多段に置いた整流BOX(完全抑制は保証しないと注記)
  • シケン:水シャワーノズルによる火災防止
  • 新東工業:集じん設備のダクト内火災防止を案内

問い合わせの前にそろえる情報

爆発対策の要否はメーカーが判断しますが、材料がなければ判断できません。次の情報を先に用意しておくと、見積が早く正確になります。

  1. 粉じんの名前(材質・合金名)と、安全データシート(SDS)
  2. 分かっていればKst値や最小着火エネルギーなどの測定値
  3. 粉じんの出る作業(研磨・切断・投入など)と、1日の発生量の目安
  4. 集塵機を置く場所(屋内か屋外か、周りに人がいるか)
  5. 火花や火の粉が出るかどうか

爆発対策の記載があるメーカー一覧

今回の26社のうち、爆発への備えを公式に書いているのは9社でした。書き方の強さはさまざまなので、内容を並べて比べます。

メーカー公式の記載
アマノ粉塵爆発圧力放散型(Kst値つき)、ラプチャーディスク、爆発消炎ベント
新東工業小型ダスミックの粉塵爆発対策型、可燃性・爆発性粉塵対応の集塵機
ホーコス農薬製造ライン向け防爆バグフィルタの事例、防爆エリアに応じたポータブルHTシステム
ホソカワミクロン耐圧型パルスジェットコレクタ
アコーオールステンレス・防爆仕様の事例、爆発性粉塵向けのウェットスクラバー
SDG爆発低減仕様集塵機の説明資料
シケン耐熱・防爆仕様
了生粉塵爆発安全対策仕様
野水機械製作所マグネシウム・アルミ対応のNWS-M型、KM型の対爆仕様

残る17社のうち、淀川電機製作所は爆発性粉じんの吸引禁止を明記しています。ほかの16社は記載がないだけなので、対応できるかは問い合わせて確かめてください。

湿式を選ぶときの注意点

湿式は爆発性の粉に強い一方で、水と反応する金属には注意が必要です。マグネシウムやアルミの粉は水と反応してガスを出すことがあるため、専用の設計になっている機種を選びます。

  • 野水機械製作所のNWS-M型は、逆止弁、爆気口、4カ所のガス抜き管、水位センサーを備える
  • アマノのSAは、マグネシウム合金粉体専用の粉塵爆発圧力放散型湿式集塵機
  • 水位が下がると捕集できなくなるため、水位センサーや自動給水があるかを確認する
  • 回収した汚泥の保管と処分の方法も、導入前に決めておく

爆発対策の要否を社内で判断する順番

爆発対策をするかどうかは、メーカー任せにせず、社内でも順番に確かめておくと話が早く進みます。次の順に確認してください。

  1. 扱う粉のSDSで、粉じん爆発に関する記載を確認する
  2. 粉の細かさ(研磨・切断で出る微粉か、塊か)を確認する
  3. 一般用の集塵機の禁止事項に当てはまらないか、取扱説明書で確認する
  4. 当てはまる場合は、爆発対策の記載があるメーカーに粉のサンプルを添えて相談する
  5. 置き場所(屋外に置けるか、周りに人がいるか)を決め、圧力を逃がす方向を検討する

圧力を逃がす方式では、逃がした先に人や設備がないことが前提です。屋内に置くしかない場合は、湿式や耐圧型など別の考え方もメーカーと比べてください。

この記事のポイント

  • 爆発する粉かどうかを最初に確かめ、禁止事項のある機種を避ける
  • Kst値が分かれば、対応範囲を公表している機種から絞れる
  • 圧力放散・湿式・耐圧・防爆仕様の中から、置き場所に合う考え方を選ぶ

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

アルミの研磨粉を普通の集塵機で吸っても大丈夫ですか?

機種によっては使えません。淀川電機製作所はアルミニウム・マグネシウム・チタン・エポキシ樹脂などの爆発性粉じんを吸引禁止と明記しています。アマノの粉塵爆発圧力放散型や、野水機械製作所のマグネシウム・アルミ対応湿式NWS-M型など、爆発対策の記載がある機種を選んでください。

Kst値とは何ですか?

粉じん爆発の激しさを表す指数です。アマノは粉塵爆発圧力放散型の機種ごとに対応できるKst値を示しており、VN-SDは〜400、PiF-SD/Dは〜300、湿式のSAは〜500(×10²kPa・m/s)です。自社の粉のKst値が分かると機種を絞れます。

爆発対策の記載があるメーカーはどこですか?

今回の26社では、アマノ、新東工業、ホーコス、ホソカワミクロン、アコー、SDG、シケン、了生、野水機械製作所の9社でした。内容は圧力放散型、耐圧型、湿式、防爆仕様の事例などさまざまなので、自社の粉で使えるかを個別に確認してください。

【用途別】集塵機メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

アルミ・マグネシウムなど爆発性の金属粉を吸うなら

アマノ株式会社

Kst値ごとに選べる粉塵爆発圧力放散型。溶接・レーザ用まで1社で比べられる

アルミニウム、チタン、マグネシウムなどにも対応可能と公式に書き、粉塵爆発圧力放散型の集塵機をKst値の対応範囲つきで出している(VN-SD〜400、PiF-SD/D〜300、マグネシウム合金粉体専用スクラバーSA〜500)。国産ラプチャーディスクはKst値800対応。小型のPiFから大型のWRT(フィルタ面積〜1,055m²)、溶接作業用FCN、レーザ加工用PiF-Hまで同じ窓口で選べる。

アマノ株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

溶接ヒュームを、デモ機で確かめてから入れるなら

株式会社赤松電機製作所

手溶接は100Vのフィルターレス、ロボット溶接は水で消火する乾湿複合型

ヒュームスモーカーFSM-15はフィルターレスで1μm以上を99%捕集し、風量10m³/min・単相AC100Vで使える。スーパーコレクターFM-220は水を使う乾湿複合型で風量30/35m³/min、「水を使った2重の消火機能で火の粉も安全」。主力製品のデモ機貸出と、専門技術者による現地調査を公式に案内している。

株式会社赤松電機製作所の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

工程の小型機から3,000m³/min級まで、工場全体をそろえるなら

新東工業株式会社

小型ダスミックの各区分に粉塵爆発対策型。中・大型は3,000m³/minクラスまで

小型集塵機ダスミックシリーズは混合・袋詰め・投入・切断・バフ研磨などの工程向けで、連続運転・間欠運転・低濃度のそれぞれに粉塵爆発対策型がある。中・大型集塵機は3,000m³/minクラスの大風量用途まで対応し、高温ガス用、泡で重金属を捕集する機種、可燃性・爆発性粉塵対応機もそろう。生産終了機の後継機・部品供給の窓口を公開している。

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