産業用集塵機 · 基礎知識
集塵機の方式の違い|バグフィルター・カートリッジ・サイクロン・湿式・電気式をどう使い分けるか
産業用集塵機の方式(バグフィルター、カートリッジ、サイクロン、湿式スクラバー、電気式、フィルターレス)の仕組みと向く粉じんを、粉じん障害防止規則の除じん方式の区分と掲載26社の製品例で整理します。
集塵機の方式は、吸う粉じんの種類と量でほぼ決まります。このページでは、主な6つの方式の仕組みと向く粉じんを、メーカーの製品例と一緒に整理します。
法令が決めている4つの除じん方式
粉じん障害防止規則の第13条は、除じん装置の方式を粉じんの種類ごとに決めています。まずこの区分を押さえると、メーカーとの話が早くなります。
| 粉じんの種類 | 規則が挙げる除じん方式 |
|---|---|
| ヒューム | ろ過除じん方式、電気除じん方式 |
| ヒューム以外の粉じん | サイクロンによる除じん方式、スクラバによる除じん方式、ろ過除じん方式、電気除じん方式 |
同条では、これらと同等以上の性能を持つ方式も認めています。粒の大きい粉じんを除く前置き除じん装置を、必要に応じて設けることも求めています。
ろ過式:バグフィルターとカートリッジ
ろ過式は、布や不織布のフィルターで粉じんを捕まえる方式です。形でバグフィルター(筒や封筒状のろ布)とカートリッジ(ひだ状に折った成形フィルター)に分かれます。
| 形 | 特徴 | 製品例(公式記載) |
|---|---|---|
| バグフィルター | 大風量・高温向けに大型化しやすい | ホーコスのトップリムーバル(最大250℃、ろ過面積2.3m²〜1,000m²以上)、KAJIWARAのバグフィルタ(16,000m³/minの実績) |
| カートリッジ | ろ過面積を稼げて小型化しやすい | 淀川電機製作所のDET(プリーツ形状の成型不織布フィルター)、アマノのPiF |
フィルターにたまった粉じんを落とす払い落としの方式も選ぶ点です。圧縮空気を吹き込むパルスジェット、モーターで振る方式、手で振る方式があります。
- パルスジェット:連続運転や粉じん量が多い現場向け。スイデンは「圧力損失の変動も小さく、効率的で安定した連続運動が可能」と説明
- モーター・振動式:新東工業のサンシェークES(モータシェイキング式)、了生のRS型(振動クランク)
- 手動:ホーコスのNKS(ハンドルを回すノッキング式で圧縮エア不要)
サイクロン:遠心力で粗い粒を分ける
サイクロンは旋回気流の遠心力で粉じんを分ける方式で、フィルターを使いません。粒の大きい粉じんや火の粉を先に落とす前置きとして使われることもあります。
- アコー:旋回気流による遠心力式を、高温ガスの集塵や火の粉による火災対策向けと説明
- アマノ:溶接作業用FCNは旋回流式分離部で吸引粉塵の70%以上を先に分離
- 野水機械製作所:KM型はサイクロンとフィルターの複合型で、粒径が混ざった研磨作業向け
- シケン、スイデン:サイクロン式の製品を掲載
湿式(スクラバー):水で捕まえる
湿式は水をかけたり水中を通したりして粉じんを捕まえる方式です。目詰まりしにくく、燃えやすい粉じんや湿った粉じんに向きます。
| メーカー | 公式に書かれた用途 |
|---|---|
| アコー(ウェットスクラバー) | 付着性粉塵、発火性・爆発性粉塵 |
| アマノ(SS-N、SA) | 可燃性粉塵・ヒューム。SAはマグネシウム合金粉体専用 |
| 野水機械製作所(NWS、NWS-M) | 砥石・ベルト研磨の火花、マグネシウム・アルミニウム |
| ホーコス(HSS) | 食品工場の湿気を伴う粉塵 |
湿式は排水と汚泥の処理が必要になります。水の補給と、水位を保つ仕組みがあるかも確認してください。
電気式:静電気で集める
電気式は粉じんやミストに電荷を与え、電極に引き寄せて集める方式です。法令ではヒュームにもヒューム以外にも使える方式とされています。
- 山本工作所:サンテクノ式乾式電気集塵機は常温から数百℃まで処理でき、水処理設備が不要。水分を含むガスやミストは対象外
- 東洋空気調和:電気集じん装置とオイルミストコレクター、自動洗浄装置を製品にしている
- アコー:静電気式のSMOG HOGは油分を含む煙やヒューム向け
フィルターレス・専用方式
溶接ヒュームなどの目詰まり対策として、フィルターを使わない方式や独自の払い落としを持つ機種もあります。方式名だけでなく、何の粉じんで実績があるかを聞いてください。
- 赤松電機製作所のヒュームスモーカーFSM-15:フィルターレスで1μm以上99%捕集、遠心力で自動クリーニング
- ユーザックのコスモクリーン:衝撃波でフィルターの粉じんを落とすMachWaveMV3
- ホーコスのポータブルHTシステム:ポリエチレン粒子を使う充填層フィルター
方式を決めるための早見表
最後に、粉じんの性質から方式を当てる目安をまとめます。迷ったら、複数の方式を持つメーカーに相談すると比較しやすくなります。
| 粉じんの性質 | まず検討する方式 |
|---|---|
| 乾いた一般粉じん(切削・研磨・粉体投入) | ろ過式(カートリッジ・バグフィルター) |
| 溶接・レーザーのヒューム | ろ過式(ヒューム専用)、電気式、フィルターレス |
| 粒が大きい・火の粉を含む | サイクロン+ろ過式 |
| 付着性・湿った・燃えやすい | 湿式 |
| オイルミスト・油煙 | ミストコレクター、電気式 |
| 高温の排ガス | 耐熱バグフィルター、乾式電気式 |
方式ごとの手間とランニングコストの違い
方式を選ぶときは、買う値段だけでなく、毎日の手間と消耗品も比べてください。同じ粉じんを吸えても、手入れの中身は方式ごとに大きく違います。
| 方式 | 主な消耗品・ユーティリティ | 日々の手間 |
|---|---|---|
| ろ過式(パルスジェット) | フィルター、圧縮空気 | ダストの排出、差圧の確認 |
| ろ過式(手動払い落とし) | フィルター | 作業後の払い落とし、ダストの排出 |
| サイクロン | ほぼなし(後段にフィルターを付けるならその交換) | ダストの排出 |
| 湿式 | 水、排水・汚泥の処理 | 水位の確認、汚泥の回収、槽の清掃 |
| 電気式 | 電力、電極の洗浄 | 電極の清掃(自動洗浄装置で減らせる) |
パルスジェット式は払い落としが自動な分、圧縮空気の配管と消費が必要です。圧縮空気がない場所では、ホーコスのNKSのような圧縮エア不要の機種や、手動払い落としの機種が候補になります。
1台で複数の方式を組み合わせる例
実際の製品では、1つの方式だけでなく、前段と後段で方式を組み合わせていることがよくあります。粗い粒や火の粉を前段で落とし、細かい粒を後段のフィルターで取る考え方です。
- サイクロン+フィルター:野水機械製作所のKM型、アマノのサイクロン内蔵集塵機IS-15
- 旋回流分離+フィルター:アマノのFCN(吸引粉塵の70%以上を先に分離)
- 金属フィルター+ヒューム専用フィルター:淀川電機製作所のSET(整流BOXの後にヒューム専用円筒フィルター)
- 湿式フィルター+プレートフィルター:ホーコスのHSS(一段目の円筒湿式フィルタを常に水で洗浄)
粉じん障害防止規則も、粒径の大きい粉じんを除去する前置き除じん装置を必要に応じて設けるよう求めています。前段を入れると後段のフィルターの寿命が延びるため、粉じん量が多い現場では検討する価値があります。
方式を決めたらメーカーをどう絞るか
方式が決まれば、その方式の製品を持つメーカーに候補を絞れます。複数の方式を持つ会社に相談すると、方式そのものの比較から手伝ってもらえます。
- 湿式と乾式で迷う:アコー(バグフィルター・ウェットスクラバー・遠心力式・静電気式)、アマノ(パルスジェット・湿式)
- 乾式の中で大きさを迷う:新東工業(小型から3,000m³/minクラス)、ホーコス(10〜150m³/minの小型汎用から1,000m²以上の大型)
- 電気式を比べたい:山本工作所(乾式・湿式・ハイブリッド)、東洋空気調和
- ヒューム専用機を比べたい:赤松電機製作所、淀川電機製作所、ユーザック
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アコー方式から選ぶなら
- 株式会社赤松電機製作所溶接ヒュームのデモ機に
- アマノ株式会社爆発性の金属粉に
- ホーコス株式会社高温排ガスと食品工場に
- 株式会社KAJIWARA製鋼・焼却の大型バグフィルタに
- 株式会社野水機械製作所マグネシウム・アルミの研磨に
- 株式会社了生狭い・低い現場の特注に
- シケン株式会社研磨工程とセットで
- 新東工業株式会社小型から大風量まで一社で
- 株式会社スイデン汎用機を型式で選ぶなら
- 東洋空気調和株式会社オイルミストの電気集じんに
- ユーザック株式会社レーザー切断ヒュームに
参照元
よくある質問
バグフィルターとカートリッジ式は何が違いますか?
どちらもフィルターで粉じんをこし取るろ過式です。バグフィルターは筒や封筒状のろ布を使い、大風量・高温の設備に向きます。カートリッジはひだ状に折った成形フィルターで、同じ大きさでもろ過面積を広く取れるため小型機に多く使われています。
溶接ヒュームにサイクロン式は使えますか?
粉じん障害防止規則の第13条は、ヒュームの除じん方式としてろ過除じん方式と電気除じん方式を挙げています。サイクロンは火の粉や粗い粒を先に分ける前置きとして使われ、アマノの溶接作業用FCNも旋回流式分離部のあとにフィルターで捕集する構成です。
湿式集塵機はどんなときに選びますか?
付着しやすい粉じん、湿った粉じん、燃えやすい・爆発しやすい粉じんのときです。アコーはウェットスクラバーを発火性・爆発性粉塵に最適と説明し、野水機械製作所はマグネシウム・アルミニウム対応の湿式NWS-M型を出しています。排水と汚泥の処理が必要になる点は事前に確認してください。
【用途別】集塵機メーカーおすすめ3選
アルミ・マグネシウムなど爆発性の金属粉を吸うなら
アマノ株式会社
Kst値ごとに選べる粉塵爆発圧力放散型。溶接・レーザ用まで1社で比べられる
アルミニウム、チタン、マグネシウムなどにも対応可能と公式に書き、粉塵爆発圧力放散型の集塵機をKst値の対応範囲つきで出している(VN-SD〜400、PiF-SD/D〜300、マグネシウム合金粉体専用スクラバーSA〜500)。国産ラプチャーディスクはKst値800対応。小型のPiFから大型のWRT(フィルタ面積〜1,055m²)、溶接作業用FCN、レーザ加工用PiF-Hまで同じ窓口で選べる。
溶接ヒュームを、デモ機で確かめてから入れるなら
株式会社赤松電機製作所
手溶接は100Vのフィルターレス、ロボット溶接は水で消火する乾湿複合型
ヒュームスモーカーFSM-15はフィルターレスで1μm以上を99%捕集し、風量10m³/min・単相AC100Vで使える。スーパーコレクターFM-220は水を使う乾湿複合型で風量30/35m³/min、「水を使った2重の消火機能で火の粉も安全」。主力製品のデモ機貸出と、専門技術者による現地調査を公式に案内している。
工程の小型機から3,000m³/min級まで、工場全体をそろえるなら
新東工業株式会社
小型ダスミックの各区分に粉塵爆発対策型。中・大型は3,000m³/minクラスまで
小型集塵機ダスミックシリーズは混合・袋詰め・投入・切断・バフ研磨などの工程向けで、連続運転・間欠運転・低濃度のそれぞれに粉塵爆発対策型がある。中・大型集塵機は3,000m³/minクラスの大風量用途まで対応し、高温ガス用、泡で重金属を捕集する機種、可燃性・爆発性粉塵対応機もそろう。生産終了機の後継機・部品供給の窓口を公開している。