産業用集塵機 · 基礎知識
集塵機フィルターの選び方と交換・点検|材質、払い落とし、差圧、年1回の定期自主検査
集塵機のフィルター(ろ布・成形カートリッジ・HEPA・PTFEメンブレン・洗えるフィルター)の選び方、払い落とし方式、差圧計で見る交換時期、粉じん障害防止規則の定期自主検査の項目を、掲載メーカーの公式記載で整理します。
集塵機の性能は、フィルターの選び方と手入れで大きく変わります。このページでは、フィルターの種類、払い落とし、交換の目安、法令の点検をまとめます。
フィルターの種類と公式に書かれた性能
フィルターは材質と形で性能が変わります。メーカーの公式記載から、主な種類を並べます。
| 種類 | 公式記載の例 |
|---|---|
| 成型不織布(プリーツ) | 淀川電機製作所は全機種でプリーツ形状の成型不織布フィルターを採用 |
| ナノ繊維コート | アマノのPiFはオプションのナノ繊維コートフィルターで、従来機PiE比約2.5倍のろ過面積 |
| PTFEメンブレン | ユーザックは東レのPTFEメンブレンフィルターを標準装備 |
| HEPA | ホーコスのNKSは捕集効率99.97%以上のHEPAフィルタをオプションで装着可能 |
| 静電防止・テフロンラミネート | ホーコスの小型汎用集じん機は用途に合わせてフィルタを用意 |
| 洗えるフィルター | 三立機器の「洗える集塵機」、ホーコスHSSの円筒湿式フィルタとプレートフィルタ |
微細なヒュームには目の細かいフィルター、湿気や静電気がある現場には対策品を選ぶのが基本です。粉じんの名前と粒の大きさを伝えて、メーカーに材質を選んでもらってください。
払い落としの方式で手間が変わる
フィルターにたまった粉じんを落とす方法によって、日々の手間と圧縮空気の要否が変わります。淀川電機製作所のSETは、同じシリーズで3つの方式から選べます。
- 全自動:微差圧センサーで目詰まりを感知し、除塵のタイミングを制御(淀川電機製作所SET「-TEC」)
- 半自動:除塵タイミングを範囲内で設定(同SET)
- 手動:付属のエアガンやハンドルで除塵(同SET-SV、ホーコスNKSのノッキング式)
- 衝撃波:ユーザックのMachWaveMV3
パルスジェット式は圧縮空気が必要です。ホーコスのNKSのように、エア設備がない場所向けに圧縮エア不要をうたう機種もあります。
交換時期は差圧と風量で見る
フィルターが詰まると、前後の圧力の差(差圧)が大きくなり、吸い込む風量が落ちます。交換時期を目で見て決めるより、数字で決めるほうが確実です。
| 見る数字 | 公式記載の例 |
|---|---|
| 差圧 | 淀川電機製作所は差圧計取付を、能力維持やフィルター交換の目安の指標になるオプションとして案内(後付け不可) |
| 使用時間 | ユーザックはレーザー加工機での使用で10,000時間程度は性能を維持とし、10,000時間又は5年の早いほうでの交換を推奨 |
| 運転時間の積算 | 日本精密のSSWシリーズは装置運転時間を積算表示 |
差圧計は後から付けられない機種もあります。発注時にオプションとして付けておくと、交換の判断が楽になります。
交換作業でばく露しないために
フィルター交換のときに、集めた粉じんを作業者が浴びてしまうことがあります。有害な粉じんを扱うなら、交換方式も比べてください。
- 日本精密のバグインバグアウトダストコレクター:専用のビニールパックで粉体に触れずにフィルター交換
- アマノのTFP:成形フィルター仕様で粉体に触れずにフィルター交換
- ホーコスのポータブルHTシステム:HEPAフィルターを浸漬してから交換するWet Open Change
- ホーコスのトップリムーバル:作業員が機内に入らず本体上部から交換
法令の定期自主検査:1年以内ごとに1回
粉じん障害防止規則は、局所排気装置や除じん装置について、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行うよう定めています。除じん装置では、次の項目が挙がっています。
- 構造部分の摩耗、腐食、破損の有無とその程度
- 内部における粉じんの堆積状態
- ろ過除じん方式では、ろ材の破損またはろ材取付部等の緩みの有無
- 処理能力
局所排気装置では、フード・ダクト・ファンの損傷、ダクトと排風機の粉じんの堆積、ベルトの作動状態、吸気・排気の能力なども対象です。点検をメーカーに頼めるかは、導入前に確かめておきます。
保守を任せられる体制かを確認する
フィルターの供給と点検を長く頼めるかは、メーカー選びの大事な条件です。公式に保守体制を書いている会社を挙げます。
- アマノ:グループ内にメンテナンス専門会社
- エステーリンク:企画・設計・施工・メンテナンス
- ユーザック:サービスエンジニアが対応
- 新東工業:生産終了機の後継機・部品供給の案内
- 東洋空気調和:製造・販売・保守を事業とする
フィルターを長持ちさせる運転のしかた
同じフィルターでも、運転のしかたで寿命は変わります。メーカーの機能を見ると、長持ちさせる工夫がいくつかあります。
- 風量を一定に保つ:アマノのVF-5HGは自動風量一定制御、アピステのGDE-Aはインバータの自動風量制御
- 前段で粗い粒を落とす:アマノのFCNは旋回流式分離部でフィルターの負担を減らす
- 払い落とした粉を再付着させない:アマノのPiFは本体内の気流を下方気流化、ホーコスの小型汎用集じん機はダウンフロー構造
- フィルターを保護する:アマノのPiF-Hはプレコート機構、アピステのGDE-Aは自動フィルターエイド供給(オプション)
フィルターエイドやプレコートは、フィルターの表面に粉の層を先に作り、付着性のヒュームが直接こびりつくのを防ぐ考え方です。レーザー加工や溶接のように付着しやすいヒュームで使われます。
日常点検のチェックリスト
法令の定期自主検査は年1回ですが、フィルターの異常は日々の点検で早く気づけます。現場で毎日見る項目をまとめます。
| 頻度 | 見る項目 |
|---|---|
| 毎日 | 差圧計の値、吸い込みの強さ、排気口からの粉の漏れ、ダストボックスの量 |
| 毎週 | 払い落としの動作(パルス音や振動)、圧縮空気の圧力、水位(湿式) |
| 毎月 | ダクトの粉じんの堆積、フードの破損、ベルトの張り |
| 年1回以上 | 法令の定期自主検査(ろ材の破損、取付部の緩み、処理能力など) |
排気口から粉が出ているときは、フィルターの破れか取付部の緩みを疑ってください。法令の検査項目にも、ろ材の破損とろ材取付部等の緩みが挙がっています。
交換用フィルターの調達で困らないために
集塵機は10年以上使うことも多く、交換用フィルターを長く買えるかは大事な条件です。導入時に次の点を確認しておきます。
- 交換用フィルターの品番と価格を見積に入れてもらう
- フィルターの納期と、在庫を持っているか
- 生産終了になったときの後継品の案内があるか(新東工業は生産終了機の後継機・部品供給を案内)
- フィルターを自社で作っているか(アコーはフィルターの製造販売を事業に挙げる)
- 交換用フィルターを同じサイトで扱っているか(日本ドナルドソンはバッグフィルター・カートリッジフィルターも扱う)
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アコー方式から選ぶなら
- アマノ株式会社爆発性の金属粉に
- 株式会社アピステテスト機で試すなら
- 日本ドナルドソン株式会社海外拠点と機種をそろえるなら
- ホーコス株式会社高温排ガスと食品工場に
- 日本精密株式会社早く入れたい汎用機に
- 三立機器株式会社洗えるフィルターを使うなら
- 新東工業株式会社小型から大風量まで一社で
- 株式会社エステーリンク板金・溶接工場の局所排気に
- 東洋空気調和株式会社オイルミストの電気集じんに
- ユーザック株式会社レーザー切断ヒュームに
- 株式会社淀川電機製作所溶接ヒュームの小型機に
参照元
よくある質問
集塵機のフィルターはどれくらいで交換しますか?
粉じんの量と種類で大きく変わるため、使用時間よりも差圧と風量の低下で判断するのが確実です。目安の例として、ユーザックはレーザー加工機での使用なら10,000時間程度性能を維持するとし、10,000時間又は5年の早いほうでの交換を推奨しています。
集塵機の点検は義務ですか?
粉じん障害防止規則により、局所排気装置や除じん装置は1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行う必要があります。除じん装置では構造部分の摩耗・腐食・破損、内部の粉じんの堆積、ろ材の破損や取付部の緩み、処理能力が検査項目です。
フィルターは洗って使えますか?
洗える構造の機種なら使えます。三立機器は「洗える集塵機」をシリーズで出しており、ホーコスのHSSシリーズも円筒湿式フィルタとプレートフィルタを水洗いできます。洗えない成形フィルターを水洗いすると性能が落ちるため、取扱説明書の指示に従ってください。
【用途別】集塵機メーカーおすすめ3選
アルミ・マグネシウムなど爆発性の金属粉を吸うなら
アマノ株式会社
Kst値ごとに選べる粉塵爆発圧力放散型。溶接・レーザ用まで1社で比べられる
アルミニウム、チタン、マグネシウムなどにも対応可能と公式に書き、粉塵爆発圧力放散型の集塵機をKst値の対応範囲つきで出している(VN-SD〜400、PiF-SD/D〜300、マグネシウム合金粉体専用スクラバーSA〜500)。国産ラプチャーディスクはKst値800対応。小型のPiFから大型のWRT(フィルタ面積〜1,055m²)、溶接作業用FCN、レーザ加工用PiF-Hまで同じ窓口で選べる。
溶接ヒュームを、デモ機で確かめてから入れるなら
株式会社赤松電機製作所
手溶接は100Vのフィルターレス、ロボット溶接は水で消火する乾湿複合型
ヒュームスモーカーFSM-15はフィルターレスで1μm以上を99%捕集し、風量10m³/min・単相AC100Vで使える。スーパーコレクターFM-220は水を使う乾湿複合型で風量30/35m³/min、「水を使った2重の消火機能で火の粉も安全」。主力製品のデモ機貸出と、専門技術者による現地調査を公式に案内している。
工程の小型機から3,000m³/min級まで、工場全体をそろえるなら
新東工業株式会社
小型ダスミックの各区分に粉塵爆発対策型。中・大型は3,000m³/minクラスまで
小型集塵機ダスミックシリーズは混合・袋詰め・投入・切断・バフ研磨などの工程向けで、連続運転・間欠運転・低濃度のそれぞれに粉塵爆発対策型がある。中・大型集塵機は3,000m³/minクラスの大風量用途まで対応し、高温ガス用、泡で重金属を捕集する機種、可燃性・爆発性粉塵対応機もそろう。生産終了機の後継機・部品供給の窓口を公開している。