ジュエリーOEM · 用途別
自社ジュエリーブランドを立ち上げたい|小ロットOEMの進め方
自社ジュエリーブランドの立ち上げで、小ロットOEMをどう進めるかを、数量の決め方、上代からの仕様設計、試作から量産への移行、表示と契約の注意点まで公的機関と工場の公開情報をもとに整理します。
このページでは、自社ジュエリーブランドを立ち上げるときの小ロットOEMの進め方を説明します。数量、仕様、試作、量産、表示、契約の順に整理します。
初回は数量を抑えて反応を見たい、という立ち上げ期の前提で書いています。根拠は工場の公開条件と、業界団体・公的機関のルールです。
立ち上げの全体の流れ
ブランド立ち上げの工程は、デザインを決めてから工場に頼むだけではありません。仕様、価格、表示、契約を並行して決める必要があります。
順番を誤ると、原型を作った後に素材や価格を変えることになり、原型代が二重にかかります。
- コンセプトとアイテム構成(リング、ペンダントなど)
- 販売価格(上代)の決定
- 上代から逆算した素材・重量・仕上げの仕様
- デザインと3Dデータまたは図面
- 試作(1個)と確認
- 初回ロットの量産
- 品位表示・タグ・商品ページの整備
- 販売と追加発注の計画
工場の公式サイトも、同様の段階を示しています。三雄工芸は相談、見積、サンプル製作、仕様調整、量産、納品、追加発注の7ステップを公開しています。
初回ロットの数量の決め方
数量は、工場の最小ロットと自社の販売見込みの両方で決めます。最小ロットは会社と素材で異なり、1個から受ける会社と数十個からの会社があります。
公式サイトで条件を公開している会社の例を、出典付きで示します。
| 会社(出典) | 最小ロット | 納期の公開例 |
|---|---|---|
| 三雄工芸 | 金・プラチナ10個〜(1個〜相談可)、Ag925 30個〜、真鍮100個〜 | 記載なし |
| 日本アイボリー | キャストは1個から | 原型 約2〜3週間、量産後 約2〜3週間 |
| ENCODE(OEM製造サービス) | 最低ロット1個、1〜1,000個 | 平均12営業日前後 |
数量を増やして大きく下がるのは、原型代とゴム型代の按分です。地金代は重量×相場で1個ごとにかかり、研磨や石留めのような手作業も数量で下がりにくい費用です。
初回は売れ筋が分からないため、型を残して追加発注できる体制を作る方が、数量を積むより安全です。型の保管条件は工場ごとに違うので、先に確認します。
受注生産という選択
在庫を持たず、注文を受けてから1個ずつ作る方法もあります。1個から受ける工場(日本アイボリー、CASTYなど)を使えば、原型とゴム型を作った後は注文数だけ鋳造できます。
ただし1個ごとの単価は、まとめて作る場合より高くなります。納期も、工場の受付サイクルに依存します。
- 利点:在庫リスクがない、サイズ違いに対応しやすい
- 注意:1個あたりの単価が高い、納期は鋳造サイクル次第
- 例:日本アイボリーはK18YG・PGを毎週、K18WGとPT900を月2回の鋳造と公開
上代から逆算して仕様を決める
ジュエリーの原価は、地金の重量×相場が大部分を占めます。日本アイボリーは銀の鋳造料金を「完成品重量×(銀地金相場+鋳造工賃)」と相場連動で公開しています。
そのため、先に上代を決め、収まる素材と重量を工場に提案してもらう進め方が現実的です。素材を先に決めてから価格を出すと、上代に収まらないことがあります。
- 素材:真鍮+めっき、SV925、K10、K18、Pt900の順に地金代が上がる
- 重量:裏抜きや幅の調整で減らせる(ワックス最低0.7mm、日本アイボリー)
- 工程数:石留め、部分めっき、刻印は1個ずつの作業
- 相場:地金代は日々動くため、見積もりの有効期限を確認する
公式サイトで参考価格を公開している例もあります。ENCODEはOEM製造サービスのページに真鍮2,500円〜、SV925 8,000円〜、Pt900 90,000円〜、K18 128,000円〜を掲載しています。
素材で価格の桁が変わることが分かります。上代の設定と素材の選択は、切り離して考えられません。
銀や金は相場で仕入れ値が動きます。上代を先に告知する販売方法では、相場変動の影響が小さい素材を選ぶ考え方もあります。
試作から量産へ
試作は1個の直接造形で行い、量産でゴム型を取る流れが、初期費用を抑えやすい進め方です。Formlabsは、鋳造用レジンで作った原型を直接鋳造するワークフローを公開しています。
試作で確認するのは、形、厚み、重量、刻印位置、着け心地です。ここで承認した内容が、量産の原型になります。
| 段階 | 作り方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 試作(1個) | 3Dプリント原型を直接鋳造 | 形、重量、着け心地、刻印位置 |
| 初回量産 | 原型からゴム型を取り複製 | 仕上げの均一さ、サイズ精度 |
| 追加生産 | 同じゴム型で鋳造 | 型の劣化、地金相場の変化 |
ゴム型は消耗品で、日本アイボリーは繰り返し使うと切れることがあると公開しています。焼成タイプは約5%縮むとも説明しており、試作と量産で寸法が変わる可能性があります。
原型とゴム型の保管も決めます。三雄工芸は納品時に返却し、約半年以上発注がない型は整理時に廃棄すると公開しています。
データの保管期間も会社ごとに違います。日本アイボリーはデータ保管期間を1年間としています。
表示と法規で失敗しないために
ブランドとして販売する以上、品位表示と商品説明の責任は自社にあります。日本ジュエリー協会(JJA)の表示規定が、業界の基準です。
特に多い間違いは、めっきの色で地金の色を名乗ることと、断定的な表現です。消費者庁は優良誤認表示と有利誤認表示を景品表示法で禁止しています。
- 品位表示:主たる貴金属の種類と品位を本体に表示(K18、Pt900、SV925)
- めっき:イエローゴールドのK18にロジウムめっきはK18 RHP、K18WGとは表示できない
- 説明文:「ロジウムめっき仕上げ」と書き、「ロジウム仕上げ」は不適切
- ニッケルフリー:NF表示に「安全」という表現を付けない
- 原産国:鋳込み工程を行った国が原産国、不当な表示は禁止
- 造幣局の品位証明:任意の有料制度、事前登録が必要
造幣局の証明を受けると、金・プラチナ製品では種類と品位の表示を略せます。手数料は金製品1〜7個で1,491円、銀製品は777円です。
造幣局への依頼には、貴金属製品の製造業者または販売業者であることを証明する書類を添えた登録届出が必要です。立ち上げ直後は、工場に登録者となってもらう選択もあります。
契約と権利の整理
工場との取引は、取適法(中小受託取引適正化法)の対象になることがあります。公正取引委員会は、発注書面の交付と受領後60日以内の支払期日を委託事業者の義務として示しています。
ブランド名も守っておきます。商標権は設定登録の日から10年で、商標権者は指定商品について登録商標を使用する権利を専有します。
- 発注書面:内容、数量、金額、納期、支払期日を明記
- 禁止行為:受領拒否、代金減額、不当な返品、買いたたきは委託側の禁止行為
- 原型・ゴム型・3Dデータの所有と保管期間
- 不良時の扱いと、鋳造事故(枠の破裂など)の免責範囲
- ブランド名:J-PlatPatで先行商標を無料で検索できる(INPIT運営)
日本アイボリーは、鋳造時にキャスト枠が破裂する場合があり、その際の弁償はできないと公開しています。免責の範囲を知ったうえで、預ける原型やデータの控えを残します。
発注前チェックリスト
ここまでの内容を、問い合わせ文にまとめます。条件が明確なほど、見積もりの精度が上がり、修正の往復が減ります。
複数社に同じ条件で送ると、比較ができます。
- アイテムと点数、初回数量と追加の見込み
- 上代と、それに収めたい素材・重量の希望
- データの有無(STL、図面、参考画像)
- 仕上げとめっき(鏡面、マット、いぶし、GP、RHP)
- 刻印(品位表示、ブランドマーク、造幣局証明の有無)
- 希望納期と販売予定日
- 原型・型・データの所有と保管の希望
この記事に出てくるメーカー
- CASTY3Dデータ持ちの1個試作に最速
- 日本アイボリー株式会社料金体系が最も透明な鋳造工場
- 三雄工芸小ロットは不向き、中ロット以上で
参照元
- 三雄工芸「OEM・ODM」
- 日本アイボリー「キャスト受注」
- 日本アイボリー「量産受注」
- 日本アイボリー「キャスト受注(個人のお客様へ)」
- 日本アイボリー「ゴム型作成」
- 日本アイボリー「原型作成」
- 日本アイボリー「取扱い地金種類及び納期について」
- ENCODE「ジュエリー・アクセサリーOEM製造サービス」
- Formlabs「ジュエリー向け3Dプリント」
- 日本ジュエリー協会「ジュエリーおよび貴金属製品の素材等の表示規定 2026年度改訂版」
- 消費者庁「表示規制の概要」(景品表示法)
- 造幣局「貴金属製品の品位証明」
- 造幣局「登録の届出及び受付要領」
- 造幣局「貴金属製品品位証明手数料」(PDF)
- 公正取引委員会「取適法の概要」
- e-Gov法令検索「商標法」
- INPIT「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」
よくある質問
ジュエリーブランドの立ち上げは何個から作れますか?
会社と素材によります。日本アイボリーはキャストを1個から、CASTYは最低ロット1個と公開しています。三雄工芸は素材別に最小ロットを設け、Ag925は30個〜、真鍮は100個〜です。
小ロットで作ると1個あたりの価格はどれくらい上がりますか?
上がるのは原型代とゴム型代の按分分です。地金代は重量×相場で数量に関係なくかかります。数量別に複数案の見積もりを取ると、按分の差が数字で分かります。
ブランド立ち上げで最初に決めるべきことは何ですか?
販売価格(上代)です。地金の重量×相場が原価の大部分を占めるため、上代を先に決めて収まる素材と重量を工場に提案してもらうと、原型の作り直しを避けられます。
自社ブランドの商品ページで気をつける表示は何ですか?
品位表示、めっきの表現、断定表現です。JJAの規定ではイエローゴールドのK18にロジウムめっきをした製品をK18WGと表示できず、NF表示に「安全」を付けられません。消費者庁は優良誤認表示を禁止しています。
【用途別】ジュエリーOEM会社おすすめ3選
1個から試作・小ロットで始めるなら
PRGEMILYA(ジェミリア)
「1個だけ作りたい」に、ちゃんと答える会社
「最低ロットは設けていません」と公式に明記し、SV925・K18・K10・Pt900・真鍮のどれも1個から製作できる。相談には原則3営業日以内に返信し、費用は初期費用と数量ごとの単価を分けて見積。原型は6か月保管され、期間内の追加生産は原型代がかからない。
真鍮・合金のアクセサリーを量産するなら
株式会社ばん屋
ロゴ入りアクセを数百個。原宿で現物を見て決める
金属アクセサリーは各色36個から数千個まで対応し、中国・広州の自社工場はISO9001認証。原宿のショールームに約3,000点の素材・サンプルを常備し、デザイン提案から生産・納品まで一社で受ける。北京五輪・ディズニー・上海万博の公式アクセサリー製造実績を公式に掲げる。
K18・Ptの本格ジュエリーを国内一貫生産でなら
株式会社ダイアート三枝
K18・Ptを国内一貫で。年1万件をこなすOEM工場
甲府の本社工場と高岡工場で、デザイン・CAD・原型・鋳造・研磨・石留め・検品まで社内一貫。ISO9001に基づく品質管理と±0.1mmレベルの精度を公式に掲げ、年間ファッション系OEM1万件以上・ブライダル系2,000件以上の実績を持つ。リピートは3週間〜。
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