ジュエリーOEM · 基礎知識
ジュエリーOEMの最小ロットの考え方|1個から・30個から・100個からの違い
ジュエリーOEMの最小ロットが会社と素材で変わる理由を、公式サイトで条件を公開している工場の例をもとに整理し、数量帯ごとの費用の性質と製法の違いを説明します。
このページでは、ジュエリーOEMの最小ロットの考え方を説明します。1個から受ける会社と、30個や100個からの会社がある理由を整理します。
数量帯ごとに、費用のどこが下がり、どこが下がらないかも解説します。根拠は工場の公式サイトが公開している条件です。
最小ロットは会社と素材で決まる
ジュエリーOEMの最小ロットは、業界で統一されていません。同じ工場でも、素材によって最小数量が異なる例があります。
三雄工芸は素材別の最小ロットを公開しています。金・プラチナは10個から、Ag925とSUS316Lは30個から、真鍮は100個からです。
| 素材(三雄工芸 公開) | 最小ロット | 1個あたり目安(100個時) |
|---|---|---|
| 金・プラチナ | 10個〜(1個〜相談可) | 応相談 |
| Ag925 | 30個〜 | 2,000円程〜 |
| ステンレス(SUS316L) | 30個〜 | 1,500円程〜 |
| 真鍮 | 100個〜 | 1,500円程〜 |
地金の単価が安い素材ほど最小ロットが大きいのは、1個あたりの加工費の比率が高くなるためです。高価な地金は少数でも取引額が成り立ちます。
1個から受ける会社の例
1個から受ける会社もあります。日本アイボリーはキャストを1個からでも受けると公開し、ENCODEはOEM製造サービスで最低ロット1個、対応範囲1〜1,000個と案内しています。
1個から受ける方式は、依頼者が原型(ワックスや3Dデータ)を用意する前提のことが多いです。原型から作る場合は、原型代が1個に全額かかります。
- 日本アイボリー:ワックスを送ればシルバーを1個から鋳造、料金は重量×(銀相場+鋳造工賃)
- CASTY:3Dデータをアップロードして自動見積もり(金型代0円は同じENCODEのOEM製造サービスの案内)
- 共通点:依頼者側で形(ワックスまたはデータ)を用意する
「1個から」は、試作や一点物には便利です。ただし1個の単価は、数量をまとめた場合より高くなります。
1個から受ける場合でも、形の条件はあります。日本アイボリーはワックスで最低0.7mmの厚みが必要とし、シルバーの鋳造可能サイズを最大縦13cm×横6cmと公開しています。
同社は1g未満の製品を一律1g単価で計算するとも記載しています。小さな製品を1個だけ頼む場合、最低料金の考え方を確認しておきます。
数量で下がる費用、下がらない費用
数量を増やすと1個あたりの費用が下がるのは、初期費用を頭数で割れるからです。原型代とゴム型代がこれに当たります。
一方、地金代は重量×相場で1個ごとに発生します。研磨や石留めのように1個ずつ手作業で行う工程も、数量で単価が下がりにくい費用です。
| 費用の種類 | 数量を増やすと |
|---|---|
| 原型代・ゴム型代 | 1個あたりの負担が下がる(按分) |
| 地金代 | 下がらない(重量×相場) |
| 研磨・石留め・刻印 | 下がりにくい(1個ずつの手作業) |
| めっき | 会社の料金体系による |
日本アイボリーは、NC彫刻の原型費を1時間以内6,000円と公開しています。この金額を30個で割れば1個200円、100個なら60円になります。
数量帯ごとの製法の違い
数量が変わると、向いている製法も変わります。1個から数個なら3Dプリント原型の直接鋳造、数十個以上ならゴム型で複製する方法が一般的です。
Formlabsは、鋳造用レジンで作った原型を直接鋳造する方法と、3Dプリント原型からゴム型を取る方法の両方を公開しています。
- 1個〜数個:3Dプリント原型を直接鋳造(型を取らない)
- 数十個〜:原型からゴム型を取り、ワックスを複製して鋳造
- 数百個〜:ゴム型を複数用意し、鋳造の回数を増やす
ゴム型は消耗品で、日本アイボリーは繰り返し使うと切れることがあると説明しています。数百個以上では、型の追加や作り直しが費用に入ってきます。
ゴム型の縮みも、数量帯で影響が変わります。同社は焼成する量産シリコンゴム型は約5%縮み、常温硬化型は縮みがほとんどないが料金は約2倍と公開しています。
サイズ展開とロットの関係
リングのようにサイズ展開がある製品は、数量の考え方が変わります。同じデザインでも、号数ごとに原型やゴム型が必要になる場合があるためです。
リングサイズはJIS S4700:2022で1号(内径13.00mm)から35号(24.33mm)まで定められています。展開する号数が増えるほど、1サイズあたりの数量は小さくなります。
| 展開の仕方 | ロットへの影響 |
|---|---|
| 1サイズのみ(ペンダント等) | 全数を1つの型で作れる |
| 3〜5サイズのリング | 型数が増え、サイズごとの数量は分散する |
| フリーサイズ設計 | 型を1つにでき、在庫の偏りも減る |
サイズごとの数量が最小ロットを下回る場合は、サイズ数を絞るか、鋳造後にサイズ調整できる設計にするのが現実的です。日本アイボリーはリングの真円出しを3営業日で行うと公開しています。
最小ロットより小さく頼みたいとき
最小ロットが自社の数量より大きい場合、選択肢は3つです。素材を変える、原型を持ち込む、1個から受ける会社を選ぶ、のいずれかです。
三雄工芸のように「1個〜相談可」と明記する会社もあるため、最小ロットは交渉の余地がある数字と考えられます。
- 素材を変える:三雄工芸では真鍮100個〜、Ag925は30個〜
- 原型を持ち込む:ワックスやSTLがあれば1個から受ける会社がある
- 試作だけ別会社で行い、量産は最小ロットのある会社に頼む
試作を別会社で行う場合は、原型やデータの所有を確認します。日本アイボリーはデータ保管期間を1年間と公開しており、期間内なら同じデータで再依頼できます。
金・プラチナは地金が高価なため、少数でも取引額が成り立ちます。三雄工芸が金・プラチナだけ「1個〜相談可」としているのは、この理由と考えられます。
数量を決めるときの確認事項
数量は初回分だけでなく、追加の見込みも含めて工場に伝えます。追加の有無で、原型とゴム型の保管方針が変わるためです。
三雄工芸は、最終発注から約半年以上注文がない型を整理時に廃棄すると公開しています。追加発注の間隔も、数量計画の一部です。
- 初回数量と、追加発注の予定時期
- サイズ展開の数(リングは号数ごとに原型が必要な場合がある)
- 原型・ゴム型の保管期間と廃棄条件
- 数量ごとの見積もり(例:30個、100個、300個の3案)
数量ごとの見積もりを並べると、初期費用の按分が数字で見えます。1案だけの見積もりでは、数量を増やす判断ができません。
この記事に出てくるメーカー
- CASTY3Dデータ持ちの1個試作に最速
- 日本アイボリー株式会社料金体系が最も透明な鋳造工場
- 三雄工芸小ロットは不向き、中ロット以上で
参照元
よくある質問
ジュエリーOEMは1個から依頼できますか?
会社によります。日本アイボリーはキャストを1個からでも受けると公開し、CASTYは最低ロット1個と案内しています。三雄工芸は素材別に最小ロットを設け、金・プラチナは1個〜相談可としています。
真鍮は最小ロットが大きいのはなぜですか?
地金の単価が安く、1個あたりの加工費の比率が高くなるためです。三雄工芸は真鍮を100個〜、Ag925を30個〜と公開しており、素材で最小ロットが変わる例です。
数量を増やせば1個あたりの価格はどれくらい下がりますか?
下がるのは原型代やゴム型代の按分分です。地金代は重量×相場で1個ごとにかかり、研磨や石留めも手作業のため下がりにくい費用です。数量別に3案の見積もりを取ると比較できます。
【用途別】ジュエリーOEM会社おすすめ3選
1個から試作・小ロットで始めるなら
PRGEMILYA(ジェミリア)
「1個だけ作りたい」に、ちゃんと答える会社
「最低ロットは設けていません」と公式に明記し、SV925・K18・K10・Pt900・真鍮のどれも1個から製作できる。相談には原則3営業日以内に返信し、費用は初期費用と数量ごとの単価を分けて見積。原型は6か月保管され、期間内の追加生産は原型代がかからない。
真鍮・合金のアクセサリーを量産するなら
株式会社ばん屋
ロゴ入りアクセを数百個。原宿で現物を見て決める
金属アクセサリーは各色36個から数千個まで対応し、中国・広州の自社工場はISO9001認証。原宿のショールームに約3,000点の素材・サンプルを常備し、デザイン提案から生産・納品まで一社で受ける。北京五輪・ディズニー・上海万博の公式アクセサリー製造実績を公式に掲げる。
K18・Ptの本格ジュエリーを国内一貫生産でなら
株式会社ダイアート三枝
K18・Ptを国内一貫で。年1万件をこなすOEM工場
甲府の本社工場と高岡工場で、デザイン・CAD・原型・鋳造・研磨・石留め・検品まで社内一貫。ISO9001に基づく品質管理と±0.1mmレベルの精度を公式に掲げ、年間ファッション系OEM1万件以上・ブライダル系2,000件以上の実績を持つ。リピートは3週間〜。