ジュエリーOEM · 基礎知識
メッキ・仕上げの種類(ゴールド/ロジウム/いぶし/PVD)と耐久性
ジュエリーOEMで指定するめっきと仕上げの種類を、日本ジュエリー協会の表示記号、工場の仕上げメニュー、メーカーの硬度データをもとに整理し、耐久性と表示ルールを説明します。
このページでは、ジュエリーの表面処理であるめっきと仕上げの種類を説明します。根拠は日本ジュエリー協会(JJA)の表示規定と、工場やメーカーの公開情報です。
めっきの種類は表示の記号にも関わります。発注時に指定する内容と、商品ページに書ける表現を確認します。
めっきとは
めっきは、地金の表面に別の金属の薄い膜を付ける処理です。真鍮に金色を付けたり、ホワイトゴールドや銀の白さを保ったりする目的で使われます。
JJAの規定では、めっきの表示は最表面の皮膜金属で行います。厚みを表す場合は、最小の厚みをμmの数値で記号の後に付けます。
- 表示は最表面のめっき金属で行う(例:Ag950 GP)
- 厚みの表示例:GP 3μm(3μmの金めっき)
- めっきの色で地金の色と誤認させる表示は禁止
めっきの種類と表示記号
JJAは、めっきの種類ごとに表示記号を定めています。工場に指定するときも、この記号で伝えると誤解が減ります。
イオンプレーティング(IP)は、記号のPをIPに置き換えて表示します。JJAはIPを「イオン化した金属を被加工物に蒸着させる表面処理」と説明しています。
| めっきの種類 | 記号(JJA) | 主な用途 |
|---|---|---|
| 金めっき | GP | 真鍮・銀に金色を付ける |
| ピンクゴールドめっき | PGP | ピンク色の仕上げ |
| ロジウムめっき | RHP | WGや銀の白さを保つ |
| 黒色ルテニウムめっき | BRUP | 黒色の仕上げ |
| プラチナめっき | PTP | 白色の仕上げ |
| 金イオンプレーティング | GIP | ステンレス・チタンの着色 |
工場側のメニューも参考になります。日本アイボリーは、完成仕上げとして鏡面、マット、シルバー向けのいぶしを挙げています。
研磨仕上げの種類
めっきの前段階として、地金そのものの研磨仕上げがあります。鏡面は磨き上げた光沢、マットは艶を消した質感、ヘアラインは一方向の筋目です。
いぶしは銀を硫化させて黒くする加工で、彫りの溝や文字を際立たせます。日本アイボリーはシルバー向けの仕上げとして公開しています。
- 鏡面:光沢が強く、傷が目立ちやすい
- マット:艶を抑え、細かい傷が目立ちにくい
- ヘアライン:筋目の方向で見え方が変わる
- いぶし:銀の凹部を黒くし、凸部を磨いて陰影を出す
日本アイボリーは完成仕上げを基本料金1,800円+キャスト後重量×(銀地金相場+224円)とし、納期14日間前後と公開しています。仕上げの指定は原型確認の段階で決めます。
研磨は形を変えずに表面を整える工程です。同社は、形が歪まないよう力加減に気を付けて磨くと説明しており、細い部分や薄い部分は仕上げの選択に制約が出ます。
鋳造後に工場が行う電解研磨も、仕上げの一部です。同社はキャストサービス利用者に電解研磨を無料で行うと案内しています。
PVD・イオンプレーティングの耐久性
PVDは物理蒸着の総称で、イオンプレーティングはその一種です。シチズンは、高い真空条件で製品に硬質の薄膜を物理的に施す技術と説明しています。
硬さの数値も公開されています。シチズンのデュラテクトは基準値1,000HV以上、ステンレスは約200HV程度とされ、すりキズがつきにくいと説明されています。
| 表面(シチズン 公開) | ビッカース硬度 |
|---|---|
| ステンレス | 約200HV程度 |
| デュラテクト(基準値) | 1,000HV以上 |
| デュラテクトα | 2,000〜2,500HV |
この数値は時計外装の例で、ジュエリーの一般値ではありません。ただし、IPが硬い皮膜を作る処理であることは、この公開情報から確認できます。
めっきの表示と表現のルール
貴金属の地金にめっきをした製品は、貴金属表示に続けてめっき記号を付けることが望ましいとされています。イエローゴールドのK18にロジウムめっきをした場合はK18 RHPです。
これをK18WGと表示することは不可です。ホワイトゴールドは地金本体の色で決まり、めっきの色で名乗ることはできません。
- イエローゴールドのK18にロジウムめっき → K18 RHP(K18WGは不可)
- 説明文は「ロジウムめっき仕上げ」「ロジウムコーティング」と書く
- 「ロジウム仕上げ」「金仕上げ」は不適切な表現
- WGに施す白色めっきは、地金色との色差⊿E14以内が条件
色の表示は景品表示法にも関わります。消費者庁は、実際より著しく優良と見せる表示を優良誤認表示として禁止しています。
金張り(GF)とめっきの違い
めっきと似た処理に「張り」があります。台地金に金合金の薄板を張り合わせた素材で、JJAは質量比で記号を分けています。
GFは張り合わせた金合金の質量比が20分の1以上、RGは20分の1未満です。数値は厚みではなく質量比を表す点が、めっきのμm表示と異なります。
| 処理 | 記号(JJA) | 区分の基準 |
|---|---|---|
| 金めっき | GP | 最表面の皮膜、厚みはμmで表示 |
| ゴールドフィルド | GF | 金合金の質量比1/20以上 |
| ロールドゴールド | RG | 金合金の質量比1/20未満 |
表示例として、銀950の台地金に質量比10分の1の金750を張った素材はAg950 1/10K18GFと表示します。商品説明に「金張り」と書く場合は、この区分に合わせます。
金属アレルギーとめっきの関係
めっきは肌に触れる最表面を決める処理でもあります。日本皮膚科学会は、汗などで溶け出した金属が接触皮膚炎を起こすと説明しています。
同学会は、日本の主要アレルゲンとして硫酸ニッケルや塩化コバルトなどを挙げています。ニッケルフリーの装身具が日常化したヨーロッパでは、パッチテスト陽性率が低下傾向にあるとも記載しています。
- ニッケルを含む下地めっきの有無を工場に確認する
- JJAはピアスのポストにニッケル含有貴金属を使用しないとしている
- NF(ニッケルフリー)表示に「安全」という表現を付けてはならない
- 金やパラジウムなど多くの金属イオンも症状の原因になり得る(JJA)
発注時に指定する項目
めっきと仕上げは、工場に具体的に指定しないと標準仕様で進みます。色、厚み、部分めっきの範囲を明記します。
金属アレルギーへの配慮も指定項目です。JJAは、ピアスのポストにニッケル含有貴金属を使用しないとしています。
- 研磨仕上げ(鏡面、マット、ヘアライン、いぶし)
- めっきの種類(GP、PGP、RHP、BRUPなど)
- 厚み(μm)と、部分めっきの範囲
- 下地処理の有無(真鍮への下地めっきなど)
- ニッケルを使わない指定(ポスト部分など)
この記事に出てくるメーカー
- 日本アイボリー株式会社料金体系が最も透明な鋳造工場
参照元
よくある質問
ロジウムめっきとプラチナめっきの違いは何ですか?
最表面の金属が違います。JJAの表示記号はロジウムめっきがRHP、プラチナめっきがPTPです。どちらも白色の仕上げで、説明文では「めっき仕上げ」または「コーティング」と表現します。
PVDやイオンプレーティングは通常のめっきより丈夫ですか?
硬い皮膜を作る処理です。シチズンはIPを高真空で硬質の薄膜を施す技術と説明し、デュラテクトの基準値1,000HV以上に対しステンレスは約200HV程度と公開しています。ジュエリーの一般値ではない点に注意が必要です。
K18にロジウムめっきをしたものをホワイトゴールドと表示できますか?
地金がイエローゴールドならできません。JJAの規定では、イエローゴールドのK18にロジウムめっきをした場合はK18 RHPと表示し、K18WGとする表示は不可とされています。
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