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板金加工の試作・小ロット · 基礎知識

板金と切削・プレスの使い分け|試作の工法は数量と形で決める【2026年版】

板金の試作を頼む前に、切削・プレスとの違いを数量と形で整理します。月産数個〜数百個は板金という掲載各社の説明、型を作らない簡易金型の選択肢、板金と切削を一社でまとめられる会社まで、公式サイトの記載だけでまとめました。

公開 2026年10月1日

同じ金属部品でも、板を切って曲げる板金、塊から削り出す切削、型で打ち抜くプレスでは、得意な数量と形が違います。試作の段階で工法を取り違えると、量産に移ったときに作り直しになります。

このページでは、掲載各社が公式サイトに書いている数量の目安と設備をもとに、3つの工法の使い分けを整理します。

板金・切削・プレスを分けるのは、材料の形と型の有無

3つの工法の違いは、出発点になる材料の形と、専用の型を作るかどうかにあります。違いを表にまとめると次のとおりです。

工法出発点の材料専用の型向く形
板金平らな板作らない(汎用の金型を使う)箱・カバー・ブラケットなど板厚が一定の形
切削丸棒や角材などの塊作らない厚みの変わる形や、穴とポケットの多い塊
プレス平らな板部品ごとに作る同じ形を大量に作る部品

板金とプレスは同じ板から作りますが、プレスは部品ごとの金型が前提です。板金はレーザーやタレットパンチプレスで切り抜き、ベンダーで曲げるため、図面が変わってもプログラムの修正で対応できます。

試作の途中で寸法が何度も変わる部品ほど、型を持たない板金の強みが出ます。設計変更のたびに型を直す必要がないため、2回目、3回目の試作も同じ日数で回せます。

数量の分かれ目:月産数個〜数百個は板金、数千個からはプレス

どの数量から型を作るかは、金型費を何個で割るかで決まります。オーディーケーは公式FAQで、次のように説明しています。

  • 月産数千個以上の量産品ならプレス加工が適する
  • 試作品や月産数個〜数百個程度なら板金加工が適する
  • プレス加工は金型費(数十万〜数百万円)が必要だが、1個あたりの加工コストは板金加工より低くなる
  • 判断に迷う場合は、両方の見積を比較するのがよい

試作は1個から数十個が中心なので、まず板金で形と機能を確かめるのが一般的な流れです。量産の数が見えてから、プレスに切り替えるかどうかを両方の見積で比べてください。

プレスへの切り替えを考える部品は、試作の段階から曲げの順番や穴の位置を量産の作り方に合わせておくと、型の設計が楽になります。プレスのノウハウを板金に展開し、プレス品の小ロット生産や試作の短納期化を提案しているモハラテクニカのような会社もあります。

形の分かれ目:箱とカバーは板金、厚みの変わる塊は切削

板金は一定の板厚のまま曲げて形を作るため、肉厚が場所によって変わる部品は苦手です。逆に、薄い箱を切削で作ると材料の大半を削ることになり、時間も費用もかかります。

  • 板金に向く: 筐体・カバー・ブラケット・ステー・ケース・ホッパー
  • 切削に向く: 厚いブロック、深いポケット、精度の厳しいはめ合い部
  • 両方を組み合わせる: 板金の筐体に削り出しの取付ブロックを付けるなど
  • 迷ったら: 図面を2社以上に送り、工法の提案ごと見積を取る

板金の部品にタップを立てる場合も注意が要ります。CREST PRECISIONは、ネジ山は薄板に対して3山確保が一般的で、板厚1.0mmにM3のタップでは2山しか確保できないと説明しています。

同社は、規定のトルクで締め付けるとネジ山がなめる可能性があるとも書いています。板厚を上げる、ナットをカシメで付けるなど、ネジの受け方まで含めて工法を考えてください。

専用の金型を作らずに、絞りや成形を試す方法

プレスで作る予定の絞り形状でも、試作の段階では専用金型を作らずに確かめる方法があります。掲載各社が公式に挙げている手段は次のとおりです。

会社手段公式の記載
CREST PRECISIONダイレスフォーミング(簡易金型)2,900mm×800mmのワークまで対応
ミューテック35金型レスの絞り加工簡易積層型を作り1個から
深沢製作所金型レス・積層金型加工型を2週間程度で製作する技術相談
宝永起工社内で作る簡易金型の絞り加工試作・単品・小中ロットに対応
ケーアイ精密板金簡易金型による絞り成型低コスト・短納期をうたう
ワイビィー試作型月に100〜1000個程度も可能

試作型や簡易金型は、量産金型ほど長くは使えない代わりに、型の費用と日数を抑えられます。量産をプレスで考えている部品は、この段階で形を確かめておくと金型の作り直しを避けやすくなります。

絞りの深さや材質によっては簡易金型で作れない場合もあります。図面を送るときに、量産の工法と評価したい項目を書き添えてください。

板金と切削をまとめて頼める会社

板金の部品に削り出しの部品が組み合わさる場合、別々の会社に頼むと日程の調整が増えます。板金と機械加工の両方を公式に挙げている会社は次のとおりです。

  • モハラテクニカ: 板金設計、板金加工、切削加工、溶接、組立まで社内一貫。機械加工や組立が必要な製品も1個から
  • HAYAMA: ファイバーレーザー加工機やベンダーに加え、5軸マシニングセンタとワイヤカット放電加工機を保有
  • アスク: 旋盤・マシニング・板金・放電加工の設備で、単品から小ロットの部品を製作
  • 平山技研: 機械加工、板金・溶接、レーザー加工、表面処理を図面1枚から一貫
  • ゼン: 板金のほか、金属切削・樹脂切削・真空注型・簡易金型・射出成形で1個から試作

板金と切削の両方を持つ会社なら、取付穴の位置や組み付けの公差を一社の中で合わせられます。部品の数が多い試作では、窓口を一本にする効果が大きくなります。

反対に、レーザー加工機を持たずに溶接と組立に重点を置く上村製作所のような会社もあります。切断から曲げまでを一社で回したいのか、難しい溶接だけを任せたいのかで、問い合わせ先を分けてください。

工法を決める前に手元でそろえる5つの情報

工法の判断は、加工会社に聞けば提案してもらえます。そのときに次の情報がそろっていると、提案と見積が早く返ってきます。

  1. 試作の個数と、量産に移ったときの月産数の見込み
  2. 材質と板厚(決まっていなければ候補)
  3. 外形の大きさと、曲げ・溶接・タップの有無
  4. 塗装やメッキなど表面処理の要否
  5. 希望の納期と、評価で確かめたい項目(形状・強度・外観など)

特に量産の月産数は、板金のまま続けるか、プレスに切り替えるかの判断材料になります。分からない場合も、桁だけでも伝えてください。

数量の桁が伝わっていれば、加工会社は板金・簡易金型・プレスのどれで見積るかを最初から選べます。工法の提案を比べたいときは、同じ情報を2〜3社に送るのが近道です。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

板金とプレス加工はどちらが安いですか?

数量で変わります。オーディーケーは、月産数千個以上の量産品ならプレス加工、試作品や月産数個〜数百個程度なら板金加工が適すと説明しています。プレスは金型費(数十万〜数百万円)がかかる代わりに、1個あたりの加工費は板金より低くなります。

プレスで量産する部品を、金型なしで試作できますか?

できる場合があります。CREST PRECISIONのダイレスフォーミング(簡易金型)、ミューテック35の金型レスの絞り加工(簡易積層型で1個から)、宝永起工やケーアイ精密板金の簡易金型による絞りなどが公式に挙がっています。

板金部品と削り出し部品を同じ会社に頼めますか?

頼める会社があります。モハラテクニカは板金設計から切削加工・溶接・組立まで社内一貫で1個から受け、HAYAMAは5軸マシニングセンタ、アスクは旋盤とマシニング、平山技研は機械加工と表面処理まで持っています。

【用途別】板金加工の試作会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

1個からの試作を、とにかく急ぐなら

CREST PRECISION株式会社

新規試作を月平均3955件。最短当日、初めての取引でも最短3日で出てくる

長野県岡谷市の精密板金会社で、新規の試作板金を月平均3955件手がけると公式に記載している。FAQで最短納期は当日、初回は品質レベル合わせのため最短3日間と答え、溶接ものも最短当日中の納品に対応する。見積は試作ページで1時間以内をうたい、FAQでは営業時間内の平均4時間、15時までの依頼の95%を当日回答。少量は「1個/ロット~10個/ロットが大好きです。」と書いている。

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2

装置の筐体・カバーを、量産を見据えて試作するなら

株式会社佐藤電機製作所

筐体・フレーム専門サイトを運営。10cm角〜2m×1m、試作から月産1000個まで

山梨県山梨市の精密板金会社で、筐体とフレームに特化した「精密筐体・フレームファクトリー」を運営する。10cm×10cm〜2m×1mの筐体・フレームを得意とし、最短3日・通常30日以内。試作は1個から受け、試作段階から量産を見据えた設計を行うと記載する。板厚は0.8〜3.2mmの筐体を多く扱い、量産はヌキだけの製品で月産1000個位まで実績がある。

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3

ステンレスを溶接して、研磨まで仕上げるなら

株式会社小花製作所

食品・医薬品機械向けのステンレス板金。TIGからロボット溶接、#800のバフ研磨まで自社

群馬県佐波郡玉村町で1964年4月に創業した板金・製缶の会社で、「ステンレス精密板金・製缶加工センター」を運営する。ロット1個から受け、SUS304・SUS316L・SUS430のほか鉄、チタン、アルミ、銅に対応。板厚はt0.5〜t25の実績が多く、t30〜t40クラスもある。溶接はTIG、ファイバーレーザー溶接、半自動、ロボット溶接、バフ研磨は#800の鏡面まで自社で行う。

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