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板金の図面の書き方と公差|一般公差・曲げR・ネジ穴・3Dデータの注意点【2026年版】

板金の試作図面で、最初に決める項目、一般公差の等級の書き方、曲げRと板厚の関係、薄板のネジ穴、3Dデータだけで送るときの注意点を整理します。掲載各社が公式に示す精度の数字も一覧にしました。

公開 2026年10月1日

板金の試作で手戻りが起きる原因の多くは、図面に書かれていない情報です。公差の等級が無い、曲げRが指定されていない、3Dデータしか無いといった図面は、加工会社が仮の条件で見積るため、出来上がりが想定とずれます。

このページでは、掲載各社が公式サイトに書いている公差・精度・データ形式の説明をもとに、試作図面の書き方を整理します。

試作図面で最初に決める4つの項目

寸法を書き込む前に、部品全体に関わる条件を決めておくと、加工会社の確認の往復が減ります。表題欄か注記に、次の4つを書いてください。

  1. 材質: SPCC、SECC、SUS304、A5052など記号で書く
  2. 板厚: 曲げの展開寸法と強度が決まるため必須
  3. 数量: 試作の個数と、量産の見込み数
  4. 表面処理: 塗装・メッキ・アルマイトの有無と色

材質や板厚が決まっていない場合は、候補を2つ書いておくと、加工会社が在庫材から提案しやすくなります。CREST PRECISIONは、早く安く試作したい場合に在庫しているSPCCでの試作を提案すると書いています。

一般公差の等級を注記に書く

個々の寸法に公差を書かない箇所は、一般公差で精度が決まります。等級を書いていないと、加工会社ごとに基準が違ってしまいます。

  • CREST PRECISIONは、板金の公差には通常JIS B 0408の一般公差が適用され、A級・B級・C級のうちコストを抑えるならC級を中心に考えるよう説明
  • ワイビィーは、公差の指示がない箇所もJIS規格の一般公差を基準として精度を保証すると記載
  • 日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索では、JIS B 0408の名称は「金属プレス加工品の普通寸法公差」
  • 必要な箇所だけ個別に公差を書き、それ以外は等級で指定するのが基本

すべての寸法に厳しい公差を付けると、検査の手間が増えて見積が上がります。組み付けに効く寸法と、外観だけの寸法を分けて書いてください。

公差の等級は、注記に一般公差の等級を1行書くだけで伝わります。量産で別の会社に移す可能性がある部品ほど、等級を明記しておくと品質の基準を引き継げます。

掲載各社が公式に出している精度の目安

どこまでの精度を出せるかは、会社と工程によって違います。公式サイトに数字を載せている会社を並べると次のとおりです。

会社公式の精度の記載
ミューテック35抜き±0.02、曲げ±0.05、溶接±0.1
深沢製作所1/100や2/100精度の精密板金
ケーアイ精密板金±0.1mm以下の高精度な加工にも対応
ケイアイ通常±0.1mm程度が目安
都留曲げの寸法公差±0.2以内
ナサ工業精密板金は0.5mm以内の寸法公差が基本

同じ精密板金でも、桁がひとつ違う会社があります。図面で厳しい公差を指定する場合は、その公差を出せるかを見積の段階で確かめてください。

精度の数字は、抜き・曲げ・溶接のどの工程の値かで意味が変わります。ミューテック35のように工程ごとに書いている会社なら、自分の部品で一番厳しい工程を基準に比べられます。

曲げRは板厚と材質から決める

曲げの内側のRを小さくしすぎると、曲げの外側が割れます。特にアルミは割れやすく、アーバンカンパニーはコラムで次の目安を示しています。

  • アルミ板金では最小曲げR=1.0t〜2.0t以上を確保するのが設計上の安全策
  • A5052-H32は、板厚1.0t未満でR0.5〜1.0t、板厚2.0mm以上で最小R1.0t〜1.5t程度を推奨
  • R0(ピン角)の指定は曲げ割れの原因になるため、最小Rの確保か工法の変更を提案

曲げRを図面に書かない場合は、加工会社が持っている金型のRで曲がります。外観や組み付けに効く場合は、Rの値を必ず書いてください。

曲げの向き(山折りか谷折りか)と、曲げ線に近い穴の位置も確かめてください。曲げ線の近くにある穴は、曲げたときに引っ張られて形が崩れることがあります。

薄板のネジ穴は山数で考える

板金の部品は板が薄いため、タップを立てても掛かるネジ山が少なくなります。CREST PRECISIONは、図面の書き方として次のように説明しています。

  • ネジ山は薄板に対して3山確保するのが一般的
  • 板厚t=1.0にM3タップ(ピッチ0.5)を立てると2山しか確保できない
  • 規定のトルクで締め付けるとネジ山がなめる可能性がある

山数が足りない場合は、板厚を上げるか、ナットやスタッドをカシメや溶接で付ける方法があります。都留はナットやスペーサーを加圧して締結する圧入加工を、溶接に適さない組み合わせに使えると書いています。

圧入やカシメは、溶接で変色してしまう塗装鋼板にも使えると都留は説明しています。ネジ穴の数が多い部品では、締結方法の指定だけで工程と費用が大きく変わります。

3Dデータだけで送るときの注意

3D CADのデータだけでも見積は取れますが、公差や仕上げの指示が伝わりません。掲載各社の公式の説明は次のとおりです。

会社データについての公式の記載
ミューテック353Dデータの場合は一般公差での見積。正確な見積には2D図面の添付を勧める
ケイアイ通常はDXFまたはPDFで支給。DXFの支給で製品単価が約10%変わることもある
都留DXF、DWG等に対応
竹村製作所図面が無い場合は3Dデータで見積可能

3Dデータには、穴の公差や表面処理、検査で見る寸法といった情報を載せにくい弱点があります。2D図面を添えられない場合は、注記を別紙にまとめて一緒に送ってください。

溶接がある部品は、溶接の位置と長さ、溶接後に研磨するかどうかも別紙に書いてください。溶接の指示は3Dデータから読み取れないため、抜けやすい項目です。

図面を出す前に見直したい7つの点

試作図面を送る直前に、次の点を確かめておくと、見積と製作の手戻りが減ります。加工会社からの質問が少ない図面ほど、回答も早く返ってきます。

  1. 材質・板厚・数量・表面処理が書いてあるか
  2. 一般公差の等級が注記にあるか
  3. 組み付けに効く寸法だけに個別の公差を付けたか
  4. 曲げRと曲げの向きが分かるか
  5. タップの山数が足りているか
  6. 溶接の位置と、溶接後の仕上げの指示があるか
  7. 3Dデータだけの場合、注記を別紙で添えたか

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

板金の一般公差は何を指定すればよいですか?

CREST PRECISIONは、板金の公差には通常JIS B 0408の一般公差が適用され、A級・B級・C級のうちコストを抑えたい場合はC級を中心に考えるよう説明しています。組み付けに効く寸法だけ個別に公差を書き、それ以外は等級で指定してください。

アルミ板金の曲げRはどれくらいにすればよいですか?

アーバンカンパニーはコラムで、アルミ板金では最小曲げR=1.0t〜2.0t以上を安全策とし、A5052-H32では板厚1.0t未満でR0.5〜1.0t、板厚2.0mm以上で最小R1.0t〜1.5t程度を推奨しています。

3Dデータだけで板金の見積は取れますか?

取れる会社があります。竹村製作所は図面が無い場合に3Dデータでの見積に対応します。ただしミューテック35は、3Dデータだけの場合は一般公差での見積になるとして、正確な見積には2D図面の添付を勧めています。

【用途別】板金加工の試作会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

1個からの試作を、とにかく急ぐなら

CREST PRECISION株式会社

新規試作を月平均3955件。最短当日、初めての取引でも最短3日で出てくる

長野県岡谷市の精密板金会社で、新規の試作板金を月平均3955件手がけると公式に記載している。FAQで最短納期は当日、初回は品質レベル合わせのため最短3日間と答え、溶接ものも最短当日中の納品に対応する。見積は試作ページで1時間以内をうたい、FAQでは営業時間内の平均4時間、15時までの依頼の95%を当日回答。少量は「1個/ロット~10個/ロットが大好きです。」と書いている。

CREST PRECISION株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

装置の筐体・カバーを、量産を見据えて試作するなら

株式会社佐藤電機製作所

筐体・フレーム専門サイトを運営。10cm角〜2m×1m、試作から月産1000個まで

山梨県山梨市の精密板金会社で、筐体とフレームに特化した「精密筐体・フレームファクトリー」を運営する。10cm×10cm〜2m×1mの筐体・フレームを得意とし、最短3日・通常30日以内。試作は1個から受け、試作段階から量産を見据えた設計を行うと記載する。板厚は0.8〜3.2mmの筐体を多く扱い、量産はヌキだけの製品で月産1000個位まで実績がある。

株式会社佐藤電機製作所の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

ステンレスを溶接して、研磨まで仕上げるなら

株式会社小花製作所

食品・医薬品機械向けのステンレス板金。TIGからロボット溶接、#800のバフ研磨まで自社

群馬県佐波郡玉村町で1964年4月に創業した板金・製缶の会社で、「ステンレス精密板金・製缶加工センター」を運営する。ロット1個から受け、SUS304・SUS316L・SUS430のほか鉄、チタン、アルミ、銅に対応。板厚はt0.5〜t25の実績が多く、t30〜t40クラスもある。溶接はTIG、ファイバーレーザー溶接、半自動、ロボット溶接、バフ研磨は#800の鏡面まで自社で行う。

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