アクセサリーの小ロット製作 · 基礎知識
10個と100個で何が変わるか|単価・工程・納期・在庫を、アクセサリーの小ロットで比べる
アクセサリーを10個作るか100個作るかで、1個あたりの単価、変わらない工程、素材ごとの数量の効き方、納期、在庫の持ち方がどう変わるかを、各社の公式記載で整理。10個から受ける会社と、30〜50個が基準の会社の違いと、数量の決め方まで。
小ロットで作るとき、10個にするか100個にするかは、単価だけでなく在庫や納期にも関わる判断です。この記事では、数量を増やしたときに変わるもの・変わらないものを、各社の公式記載で整理します。
数量の効き方は、GEMILYAが公式サイトで費用ごとに公開している説明を中心に使っています。会社ごとの最小ロットや日数も、各社の公式記載どおりです。
数量を10倍にしても、1個ずつの工程は減らない
数量を増やすと単価は下がりますが、下がるのは費用の一部だけです。GEMILYAは、数量を増やしたときの効き方を費用ごとに次のように説明しています。
| 費用 | 性質 | 数量を増やしたときの効き方 |
|---|---|---|
| 原型代・ゴム型代 | 初回のみの固定費 | 数量で下がるのは、この費用の1個あたりの負担。100個なら1個あたりは100分の1 |
| 地金代 | 重量×地金相場 | ほとんど下がらない |
| 鋳造費 | ゴム型で複数個をまとめて流す | 1個あたりの変化は小さい |
| 研磨・仕上げ費 | 1個ずつの手作業 | 下がりにくい |
| めっき費 | 1個ずつの工程 | 下がらない |
| 石留め費 | 1石ずつの手作業 | 下がりにくい。石数が多いほど数量効果は小さい |
| 検品・梱包費 | 個数に比例 | ほぼ下がらない |
たとえば原型代が同じなら、10個では1個あたり原型代の10分の1、100個では100分の1を負担します。差が出るのはこの部分で、めっきや検品の費用は10個でも100個でも1個あたりほぼ同じです。
同社は、プレス製品のように数量で劇的に下がらないのは、1個ずつの工程を多く含むためだとまとめています。10個から100個にしても、下がるのは主に原型代などの初期費用の割り当てです。
素材によって、数量を増やしても残る費用が違う
数量を増やしても1個ごとにかかり続ける費用は、素材で変わります。GEMILYAは中ロット・量産のページで、素材ごとに「1個ごとに残る主な費用」を表にしています。
| 素材 | 1個ごとに残る主な費用 | 理由(公式の説明) |
|---|---|---|
| シルバー925 | 研磨・仕上げ、石留め | 地金代は金や白金より抑えやすく、1個ごとの製作費は手作業の工程が中心 |
| 真鍮 | 研磨・仕上げ、めっき、石留め | 地金代は抑えやすいが、めっき仕様が多い。めっき代は数量が増えても1個あたり変わらない |
| K10 | 地金代、研磨・仕上げ | 地金代と手作業の工程の両方が1個ごとにかかる |
| K18 | 地金代 | 地金代が金額の大半を占める。数量よりも重量の設計と地金相場の影響が大きい |
| プラチナ900 | 地金代 | K18と同じく地金代が中心。重量の設計と地金相場のタイミングが効く |
K18やプラチナで作るなら、1個ごとに残る地金代が大きいため、数を増やすより重量を設計で詰める方が費用に効きます。シルバーや真鍮は、研磨やめっきなど1個ずつの工程をどこまで残すかも単価に関わります。
10個から受ける会社と、30〜50個が基準の会社
10個という数は、最低ロットを設けない会社か、ロットの小さい会社でないと受けてもらえません。公式に記載のある最小ロットを並べます。
| 会社 | 最小ロット(公式記載) | 10個の依頼 |
|---|---|---|
| GEMILYA | 最低ロットなし・1個から | 受けられる |
| アメス | 1点から(OEMページは10本から) | 受けられる |
| スペース | K10・K18・プラチナ1色6個、SV925 12個、合金30個(国内生産) | 貴金属なら受けられる |
| OPULA | 簡易カスタマイズ30個から(最低取引金額20万円から)。2026年10月1日時点で新規受付を一時停止中 | 受けていない |
| アーネストインターナショナル | オリジナルデザインでも30個から | 受けていない |
| サンワ製作所 | 既製アクセサリーの卸は1型1色各36個から(別注は「小ロットより」、数の記載なし) | 卸は不可。別注は要相談 |
| トーキョードライブ | 1色50個から(それ未満は単価割増で可) | 割増で相談可 |
トーキョードライブのように基準より少ない数を割増で受ける会社は、10個の単価がどのくらい割増になるかを見積で確かめます。割増の幅は公式に書かれていません。
10個で始めて、反応を見てから100個に増やすなら、両方の数量を同じ会社で受けられるかを最初に確かめます。型を別の会社に移すと、原型代を二重に払うことになりかねません。
納期は、数量でどのくらい延びるか
数量が増えるほど、鋳造や仕上げの回数は増えます。ただし、公開されている納期は、小ロットでも中ロットでも同じ目安で示されていることが多いです。
- GEMILYA: 中ロット・量産も仕様確定からおよそ4週間が目安。数量が増えるほど鋳造・仕上げの回数が増えると記載
- スペース: 国内生産でサンプル約2週間、量産約4〜6週間
- アーネストインターナショナル: サンプル通常15〜30日、生産は注文から通常15〜45日
- 銀工房: 原型があるシルバーの指輪50本で約3〜4週間の例
- トーキョードライブ: 原型・サンプル約4週間、本生産約4〜6週間
どの会社も、数量や仕様で前後すると書いています。100個以上を作るなら、納品希望日を最初に伝え、仕様確定の期限を逆算してもらいます。
在庫として抱える数を、作り足しで減らす
100個作れば単価は下がりますが、売れ残れば在庫になります。GEMILYAは、初回の数量を抑えて、売れ行きを見てから追加する進め方を勧めています。
- 型の保管: GEMILYAは原型を最終発注から6か月保管し、期間内の同じ仕様の追加生産は原型代なし。Tesoroも型の保管期限を6か月としている
- ゴム型の劣化: ゴム型は消耗品で、劣化していれば原型から作り直す費用が出ることがある
- 分納: GEMILYAは分納を相談で受けるとしている。初回に全数を受け取るか、販売に合わせて分けるかで在庫の持ち方が変わる
10個で始めて30個、50個と作り足す場合、作り足すたびに1個ずつの工程の費用はかかります。それでも、売れ残りのリスクと比べれば、作り足しの方が総額を抑えられる場合があります。
10個か100個か迷ったときの決め方
数量は、単価だけで決めると在庫を抱えやすくなります。次の順に考えると、数量の候補を絞れます。
- 売れる数の見込みを、低め・中くらい・高めの3つで出す
- その3つの数量で見積を取る。GEMILYAは原則として3つの数量を並べて出すとしている
- 初期費用と1個ずつの単価を分けて、どこから単価が下がらなくなるかを見る
- 型の保管期間の中で、作り足しが間に合うかを確かめる
- 低めの数量で始め、売れたら作り足す前提で決める
数量が決まっていない場合も、GEMILYAは100個・300個・1,000個のように幅を持たせて比較できる形にすると書いています。小ロットなら、1個・10個・50個の単価を並べて比べられると案内しています。
この記事に出てくる会社
- アメス少数を短納期で、型から作り足すなら
- 有限会社アーネストインターナショナル30個から、サンプルを見て選ぶなら
- GEMILYA(ジェミリア)1個から始めて、売れた分だけ作り足すなら
- 銀工房少数で、原型代とサンプル代を抑えて
- OPULAロゴ入れを30個から、予算を先に決めて
- 株式会社サンワ製作所錫合金を国内の自社工場で、少数から
- 有限会社スペース6個〜30個の初回ロットを国内で
- トーキョードライブ50個未満を割増で作るか比べるなら
参照元
よくある質問
10個と100個で、アクセサリーの単価はどのくらい違いますか?
下がるのは主に原型代などの初期費用の割り当てです。GEMILYAは、地金代はほとんど下がらず、めっき・研磨・検品など1個ずつの工程も数量が増えても1個あたりは変わらないと説明しています。素材別には、K18やプラチナは地金代が、シルバー925は研磨・仕上げと石留めが、数量を増やしても1個ごとに残る主な費用だとしています。
アクセサリーを10個だけ作れる会社はありますか?
あります。最低ロットを設けないGEMILYA、OEMページで10本からとするアメス、K10・K18・プラチナなら1色6個から受けるスペースなどです。OPULA(2026年10月1日時点で新規受付を一時停止中)やアーネストインターナショナルは30個から、サンワ製作所は問屋向けの既製アクセサリーの卸が1型1色各36個からです。
最初から100個作るのと、10個ずつ作り足すのはどちらが得ですか?
単価は100個の方が下がりますが、売れ残れば在庫になります。GEMILYAは初回を絞り、原型を保管している6か月の間に同じ仕様で作り足す進め方を勧めています。作り足しでも原型代はかかりませんが、1個ずつの工程の費用は毎回かかります。
【数量別】アクセサリーの小ロット製作会社おすすめ3選
1個から始めて、売れた分だけ作り足すなら
PRGEMILYA(ジェミリア)
1個の特注も、サンプル1個も、見積の形を分けて
最低ロットを設けず、シルバー925・K18・K10・プラチナ900・真鍮のいずれも1個から製作する。1個の特注とサンプル1個で見積の形を分け、2〜30個・31〜99個の進め方まで公式に示している。原型は最終発注から6か月保管し、期間内の作り足しは原型代がかからない。
3Dデータがあり、1個をすぐ金属にしたいなら
CASTY
データを上げれば、1個の金額がその場で出る
「1個から製作OK」とうたうネット金属鋳造で、STL・OBJの3Dデータをアップロードすると自動で見積が出る。SV925のペンダント8,500円から(鏡面研磨込)、真鍮の精密パーツは量産価格で3,500円からなど参考製作価格を公開し、納期は最短12営業日。
6個〜30個の初回ロットを国内生産で作るなら
有限会社スペース
素材で決まる初回ロット。貴金属なら6個から
素材別の最小ロットを公開していて、K10・K18・プラチナは1色6個/ペアから、SV925は12個から、合金は30個からで、いずれも国内生産。サンプル約2週間・量産約4〜6週間と日数も明快で、FAQでは個人でも条件に同意すれば卸・OEM/ODMのいずれも取引できるとしている。