産業用集塵機 · 用途別
工場全体の大風量集塵と排ガス処理|数百〜1万m³/min級のバグフィルタを選ぶ
鋳造・製鋼・焼却炉・ボイラ・トンネル工事など、数百〜1万m³/min級の大風量や高温ガスを処理する集塵設備の選び方を、風量の規模、温度、フィルター交換の方法、レンタル、保守に分けて、KAJIWARA・日本スピンドル製造・ホーコス・新東工業など掲載メーカーの公式記載で整理します。
工場全体をダクトでつなぐ集塵や、炉の排ガス処理では、集塵機は設備になります。このページでは、大風量の集塵設備を計画するときに比べる点をまとめます。
風量の規模でメーカーが分かれる
大風量といっても、数百m³/minと1万m³/minでは作れるメーカーが違います。公式に書かれた風量や実績を並べます。
| 規模 | メーカー(公式記載) |
|---|---|
| 〜150m³/min | ホーコスの小型汎用集じん機(10〜150m³/min) |
| 数百〜8,000m³/min | 流機エンジニアリングのIシリーズ(200〜8,000m³/min、使用条件に合わせて設計) |
| 3,000m³/minクラス | 新東工業の中・大型集塵機 |
| ろ過面積1,000m²以上 | ホーコスのトップリムーバル(2.3m²〜1,000m²以上)、アマノのWRT(〜1,055m²)、ホソカワミクロン(最大1,166m²) |
| 1万m³/min級 | KAJIWARAのバグフィルタ(16,000m³/minの実績) |
温度で方式と材質が決まる
炉や乾燥機の排ガスは高温です。フィルターが耐えられる温度か、電気式にするかを先に決めます。
- ホーコス トップリムーバル:最大250℃までの高温排ガスに対応
- 山本工作所 乾式電気集塵機:常温から数百℃での処理が可能、水処理設備が不要
- 新東工業:高温ガスの集塵に最適な集塵機を掲載
- 日本スピンドル製造:高温ガス用集塵装置、電気炉用排ガス処理システムを掲載
- アコー:遠心力式を高温ガスの集塵向けと説明
業種別に実績のある会社
大型の排ガス処理は、業種の実績がものを言います。公式に業種や用途を挙げている会社をまとめます。
| 業種・設備 | 公式に挙げているメーカー |
|---|---|
| 製鋼所(高炉・電炉) | KAJIWARA、日本スピンドル製造(エコパルサー) |
| ごみ焼却 | KAJIWARA、日本スピンドル製造、ホーコス(焼却炉排ガス処理の事例)、アマノ(高温有害ガス除去装置HGD) |
| 発電・ボイラ | KAJIWARA(バイオマス発電)、日本スピンドル製造(ボイラ用集塵装置)、ホソカワミクロン(ボイラ排ガス) |
| 化学・医薬のプロセス | KAJIWARA(化学プラント)、ホソカワミクロン(粉砕・分級・乾燥機の製品捕集)、ホーコス(流動層乾燥機排ガス) |
| 鋳造の砂処理 | ホーコス(鋳造工場の砂処理) |
フィルター交換を楽にする構造
大型機はフィルターの本数が多く、交換作業が重労働になります。構造で交換の手間を減らしている機種があります。
- 上抜き型:ホーコスのトップリムーバルは本体上部(クリーンサイド)から交換、ホソカワミクロンのTNPなども清浄側から交換
- 横抜き型:ホソカワミクロンのSP・SP-Kは高さに制限がある場所向け、ホーコスのJP/JL/JXは屋内設置向け
- 長尺フィルター:ホーコスは円筒長尺フィルター、KAJIWARAは長尺ろ布と大口径パルスバルブ
- 多室構造:KAJIWARAは多室構造を標準化してセミモジュール化
工事現場の一時的な大風量はレンタル
解体やトンネル工事のように、決まった期間だけ大風量が必要な現場もあります。買わずに借りる選択肢があります。
| 流機エンジニアリングの製品 | 公式記載 |
|---|---|
| 大型集塵機Pシリーズ | 大断面トンネルなどの大量の粉じんを捕集 |
| CF・CPHシリーズ | 0.3μmの粉じんを99.97%カット、ダイオキシン類やアスベスト等の工事向け |
| 集煙機HFシリーズ | 定格風量20〜500m³/min |
| 製品一覧 | 「レンタル可」の表示 |
設計・工事・保守を誰が受け持つか
大風量の設備は、ダクト・ファン・基礎・電気工事まで含めた計画になります。一貫して頼めるか、分けて発注するかで、責任の範囲が変わります。
- アマノ:要件定義・設計・調達・工事・試運転まで一貫、グループ内にメンテナンス専門会社
- ホーコス:めっき槽排ガス処理で設計から施工までワンストップの事例
- KAJIWARA:環境プラント設備の設計・製作・施工
- 日本スピンドル製造:集塵装置のアフターサービスのページを公開
- 新東工業:生産終了機の後継機・部品供給の案内
計画の前に集める数字
大型設備の見積は、排ガスや吸い込む空気の条件がそろわないと出ません。次の数字を現場で集めてから相談してください。
- 処理したい風量(m³/min)と、その根拠(発生源の数、フードの大きさ)
- ガスの温度と湿度、結露のおそれ
- 粉じんの濃度と粒の大きさ、有害物質や重金属を含むか
- 爆発のおそれがある粉か
- 設置場所の広さと高さ、屋外か屋内か
- 運転時間と、止められる時間(フィルター交換の時間を取れるか)
大型設備を比べる評価表
大型の集塵設備は、複数社から提案を受けて比べるのが一般的です。提案を同じ物差しで比べられるよう、評価表を用意しておきます。
| 評価項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 処理能力 | 風量、温度、粉じん濃度の条件で保証する性能 |
| フィルター | 材質、本数、交換方法(上抜き・横抜き)、交換周期 |
| 払い落とし | パルスジェット・逆洗・シェーキングの方式と圧縮空気の量 |
| 安全 | 爆発・火災への対策、点検時の立ち入り |
| 実績 | 同じ業種・同じ規模の納入例 |
| 保守 | 点検の体制、部品の供給期間 |
払い落としの方式も比べる
大型のバグフィルタでは、払い落としの方式でランニングコストが変わります。泉環境エンジニアリングはパルスジェット・逆洗・シェーキングの3方式を持っています。
- パルスジェット:圧縮空気で払い落とす。KAJIWARAは大口径パルスバルブを使う
- 逆洗:空気を逆に流して払い落とす
- シェーキング:ろ布を振って払い落とす。了生のRS型は振動クランク
どの方式が合うかは、粉じんの付着しやすさと運転を止められる時間で決まります。連続運転で止められない設備なら、運転しながら払い落とせる方式を選びます。
大型設備の相談先を用途で選ぶ
大風量の集塵設備は、用途によって得意な会社がはっきり分かれます。最初に相談する会社の目安をまとめます。
| 用途 | 最初に相談する会社 | 理由(公式記載) |
|---|---|---|
| 製鋼・焼却の排ガス(1万m³/min級) | KAJIWARA | 16,000m³/minの実績、多室構造 |
| 焼却炉・電気炉・ボイラ | 日本スピンドル製造 | エコパルサー、ボイラ用集塵装置 |
| 工場の工程集じんをまとめる | 新東工業、ホーコス | 3,000m³/minクラス、250℃対応の上抜き型 |
| 粉体プロセスの製品捕集 | ホソカワミクロン | ろ過面積最大1,166m²、テスト室 |
| 条件に合わせた設計・工事現場 | 流機エンジニアリング | 200〜8,000m³/minを設計、レンタル可 |
| 高温ガスを電気集塵で | 山本工作所 | 常温〜数百℃の乾式電気集塵機 |
大型設備は、1社だけで決めずに2社以上から提案を受けてください。同じ評価表で比べると、フィルターの本数や交換方法の違いがはっきりします。
既存の大型設備を更新するとき
大型の集塵設備は、新設より更新の相談が多い設備です。既存の設備を生かすか、まるごと入れ替えるかで費用と工期が変わります。
- 本体はそのままで、フィルターを長尺・高性能のものに替えて能力を上げる方法がある(ホーコスは長尺成形フィルタを案内)
- 生産を終えた機種は、後継機と部品供給の案内があるか確認する(新東工業は案内を公開)
- ダクトやファンの摩耗は、法令の定期自主検査の結果を更新計画に生かす
- 更新工事で設備を止められる期間を先に決め、メーカーに伝える
更新の相談では、今の設備の型式と納入時の仕様書を用意してください。同じメーカーでなくても、仕様書があれば比較の提案を受けやすくなります。
更新でも新設でも、止められる時間と予算の上限を最初に伝えることが大切です。条件が先に分かれば、メーカーは実現できる範囲で案を出せます。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アコー方式から選ぶなら
- アマノ株式会社爆発性の金属粉に
- ホーコス株式会社高温排ガスと食品工場に
- ホソカワミクロン株式会社粉体の製品捕集に
- 泉環境エンジニアリング株式会社粉じんと臭気をまとめて
- 株式会社KAJIWARA製鋼・焼却の大型バグフィルタに
- 株式会社了生狭い・低い現場の特注に
- 株式会社流機エンジニアリング大風量とレンタルに
- 新東工業株式会社小型から大風量まで一社で
- 日本スピンドル製造株式会社排ガス処理の大型設備に
- 株式会社山本工作所電気集塵で選ぶなら
参照元
よくある質問
1万m³/minを超える集塵設備を作れるメーカーはありますか?
KAJIWARAは集じん装置(バグフィルタ)で16,000m³/minの実績を公表しています。製鋼所(高炉・電炉)、ごみ焼却設備、バイオマス発電設備、化学プラント設備を主な用途に挙げています。
高温の排ガスに使える集塵機はありますか?
ホーコスのトップリムーバルは最大250℃までの高温排ガスに対応します。山本工作所の乾式電気集塵機は常温から数百℃での処理が可能です。日本スピンドル製造も高温ガス用集塵装置を掲載しています。
工事期間だけ大型の集塵機を借りられますか?
流機エンジニアリングの製品一覧には「レンタル可」の表示が多くあり、事業内容にも環境機械のレンタルを挙げています。大断面トンネル向けの大型集塵機Pシリーズや、アスベスト等の工事向けのCF・CPHシリーズがあります。
【用途別】集塵機メーカーおすすめ3選
アルミ・マグネシウムなど爆発性の金属粉を吸うなら
アマノ株式会社
Kst値ごとに選べる粉塵爆発圧力放散型。溶接・レーザ用まで1社で比べられる
アルミニウム、チタン、マグネシウムなどにも対応可能と公式に書き、粉塵爆発圧力放散型の集塵機をKst値の対応範囲つきで出している(VN-SD〜400、PiF-SD/D〜300、マグネシウム合金粉体専用スクラバーSA〜500)。国産ラプチャーディスクはKst値800対応。小型のPiFから大型のWRT(フィルタ面積〜1,055m²)、溶接作業用FCN、レーザ加工用PiF-Hまで同じ窓口で選べる。
溶接ヒュームを、デモ機で確かめてから入れるなら
株式会社赤松電機製作所
手溶接は100Vのフィルターレス、ロボット溶接は水で消火する乾湿複合型
ヒュームスモーカーFSM-15はフィルターレスで1μm以上を99%捕集し、風量10m³/min・単相AC100Vで使える。スーパーコレクターFM-220は水を使う乾湿複合型で風量30/35m³/min、「水を使った2重の消火機能で火の粉も安全」。主力製品のデモ機貸出と、専門技術者による現地調査を公式に案内している。
工程の小型機から3,000m³/min級まで、工場全体をそろえるなら
新東工業株式会社
小型ダスミックの各区分に粉塵爆発対策型。中・大型は3,000m³/minクラスまで
小型集塵機ダスミックシリーズは混合・袋詰め・投入・切断・バフ研磨などの工程向けで、連続運転・間欠運転・低濃度のそれぞれに粉塵爆発対策型がある。中・大型集塵機は3,000m³/minクラスの大風量用途まで対応し、高温ガス用、泡で重金属を捕集する機種、可燃性・爆発性粉塵対応機もそろう。生産終了機の後継機・部品供給の窓口を公開している。
自社の粉じんに合う集塵機を、無料で相談する
吸いたい粉じんの種類(金属粉・ヒューム・粉体・ミストなど)、発生する工程と箇所の数、今の換気や集塵の状況、置ける場所の広さを送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載メーカーへ匿名で概要を伝え、デモ機やテストの窓口をおつなぎします。費用はかかりません。