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溶接ヒュームの集塵機の選び方|特化則の全体換気・測定と、手溶接・ロボット溶接で違う機種

金属アーク溶接の溶接ヒューム対策として、特定化学物質障害予防規則第38条の21が求める全体換気・濃度測定・呼吸用保護具と、ヒュームコレクターの選び方を、手溶接・ロボット溶接・工場全体の3場面に分けて、掲載メーカーの公式記載で整理します。

公開 2026年10月1日

溶接ヒュームは粒が非常に細かく、普通の集塵機ではフィルターがすぐ詰まります。このページでは、法令が求めることと、場面ごとに合うヒュームコレクターをまとめます。

特化則第38条の21が求めること

特定化学物質障害予防規則の第38条の21は、金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場の措置を定めています。集塵機の選び方に関わる部分を抜き出します。

項内容(条文の要点)
第1項溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気の実施またはこれと同等以上の措置
第2項作業の方法を新たに採用・変更するときは、労働者の身体に装着する試料採取機器等で溶接ヒュームの濃度を測定
第3項・第4項測定結果に応じて換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じ、効果を確認するため再び測定
第5項・第7項有効な呼吸用保護具を使用させる。継続作業では測定結果に応じた保護具
第11項床等を水洗等で容易に掃除できる構造とし、毎日1回以上掃除

第1項は、全体換気を行う場合に局所排気装置の設置までは求めない形になっています。それでも測定の結果が悪ければ風量を増やす措置が必要になるため、発生源の近くで吸うヒュームコレクターが対策の選択肢になります。

溶接ヒュームで集塵機が詰まる理由

溶接ヒュームは、金属が蒸発して空気中で冷えて固まった微粒子です。細かく付着しやすいため、フィルターの表面をすぐに覆ってしまいます。

  • 淀川電機製作所:SETはろ過面積が非常に広いヒューム専用円筒フィルターを搭載
  • アマノ:FCNは微細な溶接ヒュームのため一般的な集塵機の約3倍のフィルター面積
  • 赤松電機製作所:FSM-15はフィルターレスで、遠心力で自動クリーニング
  • アピステ:GDE-Aはヒューム除去ボックスと自動フィルターエイド供給のオプションで溶接に対応

もう一つの問題は、火の粉がフィルターに届いて燃えることです。火の粉への対策があるかは、ヒューム用機種を選ぶ最初の条件になります。

火の粉への対策を比べる

ヒューム用機種の多くは、火の粉を本体に入れない仕組みを持っています。公式に書かれている仕組みを並べます。

メーカー・機種火の粉への対策(公式記載)
アマノ FCN火花センサー・煙センサー、旋回流式分離部で吸引粉塵の70%以上を分離、吸熱ローラー
赤松電機製作所 FM-220水を使った2重の消火機能
淀川電機製作所 SET金属フィルターを多段に設置した整流BOX(完全抑制は保証しないと注記)
スイデン L-BPT3レーザー加工、プラズマ加工、溶接作業などで火の粉が発生する作業に高い安全性
新東工業独自の機構で火の粉を分離する集塵機

手溶接1〜2か所なら、100Vの小型機

作業台で手溶接をする場合は、アームやフードを溶接点に近づけられる小型機が向きます。電源工事なしで使える100V機もあります。

機種風量・電源特徴
赤松電機製作所 ヒュームスモーカーFSM-1510m³/min、単相AC100Vフィルターレス、1μm以上99%捕集
淀川電機製作所 SET-SV(可搬型)SETシリーズは3.5〜32m³/min後付けできる自在アーム、エアガンで除塵
ムラコシ ヒュームデスポMYF-75100V仕様沿革に記載
エステーリンク ヒュームイン KHAM-102記載なしテーブル下に収納できる低床小型

アームを使う移動式なら、SDGのヒュームレーサFRM-H15B(最大風量30m³/min)もあります。3関節で360°回るアームを持ち、キャスターで移動できます。

ロボット溶接・ライン全体なら中型機

ロボット溶接は火の粉が多く、長時間止まらずに動きます。自動で除塵する機種と、火災への備えが強い機種を選びます。

  • 赤松電機製作所 スーパーコレクターFM-220:乾湿複合型、30/35m³/min、三相AC200V、ロボット溶接向け
  • アマノ FCN-30/45/60:24時間稼動工場・無人工場の用途を挙げる
  • 淀川電機製作所 SET(据置型):微差圧センサー式の全自動除塵(型式末尾-TEC)
  • SDG FRM-H15B:用途にロボット溶接ラインを挙げる

工場全体のヒュームを下げたいとき

溶接の場所が多く、発生源ごとにフードを付けられない工場もあります。その場合は、置くだけで工場内の空気を循環させる機種や、大風量の集煙機が候補です。

  • エステーリンク ヒュームイン ボックス型・タワー型:ダクト工事不要で置くだけ、工場全体の溶接ヒュームに対策
  • 流機エンジニアリング 集煙機HFシリーズ:定格風量20〜500m³/min、溶接ヒューム等の煙を捕集
  • 日本ドナルドソン:室内循環型のDownflo Ambientなどヒューム捕集システム

建屋全体の対策は、全体換気との組み合わせになります。特化則の測定の結果を見ながら、台数と置き場所をメーカーと決めてください。

デモ機で確かめられる会社

ヒュームの吸い込み具合は、実際の溶接で試さないと分かりません。導入前に確かめる手段を公式に書いている会社を挙げます。

  1. 赤松電機製作所:主力製品のデモ機貸出と専門技術者の現地調査
  2. アピステ:無料テスト機の貸出
  3. ムラコシ:導入前の試用
  4. ユーザック:テクニカルセンターでの実機見学(レーザー切断ヒューム向け)

測定と機種選びをつなげる進め方

法令の測定と集塵機選びは、別々に進めると二度手間になります。次の順番で進めると、機種と台数を根拠をもって決められます。

  1. 溶接作業の場所・方法・時間を洗い出す
  2. 個人サンプラーで溶接ヒュームの濃度を測定する(第2項)
  3. 結果を持ってメーカーに相談し、デモ機で吸い込み具合を確かめる
  4. 導入後にもう一度測定し、効果を確認する(第4項)
  5. 呼吸用保護具の選定と、床の毎日の掃除を続ける

淀川電機製作所は自社の板金工程で、個人サンプラーを使った溶接ヒューム測定の例を公開しています。測定の進め方の参考にできます。

方式別に見たヒュームコレクターの長所と注意点

溶接ヒューム用の機種は、フィルター式、フィルターレス、湿式を組み合わせたものの3つに分かれます。方式ごとの長所と注意点を整理します。

方式長所注意点公式記載の例
ヒューム専用フィルター式細かいヒュームまで捕まえやすい目詰まりと交換の手間淀川電機製作所SET、アマノFCN
フィルターレスフィルター交換がいらない対応できる作業の範囲を確認赤松電機製作所FSM-15
乾湿複合(水)火の粉を水で消せる水の管理が必要赤松電機製作所FM-220

ヒュームコレクター選びで聞く質問

最初の問い合わせで次の質問をすると、各社の違いが分かりやすくなります。回答を表にまとめて比べてください。

  1. 溶接の種類(被覆アーク・半自動・TIG・ロボット)と、1日の溶接時間で必要な風量はいくつか
  2. 火の粉がフィルターに届かない仕組みはあるか
  3. フィルター交換の目安と、1回分の費用
  4. アームやフードを溶接点にどこまで近づけられるか
  5. デモ機を借りて、個人サンプラーで測りながら試せるか

導入後に続ける管理

ヒュームコレクターを入れたあとも、法令の管理は続きます。集塵機の手入れと合わせて、年間の予定に入れておきます。

  • 作業方法を変えたときの溶接ヒュームの濃度測定(特化則第38条の21第2項)
  • 測定結果の記録の保存(同第10項)
  • 面体を有する呼吸用保護具の装着確認(1年以内ごとに1回、同第9項)
  • 集塵機のフィルターの差圧確認と交換

この用途で最初に当たる3社

溶接ヒュームの相談先に迷ったら、作業の形で最初の1社を決めると進めやすくなります。公式の記載から、目安を示します。

  • 手溶接でデモ機を試したい:赤松電機製作所(100VのFSM-15、デモ機貸出)
  • ロボット溶接や24時間稼働で火災が心配:アマノ(火花・煙センサー付きのFCN)
  • 溶接とグラインダーが同じ作業台:エステーリンク(両用のスポットダスターGW)

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

溶接ヒューム対策に局所排気装置は必須ですか?

特化則第38条の21第1項は、屋内の金属アーク溶接等作業場で全体換気装置による換気またはこれと同等以上の措置を求め、局所排気装置等は設けることを要しないとしています。ただし濃度の測定結果に応じて換気装置の風量の増加などの措置が必要になるため、ヒュームコレクターを使う工場もあります。

100Vで使える溶接ヒューム集塵機はありますか?

あります。赤松電機製作所のヒュームスモーカーFSM-15は単相AC100V・風量10m³/minで、フィルターレスです。ムラコシも100V仕様のヒュームデスポMYF-75を作っています。

ロボット溶接の火の粉で集塵機が燃えないか心配です。

火の粉対策のある機種を選んでください。赤松電機製作所のFM-220は水を使った2重の消火機能、アマノのFCNは火花センサー・煙センサーと旋回流式分離部、淀川電機製作所のSETは金属フィルターを多段に置いた整流BOXを持っています。

【用途別】集塵機メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

アルミ・マグネシウムなど爆発性の金属粉を吸うなら

アマノ株式会社

Kst値ごとに選べる粉塵爆発圧力放散型。溶接・レーザ用まで1社で比べられる

アルミニウム、チタン、マグネシウムなどにも対応可能と公式に書き、粉塵爆発圧力放散型の集塵機をKst値の対応範囲つきで出している(VN-SD〜400、PiF-SD/D〜300、マグネシウム合金粉体専用スクラバーSA〜500)。国産ラプチャーディスクはKst値800対応。小型のPiFから大型のWRT(フィルタ面積〜1,055m²)、溶接作業用FCN、レーザ加工用PiF-Hまで同じ窓口で選べる。

アマノ株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

溶接ヒュームを、デモ機で確かめてから入れるなら

株式会社赤松電機製作所

手溶接は100Vのフィルターレス、ロボット溶接は水で消火する乾湿複合型

ヒュームスモーカーFSM-15はフィルターレスで1μm以上を99%捕集し、風量10m³/min・単相AC100Vで使える。スーパーコレクターFM-220は水を使う乾湿複合型で風量30/35m³/min、「水を使った2重の消火機能で火の粉も安全」。主力製品のデモ機貸出と、専門技術者による現地調査を公式に案内している。

株式会社赤松電機製作所の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

工程の小型機から3,000m³/min級まで、工場全体をそろえるなら

新東工業株式会社

小型ダスミックの各区分に粉塵爆発対策型。中・大型は3,000m³/minクラスまで

小型集塵機ダスミックシリーズは混合・袋詰め・投入・切断・バフ研磨などの工程向けで、連続運転・間欠運転・低濃度のそれぞれに粉塵爆発対策型がある。中・大型集塵機は3,000m³/minクラスの大風量用途まで対応し、高温ガス用、泡で重金属を捕集する機種、可燃性・爆発性粉塵対応機もそろう。生産終了機の後継機・部品供給の窓口を公開している。

新東工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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