撹拌脱泡機 · 基礎知識
撹拌脱泡機の処理容量と容器の選び方|グロス重量・容積・カップ数の表記を読み解く【2026年版】
撹拌脱泡機の容量は、メーカーによってグロス重量、容積、カップ数×重量と表記がばらばらです。掲載メーカーの公式表記を並べ、表記の読み方と、研究開発から量産までの容量の選び方、容器の注意点をまとめました。
撹拌脱泡機の容量を比べようとすると、表記の違いでつまずきます。同じ500という数字でも、重さなのか容積なのか、容器1個分なのか合計なのかで意味が変わります。
メーカーごとの容量表記を読み分ける
まず、主なメーカーがどの単位で容量を書いているかを確認します。比べる前に、単位をそろえることが第一歩です。
| メーカー | 表記の仕方 | 公式表記の例 |
|---|---|---|
| シンキー | 最大積載量(グロス重量) | AR-100は140g、ARV-10kTWINは14.5kg×2 |
| EME | 容器容量×個数と最大積載量 | UFO-36は18L容器×2個掛、最大積載量50kg |
| 写真化学 | 容積(カップ数) | 〜400mL×2カップ、4000mL×2〜7000mL×2カップ |
| クラボウ | 重量×カップ数 | KK-10000は10kg×2カップ |
| 共立精機 | 容量×個数 | HM-20000Wは20,000ml×2 |
| 三星工業 | 容器容量×個数 | HR200は20L×4個 |
シンキーのグロス重量は、容器やアダプターを含めた重さです。写真化学は容積で表記し、容積あたりの重量は材料の比重で変わると注記しています。
グロス重量と容積を換算するときの注意
重い材料ほど、同じ容積でも積載量の上限に早く届きます。比重の大きいペーストでは、容積の数字だけで選ぶと載せられないことがあります。
- グロス重量には容器とアダプターの重さが入る(シンキーの表記)
- 容積表記の機種は、材料の比重を掛けて重さを出す(写真化学の注記)
- EMEはAgペースト等の高比重ペースト類向けにV-mini550を開発したと沿革に記載
- 2個掛け・4個掛けは、左右の重さをそろえないと運転できないことがある(クラボウはアンバランスの警報機能を記載)
見積の前に、材料の比重と1回に入れたい量を伝えると、機種の取り違えを防げます。導電性ペーストのような高比重材料は特に注意してください。
研究開発から量産まで、容量の段階を決める
研究段階の小型機で決めた条件を、量産機でも再現できるかが大事です。同じ方式で容量の段階がそろっているメーカーなら、移行がしやすくなります。
| 段階 | 容量の目安(公式表記の例) | 掲載メーカーの機種例 |
|---|---|---|
| 研究開発・少量 | 50ml〜400g程度 | 共立精機HM-50SE(50ml×1)、シンキーAR-100(140g)、クラボウKK-250S(250g×1) |
| 試作・小ロット | 1kg前後〜数kg | シンキーARE-501(1,100g)、EME UFO-1.5(2kg)、三星工業HR010 |
| 量産 | 10kg〜ペール缶 | 共立精機HM-20000W(20,000ml×2)、三星工業HR200(20L×4個)、EME UFO-36(50kg) |
| 大量のペースト | 数百〜数千リットル | 井上製作所PLMG-2300(全容量2,350ℓ)、大塚製作所の大型脱泡機(仕込み3t) |
三星工業は、小型のハイローターで決めた分散脱泡条件をHR200で再現できると説明しています。量産を見据えるなら、研究用の機種を選ぶ段階で大型機の有無を確認してください。
容器とアダプターで処理の結果が変わる
撹拌脱泡機は容器ごと回すので、容器の形と材質も条件の一部です。メーカーが用意する容器の幅は、選ぶときの比較点になります。
- シンキー: 容器・アダプターは300種類以上、新規アダプターの設計も有償で対応
- EME: 汎用樹脂容器、SUS・チタン等の金属容器、ガラス容器、ディスポ容器に対応(FAQ)
- 写真化学: お客様の指定容器に対応した導入事例を掲載
- トリイ: オプションの専用ホルダーで200cc程度の小容器や使い捨て容器も使える
量産で使っているボトルや缶のまま処理できれば、移し替えの手間と材料のロスが減ります。デモでは、実際に使う容器を持ち込むのが確実です。
数mLの少量やシリンジのまま処理したいとき
研究開発では、試料が数mLしかないこともあります。少量に対応する方法を公式に載せているメーカーもあります。
- 写真化学: 1mlや2ml程度の少量でも、バイアル瓶用のアタッチメントで撹拌・脱泡した事例
- EME: 専用治具にシリンジをセットしてシリンジ内の材料を脱泡できる(粘度によって向き不向きあり)
- 写真化学: シリンジの中に入り込んだ気泡を遠心と真空で脱泡した事例
少量の場合は、容器に対して材料が少なすぎると回りにくくなります。アダプターで容器を小さくできるかを確認してください。
容量と一緒に確かめたい重さと電源
容量の大きい機種ほど、本体の重さと設置条件の確認が必要です。公式に数値が出ている例を並べます。
| 機種 | 容量 | 本体の重さ・電源(公式表記) |
|---|---|---|
| 大榮歯科産業 Vmixing-D | 500ml・250mlカップ | 5.6kg |
| 日本ソセー工業 ゼロマゼ | 外径φ90〜φ180の容器 | 28.1kg(本体のみ)、100V・10A |
| EME V-mini300 | 小型卓上 | 33kg(沿革の記載) |
| トリイ TVDF-P | 1〜10ℓ | 約38kg、AC100V-500W |
| 日本ソセー工業 ZEROMAZE-20 | 20Lペール缶 | 150.5kg、100V・15A |
卓上機でも数十kgあるため、作業台の耐荷重を確かめてください。大型機は搬入経路と床の強度も含めて、メーカーと現地で打ち合わせるのが確実です。
容量選びでよくある失敗
容量の数字だけを見て選ぶと、導入後に困ることがあります。公式の注記から読み取れる注意点です。
- 容積で選んだら、比重の大きい材料で積載量を超えてしまう
- 2個掛けの機種で、片側だけに材料を入れて運転できない(左右の重さをそろえる)
- 研究用の小型機と量産機でメーカーや方式が違い、条件を移せない
- 専用容器しか使えず、量産のボトルから移し替える手間が残る
どれも、デモの段階で実際の材料と容器を使えば見つけられます。容量の選定はデモとセットで進めてください。
容量を決める前に用意したい情報
問い合わせの前に、次の情報をまとめておくと機種の提案が早くなります。どれも見積の精度に直結します。
- 材料の種類と比重、粘度
- 1回の処理量と、1日の処理回数
- 使いたい容器(容積・材質・形状)
- 研究用か量産用か、将来のスケールアップの予定
容量と容器が決まれば、残る比較点は真空の要否とデモの条件です。それぞれ別の記事で扱っています。
この記事に出てくるメーカー
- 大榮歯科産業株式会社歯科技工の埋没材なら
- 株式会社EME真空脱泡とシリンジ充填の本命
- 株式会社井上製作所ペーストを大量に練って脱泡するなら
- 共立精機株式会社ペール缶ごと量産するなら
- 三星工業株式会社4カップで量を稼ぐなら
- 日本ソセー工業株式会社注入工程と一緒に考えるなら
- 株式会社大塚製作所トン単位・ドラム缶の脱泡なら
- 株式会社写真化学回転比を細かく詰めたいなら
- 株式会社シンキー研究開発用途の本命
- 株式会社トリイ低コストで羽根撹拌+真空なら
参照元
よくある質問
グロス重量とは何ですか?
容器やアダプターを含めた重さです。シンキーは最大積載量をグロス重量で表記しており、材料だけの量はそれより少なくなります。
ペール缶のまま処理できる撹拌脱泡機はありますか?
あります。共立精機のHM-20000Wはペール缶2個掛け(20,000ml×2)、三星工業のHR200は20Lペール缶をそのまま入れられ、日本ソセー工業のZEROMAZE-20は20Lペール缶用の容器回転式真空脱泡撹拌機です。
数mLの少量でも撹拌脱泡できますか?
写真化学は1mlや2ml程度の少量を、バイアル瓶用のアタッチメントで撹拌・脱泡した事例を公式に載せています。容器を小さくするアダプターがあるかを確認してください。
【用途別】撹拌脱泡機メーカーおすすめ3選
研究開発の少量試料を、自分の材料で試してから選ぶなら
株式会社シンキー
大気圧型と真空型を140g機から14.5kg×2の量産機まで。評価機器のあるラボでテストできる
自転・公転方式ミキサーあわとり練太郎の開発元。大気圧タイプは最大積載量140gのAR-100から5kg×2のARX-5000TWINまで、真空タイプは310gのARV-310Pから14.5kg×2のARV-10kTWINまでそろえる。デモは本社アプリケーションラボでのテスト、材料預かり、デモ機貸出(通常1週間程度)の3方法から選べる。
接着剤・封止材を真空で脱泡し、シリンジ充填までつなぐなら
株式会社EME
真空式は330gから18L容器×2個掛(50kg)まで。遠心力のシリンジ充填機も自社製
自公転式の真空撹拌脱泡ミキサーを、V-mini330(最大積載量330g)から18L容器×2個掛で最大積載量50kgのUFO-36までそろえる。撹拌脱泡した材料を真空下で遠心充填する専用機も自社製で、FAQでは気泡の再混入はないと説明。装置はクリーンクラス1000に対応し、小型機の貸出は初回1週間無償とFAQに記載。
ペール缶のまま量産し、無償デモで確かめてから買うなら
共立精機株式会社
50mLからペール缶2缶同時(20,000ml×2)まで。各機種でデモ機を無償貸出
自転公転式撹拌脱泡機ハイマージャを、最大50mLのHM-50SEから、ペール缶を2缶同時に撹拌できるHM-20000W(20,000ml×2)までそろえる。真空タイプは4機種。最大400Gの遠心力、自転・公転比率110通りのメカ式変速モデルもある。各製品ページでデモ機無償貸出中と案内し、加工テストも随時受け付ける。