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撹拌脱泡機 · 基礎知識

撹拌脱泡機の方式の違い|自転公転・容器回転+羽根・真空プラネタリー・真空乳化を比べる【2026年版】

撹拌脱泡機は、容器を回して遠心力で泡を抜く自転公転式と、羽根で混ぜながら真空で泡を抜く方式に大きく分かれます。掲載15社の公式情報から、4つの方式の仕組み、得意な量、向く材料を整理しました。

公開 2026年10月1日

撹拌脱泡機という名前でも、中で起きていることは方式によってまったく違います。方式を取り違えると、試料が少なすぎて回らない、逆に量が足りないといった失敗につながります。

この記事では、掲載メーカーの公式情報をもとに、方式を4つに分けて比べます。

4つの方式を一覧で比べる

まず全体像です。容器ごと回すか、羽根を入れるかで、扱える量と向く材料が分かれます。

方式しくみ公式の容量の例掲載メーカーの例
自転公転式容器を公転させながら自転させ、羽根なしで撹拌と脱泡を同時に行う50ml〜20L×4個シンキー、EME、写真化学、クラボウ、共立精機、三星工業
容器回転+固定羽根(真空)容器を回し、固定した羽根で混ぜながら真空槽で脱泡1〜10ℓ、20Lペール缶トリイ、日本ソセー工業
真空プラネタリー・羽根撹拌タンク内で羽根が遊星運動などをして練り、真空で脱泡全容量2ℓ〜2,350ℓ、仕込み3t井上製作所、プライミクス、大塚製作所、愛工舎製作所
真空乳化ホモミキサーと撹拌羽根を組み合わせ、真空中で乳化0.1L〜2L(卓上機)ほかプライミクス、みづほ工業

少量を容器ごと処理するなら自転公転式、タンクで大量に練るなら羽根の方式が基本です。中間の数リットルから20Lペール缶は、両方の方式に選択肢があります。

自転公転式:羽根を入れずに混ぜて泡を抜く

自転公転式は、材料の入った容器を傾けて公転させながら自転させます。共立精機は、強い遠心力で材料が容器の内壁に沿って流れ、対流で混ざり、気泡は中心に集まって表面に押し上げられると説明しています。

  • 羽根がないので材料のロスが少ない(共立精機)
  • 容器内で処理するため装置の洗浄が要らない(クラボウ)
  • 非接触なので粒子形状を維持できる(クラボウ)
  • 自転と公転の比を変えて条件を詰められる(写真化学は最大90通り、共立精機は110通りのモデル)

三星工業のハイ・ローターは容器4個搭載を標準とし、自転2:公転1の比率で分散力を得る設計です。同じ自転公転式でも、比率を変えられるかどうかはメーカーと機種で違います。

容器回転+固定羽根:缶のまま羽根で混ぜて真空で抜く

容器を回し、固定した羽根で混ぜながら真空で泡を抜く方式です。高粘度でも羽根が内壁ぎりぎりを通るため、ムラなく混ぜられるとトリイは説明しています。

機種容器公式の主な仕様
トリイ TVDF-P材料容器1〜10ℓ容器回転数20〜120rpm(標準4ℓ仕様)、真空ポンプ内蔵、約38kg
日本ソセー工業 ゼロマゼ外径φ90〜φ180、高さ220mm容器回転0〜100rpm・自動反転、タイマー1〜99分
日本ソセー工業 ZEROMAZE-2020Lペール缶容器回転〜60rpm、真空ポンプ外置き

どちらも2液の樹脂を注型・注入する装置のメーカーです。注入工程とセットで考える現場に合います。

真空プラネタリーと羽根撹拌:タンクで大量に練る

タンクの中で羽根を動かし、真空をかけながら練る方式です。井上製作所のプラネタリーミキサーは2本の枠型ブレードが遊星運動をし、適用粘度は10〜1,000Pa・s位と記載しています。

  • 井上製作所: 全容量2ℓ(PLM-2)〜2,350ℓ(PLMG-2300)。PLM-2〜PLM-50は真空が標準装備
  • プライミクス: 2軸遊星方式のハイビスミックスで、超高粘度物1000Pa・sの混練まで真空・加熱・冷却
  • 大塚製作所: 仕込み1.5〜3tの大型脱泡機(遊星型・バタフライ型)、ドラム缶をそのまま入れる型も
  • 愛工舎製作所: 縦型ミキサーACMに真空・脱泡(V)と耐圧防爆(d2G4)の仕様

羽根を入れるので、粒子を壊したくない材料には向かない場合があります。逆に、粉体と液体をペーストに練り上げる用途では、この方式が主力です。

真空乳化:化粧品や軟膏の乳化と脱泡を同時に

ホモミキサーで細かく乳化しながら、撹拌羽根で全体を動かし、真空で泡を抜く方式です。プライミクスのアヂホモミクサーはホモミクサーとパドルミクサーを組み合わせた2軸式と記載しています。

  • プライミクス: 真空乳化機アヂホモミクサー、少量真空乳化分散機(2M-03型ほか)
  • みづほ工業: 試験用真空乳化撹拌装置PVQ-N、上部独立3軸真空撹拌ミキサーPVⅢ型
  • 用途の例: 化粧クリーム、軟膏、歯磨き粉、ドレッシング(みづほ工業の用途分類)

乳化が目的なら、撹拌脱泡機ではなく真空乳化機として探すと候補が見つかりやすくなります。

掲載15社を方式で分けると

今回調べた15社を、主な方式ごとに並べます。自転公転式の6社は東京・京都・大阪・栃木・新潟に、羽根で混ぜる方式の各社は東京・神奈川・埼玉・愛知・大阪・兵庫にあります。

方式社数メーカー(本社)
自転公転式6社シンキー(東京都)、EME(東京都)、写真化学(京都府)、クラボウ(大阪府)、共立精機(栃木県)、三星工業(新潟県)
容器回転+羽根(真空)2社トリイ(愛知県)、日本ソセー工業(愛知県)
羽根撹拌+真空(プラネタリー等)5社井上製作所(神奈川県)、大塚製作所(東京都)、愛工舎製作所(埼玉県)、三双機工(大阪府)、大榮歯科産業(大阪府・歯科技工用)
真空乳化・遊星混練2社プライミクス(兵庫県)、みづほ工業(大阪府)

同じ方式の中でも、容量の幅や真空の有無、デモの条件はメーカーごとに違います。方式で候補を絞ったら、容量と真空の条件で比べてください。

方式を取り違えたときに起きること

方式の選び間違いは、導入後に気づくと取り返しがつきにくいものです。公式情報から読み取れる、よくある食い違いを挙げます。

  • 大量のペーストを自転公転式で処理しようとして、容器の小分けと洗浄に手間がかかる(缶ごと・タンクごとの方式なら不要)
  • 粒子を壊したくない材料を羽根で練って、粒子形状が変わる(クラボウは非接触方式で粒子形状を維持と説明)
  • 乳化が目的なのに撹拌脱泡機を探して、乳化の力が足りない(真空乳化機の領域)

候補を決める前に、目的が混合・脱泡・分散・乳化・混練のどれかを書き出すと、取り違えを防げます。

方式選びで迷ったときの3つの問い

最後に、方式を決めるための問いをまとめます。答えが決まれば、候補は数社に絞れます。

  1. 1回に処理する量は、容器1〜4個分か、タンク1杯分か
  2. 羽根を入れてよい材料か(粒子形状を保ちたいか)
  3. 泡を抜くのに真空が要るか、大気圧で足りるか

量が少なく羽根を入れたくないなら自転公転式、量が多いペーストなら真空プラネタリー、乳化なら真空乳化機が出発点です。真空の要否は、別の記事で詳しく扱います。

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

自転公転式と真空プラネタリーはどちらを選べばいいですか?

容器ごとに数十グラム〜ペール缶程度を処理するなら自転公転式、数十〜数千リットルをタンクで練るなら真空プラネタリーが目安です。井上製作所のプラネタリーミキサーは全容量2ℓから2,350ℓまであり、自転公転式の最大クラス(三星工業HR200の20L×4個)より大きな量を扱えます。

羽根のない撹拌脱泡機はどれですか?

自転公転式です。シンキー、EME、写真化学、クラボウ、共立精機、三星工業が自転公転式の装置を作っています。容器を公転・自転させて混ぜるため、材料に羽根が触れません。

化粧品の乳化に使える装置はありますか?

真空乳化機があります。プライミクスのアヂホモミクサーや、みづほ工業の試験用真空乳化撹拌装置PVQ-Nは、真空中で乳化と撹拌を行う装置です。

【用途別】撹拌脱泡機メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

研究開発の少量試料を、自分の材料で試してから選ぶなら

株式会社シンキー

大気圧型と真空型を140g機から14.5kg×2の量産機まで。評価機器のあるラボでテストできる

自転・公転方式ミキサーあわとり練太郎の開発元。大気圧タイプは最大積載量140gのAR-100から5kg×2のARX-5000TWINまで、真空タイプは310gのARV-310Pから14.5kg×2のARV-10kTWINまでそろえる。デモは本社アプリケーションラボでのテスト、材料預かり、デモ機貸出(通常1週間程度)の3方法から選べる。

株式会社シンキーの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

接着剤・封止材を真空で脱泡し、シリンジ充填までつなぐなら

株式会社EME

真空式は330gから18L容器×2個掛(50kg)まで。遠心力のシリンジ充填機も自社製

自公転式の真空撹拌脱泡ミキサーを、V-mini330(最大積載量330g)から18L容器×2個掛で最大積載量50kgのUFO-36までそろえる。撹拌脱泡した材料を真空下で遠心充填する専用機も自社製で、FAQでは気泡の再混入はないと説明。装置はクリーンクラス1000に対応し、小型機の貸出は初回1週間無償とFAQに記載。

株式会社EMEの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

ペール缶のまま量産し、無償デモで確かめてから買うなら

共立精機株式会社

50mLからペール缶2缶同時(20,000ml×2)まで。各機種でデモ機を無償貸出

自転公転式撹拌脱泡機ハイマージャを、最大50mLのHM-50SEから、ペール缶を2缶同時に撹拌できるHM-20000W(20,000ml×2)までそろえる。真空タイプは4機種。最大400Gの遠心力、自転・公転比率110通りのメカ式変速モデルもある。各製品ページでデモ機無償貸出中と案内し、加工テストも随時受け付ける。

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