板金加工の試作・小ロット · 用途別
アルミ板金の試作|曲げ割れの対策とアルミ溶接を頼める会社【2026年版】
アルミの筐体・カバー・ブラケットを板金で試作したい方向けに、曲げ割れを防ぐ曲げRの目安、アルミ溶接に対応する会社と板厚の条件、アルミを切断できる板厚、依頼前に決めることを、掲載各社の公式サイトの記載で整理します。
アルミは軽く、放熱もしやすいため、装置の筐体やカバーによく使われます。一方で、鉄やステンレスより曲げで割れやすく、溶接も難しい材料です。
このページでは、掲載各社が公式サイトに書いているアルミの曲げと溶接の記載をもとに、アルミ板金の試作先の選び方を整理します。
アルミ板金で試作が難しくなる2つの場面
アルミ板金の試作でつまずきやすいのは、次の2つの場面です。どちらも、図面の段階で対策を入れておくと防げます。
- 曲げ: 曲げの内側のRが小さすぎると、外側にひびや割れが出る
- 溶接: 熱が逃げやすく歪みやすいため、対応できる会社が限られる
- 表面: 柔らかいため、加工中の押し跡や擦り傷が目立ちやすい
オーディーケーは、アルミは溶接が難しく対応できる会社が限られると書いたうえで、板金加工からアルミ溶接まで社内で完結すると説明しています。溶接があるアルミ部品は、溶接を外に出さない会社を選ぶと日数が読みやすくなります。
アルミの部品は、試作の段階でこの3つを確かめておくと、量産に移ってからの不良を減らせます。曲げと溶接の条件は、材質と板厚で決まるため、まず材質と板厚を確定させてください。
曲げ割れを防ぐ曲げRの目安
アルミの曲げ割れは、曲げRを板厚に合わせて取ることで防げます。アーバンカンパニーはアルミ試作板金のコラムで、次の目安を示しています。
| 条件 | コラムで示す目安 |
|---|---|
| アルミ板金全般 | 最小曲げR=1.0t〜2.0t以上を確保するのが設計上の安全策 |
| A5052-H32・板厚1.0t未満 | R0.5〜1.0t |
| A5052-H32・板厚2.0mm以上 | 最小R1.0t〜1.5t程度 |
| R0(ピン角)の指定 | 曲げ割れの原因になるため、最小Rの確保か工法の変更を提案 |
同社は、曲げ割れや傷は最小曲げRの設定、圧延方向の考慮、エッジ処理の3つで防げると説明しています。図面にRの値を書き、外観面がある場合はその面も指定してください。
同社はA5052-H32を試作板金で広く使われる材質として解説しています。材質を決めかねている場合は、まずこの材質で曲げの条件を相談すると話が早く進みます。
アルミ溶接に対応する会社と板厚の条件
アルミの溶接は、対応できる板厚が会社ごとに違います。公式サイトに条件を書いている会社を並べると次のとおりです。
| 会社 | アルミ溶接の公式の記載 |
|---|---|
| 上村製作所 | 主要材質はA5052・A6061-T6。曲げは板厚0.5〜8mm、溶接は板厚0.5〜60mm。TIG主体 |
| 大常アルミ工業 | 板厚2〜50mm、サイズ10cm〜500cm。TIG・MIGに特化。従業員9名のうちJIS Z 3811資格者5名 |
| オーディーケー | A5052・A1050・A6063に対応し、アルミ溶接も社内で一貫 |
| アスク | t3.0mm以下のアルミ溶接に対応 |
| ケーアイ精密板金 | アルゴン溶接機で溶接厚みt0.3以上・Al可(スポット溶接機は交流でアルミに対応) |
| 遠松製作所 | 薄板アルミの溶接も可能 |
| 共栄精機 | ファイバーレーザー溶接を保有し、アルミ溶接も得意 |
| ハルナ工業 | アルミ溶接技術に定評があるとし、各種筐体の溶接組立が得意 |
薄板のカバーならケーアイ精密板金やアスク、厚いアルミの架台や製缶なら大常アルミ工業や上村製作所、という分け方が公式の数字から読み取れます。板厚を伝えれば、対応できるかどうかはすぐに答えが返ってきます。
大常アルミ工業は、溶接スピードや電流、電圧を計算し、溶接時に発生する歪みを予測して最小限に抑えると説明しています。歪みを嫌う部品では、歪み取りや仕上げまで一貫して受けるかどうかも確かめてください。
薄いアルミと厚いアルミで、相談先を分ける
アルミの板金は、板厚によって使う溶接と加工の方法が変わります。公式の記載から、板厚ごとの相談先の目安をまとめます。
- t0.3〜3mm前後の薄板: 歪みを抑える溶接が要る。ケーアイ精密板金(t0.3以上)、アスク(t3.0以下)、ファイバーレーザー溶接を持つ共栄精機
- t0.5〜8mmの曲げもの: 上村製作所は曲げを板厚0.5〜8mmで受ける
- t2〜50mmの厚板: 大常アルミ工業は板厚2〜50mmの製缶・溶接を1点物から受ける
- 筐体の組立まで: ハルナ工業はアルミ溶接による筐体組立を得意とする
上村製作所は、レーザ加工機などジョブショップで対応できる設備は持たないと公式に明記しています。切断から溶接まで一社で急ぐ場合と、難しい溶接だけを任せたい場合とで、相談先を分けてください。
溶接する箇所だけ板厚が違う部品は、薄い側の条件で会社を選ぶのが安全です。表の板厚は溶接できる範囲の記載なので、曲げや切断の範囲とは分けて読んでください。
アルミを切断できる板厚
アルミの板金は、切断の段階でも会社によって扱える板厚が違います。公式にアルミの板厚を書いている会社は次のとおりです。
| 会社 | アルミの板厚の記載 |
|---|---|
| かねよし | アルミのレーザー切断は30mmまで |
| 共栄精機 | ファイバーレーザー加工機でアルミ12mmまで |
| 都留 | AL〜3.0t |
| 上村製作所 | 曲げ0.5〜8mm、溶接0.5〜60mm |
| 大常アルミ工業 | 板厚2〜50mm |
同じ会社でも、アルミの板厚の上限は鉄やステンレスと違う値になっています。共栄精機は鉄22mm、アルミ12mmと材質ごとに分けて書いており、厚いアルミの部品は切断できる会社と溶接できる会社が同じかどうかを確かめてください。
アルミの試作で表面を守る工夫
アルミは柔らかいため、加工の途中でついた傷が仕上がりに残ります。外観部品では、次の点を見積の前に伝えてください。
- 外観面がどこかを図面で示す
- 傷の許容範囲を写真や限度見本で共有する
- アルマイトをかけるかどうかと、その色
- 保護フィルム付きの材料を使うかどうか
アルマイトは協力会社で手配する会社が多く、佐藤電機製作所やCREST PRECISIONもアルマイトを対応できる処理として挙げています。処理を外に出す分の日数も、日程に入れておいてください。
アルマイトは表面に膜を作る処理なので、はめ合いの寸法に影響することがあります。精度の厳しい穴や合わせ面がある場合は、処理後の寸法で指定するのか処理前で指定するのかを図面に書いてください。
アルミ部品を量産に移すときの数量の目安
アルミの部品も、試作の後に台数が増えれば作り方が変わります。数量について公式に書いている会社の例を挙げます。
- 上村製作所: 試作・単品・小ロットの難加工に特化
- 大常アルミ工業: 1点物から中ロットまで対応し、図面・納期によって小ロット生産も可能
- 都留: AL〜3.0tの範囲で、10〜500個の小・中ロット生産に特化
- 和起製作所: アルミ溶接を含む精密板金を、試作から量産まで受ける
難しい溶接の試作は専門の会社に、台数が増えたら設備のそろった会社に、と段階で相談先を分ける方法もあります。その場合は、試作で決めた溶接の条件を量産先に必ず引き継いでください。
アルミの試作を頼む前に決めること
アルミ板金の試作を頼むときは、次の項目を決めてから問い合わせると、対応できる会社をすぐに絞れます。
- 材質と質別(A5052-H32、A6061-T6など)
- 板厚と、曲げRの指定
- 溶接の有無と、溶接する箇所の板厚
- 外観面と、アルマイトなど表面処理の要否
- 数量と希望納期
溶接する箇所の板厚が分かれば、表で挙げた会社のどこが対応範囲に入るかはすぐに判断できます。迷う場合は、薄板が得意な会社と厚板が得意な会社に1社ずつ聞いてください。
この記事に出てくる会社
- 株式会社アスク板金と切削の小物をまとめて
- CREST PRECISION株式会社1個からの試作を急ぐ本命
- 大常アルミ工業有限会社厚めのアルミ溶接・製缶
- 株式会社ハルナ工業アルミ溶接の筐体・特急
- 株式会社上村製作所アルミ溶接の難加工
- 株式会社かねよし厚板切断と在庫材料
- 有限会社ケーアイ精密板金薄板の精密溶接と絞り
- 株式会社共栄精機最短5分見積・最短当日出荷
- 株式会社オーディーケー図面なしの溶接もの
- 株式会社佐藤電機製作所筐体・カバーの本命
- 株式会社遠松製作所材質の幅が広い板金全般
- 株式会社都留試作の次の小・中ロット
参照元
よくある質問
アルミ板金の曲げで割れないようにするにはどうすればよいですか?
曲げRを板厚に合わせて取ります。アーバンカンパニーはコラムで、アルミ板金では最小曲げR=1.0t〜2.0t以上を安全策とし、R0(ピン角)は曲げ割れの原因になるため最小Rの確保か工法の変更を提案すると説明しています。
アルミの溶接を小ロットで頼める会社はありますか?
あります。上村製作所は試作1個からアルミの板金・溶接を受け(溶接は板厚0.5〜60mm)、大常アルミ工業は板厚2〜50mmのアルミ溶接・製缶を1点物から、オーディーケーはA5052・A1050・A6063の板金からアルミ溶接まで社内で受けます。
薄いアルミ板の溶接はどこに頼めますか?
ケーアイ精密板金は溶接厚みt0.3以上でアルミに対応し、アスクはt3.0mm以下のアルミ溶接に対応すると公式に書いています。遠松製作所も薄板アルミの溶接が可能と答えています。
【用途別】板金加工の試作会社おすすめ3選
1個からの試作を、とにかく急ぐなら
CREST PRECISION株式会社
新規試作を月平均3955件。最短当日、初めての取引でも最短3日で出てくる
長野県岡谷市の精密板金会社で、新規の試作板金を月平均3955件手がけると公式に記載している。FAQで最短納期は当日、初回は品質レベル合わせのため最短3日間と答え、溶接ものも最短当日中の納品に対応する。見積は試作ページで1時間以内をうたい、FAQでは営業時間内の平均4時間、15時までの依頼の95%を当日回答。少量は「1個/ロット~10個/ロットが大好きです。」と書いている。
装置の筐体・カバーを、量産を見据えて試作するなら
株式会社佐藤電機製作所
筐体・フレーム専門サイトを運営。10cm角〜2m×1m、試作から月産1000個まで
山梨県山梨市の精密板金会社で、筐体とフレームに特化した「精密筐体・フレームファクトリー」を運営する。10cm×10cm〜2m×1mの筐体・フレームを得意とし、最短3日・通常30日以内。試作は1個から受け、試作段階から量産を見据えた設計を行うと記載する。板厚は0.8〜3.2mmの筐体を多く扱い、量産はヌキだけの製品で月産1000個位まで実績がある。
ステンレスを溶接して、研磨まで仕上げるなら
株式会社小花製作所
食品・医薬品機械向けのステンレス板金。TIGからロボット溶接、#800のバフ研磨まで自社
群馬県佐波郡玉村町で1964年4月に創業した板金・製缶の会社で、「ステンレス精密板金・製缶加工センター」を運営する。ロット1個から受け、SUS304・SUS316L・SUS430のほか鉄、チタン、アルミ、銅に対応。板厚はt0.5〜t25の実績が多く、t30〜t40クラスもある。溶接はTIG、ファイバーレーザー溶接、半自動、ロボット溶接、バフ研磨は#800の鏡面まで自社で行う。
自社の部品に合う板金会社を、無料で相談する
部品の材質・板厚・おおよその大きさ、必要な数量と希望納期、図面の有無(DXF・PDF・手書き・現物)、溶接や表面処理の要否を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。