ジュエリーブランド立ち上げ支援 · 基礎知識
ジュエリーブランド立ち上げの初期費用の内訳|型・サンプル・最低取引額・初回在庫・撮影と箱
ジュエリーブランドを立ち上げるときの初期費用を、デザインと型、サンプル、最低取引額と初回在庫、撮影・パッケージ・販売準備に分けて整理しました。掲載各社が公開している型代・サンプル代・最低取引額・概算単価と、支払いのタイミングまでまとめています。
ジュエリーブランドの立ち上げにいくらかかるかは、作る型の数、素材、初回の数量で大きく変わります。それでも、どんな費用がどの順番で出ていくかは、どのブランドでもほぼ同じです。
このページでは、初期費用を6つに分け、掲載各社が公式に出している金額を当てはめます。公式に金額がない項目は「記載なし」として扱います。
立ち上げの資金計画では、作る前に出ていく費用と、売れれば戻ってくる費用を分けて見ることが大切です。前者が大きすぎると、売れる前に資金が尽きてしまいます。
初期費用は6つの箱に分ける
先に全体の箱を作っておくと、見積が届いたときにどこに入れればよいかが分かります。製造会社に払う費用と、自分で手配する費用を分けて考えてください。
| 箱 | 主な中身 | 誰に払うか |
|---|---|---|
| 1. デザイン | デザイン画、3Dデータ作成 | 製造会社またはデザイナー |
| 2. 型 | 原型、ゴム型 | 製造会社 |
| 3. サンプル | 試作品(色違い・素材違いを含む) | 製造会社 |
| 4. 初回在庫 | 単価×数量(最低取引額がある場合はそれ以上) | 製造会社 |
| 5. パッケージ | 箱・袋・タグ・カード | 製造会社または資材会社 |
| 6. 販売準備 | 撮影、ECサイト、商標の出願など | 各専門の会社・自分 |
1〜3は売上が立つ前に出ていく費用です。4は売れれば回収でき、5と6はブランドの見え方を決める費用です。
型とデザインの費用で、公開されている金額
型やデザインの費用を公式に出している会社は多くありません。掲載18社で確認できた例を並べます。
| 会社 | 公式記載 |
|---|---|
| トーキョードライブ | シンプルなリングの原型・ゴム型代は中国生産約30,000円〜、国内生産約60,000円〜(税表記なし) |
| クリエイトタカノ | キャスト製品のデザイン画料・原型料・ゴム型料などは製品により2万〜5万円位が目安(税表記なし) |
| Bizarre D.L.C | デザイン画は無料(多数のデザインは有料の場合あり)。金属原型は有料 |
| 和心 | 商品代金以外にデザイン代・データ作成・型代・サンプル作成代(金額の記載なし) |
| 石友・ラッキーアンドカンパニー | 石友は原型を同社で作る場合に原型代を負担、ラッキーアンドカンパニーはホールセール(ODM)で原型代の入金後にサンプル製作(いずれも金額の記載なし) |
| GEMILYA | オリジナルの形は1個でも設計・原型の費用がかかる(金額の記載なし) |
型の費用は1型ごとにかかります。最初のコレクションを5型にすれば、この費用が5回分必要になる点に注意してください。
サンプル費と、サンプルだけ頼めるか
サンプルは、販売する数量を作る前に実物を確かめるための費用です。サンプルを作ったあとにやめられるかどうかで、立ち上げのリスクが変わります。
| 会社 | サンプルの扱い(公式記載) |
|---|---|
| トーキョードライブ | サンプル代15,000円〜が目安。本生産が前提で、原型・サンプルのみの依頼は不可 |
| OPULA | サンプルはすべて有料。サンプルのみの製作は不可 |
| Bizarre D.L.C | サンプルは有料(3〜4週間)。サンプルがOKなら最終見積と納期を提出 |
| 石友 | 製品に近いシルバー製の店頭サンプルを作れる。コストは問い合わせ |
| GEMILYA | サンプル1個で形・重さ・着け心地を確認してから数量へ。有償工程は見積承認後に開始 |
本生産が前提の会社では、サンプルを見てやめる選択が取りにくくなります。テスト販売から始めたいなら、その進め方を受けている会社かを先に確かめてください。
最低取引額と最小ロットで、初回在庫の下限が決まる
初回在庫の金額は、単価×数量で決まります。ただし最小ロットや最低取引額があると、それより少なくは作れません。
| 会社 | 下限の条件(公式記載) |
|---|---|
| OPULA | 簡易カスタマイズ30個〜・20万円〜、フルカスタマイズ100個〜・50万円〜 |
| 和心 | 初回の最低取引額15万円〜 |
| スペース | K10/K18/Pt 1色6個〜、SV925 12個〜、合金30個〜(国内)、真鍮50個〜・ステンレス100個〜(中国) |
| トーキョードライブ | 合金・真鍮・SV925のオリジナル1色50個〜、18金30個〜 |
| GEMILYA | 最低ロットなし・1個〜 |
概算単価から、初回在庫の金額をつかむ
単価を公開している会社の数字を使うと、初回在庫のおおよその金額が出せます。以下は公式の参考単価に数量を掛けた計算例です。
| 例 | 公式の参考単価 | 計算 |
|---|---|---|
| SV925リングを100個(和心) | 100個の場合 ¥4,000〜(税表記なし) | 40万円〜 |
| SV925ピアス(片耳)を100個(和心) | 100個の場合 ¥2,000〜(税表記なし) | 20万円〜 |
| SV925リングを30個(OPULA) | ¥2,000〜¥8,000(税抜) | 6万〜24万円。ただし最低取引金額20万円〜 |
これに型代やサンプル代が別にかかります。シルバーの単価は銀相場で変わるとOPULAは明記しているので、見積の時点の金額で計算し直してください。
支払いのタイミングを先に知る
立ち上げ期は、売上が入る前に支払いが続きます。初回の取引で前払いを求める会社もあるため、資金の出ていく時期を確かめてください。
- GEMILYA: 初めての取引は発注時に全額前払い(銀行振込)。金額が大きい場合は着手金と納品前の残金の2回に分けられる
- トーキョードライブ: 個人は見積額の全額前払い、法人の初回は初期費用+製作費の約50%を着手金
- OPULA: 全額前受金
- Bizarre D.L.C: 初回は入金後の生産とする場合あり
- ラッキーアンドカンパニー: ホールセール(ODM)の流れでは原型代の入金後にサンプルを製作
費用を抑えるなら、この順番で考える
初期費用を抑える方法はいくつもありますが、ブランドの印象を落とさない順番があります。上から順に検討してください。
- 最初のコレクションの型数を減らす(型の費用は型数に比例する)
- 1型あたりの初回数量を、最小ロットが小さい会社で絞る
- 素材を価格帯に合わせる(同じ形でもシルバーと真鍮で地金代は大きく違う)
- サンプルの回数を減らすため、3Dの画像の段階で修正を出し切る
- パッケージは既製品から始め、売れ筋が見えてからオリジナルにする
撮影や商標の出願は、削るとあとで取り返しがつきにくい費用です。製造の費用を抑えてでも、ここには予算を残しておくことを勧めます。
見積を受け取ったら、6つの箱のどこに入る費用なのかを1行ずつ振り分けてください。箱が空いている項目は、あとから別の請求になる可能性があります。
この記事に出てくる会社
- 株式会社Bizarre D.L.C言葉と写真からデザイン画を起こす
- 株式会社クリエイトタカノ初めての事業者に販売データで助言
- GEMILYA(ジェミリア)ラフ1枚から、1個のサンプルで始める
- 株式会社石友秘密を守って貴金属ブランドを
- 株式会社ラッキーアンドカンパニー法人ブランドをコンセプトから
- OPULA予算を先に決めるシルバーブランド
- 有限会社スペース売れ筋データで最初のコレクションを
- トーキョードライブラフから50個でブランドを出す
- 株式会社和心店舗直送の形までシルバーで
参照元
よくある質問
ジュエリーブランドを立ち上げるのに最低いくら必要ですか?
型数・素材・数量で大きく変わるため一律には言えません。公開例では、トーキョードライブがシンプルなリングの原型・ゴム型代を中国生産約30,000円〜・国内生産約60,000円〜、サンプル代15,000円〜としています(税表記なし)。OPULAは最低取引金額を20万円〜としています。
サンプルだけ作って、売れそうか確かめられますか?
会社によります。トーキョードライブとOPULAはサンプルのみの製作を受けていません。GEMILYAはサンプル1個で実物を確認してから数量を作る進め方を案内しており、ダイアート三枝はテスト販売用の少量から相談できるとしています。
支払いは納品後でもいいですか?
初回は前払いを求める会社があります。GEMILYAは初めての取引は発注時に全額前払い、OPULAは全額前受金、トーキョードライブは個人なら全額前払いです。継続取引になると条件を相談できる会社もあります。
【条件別】ジュエリーブランド立ち上げ支援おすすめ3選
ラフ1枚から、サンプル1個で始めるなら
PRGEMILYA(ジェミリア)
OEMもODM型も同じ窓口。個人も法人と同じ条件
図面や3Dデータを持ち込むOEMと、手描きのラフや参考画像から形を起こすODM型の両方を、サンプル1個から同じ窓口で受ける。最低ロットはなく、SV925・K18・K10・Pt900・真鍮の5種を1個から作れる。個人・個人事業主・法人で対応内容に差はないと公式に明記し、未発表の企画は秘密保持契約を結んでから預かる。
売れ筋の情報を取り入れて、素材別の小ロットで組むなら
有限会社スペース
卸の商品動向分析でデザインを提案。K10・K18・Ptは1色6個から
上野のOEM・ODM会社で、約20年で200社ほどと取引。卸事業での商品動向の分析・予測をもとにデザインを提案でき、個人でも条件に同意すれば取引できるとQ&Aで答えている。最小ロットは素材ごとに公開されていて、K10・K18・プラチナが1色6個から、SV925が12個から、合金が30個から(いずれも国内生産)。
K18・プラチナで本格的に始め、テスト販売から量産するなら
株式会社ダイアート三枝
コンセプトと価格帯から素材・製法を提案。甲府と高岡の自社工場で
1966年創業(法人設立1976年)、甲府の本社工場と高岡工場で、デザイン・CAD・原型・鋳造・研磨・石留め・検品まで社内一貫。ISO9001認証、貴金属装身具製作技能士22名。イメージやラフ案の段階から相談でき、ブランドコンセプトや販売価格帯に合わせて素材・仕様・製造方法を提案する。まずは少量のサンプルやテスト販売用の製造から相談できるとFAQにある。