撹拌脱泡機 · 用途別
ペール缶・大容量の撹拌脱泡を量産で回す|20L缶2〜4個掛けからトン単位のタンクまで【2026年版】
量産で毎日大量の材料を撹拌脱泡する工場では、1バッチの量、容器の受け渡し、研究機からのスケールアップが装置選びの中心になります。掲載メーカーの公式情報から、ペール缶の自転公転式、ドラム缶・タンクの真空撹拌まで、大容量の選択肢を整理しました。
研究室では数十グラムで済んだ撹拌脱泡も、量産になると1日に何十キロも処理します。小分けして小型機を何度も回すと、手間も材料のロスも増えます。
この記事では、量産で大容量を処理するための装置を、掲載メーカーの公式情報で整理します。
量産の撹拌脱泡で考える3つのこと
大容量の装置を選ぶときは、容量の数字だけでなく、工程の流れで考えます。最初に決めたいのは次の3つです。
- 1バッチの量と1日のバッチ数(必要な処理能力)
- 材料が届く容器(ペール缶、ドラム缶、タンク)と、処理後に送る先
- 研究機で決めた条件を、量産機でも再現できるか
この3つが決まると、自転公転式で足りるか、タンクで練る方式にするかが見えてきます。
自転公転式の大容量機を比べる
自転公転式でも、ペール缶をそのまま入れられる機種があります。公式表記の最大クラスを並べます。
| メーカー | 機種 | 容量(公式表記) | 真空 |
|---|---|---|---|
| 三星工業 | HR200 | 20L×4個(20Lペール缶をそのまま投入) | 大気圧・真空(V型) |
| 共立精機 | HM-20000W | 20,000ml×2(ペール缶2個掛け) | 大気圧 |
| EME | UFO-36 | 18L容器×2個掛、最大積載量50kg | 真空 |
| シンキー | ARV-10kTWIN | 14.5kg×2(最大積載量29kg) | 真空 |
| クラボウ | KK-10000 | 10kg×2カップ | 大気圧 |
| 写真化学 | 大容量モデル | 4000mL×2〜7000mL×2カップ(容積) | 大気圧・真空 |
真空で大容量を処理したいなら、EMEのUFO-36やシンキーのARV-10kTWIN、三星工業の真空型が候補です。共立精機の真空型は最大でHM-2500WV(2,500ml×2)です。
容器の数で処理量を稼ぐ
自転公転式は、1回に載せる容器の数でも処理量が変わります。三星工業のハイ・ローターは容器4個搭載を標準とし、プロペラ式撹拌装置の処理量に迫る4個掛けの大容量モデルを選べると説明しています。
- 4個掛け: 三星工業ハイ・ローター(HR003〜HR200)
- 2個掛け: シンキーのTWIN機、EMEのUFOシリーズ、クラボウのKK-400W〜KK-5000W、共立精機HM-20000W
- EMEのUFO-10は2.5L容器×4個掛(最大積載量14kg)
容器の数が増えると、左右の重さをそろえる手間も増えます。セットと取り出しの作業時間をデモで測ると、実際の処理能力が分かります。
ドラム缶やタンクで処理するなら
ペール缶を超える量は、羽根で混ぜながら真空で脱泡する装置の領域です。掲載メーカーの大型機を並べます。
| メーカー | 装置 | 公式の容量・仕様 |
|---|---|---|
| 大塚製作所 | 大型脱泡機(遊星型・バタフライ型) | 仕込み1.5t〜3t仕様 |
| 大塚製作所 | ドラム缶攪拌脱泡機(ディスパー型・遊星型) | オープンドラム缶のまま撹拌脱泡、羽根は仕様に応じてオーダー設計 |
| 井上製作所 | プラネタリーミキサーPLMG型 | PLMG-350〜PLMG-2300(PLMG-2300は全容量2,350ℓ)、真空はオプション |
| 愛工舎製作所 | 縦型ミキサーACM | ボール満容量約205Lまで、真空・脱泡(V) |
タンク方式は、羽根の形や回転、真空の段階を材料に合わせて設計します。大塚製作所は、テストで条件設定や最適な脱泡方法をコンサルティングすると記載しています。
研究機から量産機へ条件を移す
量産で一番困るのは、研究室で出た結果が量産機で再現できないことです。同じ方式で小型から大型までそろうメーカーは、移行の手がかりを公式に書いています。
- 三星工業: 小型のハイローターで決めた分散脱泡条件をHR200で再現可能と説明
- シンキー: ARV-10kTWINはラボ機の性能を実現する量産対応機と記載
- 共立精機: 小型卓上機から大型大容量機(Max. 40ℓ バッチ)までラインナップ
- 井上製作所: 研究開発用の小型機(ラボ機)を販売し、PLM-2(全容量2ℓ)から大型機までそろえる
スケールアップの際は、同じ材料で小型機と大型機の両方を試し、泡と分散の状態を同じ方法で比べてください。
大容量機の設置と運用で確かめること
大容量機は重く、電源や床の条件も厳しくなります。公式に書かれている運用面の情報です。
| 項目 | 公式の記載の例 |
|---|---|
| 重さ | 日本ソセー工業ZEROMAZE-20は150.5kg(本体架台部135.5kg+真空ベルジャー15kg) |
| 保守 | 三星工業はセルフメンテナンス(駆動リング交換・オイル交換・グリスアップ)のみ、消耗品費は大型機でも年間数万円レベルと記載。EMEは大型機は条件に応じ技術者が保守、年1回の定期メンテナンス契約も |
| 音と振動 | 三星工業はアウターリング方式で低振動・低騒音 |
| データ | EMEはPLCでのロギング、IoTゲートウェイに対応(FAQ) |
搬入経路、床の強度、電源容量は、メーカーと現地で確認するのが確実です。保守の費用は、年間の目安を見積の段階で聞いてください。
量産機のデモとテストの頼み方
大容量機は持ち運べないため、デモはメーカーの施設で行うのが基本です。公式の案内をまとめます。
- シンキー: 中大型機はアプリケーションラボで専門のオペレーターとともにテスト
- EME: 実験センターでのテスト(小型機の貸出は初回1週間無償)
- 写真化学: 草津事業所と東京テクニカルセンターのデモルーム
- 三星工業: 社内のデモ機で分散・脱泡・充填テスト、デモ機のレンタル等
- 大塚製作所: 機械試用テスト。要望によりテスト機の貸出
クラボウは中〜大型機のデモ機について別途問い合わせとしています。量産の材料をまとまった量で用意して、実際の容器で試してください。
1日の処理能力を見積もる
大容量機は、1回の量と1日の回数の掛け算で処理能力が決まります。見積の前に、次の順で数字を出しておくと、機種の提案が早くなります。
- 1日に処理する材料の総量を出す
- 1回の処理時間に、容器のセット・取り出し・待ち時間を足す
- 稼働時間を1回あたりの時間で割り、1日の回数を出す
- 総量を回数で割り、1回に必要な量から機種の容量を選ぶ
容量の大きい1台にするか、中型を2台にするかでも、故障時の止まり方が変わります。生産を止められない工程では、台数の分け方も相談してください。
容器の受け渡しを楽にする工夫
量産では、重い缶を持ち上げてセットする作業が負担になります。容器の扱いを楽にする工夫を公式に書いているメーカーがあります。
- 日本ソセー工業: ZEROMAZE-20は材料缶を持ち上げて載せるだけの簡単セットのホルダーを採用、操作パネルを手元に配置
- 写真化学: 量産で使っている指定ボトルをそのまま使った導入事例
- 三星工業: 20Lペール缶をそのままHR200に入れられる。専用の自動ハンドリングシステムも販売
缶をそのまま使えれば、移し替えのロスと洗浄が減ります。自動ハンドリングまで考えるなら、ライン全体の配置も一緒に相談してください。
大容量の撹拌脱泡で相談先を選ぶ目安
最後に、量と方式ごとの相談先をまとめます。いずれも価格は公式に記載がないため、テストと見積を並行してください。
- 20Lペール缶を4個同時に: 三星工業(HR200)
- ペール缶2個を無償デモで確かめてから: 共立精機(HM-20000W)
- 真空で大容量を: EME(UFO-36)、シンキー(ARV-10kTWIN)
- ドラム缶・トン単位のタンク: 大塚製作所、井上製作所
量が決まれば候補は2〜3社に絞れます。同じ材料で並べてテストし、処理時間と仕上がりで比べてください。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社愛工舎製作所防爆と真空を両立したいなら
- 株式会社EME真空脱泡とシリンジ充填の本命
- 株式会社井上製作所ペーストを大量に練って脱泡するなら
- 共立精機株式会社ペール缶ごと量産するなら
- 三星工業株式会社4カップで量を稼ぐなら
- 日本ソセー工業株式会社注入工程と一緒に考えるなら
- 株式会社大塚製作所トン単位・ドラム缶の脱泡なら
- 株式会社写真化学回転比を細かく詰めたいなら
- 株式会社シンキー研究開発用途の本命
参照元
よくある質問
ペール缶をそのまま入れられる撹拌脱泡機はありますか?
あります。三星工業のHR200は20Lペール缶をそのまま入れられる20L×4個のモデル、共立精機のHM-20000Wはペール缶2個掛け(20,000ml×2)です。日本ソセー工業のZEROMAZE-20は20Lペール缶用の容器回転式真空脱泡撹拌機です。
真空で大容量を処理できる自転公転式は?
EMEのUFO-36(18L容器×2個掛、最大積載量50kg)、シンキーのARV-10kTWIN(14.5kg×2)が公式の最大クラスです。三星工業のハイ・ローターにも真空型があります。
研究機の条件を量産機で再現できますか?
三星工業は小型のハイローターで決めた条件をHR200で再現可能と説明し、シンキーはARV-10kTWINをラボ機の性能を実現する量産対応機と記載しています。同じ材料で両方を試して確認してください。
【用途別】撹拌脱泡機メーカーおすすめ3選
研究開発の少量試料を、自分の材料で試してから選ぶなら
株式会社シンキー
大気圧型と真空型を140g機から14.5kg×2の量産機まで。評価機器のあるラボでテストできる
自転・公転方式ミキサーあわとり練太郎の開発元。大気圧タイプは最大積載量140gのAR-100から5kg×2のARX-5000TWINまで、真空タイプは310gのARV-310Pから14.5kg×2のARV-10kTWINまでそろえる。デモは本社アプリケーションラボでのテスト、材料預かり、デモ機貸出(通常1週間程度)の3方法から選べる。
接着剤・封止材を真空で脱泡し、シリンジ充填までつなぐなら
株式会社EME
真空式は330gから18L容器×2個掛(50kg)まで。遠心力のシリンジ充填機も自社製
自公転式の真空撹拌脱泡ミキサーを、V-mini330(最大積載量330g)から18L容器×2個掛で最大積載量50kgのUFO-36までそろえる。撹拌脱泡した材料を真空下で遠心充填する専用機も自社製で、FAQでは気泡の再混入はないと説明。装置はクリーンクラス1000に対応し、小型機の貸出は初回1週間無償とFAQに記載。
ペール缶のまま量産し、無償デモで確かめてから買うなら
共立精機株式会社
50mLからペール缶2缶同時(20,000ml×2)まで。各機種でデモ機を無償貸出
自転公転式撹拌脱泡機ハイマージャを、最大50mLのHM-50SEから、ペール缶を2缶同時に撹拌できるHM-20000W(20,000ml×2)までそろえる。真空タイプは4機種。最大400Gの遠心力、自転・公転比率110通りのメカ式変速モデルもある。各製品ページでデモ機無償貸出中と案内し、加工テストも随時受け付ける。
自社の材料に合う撹拌脱泡機を、無料で相談する
材料の種類(樹脂・ペースト・粉体の有無)、粘度、1回の処理量、使っている容器、真空が必要かどうかを送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載メーカーへ匿名で概要を伝え、デモやテストの窓口をおつなぎします。費用はかかりません。