撹拌脱泡機 · 用途別
2液樹脂の注型・ポッティング前の撹拌脱泡|缶のまま真空で混ぜて注入につなぐメーカー【2026年版】
エポキシ・ウレタン・シリコーンの2液樹脂で注型やポッティングをする工場では、撹拌脱泡と注入を一続きで考える必要があります。掲載メーカーの公式情報から、缶のまま処理できる装置、注入機メーカーの撹拌脱泡機、真空注型との組み合わせを整理しました。
2液の樹脂は、主剤と硬化剤を混ぜた時点から硬化が始まります。混ぜて泡を抜き、注入するまでを、可使時間の中で終える段取りが必要です。
この記事では、注型・ポッティングの前工程としての撹拌脱泡を、掲載メーカーの公式情報で整理します。
注型・ポッティングで撹拌脱泡が重要な理由
注型品やポッティングした部品に泡が残ると、外観の欠けや、電気絶縁の不良につながります。三双機工は、電装部品メーカーの製造現場で使われる絶縁用液体プラスチック材料の処理装置を作ってきたと公式に説明しています。
- 主剤と硬化剤を均一に混ぜないと、硬化ムラが出る
- 混ぜるときに巻き込んだ泡が、硬化品の中に残る
- 注入の工程でも泡を巻き込むため、注入も真空で行うことがある
撹拌脱泡だけでなく、注入まで含めた工程で泡を減らす視点が大事です。注入装置のメーカーが撹拌脱泡機も作っている理由はここにあります。
注入装置メーカーが作る撹拌脱泡機
掲載15社のうち、注入・注型装置を主力とし、撹拌脱泡機も作っているメーカーです。いずれも羽根で混ぜて真空で泡を抜く方式です。
| メーカー | 撹拌脱泡の製品 | 本業の装置 |
|---|---|---|
| 日本ソセー工業 | 容器回転式真空脱泡撹拌機ゼロマゼ、ZEROMAZE-20 | エポキシ・ウレタン・シリコーン樹脂などの自動定量注入機、真空注型 |
| トリイ | 自動真空脱泡撹拌機TVDF-P | 2液型ディスペンサー、自動真空注型ライン、真空注型機 |
| 三双機工 | 真空混合機VBSシリーズ | 注入機・真空注入機、真空ポンプユニット、樹脂予熱槽 |
| 大塚製作所 | 真空攪拌脱泡装置(各種) | 真空脱泡機・真空含浸装置・真空注型機 |
注入機と同じメーカーでそろえると、容器の受け渡しや配管をまとめて設計できます。工程全体の図を描いて相談するのが近道です。
缶のまま混ぜて脱泡できる装置
材料が缶で届く場合、移し替えずに缶のまま処理できれば、手間と材料のロスを減らせます。公式に缶をそのまま使えると記載している装置です。
| 装置 | 対応する容器(公式表記) | 主な仕様 |
|---|---|---|
| 日本ソセー工業 ZEROMAZE-20 | 20Lペール缶(ストレート・テーパー) | 容器回転〜60rpm・自動反転、タイマー1〜99分 |
| 日本ソセー工業 ゼロマゼ | 外径φ90〜φ180・高さ220mmの容器 | 容器回転0〜100rpm、SUS製羽根(1L/2L/3L) |
| トリイ TVDF-P | 材料容器1〜10ℓ、オプションで200cc程度や使い捨て容器 | 容器回転20〜120rpm(標準4ℓ仕様)、真空ポンプ内蔵 |
| 大塚製作所 | ドラム缶、ペール缶 | ドラム缶攪拌脱泡機(ディスパー型・遊星型)、ペール缶脱泡装置 |
トリイは、撹拌羽根が容器の内壁ぎりぎりで固定されるので高粘度でもムラなく撹拌できると説明しています。日本ソセー工業は、ZEROMAZE-20の4〜10Lサイズを特殊仕様で対応するとしています。
自転公転式を使う場合
羽根を入れたくない材料や、少量の注型では、自転公転式も候補になります。容器ごと処理するので、羽根の洗浄が要りません。
- 共立精機: 樹脂・接着剤・シーリング剤が対象。HM-20000Wはペール缶2個掛け
- 三星工業: 20Lペール缶をそのまま入れるHR200(20L×4個)
- EME: エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ゴム類を対応材料に挙げる
- 写真化学: 公転自転比を最大90通りに設定
自転公転式は撹拌と脱泡を同時に短時間で行えるため、可使時間の短い材料で有利な場合があります。注入機への受け渡しの方法は、別途検討が必要です。
真空注入・真空注型と組み合わせる
撹拌脱泡しても、注入するときに泡を巻き込めば意味がありません。注入も真空で行う装置を、同じメーカーで用意している例があります。
- 三双機工: 真空注入機、真空注入用の真空槽、材料の予備脱泡用の真空ポンプユニット
- トリイ: 1液・2液型の全自動真空注型ライン、真空注型機TVMシリーズ、2液エポキシ自動計量混合真空注入装置の事例
- 日本ソセー工業: ソバックシステム(真空注入・真空注型)
- 大塚製作所: 真空注型機、真空含浸装置
注入まで真空にするかどうかは、製品の形と求める品質で決まります。三双機工は工場の試験機で真空注入テストができるとFAQで答えています。
2液の自動計量混合と撹拌脱泡の分担
2液の樹脂は、計量と混合を自動化する装置もあります。撹拌脱泡機とどう分担するかを整理します。
| 工程 | 使う装置の例(公式の記載) |
|---|---|
| 主剤・硬化剤それぞれの脱泡 | 真空ポンプユニット、ペール缶脱泡装置(三双機工、大塚製作所) |
| 計量と混合 | 2液型自動計量混合吐出装置(トリイ)、2液スーパーショット(日本ソセー工業) |
| 混合後の撹拌脱泡 | ゼロマゼ、TVDF-P、VBSシリーズ |
| 注入 | 真空注入機、真空注型機 |
自動計量混合吐出装置を使えば、混合後の撹拌脱泡を省ける場合もあります。どこで泡が入るかを工程ごとに確かめてから、装置の組み合わせを決めてください。
防爆と保守の確認
注型の現場では、溶剤による洗浄や、真空ポンプの保守も日常の作業です。公式に書かれている注意点を挙げます。
- 日本ソセー工業: ゼロマゼ・ZEROMAZE-20とも防爆・防水仕様ではないと明記
- 日本ソセー工業: ZEROMAZE-20は真空ポンプを外置きにしてオイル交換や管理を容易に
- 三双機工: VBSシリーズは溶剤洗滌プログラム付き
- トリイ: 真空槽は透明アクリル製で内部を目視できる
溶剤を使う洗浄がある場合は、防爆の要否を工場の基準で確認してください。標準品で合わない場合は、特殊仕様として相談します。
可使時間から段取りを逆算する
2液の樹脂は、混ぜてから硬化が始まるまでの時間に限りがあります。撹拌脱泡と注入を、その時間の中に収める段取りが必要です。
- 材料の可使時間を確認する
- 撹拌脱泡にかかる時間を決める(トリイTVDF-Pの撹拌タイマーは0〜15分・連続、日本ソセー工業のゼロマゼは1〜99分)
- 容器の付け替えと注入機への受け渡しの時間を足す
- 注入と真空注型の時間を足して、可使時間に余裕があるかを見る
余裕がない場合は、1回の量を減らすか、計量混合と注入を自動化する方法を検討します。テストで実際の時間を測ってから決めてください。
テストで確かめたい4つの点
2液樹脂の撹拌脱泡は、テストで工程の時間と仕上がりを同時に確かめます。見るべき点を挙げます。
- 硬化品の断面に泡が残っていないか
- 主剤と硬化剤が均一に混ざり、硬化ムラがないか
- 撹拌中の温度上昇で可使時間が短くならないか
- 容器の付け替えと清掃にかかる時間
- 真空槽の中で材料があふれないか(トリイは真空状態で撹拌するので材料があふれにくいと説明)
三双機工は工場の試験機で真空注入テストができると記載しています。撹拌脱泡と注入を一緒に試せる場所で、工程全体を確かめるのが理想です。
2液樹脂の撹拌脱泡を相談するときの順番
最後に、相談の進め方をまとめます。工程全体を描いてから相談すると、提案の精度が上がります。
- 材料(主剤・硬化剤の粘度と配合比、可使時間)と1日の使用量を整理する
- 今の工程で、どこで泡が入っているかを確かめる
- 缶のまま処理したいか、計量混合を自動化したいかを決める
- 注入機メーカー(日本ソセー工業、トリイ、三双機工)と自転公転式メーカーの両方に相談する
テストの可否は、トリイと日本ソセー工業は公式に記載がありません。問い合わせの最初に確認してください。
この記事に出てくるメーカー
参照元
よくある質問
ペール缶のまま2液樹脂を真空で撹拌脱泡できますか?
できます。日本ソセー工業のZEROMAZE-20は20Lペール缶をそのまま取り付ける容器回転式真空脱泡撹拌機です。大塚製作所はペール缶脱泡装置やドラム缶攪拌脱泡機を作っています。
注入まで真空で行う装置はありますか?
三双機工は真空注入機と真空注入用真空槽、トリイは全自動真空注型ラインと真空注型機、日本ソセー工業はソバックシステム(真空注入・真空注型)を扱っています。
10ℓ以下の容器で撹拌と脱泡を同時にしたい場合は?
トリイのTVDF-Pは材料容器1〜10ℓに対応し、固定した羽根と容器の回転で撹拌しながら簡易型の真空脱泡槽で脱泡します。真空ポンプを内蔵した一体型です。
【用途別】撹拌脱泡機メーカーおすすめ3選
研究開発の少量試料を、自分の材料で試してから選ぶなら
株式会社シンキー
大気圧型と真空型を140g機から14.5kg×2の量産機まで。評価機器のあるラボでテストできる
自転・公転方式ミキサーあわとり練太郎の開発元。大気圧タイプは最大積載量140gのAR-100から5kg×2のARX-5000TWINまで、真空タイプは310gのARV-310Pから14.5kg×2のARV-10kTWINまでそろえる。デモは本社アプリケーションラボでのテスト、材料預かり、デモ機貸出(通常1週間程度)の3方法から選べる。
接着剤・封止材を真空で脱泡し、シリンジ充填までつなぐなら
株式会社EME
真空式は330gから18L容器×2個掛(50kg)まで。遠心力のシリンジ充填機も自社製
自公転式の真空撹拌脱泡ミキサーを、V-mini330(最大積載量330g)から18L容器×2個掛で最大積載量50kgのUFO-36までそろえる。撹拌脱泡した材料を真空下で遠心充填する専用機も自社製で、FAQでは気泡の再混入はないと説明。装置はクリーンクラス1000に対応し、小型機の貸出は初回1週間無償とFAQに記載。
ペール缶のまま量産し、無償デモで確かめてから買うなら
共立精機株式会社
50mLからペール缶2缶同時(20,000ml×2)まで。各機種でデモ機を無償貸出
自転公転式撹拌脱泡機ハイマージャを、最大50mLのHM-50SEから、ペール缶を2缶同時に撹拌できるHM-20000W(20,000ml×2)までそろえる。真空タイプは4機種。最大400Gの遠心力、自転・公転比率110通りのメカ式変速モデルもある。各製品ページでデモ機無償貸出中と案内し、加工テストも随時受け付ける。
自社の材料に合う撹拌脱泡機を、無料で相談する
材料の種類(樹脂・ペースト・粉体の有無)、粘度、1回の処理量、使っている容器、真空が必要かどうかを送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載メーカーへ匿名で概要を伝え、デモやテストの窓口をおつなぎします。費用はかかりません。