バリ取り機 · 基礎知識
バリ取り機の見積依頼(RFQ)に書くべき項目20|ワーク図面・材質・数量・要求品質【2026年版】
バリ取り機の見積依頼(RFQ)に書く20項目を、ワーク(図面・材質・寸法・重量・表面)、バリ(発生工程・箇所・写真・要求品質・検査方法)、生産条件(数量・品種・ロット・目標時間・稼働)、環境(設置・ユーティリティ・自動化・安全・納期)の4グループで解説します。
バリ取り機の見積は、こちらが渡す情報の量で精度が決まります。このページでは、見積依頼(RFQ)に書くべき20項目を4つのグループに分けて説明します。
複数社に同じ条件で依頼できる形にすることが目的です。最後に、見積書の内訳の指定方法もまとめます。
RFQの精度が見積の精度を決める
主要メーカーの公式サイトに価格の記載はなく、仕様と付帯設備で価格が変わります。同じ機種でも、加工幅・板厚・ヘッド数・集じん・水処理の有無で見積は別物になります。
- 情報が足りない依頼:メーカーが安全側に構成を盛り、見積が高く出る
- 条件がばらばらの依頼:複数社の価格差の理由が分からない
- 合格基準がない依頼:検収でもめ、手戻りが出る
- 品種の幅を伝えない依頼:代表ワークだけで機種が決まり、他品種で使えない
日本ロボットシステムインテグレータ協会は、ロボット導入相談時に確認すべき項目を事前チェックシートとして公開しています。同協会の手引きでは、整理レベルが高い状態で連携を始めると導入がスムーズに進むとされています。
以下の20項目は、板金機・ロボット・バレル・電解・熱のどの方式にも共通します。方式が決まっていなくても、埋めた分だけ提案が具体的になります。
項目1〜5:ワークの図面・材質・寸法・重量・表面
最初のグループはワークそのものです。機械の対応範囲(板厚、加工幅、可搬質量、槽容量)と照合するための情報になります。
| 番号 | 項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 1 | 図面・3Dデータ・写真 | 代表品種に加え、最も難しい品種と最も小さい品種 |
| 2 | 材質 | SPCC、SUS304、A5052、ADC12、PPSなど規格名で |
| 3 | 寸法の範囲 | 板厚の最小〜最大、外形の最小〜最大、穴径 |
| 4 | 重量 | 1個あたりの最小〜最大。ロボットの可搬質量と照合 |
| 5 | 表面の状態と保護 | 意匠面の有無、保護フィルム、めっき・塗装の前後 |
板金機の公式仕様には、対応板厚0.5〜12.7mm、板幅最大600mmといった数値があります。項目3の範囲が両端とも仕様に入るかを、メーカー側で判定してもらいます。
板金機械メーカーの解説では、亜鉛めっき鋼板やステンレス鋼は特にドロスが出やすいとされています。材質は「鉄」ではなく規格名で書くと、この判断がメーカー側でできます。
項目6〜10:バリの発生工程・箇所・写真・要求品質・検査方法
次はバリの情報です。工具メーカーの解説では、切削は塑性流動、せん断は素材の流れ込み、鋳造は型の合わせ目への流れ込みで発生するとされ、発生工程でバリの性質が決まります。
| 番号 | 項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 6 | 発生工程 | レーザー、パンチ、切削、鋳造、射出成形 |
| 7 | 発生箇所 | 外周エッジ、穴の出口、交差穴、パーティングライン |
| 8 | 残留物の分類と写真 | バリ・ドロス・酸化被膜・スパッタを分けて撮影 |
| 9 | 要求品質 | JIS B 0051 のエッジ指示(+、−、±と数値)、R量、二次バリの可否 |
| 10 | 検査方法 | 目視、拡大鏡、顕微鏡、測定機のどれで合否を決めるか |
項目9は、図面が「バリなきこと」だけなら、JIS B 0051 の記号で許容範囲を決めてから書きます。かどのエッジに「−」を指示した場合、ばりは許容されません。
項目10を書かないと、メーカーのテスト結果と自社の検査で合否が食い違います。検査の倍率と方法を先に決めてください。
項目8の写真は、残留物ごとに1枚ずつ撮ります。裏面のドロス、側面の酸化被膜、エッジのバリは発生場所が違うため、1枚にまとめると除去に必要な工具が伝わりません。
項目11〜15:数量・品種数・ロット・目標時間・稼働時間
生産条件は、専用機かロボットか汎用機かの分かれ目です。熱バリ取りの装置メーカーは「30〜60秒のサイクルで数百個の部品まで加工」と記載しており、数量の桁で候補方式が変わります。
| 番号 | 項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 11 | 月産数量 | 品種ごとの月産数。上位品種から順に |
| 12 | 品種数 | 現在の品種数と、年間の追加見込み |
| 13 | ロットサイズ | 1回に流す数量と段取り替えの回数 |
| 14 | 目標サイクルタイム | 1個あたりの目標時間、または1日の処理目標 |
| 15 | 稼働時間 | 1直・2直、夜間無人運転の希望 |
項目12は、治具・電極・教示が品種ごとに必要な方式で費用を左右します。電解の装置メーカーは電極治具を「お客様のワークに合わせて独自に専用設計」すると記載しています。
項目13のロットサイズは、段取り替えの回数を決めます。1回に流す数量が少ないほど、機械の処理速度より品種切替の速さが効いてきます。
項目15で夜間無人運転を希望する場合は、ツールの折れ検出などの機能が候補の条件になります。ロボットシステムメーカーの中には、ツール折れ・伸び検出機構を標準装備と記載する会社があります。
項目16〜20:設置環境・ユーティリティ・自動化レベル・安全・納期
最後は環境と進め方です。ここが抜けると、据付時に電源・排水・面積が足りず、追加工事が発生します。
| 番号 | 項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 16 | 設置場所 | 幅×奥行×高さ、搬入経路、床荷重 |
| 17 | ユーティリティ | 電源(相・電圧)、エア、給排水、ガス、集じんダクトの有無 |
| 18 | 自動化レベル | 手載せ、コンベヤ搬送、ロボット供給・排出、前後工程との接続 |
| 19 | 安全・環境 | 安全柵の要否、粉じん・騒音・薬液の社内基準、リスクアセスメントの分担 |
| 20 | 納期と補助金 | 希望納期、補助金の申請予定、交付決定後に発注する旨 |
項目19は、ロボットを使う場合に労働安全衛生規則第150条の4が適用されるためです。厚生労働省の通達では、リスクアセスメントの結果を記録・保管することが求められています。
項目20は、交付決定前の契約が対象外になる補助金の通例に合わせます。電解の装置メーカーは標準機の納期を「約4か月程」と記載しており、納期が実施期間に収まるかも確認します。
見積書に分けて書いてもらう6つの内訳
RFQには、見積書の書式も指定します。項目を分けて提示してもらうと、メーカー間の比較と、品種追加時の費用の予測ができます。
- 本体:機種名、仕様(幅・板厚・ヘッド数・ロボット型式)
- 付帯設備:集じん機、水処理、コンベヤ、安全柵、洗浄・乾燥
- 治具・電極・ツール:品種ごとの単価と製作納期
- 据付・試運転・教示:搬入、基礎、電気・エア工事、条件出し
- 消耗品:ブラシ、ベルト、メディア、液、ガスの単価と交換周期
- 保守:定期点検、部品交換、遠隔サポートの契約料
同じ書式で複数社から受け取ると、価格差がどの内訳で生じているかが見えます。テスト加工の結果(処理時間、消耗品の減り、段取り時間)も、同じ書式に添えてもらってください。
20項目と6つの内訳が揃った依頼書は、そのまま補助金の申請書の設備欄と経費欄の下書きになります。1回作れば、次の機種選定でも使い回せます。
参照元
- ロボット導入事前チェックシート・導入支援の手引き(日本ロボットシステムインテグレータ協会)
- JIS B 0051:2004 製図−部品のエッジ−用語及び指示方法(規格本文)
- バリ取りとは(ジーベックテクノロジー)
- レーザー加工で発生するドロスとは(オーセンテック)
- バリ取り機 IBT-V(アマダ)
- サーマルデバリング法(TEM)(エクスツルードホーン)
- 電解バリ取り装置(アクリテック)
- バリ取りロボットシステム(豊電子工業)
- 産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正について(厚生労働省)
- 中小企業省力化投資補助金(中小企業基盤整備機構)
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領について
よくある質問
バリ取り機の見積依頼で最低限必要な情報は何ですか?
ワークの図面・材質・寸法・重量、バリの発生工程と写真、JIS B 0051 による要求品質、月産数量と品種数、設置場所とユーティリティ、希望する自動化レベルです。同じ条件で複数社に依頼してください。
見積書はどんな内訳で出してもらえばよいですか?
本体、付帯設備、治具・電極・ツール、据付・試運転・教示、消耗品、保守の6つに分けてもらいます。品種追加時の単価と納期も同じ書式に含めてもらうと、比較と予測ができます。
「バリなきこと」の図面で見積を頼めますか?
頼めますが、合格基準が定まらないため検収でもめます。JIS B 0051 のエッジ指示(+、−、±と数値)で許容範囲を決め、検査方法と一緒に依頼書に書いてください。
補助金を使う予定は見積依頼に書くべきですか?
書いてください。交付決定前の契約が対象外になる通例に合わせ、交付決定後に発注する前提の納期をメーカーに組んでもらう必要があります。
【用途別】バリ取り機メーカーおすすめ3選
レーザー・パンチ加工後の板金なら
オーセンテック株式会社
板金のバリ取りを機械化するなら、まずショールームへ
板金専用のブラシ式バリ取り機「AUDEBU」シリーズを幅0.1〜1,500mm・厚さ0.1〜20mmまで揃え、酸化被膜・ドロス除去専用の「BlackLine」も持つ。相模原のショールームに11機種を展示し、持ち込みワークでのテスト加工とオンラインデモに対応している。
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