バリ取り機 · 基礎知識
導入事例から見るバリ取り機の選び方時間・人数・処理量の数字の読み方【2026年版】
バリ取り機メーカーの公式サイトに載っている導入事例を集め、作業時間の短縮、人数や処理量の変化、数字のない事例に分けて整理しました。数字を読み違えないための注意点と、ワーク別に近い事例を持つメーカーの探し方をまとめています。

バリ取り機のメーカーの公式サイトには、仕様表のほかに導入事例が載っています。事例を読むと、そのメーカーがどんなワークで、どんな工程を、どれだけ変えたかがわかります。
このページでは、掲載33社の公式サイトにある導入事例を集め、読み方と探し方を整理しました。情報は2026年10月4日に確認したもので、数字は事例ページの書き方のまま載せています。
事例ページで最初に見る5つの項目
見出しの数字だけで判断すると、自社に当てはまらない事例を選んでしまいます。次の5つを順に確かめてください。
- 導入先の業種と、ワークの材質・形状
- 導入前の作業方法(手作業か、別の機械か)
- 導入したもの(装置一式か、工具やブラシの交換か)
- 成果の数字と、その比較の基準
- 数字の時点(取材時期や掲載日)
特に3は見落としやすい点です。工具を替えた事例と装置を入れた事例では、かかる費用の桁が違います。
作業時間の短縮を数字で示した事例
よく見られるのは、1個あたりや1回あたりの作業時間で成果を示す事例です。導入前と導入後の両方の数字が書かれているかを見てください。
| メーカー | 導入先(ワーク) | 公式に書かれた成果 |
|---|---|---|
| ジーベックテクノロジー | 株式会社ジャパン・ミヤキ(産業用ロボット部品、SUS304のタップ穴) | バリ取り時間が105〜120秒/個から40秒/個へ、工程が5工程から3工程へ |
| ジーベックテクノロジー | 社名非公開(半導体製造装置の冷却水配管用ブロック) | 面取り加工時間が60秒から15秒へ。手作業のバリ取り工程をカット |
| 不二製作所 | 株式会社ビック・ツール(医療用ドリル) | 1本あたり1分以上かかった手作業のバリ取りが、従来の半分以下に |
| マコー | 社名非公開(自動車部品、リング形状品) | 機械加工後のバリ取りが20分から2分へ(90%削減) |
| 不二製作所 | 社名非公開(熱硬化性樹脂の成形品) | 作業時間が半減し、1日の処理能力が約200個から約500個に |
ジャパン・ミヤキの事例は年間生産量3,000個と書かれているため、1個あたりの短縮を年間の時間に直して比べられます。こうした前提の数字がある事例ほど、自社の計算に使いやすくなります。
人の数や処理できる量で成果を示した事例
時間ではなく、作業に必要な人数や1日に処理できる量で成果を示す事例もあります。人手不足が導入の理由なら、こちらの指標が参考になります。
| メーカー | 導入先(業種) | 公式に書かれた成果 |
|---|---|---|
| オーセンテック | 倉敷レーザー株式会社 中部事業所(精密板金) | 2人がかりの作業が1人でこなせるように |
| オーセンテック | 株式会社フジムラ製作所(精密板金) | 複数の社員で4〜5時間かけていた仕分けが、1人で約6時間・1,500個超に |
| ワイテック | ダイキャストメーカーA社 | 8〜10人で日産10,000個以上を処理していたバリ取りで、作業員3人を削減 |
| 大同興業 | 黒田鋼管株式会社(パイプ加工) | 1本あたり2〜3秒、1日2,000本以上のバリ取りを効率化 |
| 不二製作所 | 社名非公開(PPS樹脂成形品) | 月産2万個の安定生産、バリ残りのクレームがゼロに |
ワイテックの事例では、3人分の年収から考えて1年で元を取ったと書かれています。投資回収の目安を事例から読む場合も、人件費の前提が自社と同じかを確かめてください。
数字のない事例から読み取れること
数字がなくても、選び方の手がかりになる事例はあります。導入の決め手や、導入までの進め方が書かれているからです。
- テストで決めた: 株式会社ホリゾンは、部品を持ち込んで試した仕上がりの良さを決め手に、オーセンテックのAUDEBU CXを導入しています。
- デモ機で試作した: 株式会社コバヤシゴム製作所は、岩城工業のデモ機で試作できると聞いて訪問し、真空プレスと同時にバリ取り装置を入れています。
- 夜間も動かす: 津田駒工業の鋳物バリ取り自動化ラインは、ロボットと専用ジグで投入から取出しまで自動化し、夜間自動運転もできると書かれています。
- 手直しを減らす: マコーのクランクシャフトの事例は、作業者への依存がなくなり、工程戻しを削減できたと書いています。
スギノマシンのように、材質と水の圧力を組み合わせた加工事例を載せるメーカーもあります。自社のワークと材質が同じ例があれば、テスト加工の条件を相談するときの出発点になります。
数字を読み違えないための注意点
事例の数字は、どれも条件つきの結果です。公式ページの書き方から、読み違えやすい点を拾いました。
- バリ取り以外の工程の数字: フジムラ製作所の数字は仕分け機AUDEBU SCANの効果で、マコーのベアリングの事例(処理時間を従来比1/5)は酸化スケール除去です。
- 工具と装置の違い: ジーベックテクノロジーの事例は、機械に取り付けるブラシやカッターによる改善です。
- 時点の違い: 不二製作所の事例には、取材当時2024年7月・2025年10月・2026年5月などの時点が書かれています。
- 社名非公開の事例: マコーや不二製作所の一部の事例は業種だけの掲載で、期間の記載もありません。
数字が大きい事例ほど、何と比べた数字か、どの工程の数字かを確かめてから比べてください。
ワークと工程から、近い事例を持つメーカーを探す
自社と同じワークの事例があるメーカーは、テスト加工の条件も早く決まります。公式の事例をもとに、ワークと工程ごとに並べました。
| ワーク・工程 | 公式に事例があるメーカーと導入先 |
|---|---|
| レーザー加工後の板金 | オーセンテック(倉敷レーザー株式会社、株式会社ホリゾン) |
| 鋳物・ダイカスト | 津田駒工業(鋳物バリ取り自動化ライン)、ワイテック(ダイキャストメーカーA社)、不二製作所(キングパーツ株式会社、株式会社JMC) |
| 切削部品の穴・交差穴 | ジーベックテクノロジー(株式会社ジャパン・ミヤキ)、スギノマシン(シリンダヘッドなどの加工事例)、マコー(クランクシャフト) |
| 樹脂・ゴムの成形品 | 不二製作所(PPS樹脂成形品)、岩城工業(株式会社コバヤシゴム製作所、株式会社アカネ技研) |
| 医療用の小物 | 不二製作所(株式会社ビック・ツールの医療用ドリル) |
| パイプ | 大同興業(黒田鋼管株式会社) |
キングパーツ株式会社の事例では、月産42万個のうち約9割の製品にブラストを使い、これまでに26台を導入したと書かれています。量産の規模が近いかどうかも、事例を選ぶときの目安になります。
気になる事例を、自社のテスト加工の条件に置き換える
事例は、テスト加工を頼むときの条件表を作る材料になります。近い事例を1〜2件選び、次の点をメーカーに聞いてください。
- 事例のワークと自社のワークで、材質・大きさ・バリの位置がどう違うか
- 事例の数字は、何台・何人・何時間の稼働での結果か
- 装置のほかに、治具や搬送、集じんなどの設備が必要だったか
- 同じ業種で、公開していない事例があるか
- 自社のワークで同じ数字を確かめるテストの方法と費用
同じ質問を2〜3社にすると、答えの具体性に差が出ます。テスト加工の結果と事例の数字を並べると、どのメーカーの説明が自社に近いかが見えてきます。
この記事に出てくるメーカー
- オーセンテック株式会社板金ワーク別に機種が揃う
- 大同興業株式会社鋼材の内外バリを同時に
- 株式会社不二製作所樹脂・微細バリのブラスト専業
- 株式会社岩城工業ゴム成形品バリ取りの専用機
- マコー株式会社洗浄同時のウェットブラスト
- 株式会社スギノマシン高圧水バリ取り+洗浄の集約
- 津田駒工業株式会社鋳物バリ取りのライン全自動化
- 株式会社ジーベックテクノロジー機上バリ取り工具の定番
- 株式会社ワイテック手工具から装置開発まで
参照元
- 株式会社ジーベックテクノロジー 事例(株式会社ジャパン・ミヤキ)
- 株式会社ジーベックテクノロジー 事例(冷却水配管用ブロックのバリレス面取り)
- 株式会社不二製作所 お客様事例(株式会社ビック・ツール)
- 株式会社不二製作所 お客様事例(キングパーツ株式会社)
- オーセンテック株式会社 導入事例(倉敷レーザー株式会社)
- オーセンテック株式会社 導入事例(株式会社フジムラ製作所)
- オーセンテック株式会社 導入事例(株式会社ホリゾン)
- マコー株式会社 コラム(自動車部品のバリ取り・当社実績)
- マコー株式会社 ウェットブラストのおもな導入実績
- 株式会社ワイテック バリ取り装置
- 大同興業株式会社 導入事例(黒田鋼管株式会社)
- 津田駒工業株式会社 鋳物バリ取り自動化ライン
- 株式会社岩城工業 お客様の声(株式会社コバヤシゴム製作所)
- 株式会社スギノマシン 高圧水によるバリ取り事例
よくある質問
バリ取り機の導入事例は、どこを見て比べればよいですか?
導入先の業種とワーク、導入前の作業方法、導入したものが装置か工具か、成果の数字とその比較の基準、数字の時点の5つを見ます。工程や前提がそろっている事例どうしで比べてください。
作業時間の短縮を数字で示した事例はありますか?
ジーベックテクノロジーの株式会社ジャパン・ミヤキの事例では、タップ穴の裏バリ取りが105〜120秒/個から40秒/個になったと書かれています。マコーは自動車部品のリング形状品のバリ取りが20分から2分になった事例を載せています。
鋳物やダイカストの事例を持つメーカーはどこですか?
津田駒工業は鋳物バリ取り自動化ラインの事例、ワイテックはダイキャストメーカーA社の事例を載せています。不二製作所は、ロストワックス精密鋳造のキングパーツ株式会社や、砂型鋳造を行う株式会社JMCの事例を公開しています。