ブリスター包装機 · 基礎知識
ブリスターの成形方式とシート材|真空・圧空・プラグアシスト・冷間成形の違い
ブリスター包装機の成形方式(真空・圧空・プラグアシスト・アルミの冷間成形)と、PVC・PP・PET・アルミなど対応シート材・蓋材の違いを、掲載メーカーの公式仕様から整理します。
ブリスターの仕上がりは、シートをどう成形するかで大きく変わります。このページでは、成形方式とシート材の組み合わせを、メーカーが公式に書いている範囲で整理します。
成形方式は4つに分けて考える
掲載社の公式記載に出てくる成形方式は、真空・圧空・プラグアシスト・冷間の4つです。加熱したシートを型に吸い付けるか、空気で押し付けるか、棒で押し込むかの違いです。
| 方式 | 仕組み | 向く形 |
|---|---|---|
| 真空成形 | 加熱したシートを型の側から吸って成形 | 浅く単純な形 |
| 圧空成形 | 加熱したシートを空気の圧力で型に押し付ける | 角がはっきりした形 |
| プラグアシスト成形 | プラグ(押し棒)でシートを押し込んでから成形 | 深いポケット、肉厚を均一にしたい形 |
| 冷間成形(アルミ) | 加熱せずにアルミのシートをプラグで成形 | 光や湿気を通さないアルミ/アルミの包装 |
メーカーごとの対応方式
同じ会社でも機種によって方式が違います。機種の仕様として方式の名前を書いている例を並べます。
| メーカー | 機種 | 対応方式(公式記載) |
|---|---|---|
| マルホ発條工業 | EAGLE LP | 圧空成形/プラグアシスト圧空成形/プラグ冷間成形(アルミ成形時) |
| マルホ発條工業 | EAGLE MULTI | 平板式圧空成形/平板式プラグアシスト成形 |
| CKD | CFFシリーズ | プラグアシスト圧空成形 |
| フジヤマパックシステム | FD-240/400 | プラグアシスト成形・圧空方式・真空方式 |
| ムルチバック・ジャパン | 深絞り包装機 | 圧空、真空、プラグアシスト |
フジヤマパックシステムは、成形条件によって3つの方式のそれぞれに対応すると書いています。製品の形が決まっていない段階なら、方式を切り替えられる機種が比べやすくなります。
深さと肉厚はプラグで決まる
ポケットが深いほど、底や角のシートが薄くなりやすくなります。プラグアシストは、この肉厚の偏りを抑えるための仕組みです。
- CKD:CFF-360Eの成形深さは最大60mmで、成形肉厚(プラグ動作量)をデジタルで設定できる
- CKD:成形プラグ駆動をサーボ化し、品種切替時に自動で条件を切り換える
- 大森機械工業:FV-9000の絞り深さは最大130mm
- マルホ発條工業:EAGLE 50(PF-D1)のポケット深さは最大10mm
錠剤のPTPは浅いポケット、医療器具や食品は深いポケットになります。必要な深さを先に伝えると、機種の候補がすぐに絞れます。
容器フィルム(底材)の種類
ポケット側のシートは、透明で成形しやすい樹脂が中心です。バリア性を上げたい場合は、コートしたシートやアルミを使います。
| 機種 | 使える容器フィルム(公式記載) |
|---|---|
| マルホ発條工業 EAGLE LP | CPP、PVC、PVC複合、アクラー、軟質アルミ、PS、PET、PE |
| マルホ発條工業 EAGLE 50 | CPP、PVC、PVC複合、アクラー |
| CKD CFF-360E | A-PET・PP・HIPS・PVC・PVDC(PPは10〜20℃の冷却水が必要) |
| 大和化成工業 K-200KS | PVC、PP、PET、AL複合シート等にシール可能 |
マルホ発條工業は、PVC、PVDCコートPVCやAclar、PP、アルミなどに対応し、AL/AL・AL/プラの仕様にも対応すると書いています。CKDの仕様表にあるとおり、PPは冷却水が必要になる機種もあります。
蓋材と台紙の種類
ふた側の材料は、PTPならアルミ箔、医療器具ならフィルムやタイベック、店頭商品なら台紙です。
- マルホ発條工業 EAGLE LP:蓋フィルムにアルミ、PS、PET、PE、タイベック
- CKD CFF-360E:フタに各種複合フィルム(例 PA+PE・PET+MPET+PE)
- カナエ:低温シールが可能なPTP用アルミ箔や、アルミの代わりにグラシン紙を使った蓋材を扱う
- カナエ:熱を加えず圧力だけで接着する台紙専用のローラー機EBS-A
アルミ成形が必要になる場面
光や湿気に弱い中身は、ポケット側もアルミにする場合があります。アルミは加熱せずにプラグで成形するため、専用のユニットが必要です。
| メーカー | アルミ成形の扱い(公式記載) |
|---|---|
| マルホ発條工業 | EAGLE 100Aはアルミ成形をプラス。EAGLE 50は標準機では不可で、AL成形ユニットの増設で対応 |
| ミューチュアル | 公式製品ページでは記載を確認できず |
| CKD | FBPシリーズの公式ページでは記載を確認できず |
シート材が変わるときに確認すること
環境対応で材料を切り替えると、成形温度やシール条件が変わります。CKDはバイオマス素材を使ったPTP包装で、二酸化炭素排出量を従来比で約40〜60%減らせると書いています(削減比率は三菱ケミカルリサーチ社の算出で、使う係数により数値は異なるとの注記つき)。
- 新しい材料で同じ深さまで成形できるか
- 冷却水など設備の追加が要るか
- 蓋材とのシール温度が合うか
- 打ち抜き刃の摩耗が変わらないか
成形の不具合はどこに出るか
成形がうまくいかないと、ポケットの角が薄くなったり、しわが出たりします。シール面に影響すると密封が保てないため、サンプルの段階で必ず確かめます。
| 見る場所 | よくある不具合 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| ポケットの角 | 薄くなる・破れる | 光に透かして厚みのむらを見る |
| ポケットの底 | 深さが足りない | 製品を入れて浮きがないか見る |
| シール面 | しわ・波打ち | シール後に剥がして密着を見る |
| シート全体 | 反り | 平らな台に置いて浮きを見る |
シートの反りは、後工程の集積や箱詰めにも響きます。反りの出にくさも、見積の段階で聞いておきます。
サンプル成形を頼むときに渡すもの
成形の可否は、実物で試さないと分からないことが多くあります。メーカーにサンプルを頼むときは、次のものをそろえます。
- 製品の実物(錠剤なら数百錠程度、製品なら数十個)
- 使いたい容器シートと蓋材・台紙の実物
- ポケットの希望寸法と深さ
- 1シート・1パックの入り数と並び方
- 求める検査の内容
浅野研究所は成形テストの案内ページを公開しています。包装機メーカーへの問い合わせでも、サンプルの可否を最初に聞いてください。
成形方式を決める順番
最初に中身の形と必要な深さを決め、次にバリア性からシート材を決めます。方式は、その2つから機械側で選ぶものです。
| 順番 | 決めること | 伝える相手 |
|---|---|---|
| 1 | 中身の寸法と必要なポケットの深さ | 包装機メーカー |
| 2 | バリア性(湿気・光)からシート材 | 包装機メーカーと資材メーカー |
| 3 | 蓋材・台紙の種類 | 資材メーカー |
| 4 | 成形方式と金型 | 包装機メーカー |
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社浅野研究所ブリスター容器を自社成形するなら
- CKD株式会社量産PTPと食品ブリスターの本命
- 大和化成工業株式会社治験・少量PTPの半自動機
- フジヤマパックシステム株式会社医療機器のブリスターに
- 株式会社カナエ包材と半自動機をまとめて
- マルホ発條工業株式会社治験から量産までPTPを一社で
- ムルチバック・ジャパン株式会社深絞り型を設計から任せる
- 株式会社ミューチュアルPTPを治験の半自動から
- 大森機械工業株式会社深絞り型でブリスターも包むなら
参照元
よくある質問
真空成形と圧空成形はどちらがよいですか?
用途によります。フジヤマパックシステムのFD-240/400のように、成形条件によりプラグアシスト成形・圧空方式・真空方式のそれぞれに対応する機種もあります。中身の形と深さを伝えて、メーカーに選んでもらうのが確実です。
PP(ポリプロピレン)のシートは使えますか?
CKDのCFF-360Eは容器にPPを使えますが、PPは10〜20℃の冷却水が必要と仕様表に書かれています。マルホ発條工業のEAGLE LPもCPPに対応します。
アルミ/アルミのPTPは作れますか?
マルホ発條工業のEAGLE LPはアルミ成形時のプラグ冷間成形に対応し、EAGLE 100Aはアルミ成形をプラスした機種です。EAGLE 50はAL成形ユニットの増設で対応します。
【用途別】ブリスター包装機メーカーおすすめ3選
医薬品のPTPを、治験の少量から量産まで同じメーカーで揃えるなら
マルホ発條工業株式会社
最大500錠/分の小型機から6,000錠/分まで、PTP包装機を1枚の比較表で公開
PTP包装機はEAGLE 50(最大500錠/分)、EAGLE 100(1,000錠/分)、EAGLE 200(2,000錠/分)からPF-H6000(6,000錠/分)まで段階的にそろい、能力・最大シートサイズ・機械外寸を比較表で公開している。小型のEAGLE LPは圧空・プラグアシスト圧空・プラグ冷間(アルミ)成形に対応し、クリニックや研究所での運用を挙げる。高薬理製剤向けの水洗い対応も説明している。
食品・日用品のブリスターを高速で量産するなら
CKD株式会社
プラグアシスト圧空成形のCFFシリーズ。医薬品PTPは最大8,000錠/分のFBP
食品・日用品ブリスター包装機CFF-360Eはプラグアシスト圧空成形で最大20ショット/分、成形深さ最大60mm、容器にA-PET・PP・HIPS・PVC・PVDCを使える。オプションのフラッシュMAPで機内の窒素充填、チェーン洗浄装置なども選べる。医薬品向けのFBPシリーズは最大8,000錠/分で、異物検査・集積・バンド・ピローまでライン一式がそろう。
歯ブラシ・文具などの台紙ブリスターを、受託から始めて自社機に移るなら
株式会社ジェーピーインク
2〜6ステーションのシール機BPシリーズ。インパルスシールも選べ、成形品と受託加工もある
ブリスターパックシール機は2ステーションのBP-02、多品種中量向けのBP-4、大型テーブルのBP-6、600×500mmのシール面積を持つBP-1Aの4機種。一般的なヒートシールに加え、熱プレスを使わないインパルスシールも選べる。成形品(ブリスター容器)は親会社の工場で製造し、成形品の購入を条件にブリスターパック加工も受託している。