バリ取り機 · 基礎知識
バリ取り機の種類と方式一覧|ブラシ・ベルト・ロボット・バレル・電解・熱・ウォータージェット【2026年版】
バリ取り機の7つの方式(ブラシ・研磨ベルト・ロボット・バレル研磨・電解・熱・ウォータージェット)の原理と向くワークを一覧で解説します。接触式と非接触式の違い、方式選定の考え方もまとめました。
バリ取り機は、ワークへの作用の仕方によって複数の方式に分かれます。このページでは、代表的な7方式の原理、向くワーク、注意点を一覧で説明します。方式ごとの詳しい解説は個別記事にまとめています。
方式の全体像:接触式と非接触式
バリ取り機は、工具がワークに触れる「接触式」と、触れない「非接触式」に大別できます。接触式は削る量を目で確認しやすく、非接触式は工具の届かない場所に強い方式です。
| 分類 | 方式 | バリを除く原理 |
|---|---|---|
| 接触式 | ブラシ式 | 回転ブラシの毛先で削る |
| 接触式 | 研磨ベルト・ディスク式 | 研磨材を貼った帯や円盤で削る |
| 接触式 | ロボット式 | 回転工具をロボットが倣わせる |
| 接触式 | バレル・振動研磨 | メディアとの相対摩擦で削る |
| 非接触式 | 熱(TEM) | 混合ガスの燃焼でバリを酸化除去 |
| 非接触式 | 電解 | 直流電流でバリを優先的に溶解 |
| 非接触式 | ウォータージェット | 高圧水の噴流で除去 |
接触式は削りすぎや二次バリに注意が必要です。非接触式は後洗浄や廃液処理など、付帯設備が必要になることがあります。
ブラシ式・研磨ベルト式・ディスク式(板金向け)
板金部品のバリ取り機は、コンベヤでワークを送りながら上面のエッジを処理する構造が一般的です。工具の種類によって、ブラシ式、研磨ベルト式、ディスク式に分かれます。
ブラシ式は、高速回転するブラシでエッジを削ります。板金機械メーカーの解説では、エッジをR面に仕上げられる点が特長とされています。
研磨ベルト式は、ベルト状の研磨材でバリを削り落とします。ドロスのような硬い付着物を落とす荒取りに使われることが多い方式です。
- ブラシ式:エッジのR付け、酸化被膜除去、薄板に向く
- 研磨ベルト式:ドロス・大きなバリの荒取り、ヘアライン仕上げに向く
- ディスク式:レーザードロスの除去と面取りを1パスで行う機種がある
- ローラー式:削らずにバリを加圧成形する方式もある
一例として、研磨ディスク方式の機種ではレーザードロスの除去とR面取りを1パスで行い、機種構成によって酸化被膜除去にも対応すると公式サイトに記載があります。対応板厚や幅は機種によって異なります。
ロボット式(鋳物・立体部品向け)
ロボット式は、産業用ロボットの手先に回転工具を持たせ、ワークの稜線に沿って動かす方式です。鋳物やダイカストのような立体形状に向いています。
工具側にフローティング機構を持たせるか、ロボット側に力覚センサを付けて、ワークの寸法ばらつきに追従させます。ロボットメーカーの公式資料では、力センサの定格は147Nから2500Nまで5種類が用意されています。
- 向くワーク:鋳物、ダイカスト、溶接構造品、複雑な立体形状
- 強み:多品種でもプログラム変更で対応できる
- 課題:ティーチング、ツール選定、加工条件の最適化が必要
ロボットツールメーカーの解説では、ロボット導入だけでは不十分で、ツール選定・ティーチング・加工条件の3要素が必要とされています。
協働ロボットでは、外付けの力センサを使わずに内蔵センサで倣い研磨・バリ取りを行う機能も公式に案内されています。小型ワークや柵を設けにくい現場で候補になります。
バレル研磨・振動研磨(小物の大量処理向け)
バレル研磨は、槽の中にワークとメディア(研磨石)、コンパウンド、水を入れて研磨する方法です。表面処理機器メーカーの用語解説では「相対摩擦により加工を行う研磨方法」と定義されています。
槽の動かし方によって、回転式、振動式、遠心式、流動式に分かれます。遠心式は「バレル研磨機の中では最も研磨力が強い」と同社は説明しています。
- 回転式:槽を回転させる基本方式
- 振動式:振動でワークとメディアを摩擦させる
- 遠心式:複数の槽を公転・自転させる高速方式
- 流動式:底部回転盤で流動状態をつくる
1個ずつ扱わないため、ネジ・ピン・小型プレス品などの大量処理に向きます。ワーク同士の接触傷や、メディアの詰まりには注意が必要です。
メディアの材質はセラミック、金属、樹脂、天然石、植物などがあり、用途で使い分けます。コンパウンドは潤滑材で、研磨力向上・光沢・清浄・防錆などの目的で選びます。
熱バリ取り(TEM)と電解バリ取り
熱バリ取りは、密閉チャンバーにワークを入れ、メタンガスと酸素の混合ガスを燃焼させてバリを酸化除去します。装置メーカーの公式サイトでは「数ミリ秒で最大3,300℃の熱が発生」すると記載があります。
電解バリ取りは、ワークを陽極、電極を陰極として電解液を流し、直流電流でバリを溶かす方式です。バリ部分に電流が集中するため、平滑面はほとんど削れません。
| 項目 | 熱(TEM) | 電解 |
|---|---|---|
| 原理 | 燃焼熱による酸化 | 電気化学的な陽極溶解 |
| 向くワーク | ダイカスト、切削部品の全周バリ | 交差穴、油圧部品の特定箇所 |
| 付帯工程 | 酸化物粉末の洗浄 | 電解液の管理、後洗浄 |
| 二次バリ | 発生しない | 発生しない |
どちらも機械的に削らないため、二次バリが出ません。一方で、ワーク形状に合わせた治具や電極の製作が必要です。
熱バリ取りは、装置メーカーの公式サイトで「30〜60秒のサイクルで数百個の部品まで加工」と記載されています。小物を一括処理できる点が、大量生産で選ばれる理由です。
電解バリ取りは、装置メーカーの公式サイトで「被加工物の材質、硬度に関係なくバリ取りができます」「工具の消耗が殆どありません」と記載されています。バリの位置が決まっている量産部品に向きます。
ウォータージェット(高圧水)バリ取り
ウォータージェットは、高圧水をノズルから噴射し、その噴流でバリを除去する方式です。深穴や交差穴など、工具が届かない場所に適しています。
装置メーカーのプレスリリースでは、バリ取り専用装置の最高圧力が70MPaと記載されています。ワークを傷つけにくく、工具が届かない場所へのアプローチが容易とされています。
- 向くワーク:油圧・燃料系部品の交差穴、深穴、複雑内部形状
- 強み:バリ取りと洗浄を同じ装置で行える
- 注意点:水溶性液の防錆管理、大きなバリには向かない
部品洗浄機と技術を共有しているため、切りくず除去や洗浄と同時に処理できる点が特長です。
同じリリースでは、装置が水溶性クーラント液を採用して防錆性を確保していると記載されています。鉄系ワークでは、処理後の防錆と乾燥まで工程に含めて検討してください。
方式を選ぶときの考え方
方式選びは、ワークの形状と数量から絞り込むのが基本です。次の表を出発点にして、テスト加工で最終判断してください。
| ワークの特徴 | 候補になる方式 |
|---|---|
| 平板の板金、レーザー・パンチ後 | ブラシ式、研磨ベルト式、ディスク式 |
| 鋳物・ダイカストの立体形状 | ロボット式、熱(TEM) |
| 小物を大量に処理 | バレル・振動研磨、熱(TEM) |
| 交差穴・深穴・内部通路 | 電解、ウォータージェット |
| 微細バリ、二次バリを嫌う精密部品 | 電解、熱、セラミックファイバーブラシ |
候補が複数ある場合は、後工程(洗浄・めっき・塗装)との相性も判断材料になります。詳しい選定基準は「選び方」の記事で説明します。
参照元
よくある質問
バリ取り機の方式は何種類ありますか?
代表的なものは、ブラシ式、研磨ベルト・ディスク式、ロボット式、バレル・振動研磨、熱(TEM)、電解、ウォータージェットの7方式です。接触式と非接触式に大別できます。
二次バリが出ないバリ取り方式はどれですか?
熱(TEM)と電解は機械的に削らないため二次バリが発生しません。ウォータージェットや砥粒流動加工も、工具で削らない方式に分類されます。
板金のレーザー切断後のドロスにはどの方式が向きますか?
研磨ベルト式やディスク式で荒取りし、ブラシ式でエッジを仕上げる構成が一般的です。1パスで両方を行う機種もあります。
多品種少量の工場にはどの方式が向きますか?
プログラム変更で品種切替ができるロボット式や、ワーク形状を問わない汎用の板金用バリ取り機が候補です。数量が多ければ専用機や熱バリ取りも検討します。
【用途別】バリ取り機メーカーおすすめ3選
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オーセンテック株式会社
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板金専用のブラシ式バリ取り機「AUDEBU」シリーズを幅0.1〜1,500mm・厚さ0.1〜20mmまで揃え、酸化被膜・ドロス除去専用の「BlackLine」も持つ。相模原のショールームに11機種を展示し、持ち込みワークでのテスト加工とオンラインデモに対応している。
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