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めっき不良の原因と予防|密着不良・水素脆化・ウィスカ・再めっきの考え方【2026年版】

めっきのはがれ(密着不良)、ふくれ、ピンホール、高強度鋼の水素脆化、すずめっきのウィスカなど、代表的な不良の原因と予防を整理します。不良が出たときの剥離・再めっきに対応する掲載会社の公式情報もまとめました。

公開 2026年10月1日

めっきの不良は、めっき会社の工程だけでなく、素材や部品の状態、使い方からも起こります。原因の切り分けを知っておくと、再発防止の話し合いが進めやすくなります。

このページでは、代表的な不良と、発注側でできる予防をまとめます。

不良の種類と見分け方

めっき不良は、見た目と起きる時期で分けると原因に近づけます。代表的なものを表にまとめます。

症状起きる時期主な原因の例
はがれ・ふくれ(密着不良)めっき直後〜組立時素材表面の油・酸化皮膜、前処理の不足
ピンホール・ざらつきめっき直後液中の異物、素材の巣(鋳物)
割れ・破断(水素脆化)めっき後〜使用中高強度鋼に吸収された水素
ひげ状の結晶(ウィスカ)使用中(数か月〜)すずめっき皮膜の内部応力
色むら・しみめっき直後〜保管中乾燥・水洗の不足、保管環境

不良が出たら、写真と発生した時期、ロット番号を記録します。黒坂鍍金工業所のように、不具合解析や各種検証を受ける会社もあります。

はがれは素材と前処理で決まる

密着不良の多くは、めっき前の表面に原因があります。素材ごとに、めっきが付きにくい理由が違います。

  • アルミ: 表面にすぐ酸化皮膜ができるため、専用の前処理が要る。八幡鍍金工業はアルミへの無電解ニッケルを得意な処理に挙げる
  • ステンレス: 不動態皮膜があり、難素材とされる。梅本鍍金はステンレス上のめっきに対応と記載
  • チタン: 日本電鍍工業は難めっき素材としてチタンへのめっき事例を掲載
  • 鋳物: 表面状態が製品ごとに違う。日本電鍍工業はアルミ鋳物は試作から品質確認が必要と説明

難しい素材ほど、1個の試作で密着を確かめる価値があります。テープを貼ってはがす、曲げる、加熱するなど、密着の試験方法も事前に決めておきます。

高強度鋼の水素脆化とベーキング

焼入れしたばねや高強度ボルトでは、めっきの工程で吸収した水素が原因で、後から割れることがあります。これを水素脆化と呼びます。

  • 起きやすい部品: 焼入れ鋼、ばね、高強度ボルト、浸炭部品
  • 対策: めっき後に加熱して水素を逃がすベーキング処理を行う
  • 依頼先の例: 高橋電化工業所はベーキング処理を取扱いに挙げる
  • 発注時の注意: 素材の硬さ(HRC)や熱処理の有無を必ず伝える

ベーキングは、めっき後どれくらい早く行うかも大切です。高強度の部品は、図面にベーキングの要否と条件を書いておきます。

すずめっきのウィスカと対策

すずめっきでは、皮膜からひげ状の結晶(ウィスカ)が伸び、隣の端子と短絡することがあります。鉛フリー化の後、電子部品で特に注意されるようになりました。

  • ニシハラ理工: 錫めっきはウィスカ対策も万全と記載し、ウィスカ対策の提案例を紹介
  • 大和電機工業: 耐ウイスカーに優れた端子用のSnリフローめっきを車載用端子向けに量産
  • 三ツ矢: 機能特性ごとのめっき一覧にウィスカ発生対策めっきを掲載
  • シルベック: 技術情報にウィスカの項目を設けている

ウィスカは使用中に出るため、受け入れ検査では見つかりません。用途(車載・高信頼)を伝え、対策済みの仕様を最初から選びます。

不良が出たときの剥離と再めっき

めっきに不良が出た部品は、皮膜をはがしてめっきし直せる場合があります。素材を傷めずに剥離できるかは、皮膜と素材の組み合わせで決まります。

会社公式に書かれている内容
三和メッキ工業他社で処理しためっき・アルマイト・化成皮膜を1個から剥離
フジコー旧皮膜を剥離し、研削・再硬質クロムめっきで再生
杉戸技研工業摩耗した部品の再生・補修の相談に対応
日本カニゼン他社で施工した無電解ニッケルの剥離についてFAQに掲載

アルマイトの剥離は素材のアルミを溶かすため、寸法が変わると三和メッキ工業は説明しています。剥離の前に、寸法が許容範囲に残るかを確認してください。

しみ・色むらなど外観不良の防ぎ方

外観の不良は、性能に問題がなくても受け入れで不合格になることがあります。原因の多くは、水洗・乾燥・保管・取り扱いです。

  • しみ: 乾燥が不十分で水が残ると出る。袋穴や重なりのある形は特に注意
  • 色むら: クロメートや装飾めっきで、液の状態や処理時間の差で出る
  • 治具跡: 治具で支えた点はめっきが付かないか薄くなる。跡が残ってよい位置を指定する
  • 傷・打痕: 輸送や取り扱いで付く。浅下鍍金はFAQで、デリケートな部品は梱包や輸送の方法を業者と打ち合わせるよう勧めている

外観品は、限度見本を作って合否の基準をそろえます。治具跡の位置は、図面で指定しておくのが確実です。

受け入れ検査の進め方

めっき品を受け入れるときの検査は、全数で見るものと、抜き取りで測るものに分けます。検査の項目と方法を、発注の段階で決めておきます。

検査項目方法の例頻度の例
外観目視、限度見本との比較全数
膜厚蛍光X線式・電磁式などで測定ロットごとに抜き取り
密着テープ試験、曲げ試験ロットごとに抜き取り
寸法ゲージ、マイクロメータはめあい部は抜き取り
耐食塩水噴霧試験初回品や定期

膜厚や密着の記録をめっき会社に出してもらえれば、受け入れの手間は減ります。鉄被膜工業所のように、工程ごとに全数を目視で検査すると公式に書いている会社もあります。

部品の状態を伝えるときのチェック表

不良の多くは、部品の状態がめっき会社に伝わっていないことから起きます。部品を送る前に、次の項目を伝えてください。

項目伝えること
素材と熱処理材料記号、焼入れ・焼戻しの有無、硬さ
表面の状態切削油、防錆油、マーキング、溶接焼けの有無
形状袋穴、重なり、すき間の有無

浅下鍍金はFAQで、部品の素材や熱処理の履歴はめっきの密着性や品質に直接影響するため、必ず伝えるべきと説明しています。焼入れした高強度鋼は水素脆性を起こしやすく、ベーキング処理が不可欠とも書いています。

発注側でできる予防

めっき不良の予防は、発注の段階で半分以上が決まります。次の項目を、依頼書と図面に入れておきます。

  1. 素材の材料記号と、熱処理・硬さを書く
  2. 部品の油・切粉・マーキングを落とした状態で送る
  3. 密着・膜厚・外観の検査方法と合格基準を決める
  4. 高強度鋼はベーキングの要否を指定する
  5. すずめっきは用途を伝え、ウィスカ対策の仕様を確認する
  6. 量産前に試作品で密着と組み付けを確かめる

不良が出たときに原因を追えるよう、ロットごとの記録も残してもらいます。記録の形式は、取引を始める前に取り決めておくと後で困りません。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

めっきがはがれる原因は何ですか?

多くは、めっき前の表面に残った油や酸化皮膜、前処理の不足です。アルミやステンレス、チタン、鋳物は専用の前処理が必要で、日本電鍍工業はアルミ鋳物は試作から品質確認が必要と説明しています。

水素脆化を防ぐにはどうすればいいですか?

焼入れ鋼やばね、高強度ボルトでは、めっき後に加熱して水素を逃がすベーキング処理を指定します。高橋電化工業所はベーキング処理を取扱いに挙げています。素材の硬さと熱処理の有無を必ず伝えてください。

失敗しためっきをやり直すことはできますか?

皮膜と素材の組み合わせによってはできます。三和メッキ工業は他社で処理しためっき・アルマイト・化成皮膜を1個から剥離すると公式に書いています。剥離で寸法が変わる場合があるので、事前に確認してください。

【用途別】めっき加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

無電解ニッケルを、まず1個だけ試作したいなら

八幡鍍金工業株式会社

無料試作は1点まで費用なし。膜厚±1.0μm、アルミ・鋳物も、通常1〜2営業日

無電解ニッケルと無電解ニッケルテフロンの専門工場で、無料試作は1点まで費用がかからないとFAQに明記している。対応サイズは鉄で深さ800×奥行500×横幅500mm、最大80kg。素材はアルミ・鉄・ステンレス・銅・真鍮・鋳物、膜厚は1〜50μmで精度±1.0μm、ロットは1〜数万個と、試作に必要な条件が公式に数字で出ている。

八幡鍍金工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

端子・接点・電極に、金や銀をめっきするなら

株式会社コダマ

純金・硬質金・部分金を試作1個から1日8万個規模まで。最短1日、ISO9001/14001

金メッキは純金・硬質金・部分金・SUS直付けに対応し、数量は試作1個から1日8万個規模の量産までと公式に書いている。最大対応サイズは400×400×深さ600mm。対応素材は銅・ベリリウム銅・真鍮・ステンレス・インコネル・コバールなど17種類以上。銀・すず・無電解ニッケルも同じ会社で扱い、ISO9001とISO14001を取得している。

株式会社コダマの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

ロール・シャフトなど、大物・長尺に硬質クロムをかけるなら

フジコー株式会社

最大Φ3,000mm×10m・10t。70,000Lの槽と研削・バフ研磨まで社内一貫

大型・長尺の硬質クロムめっきは最大径Φ3,000mm、最大長さ10m、最大重量10tと公式の仕様表にある。MEGAクロムメッキ槽はΦ3,000×10,000H・70,000Lで、クロムめっき槽は27槽。研削・めっき・バフ研磨・品質検査まで社内一貫で、ロッド300本/日などの量産実績も載せている。ISO9001とISO14001を取得。

フジコー株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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