めっき加工会社 · 基礎知識
めっき加工の見積に必要な情報|図面・素材・数量・膜厚の伝え方と納期の目安【2026年版】
めっき加工の見積が早く正確に返ってくるように、最初の問い合わせで送る項目、価格を左右する要素、掲載会社が公式に出している納期の目安、部品の送り方を整理します。相見積で条件をそろえる手順もまとめました。
めっき加工の見積は、送る情報が足りないと、質問の往復で1〜2週間かかることがあります。最初の問い合わせで必要な項目をそろえれば、回答は早くなります。
このページでは、見積に必要な情報と、納期の目安を公式の記載から整理します。
見積が止まりやすい問い合わせの例
めっき会社が見積を出せない問い合わせには、共通する抜けがあります。次のどれかに当てはまると、確認の連絡が返ってきます。
- めっき種だけで、素材が書いていない
- 膜厚と、めっきする範囲(全面か部分か)がない
- 数量が少し、量産予定などの言葉だけで、数字になっていない
- 部品の大きさと重さがわからない
- 検査や書類(膜厚証明、RoHS書類)の要否が書いていない
図面がまだない段階でも、写真と寸法のメモで相談できる会社はあります。八幡鍍金工業と黒坂鍍金工業所は、図面や仕様が固まっていない段階でも相談できると公式に書いています。梅本鍍金も、素材や仕上がりが未定の段階での相談を受けると書いています。
最初の問い合わせで送る10項目
次の10項目を1枚にまとめて送ると、見積に必要な情報がそろいます。わからない項目は未定と書いておけば、会社から提案を受けられます。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 1. めっき種 | 無電解ニッケル(中リン)、硬質クロムなど。目的だけでも可 |
| 2. 素材 | A5052、SUS304、ADC12、S45Cなど材料記号 |
| 3. 寸法・重量 | 外形寸法と1個の重さ |
| 4. 膜厚 | 上下限(例: 5〜10μm) |
| 5. めっき範囲 | 全面/部分(マスキング範囲を図示) |
| 6. 数量 | 試作数と、量産の月産数 |
| 7. 希望納期 | 試作と量産それぞれ |
| 8. 外観基準 | 色、光沢、傷の許容 |
| 9. 検査・書類 | 膜厚測定記録、RoHS書類、ミルシートなど |
| 10. 前後の工程 | 研磨、熱処理、組立の有無 |
前後の工程まで頼みたい場合は、10番に書きます。黒坂鍍金工業所は機械加工や洗浄・組立を含む一貫対応、山陽メッキ工業所はグループで金型設計から表面処理まで対応すると書いています。
価格を左右する要素
めっきの単価表を公式に載せている会社は、今回の27社にはありませんでした(三和メッキ工業は、はがきサイズの製品への亜鉛めっきが¥1,000円からという目安を載せています)。価格は、次のような要素の組み合わせで決まります。
- 膜厚と表面積: 厚く、広いほど材料と時間がかかる。コダマは金メッキの価格を膜厚・表面積・金相場・処理ロット数量で決まると説明
- 数量: 小ロットは1個あたりが高くなりやすい。八幡鍍金工業と湖東電鍍工業所は割高になる傾向や場合をFAQに記載
- 治具: 新しい治具が要ると費用と期間が増える。平和工業は新規治具で試作3〜4週と記載
- 部分めっき: マスキングの手間が加わる
- 検査・書類: 全数検査や証明書の発行
金・銀などの貴金属めっきは、地金の相場で価格が動きます。見積の有効期限と、相場が動いたときの扱いを確認しておきます。
公式に出ている納期の目安
納期は形状と数量で変わりますが、目安を公式に出している会社もあります。日程を組む前の参考にしてください。
| 会社 | 公式に書かれている納期 |
|---|---|
| 八幡鍍金工業 | 通常1〜2営業日程度(無電解ニッケル) |
| コダマ | 最短1日(条件により異なる)、部分メッキは+2〜3日 |
| 杉戸技研工業 | 最短翌日発送 |
| 平和工業 | 見積作成まで〜3日、試作は既存治具で1週間程度 |
| ニシハラ理工 | 約2週間(1工程)、リードフレームの冶具作製〜試作は2か月 |
| 山陽メッキ工業所 | 即日での対応も相談可 |
表は最短や目安の値で、保証ではありません。輸送の日数を足し、余裕を持った日程で依頼します。
部品を送るときと受け入れのとき
部品は、めっき前の状態で傷や汚れがないように送ります。めっきは表面の傷を隠せないので、梱包の段階で品質が決まる部分があります。
- 宅配便での依頼: ゴトー理研は遠方からの送りでの依頼に対応すると記載
- 事前の受け入れ確認: 鉄被膜工業所は写真をメールで送れば最短で受入検査の回答をすると記載
- 梱包: 部品同士が当たらないように仕切る。油や切粉を落としてから送る
- 受け入れ: 届いたら外観・膜厚・数量をすぐに確認する
前処理で落ちにくい汚れ(マーキング、テープの糊、焼け)は、事前に伝えます。伝えずに送ると、不良の原因が部品側かめっき側か判断しにくくなります。
めっき種別に追加で伝える項目
10項目に加えて、めっき種ごとに伝えると見積が正確になる項目があります。該当するものを依頼書に足してください。
| めっき種 | 追加で伝える項目 |
|---|---|
| 亜鉛 | クロメートの種類(三価・黒・ノンクロム)、耐食性の基準 |
| 無電解ニッケル | リンの量(低・中・高)、熱処理の有無 |
| 硬質クロム | めっき後の研削の有無、仕上げ寸法と面粗さ |
| 金・銀 | 純度・硬さ、下地めっき、部分か全面か |
| すず | 光沢・無光沢、リフローの有無、ウィスカ対策 |
| 装飾めっき | 色見本、意匠面の範囲、傷の許容 |
わからない項目は、目的を書けば会社が提案してくれます。項目を空欄にするより、未定と書いて目的を添える方が回答は早くなります。
見積の回答で確かめること
見積が届いたら、金額だけでなく条件の書き方を確かめます。次の点が書かれていない見積は、受け入れの段階で食い違いが起きやすくなります。
- めっき単価が1個あたりか、1kgあたりか、1回(1バッチ)あたりか
- 最低料金(ロットチャージ)があるか
- 治具費・マスキング費が別か込みか
- 膜厚の測定と、証明書の発行の有無
- 不良が出たときの再処理の扱い
見積の単位が会社で違うと、そのままでは比べられません。1個あたりに直して並べると、数量ごとの差がはっきりします。
継続して発注するときの取り決め
同じ部品を繰り返し発注するなら、1回目の見積のときに継続の条件も決めておきます。毎回の確認が減り、品質のぶれも抑えられます。
- 標準の仕様書: めっき種、膜厚、外観基準、検査方法を1枚にまとめる
- 変更の連絡: 液や工程、外注先を変えるときは事前に知らせてもらう
- 記録の保管: ロットごとの膜厚や検査の記録を残してもらう
取り決めは、文書にして双方で保管します。担当者が替わっても、同じ条件で発注を続けられます。
相見積で条件をそろえる手順
2〜3社に見積を取るときは、条件を同じにしないと比べられません。次の順で進めてください。
- 上の10項目を1枚の依頼書にまとめ、全社に同じものを送る
- 見積書に、めっき単価・治具費・マスキング費・検査費を分けて書いてもらう
- 納期を、試作と量産で別々に書いてもらう
- 貴金属は、相場の基準日と有効期限を確認する
- 安い順ではなく、膜厚・書類・納期の条件を満たす会社から試作を頼む
見積の前に試作を頼める会社なら、試作品を見てから量産の見積を取る方法もあります。依頼書の型を1度作っておけば、次の部品からは書き換えるだけで済みます。
この記事に出てくる会社
- 株式会社ゴトー理研ニッケルとアルマイトを1個から
- 平和工業株式会社樹脂めっきの試作日程が明確
- 株式会社コダマ電子部品の金・銀めっき
- 株式会社湖東電鍍工業所亜鉛ニッケル合金を1個から
- 株式会社黒坂鍍金工業所軽金属の表面処理を試作1個から
- ニシハラ理工株式会社フープ材の連続めっき
- 三和メッキ工業株式会社長尺の硬質クロムと剥離
- 有限会社山陽メッキ工業所鉄の亜鉛めっきを1個から
- 杉戸技研工業株式会社長尺・大型の硬質クロムを1個から
- 株式会社鉄被膜工業所溶融亜鉛めっきを1個から
- 株式会社梅本鍍金装飾の貴金属めっきを1点から
- 八幡鍍金工業株式会社無電解ニッケルの1個試作
参照元
よくある質問
めっきの見積には図面が必要ですか?
あると早く正確になりますが、なくても相談できる会社があります。八幡鍍金工業や黒坂鍍金工業所は、図面や仕様が固まっていない段階でも相談できると公式に書いています。写真と寸法、素材、数量を送ってください。
めっきの価格は何で決まりますか?
膜厚、表面積、数量、治具の有無、部分めっきのマスキング、検査・書類で決まります。金・銀などは地金の相場も影響し、コダマは金メッキの価格を膜厚・表面積・金相場・処理ロット数量で決まると説明しています。
めっきの納期はどれくらいですか?
会社とめっき種で異なります。公式の目安では、八幡鍍金工業が通常1〜2営業日程度、コダマが最短1日(部分メッキは+2〜3日)、平和工業の樹脂めっき試作が既存治具で1週間程度、ニシハラ理工が約2週間(1工程)です。
【用途別】めっき加工会社おすすめ3選
無電解ニッケルを、まず1個だけ試作したいなら
八幡鍍金工業株式会社
無料試作は1点まで費用なし。膜厚±1.0μm、アルミ・鋳物も、通常1〜2営業日
無電解ニッケルと無電解ニッケルテフロンの専門工場で、無料試作は1点まで費用がかからないとFAQに明記している。対応サイズは鉄で深さ800×奥行500×横幅500mm、最大80kg。素材はアルミ・鉄・ステンレス・銅・真鍮・鋳物、膜厚は1〜50μmで精度±1.0μm、ロットは1〜数万個と、試作に必要な条件が公式に数字で出ている。
端子・接点・電極に、金や銀をめっきするなら
株式会社コダマ
純金・硬質金・部分金を試作1個から1日8万個規模まで。最短1日、ISO9001/14001
金メッキは純金・硬質金・部分金・SUS直付けに対応し、数量は試作1個から1日8万個規模の量産までと公式に書いている。最大対応サイズは400×400×深さ600mm。対応素材は銅・ベリリウム銅・真鍮・ステンレス・インコネル・コバールなど17種類以上。銀・すず・無電解ニッケルも同じ会社で扱い、ISO9001とISO14001を取得している。
ロール・シャフトなど、大物・長尺に硬質クロムをかけるなら
フジコー株式会社
最大Φ3,000mm×10m・10t。70,000Lの槽と研削・バフ研磨まで社内一貫
大型・長尺の硬質クロムめっきは最大径Φ3,000mm、最大長さ10m、最大重量10tと公式の仕様表にある。MEGAクロムメッキ槽はΦ3,000×10,000H・70,000Lで、クロムめっき槽は27槽。研削・めっき・バフ研磨・品質検査まで社内一貫で、ロッド300本/日などの量産実績も載せている。ISO9001とISO14001を取得。