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めっきの膜厚と寸法公差|はめあい・ねじ・穴で失敗しない指定の仕方【2026年版】

めっきは部品の寸法を変えます。膜厚が外径・穴・ねじに与える影響、図面での膜厚と範囲の指定方法、膜厚の測り方と証明書、めっき後の研削で寸法を出す方法を、掲載会社の公式に書かれた膜厚範囲とあわせて解説します。

公開 2026年10月1日

めっきは表面に金属の膜を足す加工なので、仕上がり寸法は膜厚の分だけ変わります。はめあいやねじのある部品では、この変化を見込まないと組み付けられなくなります。

このページでは、膜厚と寸法の関係と、図面での指定の仕方を整理します。

膜厚が寸法を変える仕組み

めっき膜は表面の全方向に付きます。そのため、外径・内径・ねじでは、膜厚1つ分ではなく2つ分で寸法が変わる場所があります。

  • 軸の外径: 両側に付くので、直径は膜厚の約2倍大きくなる
  • 穴の内径: 両側に付くので、直径は膜厚の約2倍小さくなる
  • ねじ: ねじ山の両面に付くため、はめあいがきつくなる
  • 角や縁: 電気めっきでは電流が集まりやすく、平らな面より厚く付きやすい

無電解ニッケルは電気を使わないため、形状による膜厚のばらつきが小さいのが特徴です。日本バレル工業は、くぼみ・穴・内面にも均一にめっきが付くと説明しています。

掲載会社が公開している膜厚の範囲

膜厚の範囲や精度を公式に出している会社は多くありません。数字が出ている例を並べると、めっき種ごとの桁の違いがわかります。

会社めっき公式の記載
八幡鍍金工業無電解ニッケル1〜50μm、膜厚精度±1.0μm
三和鍍金無電解ニッケル通常の膜厚は5μmほど、指定膜厚に対応
コダマ純金/硬質金目安0.05〜30μm/0.05〜10μm
大和電機工業基板の無電解Ni/置換AuNi 2〜10μm、Au 0.02〜0.08μm
鉄被膜工業所溶融亜鉛30〜77μm以上、DKN処理で膜厚公差±10μmが目安

金めっきの0.05μmと溶融亜鉛の77μmでは、1,000倍以上の差があります。寸法公差に効いてくるのは、主に数μm以上の無電解ニッケル・硬質クロム・溶融亜鉛です。

図面での膜厚と範囲の書き方

膜厚は最小値か範囲で指定し、どこで測るかも書きます。範囲と測定箇所がないと、会社ごとに解釈が分かれます。

  • 膜厚の指定: 例: 無電解ニッケル 10〜15μmのように上下限を書く
  • 測定箇所: 機能面や外観面など、膜厚を保証してほしい面を矢印で示す
  • めっき範囲: 全面か部分か。部分なら、めっきしない範囲を図示する
  • めっき後寸法か前寸法か: 寸法公差がめっき後の値かを明記する

部分めっきは、マスキングの手間で費用と納期が変わります。杉戸技研工業はFC250製ハウジングへのマスキングによる部分めっきの事例を、コダマは部分メッキで納期が+2〜3日かかると書いています。

膜厚の測り方と証明書のもらい方

膜厚の測り方には、壊さずに測る方法と、断面を切って測る方法があります。量産では非破壊、試作の評価では断面観察を組み合わせることが多い方法です。

方法特徴向く場面
蛍光X線式非破壊で薄い膜も測れる金・すずなど薄い膜、量産の抜き取り
電磁式・渦電流式非破壊で手軽鉄素地上の亜鉛など
電解式膜を溶かして測る(破壊)多層めっきの各層
断面観察切断して顕微鏡で見る(破壊)試作の評価、不具合解析

膜厚の証明書や検査記録が必要なら、見積の段階で伝えます。鉄被膜工業所は検査記録や膜厚証明書の提示を、清川メッキ工業はISO/IEC17025の試験所での受託分析を公式に書いています。

めっき後に削って寸法を出す方法

膜厚の公差より部品の寸法公差が厳しいときは、厚めにめっきしてから研削・研磨で仕上げる方法があります。硬質クロムの軸やロールでよく使われる進め方です。

  • フジコー: 研削・めっき・バフ研磨・品質検査まで社内一貫。旧皮膜の剥離と再めっきにも対応
  • 浅下鍍金: L1,000mmまで対応の円筒研削盤を保有し、Nadcapはめっき後研削の工程でも取得
  • 杉戸技研工業: バフ研磨は最大4,000mm程度で、研磨からめっきまで一貫
  • 三和メッキ工業: φ200×5000mmまでのバフロール研磨機を保有

めっきと研削を別の会社に出すと、輸送と日程の調整が増えます。社内で一貫できる会社を選ぶと、寸法の責任の所在もはっきりします。

ねじ部と穴の奥の膜厚

ねじ部と深い穴は、寸法と膜厚の両方で問題が出やすい場所です。めっきの方式によって、付き方が大きく違います。

  • 電気めっきの深い穴: 電流が届きにくく、奥ほど薄くなりやすい
  • 無電解ニッケル: 電気を使わないため穴の奥まで付きやすい。日本カニゼンはアルミ材のΦ3×15mm貫通穴内部への処理を課題解決事例に挙げる
  • ねじ部: めっき後にゲージが通らなくなることがある。ねじだけマスキングするか、めっき代を見込んだ下穴・ねじ寸法にする
  • 溶融亜鉛: 膜が厚いため、ねじはめっき後にタップを立て直すことがある

ねじと穴は、図面に、めっき後にゲージで確認する旨の指示を入れておくと検査の基準になります。試作の段階で、実際にゲージを通して確かめてください。

めっき種ごとの寸法の考え方

めっき種によって、寸法に効く度合いが違います。設計の初期に、どの程度の膜厚を見込むかの目安にしてください。

めっき種寸法への影響設計での扱い
金・銀・すず(電子部品)小さい(薄い膜が多い)接点・端子のはめあいで確認
無電解ニッケル中(数〜数十μm)膜厚の上下限を指定し、均一さを生かす
硬質クロム中〜大(厚付けも多い)厚めにめっきして研削で仕上げる
溶融亜鉛大(数十μm以上)ねじ・穴は別扱いにする

同じめっき種でも、会社ごとに標準の膜厚が違います。三和鍍金のように通常の膜厚を公式に書いている会社なら、指定がないときの仕上がりの見当がつきます。

膜厚の指定で迷ったときの相談の仕方

必要な膜厚がわからないときは、数字を決めずに目的と寿命を伝えます。めっき会社は、目的に合う膜厚の範囲を提案できます。

  • 防錆なら、使う場所(屋内・屋外・海辺)と求める年数
  • 耐摩耗なら、相手の部品の材質と、擦れる回数や荷重
  • 導電・はんだ付けなら、接続の方法と、加熱の有無

提案された膜厚は、試作で実測して確かめます。実測の値を図面に反映すれば、次の発注から指定が明確になります。

はめあい部品の発注前チェック

はめあいやねじのある部品は、発注前に次の表で確認してください。1つでも空欄があれば、図面に書き足します。

確認項目書くこと
膜厚めっき種と上下限(例: 10〜15μm)
寸法の基準図面の寸法がめっき前かめっき後か
ねじ部めっきするか、マスキングするか
穴・溝内面まで膜厚を保証するか
後加工研削・研磨で仕上げるか
証明膜厚の測定記録や証明書が要るか

迷う場合は、試作で実際の膜厚と組み付けを確かめるのが確実です。量産前の1個で確認しておけば、手直しの費用を小さく抑えられます。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

めっきをすると寸法はどれくらい変わりますか?

膜厚の分だけ変わり、軸の外径や穴の内径では膜厚の約2倍分変わります。無電解ニッケル10μmなら、直径はおよそ20μm変わる計算です。寸法公差が厳しい部品は、めっき後に研削で仕上げる方法もあります。

膜厚の精度はどれくらい出ますか?

めっき種と会社で異なります。公式の例では、八幡鍍金工業が無電解ニッケルで膜厚精度±1.0μm、鉄被膜工業所が溶融亜鉛のDKN処理で膜厚公差±10μmを目安として挙げています。

膜厚の証明書は出してもらえますか?

出せる会社があります。鉄被膜工業所は検査記録や膜厚証明書を提示すると公式に書いています。必要な場合は、見積の依頼時に書式とあわせて伝えてください。

【用途別】めっき加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

無電解ニッケルを、まず1個だけ試作したいなら

八幡鍍金工業株式会社

無料試作は1点まで費用なし。膜厚±1.0μm、アルミ・鋳物も、通常1〜2営業日

無電解ニッケルと無電解ニッケルテフロンの専門工場で、無料試作は1点まで費用がかからないとFAQに明記している。対応サイズは鉄で深さ800×奥行500×横幅500mm、最大80kg。素材はアルミ・鉄・ステンレス・銅・真鍮・鋳物、膜厚は1〜50μmで精度±1.0μm、ロットは1〜数万個と、試作に必要な条件が公式に数字で出ている。

八幡鍍金工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

端子・接点・電極に、金や銀をめっきするなら

株式会社コダマ

純金・硬質金・部分金を試作1個から1日8万個規模まで。最短1日、ISO9001/14001

金メッキは純金・硬質金・部分金・SUS直付けに対応し、数量は試作1個から1日8万個規模の量産までと公式に書いている。最大対応サイズは400×400×深さ600mm。対応素材は銅・ベリリウム銅・真鍮・ステンレス・インコネル・コバールなど17種類以上。銀・すず・無電解ニッケルも同じ会社で扱い、ISO9001とISO14001を取得している。

株式会社コダマの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

ロール・シャフトなど、大物・長尺に硬質クロムをかけるなら

フジコー株式会社

最大Φ3,000mm×10m・10t。70,000Lの槽と研削・バフ研磨まで社内一貫

大型・長尺の硬質クロムめっきは最大径Φ3,000mm、最大長さ10m、最大重量10tと公式の仕様表にある。MEGAクロムメッキ槽はΦ3,000×10,000H・70,000Lで、クロムめっき槽は27槽。研削・めっき・バフ研磨・品質検査まで社内一貫で、ロッド300本/日などの量産実績も載せている。ISO9001とISO14001を取得。

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