3比較ハブ業務用焼却炉

業務用焼却炉 · 基礎知識

業務用焼却炉の法規制を一次資料で確かめる|許可の目安、構造基準、ダイオキシンの排出基準

業務用・産業用焼却炉に関わる廃棄物処理法の規制を、環境省が掲載する旧厚生省の改正概要と、環境省の産業廃棄物焼却施設の調査結果で確かめます。許可の目安(200kg/時間)、構造・維持管理基準、排出基準、メーカーの説明の読み方まで。

公開 2026年10月1日

焼却炉を入れるとき、最初に確かめたいのは、その炉が法律上どの扱いになるかです。このページでは、環境省のサイトで読める一次資料を中心に、規制の骨組みを整理します。

ここで扱うのは、環境省が掲載している1997年の政省令改正の概要と、産業廃棄物焼却施設の調査結果です。条文そのものは、設置場所の自治体の窓口で必ず確かめてください。

1997年の改正で何が変わったか

旧厚生省は1997年8月25日、廃棄物焼却に伴うダイオキシンの排出を減らすため、廃棄物処理法の施行令と施行規則を改正すると発表しました。施行日は1997年12月1日です。

改正の柱内容(環境省掲載の概要より)
構造・維持管理基準の強化許可対象施設の構造基準と維持管理基準を強化
許可対象範囲の見直し許可対象施設の裾きりを原則5t/日から200kg/時間に引下げ
処理基準の明確化施設の規模にかかわらず、焼却するときに守る焼却設備と焼却方法を明確化

許可が必要になる規模の目安

この改正で、廃棄物処理施設として許可が必要になる焼却施設の裾きりが、原則として200kg/時間に引き下げられました。あわせて、新たに許可対象となる既存の施設にも構造・維持管理基準が適用されています。

  • 許可対象の裾きり:原則5t/日から200kg/時間へ(1997年改正の概要)
  • 新たに許可対象となる既存施設にも構造・維持管理基準を適用
  • 許可の手続きや例外は、設置場所の都道府県・政令市で確かめる

メーカーの公式サイトでも、200kg/時間を境に機種を分けている例があります。クマガワはKGH-75型を200kg/h未満、サンワプロテックは中型を200kg/h未満として案内しています。

許可施設に求められる構造基準

改正概要では、新規の許可施設に適用される構造基準の主なものが挙げられています。大型の焼却プラントを計画するときの基本になる項目です。

項目構造基準の主なもの(改正概要より)
投入外気と遮断された状態で定量ずつ連続的に廃棄物を燃焼室に投入できる供給装置
燃焼室燃焼ガスの温度が800℃以上の状態で2秒以上滞留、外気と遮断、助燃装置、燃焼に必要な空気の供給設備
冷却燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却できる冷却設備
排ガス処理ばいじんを除去する高度の機能を有する排ガス処理設備
測定燃焼ガス温度と排ガス中の一酸化炭素濃度の連続測定・記録の装置
ばいじんばいじんを焼却灰と分離して排出・貯留できる設備

アクトリーのR&Dセンターの設備紹介には、燃焼ガスを200℃以下に急冷する減温塔や、約500本のろ布を持つバグフィルタが並んでいます。許可施設クラスでは、焼却炉の後ろにこうした設備が続きます。

維持管理基準と排出基準

許可施設は、作って終わりではなく、運転のしかたにも基準があります。改正概要に挙がっている維持管理基準の主なものと、ダイオキシン濃度の基準を並べます。

  • 燃焼室中の燃焼ガス温度を800℃以上に保つ
  • 焼却灰の熱しゃく減量を10%以下にする
  • 排ガス中の一酸化炭素濃度を100ppm以下にする
  • 排ガス中のダイオキシン濃度を年1回以上測定・記録する
燃焼室の処理能力新設の基準(ng/m³)
4t/h以上0.1
2t/h〜4t/h1
2t/h未満5

規模にかかわらず守る処理基準

改正概要では、野焼きを防ぐため、施設の規模にかかわらず守る処理基準も明確化されています。小型の焼却炉でも関係する部分です。

区分内容(改正概要より)
焼却設備の構造空気取入口と煙突の先端以外に焼却設備内と外気とが接することなく焼却できる。燃焼に必要な量の空気の通風が行われる
焼却の方法煙突の先端以外から燃焼ガスが出ないように焼却する。煙突の先端から火炎または黒煙を出さない。煙突から焼却灰と未燃物が飛散しないようにする

その後、環境省が掲載する2001年3月30日付の通知(平成13年環境省令第8号の施行について)によると、小規模な廃棄物焼却炉の規制を見直すため、一般廃棄物・産業廃棄物の処理基準のうち「廃棄物を焼却する焼却設備の構造」が改正され、2002年12月1日に施行されました。通知は、施行規則第1条の7第3号の「外気と遮断された状態で、定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができる焼却設備」を、二重扉などで外気と遮断し投入時の温度低下を防げるものと説明しています(ガス化燃焼方式など構造上やむを得ないものは除く)。燃焼ガス800℃以上などのほかの要件は、サンヨーやインシナー工業、DAITOが公式サイトで説明しているメーカーの説明です。条文はこの記事では確かめられていないため、メーカーの説明をうのみにせず自治体に確認してください。

実際の施設はどのくらい基準を守っているか

環境省が掲載している調査結果の資料では、2025年3月31日時点で稼動中の産業廃棄物焼却施設は1,078炉でした。測定結果が得られた炉のうち、約99%が排出基準に適合しています。

項目数値(環境省の公表資料より)
稼動中の産業廃棄物焼却施設1,078炉
測定結果が得られた炉1,055炉
排出基準に適合約99%
基準不適合9炉(施設の改善や使用停止などの対応)

メーカーの「届出不要」の説明をどう読むか

小型焼却炉のメーカーは、届出不要の機種を前面に出すことがよくあります。ただし多くのメーカーは、自治体の条例で届出が必要な場合があると注記しています。

  • インシナー工業:届出については自治体によって必要な場合もあると注記
  • オーエムアイ:条例により一部届出が必要な自治体もあると注記
  • ミヤビ:行政への届出不要としつつ、一部地域を除くと注記
  • サンヨー:JKシリーズについて、消防署への設置届けは必要と記載(JK-350A・400A・700Aの標準品は除く)

メーカーの説明と一次資料を照らし合わせる

小型炉のメーカーの多くは、法規制の説明ページを持っています。説明の中身が一次資料と食い違っていないかを、自分で照らし合わせると安心です。

メーカーの説明の例照らし合わせる一次資料
サンヨー:廃棄物処理法の焼却設備の構造基準(燃焼ガス800℃以上など5項目)設置場所の自治体に条文を確認
インシナー工業:規模別の法規制表(200kg/Hr以上は許可)1997年改正の概要(許可対象の裾きり200kg/時間)
ミヤビ:ダイオキシン特措法の対象外となる規模(火床面積0.5m²未満、または焼却能力50kg/h未満と記載)環境省掲載のパンフレットでは、特定施設は「火床面積0.5m²以上、又は焼却能力50kg/h以上」の廃棄物焼却炉。どちらか一方でも超えれば対象になるため、両方が基準未満かを確かめ、最後は自治体の担当窓口に確認

手続きの相談先を整理する

焼却炉の手続きは、内容によって窓口が分かれます。計画の早い段階で、それぞれに相談しておくと手戻りが減ります。

  • 廃棄物処理施設の許可・届出:都道府県・政令市の廃棄物担当
  • 条例による届出・設置場所の制限:市町村
  • 設置の届出・火の取り扱い:消防
  • 大気の測定・ばい煙:都道府県の大気担当

メーカーに申請の支援を頼める場合もあります。アクトリーは行政への申請の支援を、中和スマイルは役所届出の書類についてのアドバイスを事業に挙げています。

この記事で確かめた資料の使い方

確かめたいこと見る資料最後に確かめる先
許可が要るか1997年改正の概要(200kg/時間)都道府県・政令市
構造の要件改正概要と、各社の構造基準の説明都道府県・政令市
届出・条例メーカーの注記市町村・消防
実際の排出の状況環境省の調査結果自社の測定

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

焼却炉の設置に許可が必要になるのはどの規模からですか?

環境省が掲載している1997年の改正概要では、廃棄物処理施設としての許可対象の裾きりを、原則5t/日から200kg/時間に引き下げたとされています。例外や現在の運用は、設置場所の都道府県・政令市で確かめてください。

小型の焼却炉にも守るべき基準はありますか?

あります。1997年の改正概要では、施設の規模にかかわらず守る処理基準として、外気と接することなく焼却できる構造や、黒煙を出さない焼却方法などが明確化されました。その後の改正で加わった要件は、メーカーの説明だけでなく自治体で確認してください。

届出不要と書かれた焼却炉なら、手続きは何もいりませんか?

そうとは限りません。インシナー工業やオーエムアイは、条例により届出が必要な自治体があると注記し、サンヨーは消防署への設置届けが必要な場合があると書いています。設置前に市町村と消防に確認してください。

【用途別】業務用焼却炉メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

工場・事業所の紙くず・木くず・廃プラを小型炉で、自社のごみで試してから選ぶなら

DAITO株式会社

瀬戸市の展示場で持ち込みごみの燃焼テスト。廃プラ対応・お寺様用・届出必要モデルまで

焼却炉展示場に多数の炉を常時展示し、持ち込んだごみを実際に燃やして燃焼・煙・灰の状態を確かめられる(来場は電話予約)。各地の実演会でも実機を展示・実演している。製品は廃プラ対応・万能用・生ゴミ・動物用・お寺様用・届出必要モデルに分かれ、廃プラ対応のISR・LSR・LSZモデル、紙くず・木くず用のLSZ-600モデル、埼玉県条例適合モデルまである。構造基準適合保証をうたい、修理メンテナンスも事業内容に挙げる。

DAITO株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

産業廃棄物処理業の許可プラントを、申請から保守まで1社に任せるなら

株式会社アクトリー

申請支援・設計・製造・据付・試運転・アフターサービスを自社一貫。R&Dセンターで3炉を見学できる

産廃向け焼却炉などの環境関連プラントを、行政への申請の支援から設計・製造・据付・試運転・アフターサービスまで自社一貫で請け負う。自社工場で作ったブロックを現地で組み上げて工期を短くし、感染症廃棄物やドラム缶を有姿のまま運搬・投入するシステムも付けられる。R&Dセンターでは焼却プラント3炉を24時間稼働させ、廃熱ボイラ(発電能力770kw)やバグフィルタを見学できる。

株式会社アクトリーの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

動物・汚物・塔婆など特殊なものを焼却するなら

インシナー工業株式会社

全自動のガス化小型炉から、牛一頭を投入できる大型動物炉、紙おむつ・汚物炉、ペット火葬炉まで

小型焼却炉JX型・FX型はごみを入れてボタンを押すだけの全自動運転で、木くず・紙くず・段ボール・塔婆を対象に挙げる(JX-3は16kg/h・火床面積0.29m²、FX型は15〜25kg/h)。特殊焼却炉ではAKS型が牛一頭を丸ごと引き込み投入でき能力180kg/h、紙おむつ・小型汚物焼却炉KBX型、ペット火葬炉PET型・PSM型もある。保守点検と現地解体・移設工事も行う。

インシナー工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

関連記事