業務用焼却炉 · 基礎知識
焼却能力(kg/h)と火床面積の読み方|発熱量で能力が変わる理由と、規模の決め方
焼却炉の焼却能力(kg/h)と火床面積の意味、ごみの発熱量で能力が変わる理由、1日の量から必要な規模を決める手順を、掲載メーカーの公式仕様で解説します。
焼却炉のカタログには、焼却能力(kg/h)と火床面積(m²)が必ず出てきます。この2つの読み方を間違えると、燃やし切れない炉を選んだり、必要以上に大きい炉を選んだりします。
焼却能力と火床面積は何を表すか
焼却能力は、1時間に安全に燃やせるごみの重さです。火床面積は、燃焼室の床の面積です。
| 用語 | 意味(公式記載の例) |
|---|---|
| 焼却能力 | 安全に焼却できる量で、通常1時間あたり何kg焼却できるかを表す(サンヨー) |
| 火床面積 | 燃焼室の床面積。例:幅700mm×奥行700mm=0.49m²(サンヨー) |
環境省が掲載する関係省庁共通パンフレット「ダイオキシン類」では、ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設となる廃棄物焼却炉を「火床面積が0.5m²以上、又は焼却能力が50kg/h以上」としています。どちらか一方でも超えれば対象になる書き方です。サンヨーも同じ数字を対象の目安として説明しています。多くの小型炉が0.49m²や48kg/hのように、この手前の値で作られています。
掲載社の小型炉の数値
| メーカー・機種 | 焼却能力 | 火床面積 |
|---|---|---|
| ミヤビ L+WIDE型 | 46kg/h | 0.49m² |
| 瑞東産業 BFI-48型・BFS-48型 | 48kg/h | 0.48m² |
| 関口鐵工所 トクB-800 | 48kg/h(一般雑芥での目安) | 0.49m²(トク大B-800は0.48m²) |
| アナログシステム SC-600 | 29.16kg/h | 0.49m² |
| 和光機械工業 CI495E | 49.5kg/h | 0.49m²(ロストル面積) |
| インシナー工業 JX型・FX型 | 15〜25kg/h(JX-3は16kg/h) | 0.29〜0.49m² |
| サンヨー JKシリーズ | 22kg/h〜45kg/h | 0.24m²〜0.48m² |
同じ炉でも、ごみの発熱量で能力が変わる
焼却能力は、どのくらい燃えやすいごみを想定したかで数字が変わります。サンヨーは同じ機種の能力を、発熱量の違う2つの前提で並べています。
| 前提の発熱量 | 焼却能力(サンヨーJKシリーズの1機種) |
|---|---|
| 16.7MJ/kg | 22kg/h |
| 41.9MJ/kg | 9kg/h |
プラスチックのように発熱量の高いごみは、同じ炉でも燃やせる重さが少なくなります。中和スマイルや関口鐵工所も、能力は一般雑芥(発熱量16.7MJ/kgなど)を前提にした目安だと注記しています。
1回の投入量で表す炉もある
一括投入のガス化炉は、1時間あたりではなく、1回に入れる量で案内されることがあります。インシナー工業のJX型・FX型は、焼却能力と1回の投入量を並べて書いています。
- JX型の例:焼却能力16kg/h(32kg/1回/2時間)
- FX型の例:FX-5は焼却能力25kg/h(50kg/1回/2時間)
- JX型・FX型は1回の投入量50kg以下の区分として案内
必要な規模を決める手順
- 1日に出るごみの重さを、種類ごとに量る(木くず・紙くず・プラ・水分の多いもの)
- 発熱量の高いもの(プラ・合板)の割合を確かめる
- 1日に焼却に使える時間を決める
- 重さ÷時間で1時間あたりの量を出し、プラが多ければ能力に余裕を見る
- 200kg/時間など、手続きが変わる規模の境目を自治体と確かめる
計算の例
木くずと紙くずが1日に200kg出て、焼却に5時間使える工場を例にします。数字は考え方を示すための仮の値です。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1時間あたりの量 | 200kg÷5時間 | 40kg/h |
| 余裕を見る | 40kg/h×1.2 | 48kg/h |
| 候補 | 46〜49.5kg/hの小型炉 | ミヤビ、瑞東産業、関口鐵工所、和光機械工業など |
プラスチックが多い場合は、発熱量の前提が違うため、この計算より大きい炉か、廃プラ対応の機種が必要になります。
投入口の大きさも能力の一部
能力が足りていても、ごみが投入口に入らなければ燃やせません。パレットや長尺物があるなら、投入口の寸法を必ず確かめます。
- ミヤビ L+WIDE型:横1m×縦65cmの特大幅広投入口
- 関口鐵工所 トク大B型・超トク大B型:投入口1000mm以上でパレットや長尺物も可能
- インシナー工業 FX型:大きな段ボールなど投入しやすい構成
- 関口鐵工所 AB型:投入口が2か所(長尺物は上、ごみ袋は正面)
1日の量を量る方法
必要な規模を決めるには、ごみの量を実際に量るのがいちばん確かです。1〜2週間、種類ごとに重さを記録すると、日による波も分かります。
| 記録する項目 | 理由 |
|---|---|
| 種類(木・紙・プラ・その他) | 発熱量の前提が変わる |
| 重さ | 1時間あたりの量を出す |
| かさ(袋の数など) | 投入口と投入の回数を考える |
| いちばん多い日の量 | 能力の余裕を決める |
大きすぎる炉の問題
能力に余裕を持たせすぎると、設置の場所や工事が大きくなり、手続きの区分が変わることもあります。規模は、足りる中でいちばん小さいものを目安にします。
- 設置に必要な場所と工事が大きくなる
- 規模によっては手続きが増える(200kg/時間などの境目)
- 少ない量では炉の温度を保つ燃料の比率が上がりやすい
少量向けの機種も選べる
ごみが少ない職場では、50kg/h近い炉は大きすぎることがあります。少量向けの機種を公式に挙げている会社もあります。
| 機種 | 能力(公式記載) |
|---|---|
| 和光機械工業 ICI150GAT | 15.0kg/h |
| 和光機械工業 ICI245GAT | 24.5kg/h |
| インシナー工業 JX型・FX型 | 15〜25kg/h |
| サンヨー JKシリーズの小型機 | 22kg/h(16.7MJとして) |
規模の境目と手続き
焼却能力と火床面積は、手続きの区分を決める数字でもあります。メーカーが機種を分けている境目と、一次資料で確かめられる境目を並べます。
| 境目 | 根拠 |
|---|---|
| 50kg/h・火床面積0.5m² | 環境省掲載のパンフレットで、ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設は「火床面積0.5m²以上、又は焼却能力50kg/h以上」の廃棄物焼却炉。メーカー各社も届出不要の区分の目安として説明(サンヨー、ミヤビ、オーエムアイなど) |
| 200kg/時間 | 環境省掲載の1997年改正概要で、許可対象の裾きりを原則200kg/時間に引下げ |
| 機種の区分 | クマガワはKGH-75型を200kg/h未満、KGH-600型を600kg/h未満として案内 |
境目の数字のすぐ下で作られている炉は、能力に余裕がないことがあります。ごみが増えたときにどうするかも、あわせて考えておきます。
能力表示の前提を聞く質問
- その能力は、どの発熱量のごみを前提にした数字か
- 連続で燃やした場合か、1回の投入で燃やした場合か
- 1日に何時間の運転を想定しているか
- プラスチックが混ざった場合の能力はどうなるか
規模の数字を比べるときの注意
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 能力の前提(発熱量) | 前提が違うと数字を比べられない |
| 連続運転か一括投入か | 1時間あたりと1回あたりで表示が違う |
| 火床面積の測り方 | 水冷式と耐火材式で上段・下段の値がある機種もある(関口鐵工所) |
| 法令の境目 | 50kg/h・200kg/時間などで手続きが変わる |
この記事に出てくるメーカー
- アナログシステム有限会社他社製の修理先にも
- 株式会社中和スマイル九州で設置から撤去まで
- インシナー工業株式会社動物・汚物など特殊な焼却に
- 株式会社クマガワ中規模の産廃・医療系に
- 株式会社オーエムアイ燃料を抑える小型炉
- 株式会社サンヨー小型炉をごみの性質で選ぶ
- 有限会社関口鐵工所レンタルで試せる小型炉
- 和光機械工業株式会社国内工場製の小型炉
- 瑞東産業株式会社集塵とあわせて小型炉を
参照元
よくある質問
焼却能力50kg/hの炉で、1日にどのくらい燃やせますか?
単純計算では1時間に50kgですが、能力はごみの発熱量の前提で変わります。サンヨーは同じ機種で、16.7MJ/kgなら22kg/h、41.9MJ/kgなら9kg/hと書いています。自社のごみの種類を伝えて確かめてください。
火床面積とは何ですか?
燃焼室の床面積のことです。サンヨーは、幅700mm×奥行700mmなら0.49m²という例を挙げています。
大きなパレットを燃やせる小型炉はありますか?
関口鐵工所のトク大B型・超トク大B型は投入口が1000mm以上あり、パレットや長尺物を焼却でき、フォークリフトからの搬入も可能と書いています。
【用途別】業務用焼却炉メーカーおすすめ3選
工場・事業所の紙くず・木くず・廃プラを小型炉で、自社のごみで試してから選ぶなら
DAITO株式会社
瀬戸市の展示場で持ち込みごみの燃焼テスト。廃プラ対応・お寺様用・届出必要モデルまで
焼却炉展示場に多数の炉を常時展示し、持ち込んだごみを実際に燃やして燃焼・煙・灰の状態を確かめられる(来場は電話予約)。各地の実演会でも実機を展示・実演している。製品は廃プラ対応・万能用・生ゴミ・動物用・お寺様用・届出必要モデルに分かれ、廃プラ対応のISR・LSR・LSZモデル、紙くず・木くず用のLSZ-600モデル、埼玉県条例適合モデルまである。構造基準適合保証をうたい、修理メンテナンスも事業内容に挙げる。
産業廃棄物処理業の許可プラントを、申請から保守まで1社に任せるなら
株式会社アクトリー
申請支援・設計・製造・据付・試運転・アフターサービスを自社一貫。R&Dセンターで3炉を見学できる
産廃向け焼却炉などの環境関連プラントを、行政への申請の支援から設計・製造・据付・試運転・アフターサービスまで自社一貫で請け負う。自社工場で作ったブロックを現地で組み上げて工期を短くし、感染症廃棄物やドラム缶を有姿のまま運搬・投入するシステムも付けられる。R&Dセンターでは焼却プラント3炉を24時間稼働させ、廃熱ボイラ(発電能力770kw)やバグフィルタを見学できる。
動物・汚物・塔婆など特殊なものを焼却するなら
インシナー工業株式会社
全自動のガス化小型炉から、牛一頭を投入できる大型動物炉、紙おむつ・汚物炉、ペット火葬炉まで
小型焼却炉JX型・FX型はごみを入れてボタンを押すだけの全自動運転で、木くず・紙くず・段ボール・塔婆を対象に挙げる(JX-3は16kg/h・火床面積0.29m²、FX型は15〜25kg/h)。特殊焼却炉ではAKS型が牛一頭を丸ごと引き込み投入でき能力180kg/h、紙おむつ・小型汚物焼却炉KBX型、ペット火葬炉PET型・PSM型もある。保守点検と現地解体・移設工事も行う。