業務用焼却炉 · 基礎知識
焼却炉の保守・修理・入れ替えと運転コスト|点検、部品、解体・撤去まで
業務用焼却炉を長く使うための保守・修理の体制、運転コストの内訳、古い炉の解体・撤去と入れ替えの進め方を、掲載メーカーの公式記載と環境省の資料で整理します。
焼却炉は高温と酸にさらされる機械で、使い続けるうちに必ず補修が必要になります。買うときに、誰が直してくれるのかを決めておくことが大切です。
保守・修理の体制を比べる
掲載20社のうち、保守・修理・メンテナンスを公式に挙げている会社の例を並べます。体制の書き方は会社によって違います。
| メーカー | 保守・修理の記載(公式) |
|---|---|
| アクトリー | 故障時や定時メンテナンスに工事サービスアフター員が対応 |
| インシナー工業 | 保守点検、現地解体・移設工事 |
| サンワプロテック | 設置後の部品交換・点検、解体・撤去 |
| アナログシステム | 自社製・他社製を問わず小型焼却炉の修理・メンテナンス |
| 西村技研 | ケマドーラ・オーエスサービス・マルテック・MERIN製の焼却炉のメンテナンスと純正部品 |
| 開邦工業 | 炉内外の点検、設備の補修、定期メンテナンス、緊急対応 |
| 和光機械工業 | サービス技術センターと部品センター |
| エターナルビジョン | 設置の際の届け出や設置後のメンテナンスも引き受けると記載 |
傷みやすい部分
焼却炉で傷みやすいのは、熱を直接受ける部分と、消耗品として扱われる部品です。メーカーの記載から、交換や補修の対象になりやすい部分を拾います。
- 耐火材(耐火レンガ・耐火キャスタブル):サンヨーは定期的に補修すれば10年以上の使用は十分可能と記載
- ロストル(火格子)と熱電対:アナログシステムは消耗品として扱う
- 煙突と再燃焼室:アナログシステムは特注の煙突や再燃焼室も製造し、料金の例として煙突約6万円、再燃焼室約90万円(灯油バーナー・灯油タンク付き)を掲載
- バグフィルターのろ布:開邦工業はどのタイプにも対応するろ布を提供
運転コストの内訳
焼却炉の費用は、本体価格だけではありません。毎日の運転で、燃料や電気、灰の処分、測定の費用がかかります。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 燃料 | 着火や助燃に使う灯油など |
| 電気 | 送風機や制御盤 |
| 灰の処分 | 焼却灰を処理業者に委託する費用 |
| 測定 | 規模によっては排ガスや焼却灰の測定 |
| 補修 | 耐火材・ロストル・煙突などの交換 |
サンヨーは、こうした費目ごとの月額の試算例を製品ページに載せています。ただし金額は焼却条件や契約条件で前後すると注記しているため、自社の条件で見積もってもらってください。
燃料費を抑える方式
- オーエムアイ SP-203:燃焼対象物が熱源となり、灯油燃料が不要と記載
- エターナルビジョン:点火後は生成ガスのみで燃焼を継続し、商業燃料の大幅な節約に役立つ
- ミヤビ:焼却熱の再利用による経費削減を案内
- サンワプロテック FSC型:木屑自動焼却装置で温水も利用できる
古い炉の解体・撤去と入れ替え
構造基準に合わない古い炉は、使い続けることができません。入れ替えでは、古い炉の解体・撤去も同時に計画します。
| メーカー | 解体・撤去の記載(公式) |
|---|---|
| サンワプロテック | 新構造基準に不適合で使えなくなった焼却炉の解体。小型なら約1日で解体作業が終了 |
| インシナー工業 | 焼却炉現地解体工事・移設工事 |
| 西村技研 | 焼却炉の移設・解体工事(労基要綱遵守) |
| 中和スマイル | 焼却炉の撤去 |
関口鐵工所は、2002年以前の焼却炉や過去に製作した型番については相談するよう案内しています。古い炉のメーカーに、まず問い合わせるのが近道です。
許可施設の維持管理
許可が必要な規模の施設では、運転そのものに基準があります。環境省が掲載する1997年の改正概要には、燃焼室の温度を800℃以上に保つこと、排ガス中の一酸化炭素濃度を100ppm以下にすること、ダイオキシン濃度を年1回以上測定・記録することなどが挙げられています。
- 燃焼ガス温度と一酸化炭素濃度の連続測定・記録
- 集じん器に入る燃焼ガスをおおむね200℃以下に冷却
- 冷却設備などにたまったばいじんの除去
- ばいじんを焼却灰と分離して排出・貯留
保守を考えた選び方
- 自社の近くに、点検や修理に来てもらえる拠点があるか
- 部品をどこから、どのくらいの日数で取り寄せられるか
- メーカーがなくなったとき、他社製を直せる会社があるか
- 補修の費用の目安を、見積の段階で聞けるか
日常の点検で見るところ
毎日の運転の前後に、決まった場所を見る習慣をつけると、大きな故障を防げます。点検の項目は、メーカーの取扱説明書に合わせて決めます。
| 場所 | 見ること |
|---|---|
| 温度計 | 800℃以上で燃えているか、表示がおかしくないか |
| 煙突 | 黒煙が出ていないか、詰まりがないか |
| 燃焼室 | 耐火材のひび、ロストルの曲がり |
| 集じん装置 | 灰のたまり具合 |
| 水冷式の水 | 水位と漏れ |
取扱説明書と部品の手配
取扱説明書を公開しているメーカーもあります。アナログシステムは業務用焼却炉の取扱説明書のページを設け、修理依頼・部品供給依頼の窓口も案内しています。
- 取扱説明書をすぐ見られる場所に置く
- 消耗品の型番と注文先を控えておく
- 販売終了した機種の部品が手に入るか確かめる(アナログシステムは販売終了機の部品の販売・修理を受け付けると記載)
入れ替えのタイミングを決める
| 状態 | 考えること |
|---|---|
| 補修の費用が年々増える | 入れ替えとの比較 |
| 構造基準に合わなくなった | 使用をやめて解体・撤去 |
| ごみの量や種類が変わった | 能力や方式の見直し |
| メーカーの部品が手に入らない | 他社製を直せる会社への相談か入れ替え |
修理を頼むときに伝えること
修理の見積を早く正確に出してもらうには、炉の情報をそろえて伝えます。アナログシステムは、画像や動画で修理箇所を伝えると進めやすいと案内しています。
- メーカー名と型番、製造年
- 壊れた部分の写真や動画
- いつから、どんな症状か
- 設置場所と、炉を工場に持ち込めるか
アナログシステムは、炉を同社の敷地に持ち込めば、修理を早く安く行えると書いています。持ち込みか現地修理かで、費用と日数が変わります。
保守の契約で決めておくこと
保守は、故障してから頼むより、定期点検の形で決めておくほうが安心です。契約の前に、次の点をメーカーと話しておきます。
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 定期点検 | 頻度と点検の範囲 |
| 故障時 | 連絡先と、来てもらえるまでの目安 |
| 部品 | 在庫の有無と取り寄せの日数 |
| 費用 | 点検費・出張費・部品代の考え方 |
保守まで含めて比べるための一言
見積を頼むときに、保守の範囲と費用の考え方も一緒に出してほしいと書き添えるだけで、比べやすさが変わります。本体価格だけの比較にならないよう、最初に伝えておきます。
- 定期点検の頻度と費用
- よく交換する部品の費用
- 故障時の出張費の考え方
長く使うための確認リスト
| タイミング | 確認すること |
|---|---|
| 購入前 | 保守の窓口、部品の供給、補修の目安 |
| 毎日 | 温度計の表示、黒煙の有無、灰のたまり具合 |
| 定期 | 耐火材やロストルの傷み、煙突の詰まり |
| 入れ替え時 | 古い炉の解体・撤去の段取り |
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アクトリー産廃の許可プラントを一貫で
- アナログシステム有限会社他社製の修理先にも
- 株式会社中和スマイル九州で設置から撤去まで
- 株式会社エターナルビジョン一括投入のガス化方式
- インシナー工業株式会社動物・汚物など特殊な焼却に
- 株式会社開邦工業自治体施設の保守まで
- 西村技研家畜・有害鳥獣の焼却に
- 株式会社オーエムアイ燃料を抑える小型炉
- 有限会社サンワプロテック入れ替えと撤去をまとめて
- 株式会社サンヨー小型炉をごみの性質で選ぶ
- 有限会社関口鐵工所レンタルで試せる小型炉
- 和光機械工業株式会社国内工場製の小型炉
参照元
よくある質問
焼却炉の修理は買ったメーカー以外でもできますか?
アナログシステムは、自社製・他社製を問わず小型焼却炉の修理・メンテナンスを請け負うと書いています。西村技研はケマドーラ・オーエスサービス・マルテック・MERIN製の焼却炉の部品供給と修理を行っています。
古い焼却炉の撤去はどこに頼めますか?
サンワプロテックは新構造基準に合わず使えなくなった焼却炉の解体を請け負い、小型なら約1日で終わると書いています。インシナー工業や西村技研も解体・移設工事を事業に挙げています。
耐火材の炉はどのくらいもちますか?
サンヨーは、耐火材などの補修を定期的にすれば10年以上の使用は十分可能と書いています。オーエムアイもキャスターの炉壁で10年以上の長期使用が可能としています。
【用途別】業務用焼却炉メーカーおすすめ3選
工場・事業所の紙くず・木くず・廃プラを小型炉で、自社のごみで試してから選ぶなら
DAITO株式会社
瀬戸市の展示場で持ち込みごみの燃焼テスト。廃プラ対応・お寺様用・届出必要モデルまで
焼却炉展示場に多数の炉を常時展示し、持ち込んだごみを実際に燃やして燃焼・煙・灰の状態を確かめられる(来場は電話予約)。各地の実演会でも実機を展示・実演している。製品は廃プラ対応・万能用・生ゴミ・動物用・お寺様用・届出必要モデルに分かれ、廃プラ対応のISR・LSR・LSZモデル、紙くず・木くず用のLSZ-600モデル、埼玉県条例適合モデルまである。構造基準適合保証をうたい、修理メンテナンスも事業内容に挙げる。
産業廃棄物処理業の許可プラントを、申請から保守まで1社に任せるなら
株式会社アクトリー
申請支援・設計・製造・据付・試運転・アフターサービスを自社一貫。R&Dセンターで3炉を見学できる
産廃向け焼却炉などの環境関連プラントを、行政への申請の支援から設計・製造・据付・試運転・アフターサービスまで自社一貫で請け負う。自社工場で作ったブロックを現地で組み上げて工期を短くし、感染症廃棄物やドラム缶を有姿のまま運搬・投入するシステムも付けられる。R&Dセンターでは焼却プラント3炉を24時間稼働させ、廃熱ボイラ(発電能力770kw)やバグフィルタを見学できる。
動物・汚物・塔婆など特殊なものを焼却するなら
インシナー工業株式会社
全自動のガス化小型炉から、牛一頭を投入できる大型動物炉、紙おむつ・汚物炉、ペット火葬炉まで
小型焼却炉JX型・FX型はごみを入れてボタンを押すだけの全自動運転で、木くず・紙くず・段ボール・塔婆を対象に挙げる(JX-3は16kg/h・火床面積0.29m²、FX型は15〜25kg/h)。特殊焼却炉ではAKS型が牛一頭を丸ごと引き込み投入でき能力180kg/h、紙おむつ・小型汚物焼却炉KBX型、ペット火葬炉PET型・PSM型もある。保守点検と現地解体・移設工事も行う。