業務用焼却炉 · 基礎知識
焼却炉の方式の違い|直接燃焼・二段燃焼・ガス化(乾溜)と、水冷式・耐火材式
業務用・産業用焼却炉の燃焼方式(直接燃焼・再燃焼・ガス化/乾溜・縦型多層燃焼)と、炉の構造(水冷式・耐火材式・空冷式)の違いを、掲載20社の公式記載で比べます。
焼却炉は、燃やし方と炉の作りでいくつかに分かれます。方式によって、向くごみの種類、燃料の使い方、手間が変わります。
このページでは、掲載20社の公式記載に出てくる方式を並べ、選び方の目安を整理します。
燃やし方は大きく4つ
| 方式 | 仕組み | 掲載社の例 |
|---|---|---|
| 直接燃焼 | 燃焼室でごみを直接燃やす | クマガワ(KGV・KGH型)、関口鐵工所 |
| 再燃焼(二次燃焼) | 一次で出た煙や未燃ガスを二次燃焼室で燃やし切る | アナログシステム(SC-400)、クマガワ(動物炉) |
| ガス化・乾溜 | ごみを加熱してガスにし、そのガスを燃やす | キンセイ産業、エターナルビジョン、インシナー工業(JX型)、クマガワ(KGD型) |
| 縦型多層燃焼 | 燃焼用バーナーを使わない独自方式 | オーエムアイ(SP-203) |
直接燃焼は構造が単純
直接燃焼は、燃焼室にごみを入れて燃やす基本の方式です。構造が単純で、規模の大きい機種まで作られています。
- クマガワ:直接燃焼炉はKGV-20型(50kg/h未満)からKGH-600型(600kg/h未満)まで
- クマガワ:特管物処理炉(医療系廃棄物)も直接燃焼方式で100kg/h
- 関口鐵工所:トクB型・B型など水冷式の小型炉
ごみの量やカロリーの変化に合わせて、投入のしかたや空気の量を調整する必要があります。運転する人の慣れも仕上がりに影響します。
ガス化・乾溜は一括投入で燃料を抑える
ガス化・乾溜は、ごみを外気から遮断して加熱し、出てきた可燃性のガスを別の室で燃やす方式です。まとめて投入して、あとは自動で燃やし切る使い方に向きます。
| メーカー | 方式の説明(公式記載) |
|---|---|
| キンセイ産業 | 乾溜ガス化炉に一括投入し、外気と触れさせずに加熱して出た可燃性ガスを燃焼。独自の特許技術 |
| エターナルビジョン | ガス化室と生成ガス燃焼室の2室を持つバッチ式。点火後は生成ガスだけで燃焼を継続 |
| インシナー工業 | JX型・FX型は全自動運転。ボタンを押すだけでつきっきりの必要がない |
| クマガワ | 乾溜ガス化炉KGD-C65型は廃タイヤ・廃プラ向け、KGDは産業廃棄物向けの二段燃焼式 |
エターナルビジョンは、ガス化室を複数設ければ24時間運転もできると書いています。投入の手間を減らしたい場合や、燃料費を抑えたい場合に比べる価値があります。
炉の作りは水冷式と耐火材式
燃焼室の壁の作りでも、炉の性格が変わります。掲載社の多くが、この違いを公式に説明しています。
| 作り | 特徴(公式記載) | 掲載社の例 |
|---|---|---|
| 水冷式 | 燃焼室を二重の鉄板で囲み、間に水を通して冷やす。燃焼室の劣化を防ぐ | ミヤビ(L+WIDE型)、関口鐵工所、中和スマイル、処理設備 |
| 耐火材式 | 燃焼室に耐火レンガや耐火キャスタブルを施工。蓄熱性に優れ、水分の多い物に向く | サンヨー、中和スマイル(AGZ型など) |
| 空冷式 | 水を使わない小型炉 | 処理設備(CSK-50・CSK-35・FSO-50) |
ミヤビは、耐火材は熱をため込みやすく、長時間の焼却やプラスチックなど高カロリーのごみで炉内温度が上がりすぎることがあると説明しています。反対にサンヨーは、耐火材式は温度が上がりやすく水分の多い物の焼却に向くとしています。
ごみの種類と方式の組み合わせ
| ごみ | 向く方式・作りの例(公式記載) |
|---|---|
| 木くず・紙くず | 水冷式・耐火材式の小型炉(関口鐵工所、サンヨー、ミヤビ) |
| 合板・プラスチック | 発熱量の高い物向けの水冷式(サンヨーのSKS-300Aなど。FL-700SAはプラスチックを除くと記載)、乾溜ガス化炉(クマガワKGD-C65型) |
| 水分の多いもの | 耐火材式(サンヨー) |
| 動物・家畜 | 連続投入式の大型家畜焼却炉(西村技研)、動物炉(クマガワ、インシナー工業) |
集じんと煙の対策も方式の一部
煙や灰の飛散を抑える仕組みも、炉を選ぶ基準になります。
- 関口鐵工所:本体とサイクロン集じん装置が独立したトクB型、独立サイクロンで煤塵除去率を上げたD型
- DAITO:新開発のWカットサイクロンで集じん力を高めたLSRモデル
- アナログシステム:再燃焼構造で黒煙を二次燃焼させる
- クマガワ:実験用設備では冷却塔とバグフィルターまで備える
方式を選ぶ質問
- 燃やすごみの種類と、1日の量
- 一度にまとめて入れるか、少しずつ足していくか
- 燃料(灯油など)の費用をどこまで抑えたいか
- 熱を温水や発電に使いたいか
- 炉の寿命と補修の手間をどう考えるか
連続運転か一括投入か
燃やし方の違いは、作業者の働き方にも関わります。ごみを少しずつ足し続けるか、まとめて入れて機械に任せるかを決めておきます。
| 運転のしかた | 向く職場 | 掲載社の例 |
|---|---|---|
| 少しずつ投入(連続) | ごみが1日中少しずつ出る工場 | 関口鐵工所、サンヨー、ミヤビ |
| まとめて投入(一括・バッチ) | 決まった時間にまとめて燃やす職場 | インシナー工業JX型、エターナルビジョン、キンセイ産業 |
| 自動で押し込む | 重く大きなものを扱う施設 | 西村技研MS-K型 |
方式ごとの手間の違い
方式によって、運転中に人がする作業が変わります。導入前に、誰が何をするかを書き出しておくと、方式を選びやすくなります。
- 直接燃焼の小型炉:投入と火加減の確認、灰の掻き出し
- 一括投入のガス化:投入と開始操作、終了後の灰の取り出し
- 大型プラント:運転監視、測定と記録、定期的な補修
- 共通:煙突や集じん装置の点検、消耗品の交換
方式の選び方でよくある失敗
| 失敗 | 起きる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 黒煙が出る | 高カロリーのごみを一度に入れすぎる | 廃プラ対応の機種を選び、投入量を守る |
| 燃え残りが出る | 水分の多いごみに合わない炉 | 耐火材式やガス化式を比べる |
| 炉が早く傷む | 長時間運転で炉が高温になる | 水冷式や補修の計画を検討する |
熱を使うなら方式も変わる
焼却の熱を温水や発電に使いたい場合は、熱を取り出しやすい方式と規模を選びます。小型炉でも温水を取り出せる機種があります。
- サンワプロテック FSC型:木屑自動焼却装置で温水も利用できる
- 関口鐵工所 トクB型:焼却熱の回収もできる
- エターナルビジョン:排熱の有効利用を案内
- アクトリー・タクマ:発電や蒸気まで含めたプラント
方式の説明を見るときの注意
方式の名前は、メーカーによって呼び方が少しずつ違います。名前より、ごみをどう入れて、どこで何回燃やすかの仕組みで比べてください。
- ガス化・乾溜・二段燃焼は、仕組みが近い場合がある
- 再燃焼室の有無は、煙とにおいに直結する
- 水冷式か耐火材式かは、寿命と補修に直結する
方式ごとに最初に当たる会社
| 方式 | 最初に当たる会社 |
|---|---|
| 小型の直接燃焼・水冷式 | 関口鐵工所、ミヤビ |
| 小型の耐火材式 | サンヨー |
| 一括投入のガス化 | インシナー工業、エターナルビジョン |
| 産廃向けの乾溜ガス化プラント | キンセイ産業 |
| 燃焼用バーナーを使わない縦型 | オーエムアイ |
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社アクトリー産廃の許可プラントを一貫で
- アナログシステム有限会社他社製の修理先にも
- 株式会社中和スマイル九州で設置から撤去まで
- DAITO株式会社自社のごみで燃焼テストを
- 株式会社エターナルビジョン一括投入のガス化方式
- インシナー工業株式会社動物・汚物など特殊な焼却に
- 株式会社キンセイ産業一括投入の乾溜ガス化を
- 株式会社クマガワ中規模の産廃・医療系に
- 西村技研家畜・有害鳥獣の焼却に
- 株式会社オーエムアイ燃料を抑える小型炉
- 有限会社サンワプロテック入れ替えと撤去をまとめて
- 株式会社サンヨー小型炉をごみの性質で選ぶ
参照元
よくある質問
ガス化式の焼却炉にはどんな利点がありますか?
エターナルビジョンは、点火後は生成ガスだけで燃焼を続けるため灯油や重油などの燃料の節約に役立つと説明しています。インシナー工業のJX型は、ごみを入れてボタンを押すだけの全自動運転です。
水冷式と耐火材式はどちらがよいですか?
ごみの種類によります。ミヤビは水冷式が長時間の焼却や高カロリーのごみで炉の劣化を防ぐと説明し、サンヨーは耐火材式が水分の多い物の焼却に向くとしています。
燃料を使わない焼却炉はありますか?
オーエムアイのSP-203は、燃焼用バーナーを使わない縦型多層燃焼方式で、燃焼対象物が熱源になるため灯油燃料が不要と書いています。
【用途別】業務用焼却炉メーカーおすすめ3選
工場・事業所の紙くず・木くず・廃プラを小型炉で、自社のごみで試してから選ぶなら
DAITO株式会社
瀬戸市の展示場で持ち込みごみの燃焼テスト。廃プラ対応・お寺様用・届出必要モデルまで
焼却炉展示場に多数の炉を常時展示し、持ち込んだごみを実際に燃やして燃焼・煙・灰の状態を確かめられる(来場は電話予約)。各地の実演会でも実機を展示・実演している。製品は廃プラ対応・万能用・生ゴミ・動物用・お寺様用・届出必要モデルに分かれ、廃プラ対応のISR・LSR・LSZモデル、紙くず・木くず用のLSZ-600モデル、埼玉県条例適合モデルまである。構造基準適合保証をうたい、修理メンテナンスも事業内容に挙げる。
産業廃棄物処理業の許可プラントを、申請から保守まで1社に任せるなら
株式会社アクトリー
申請支援・設計・製造・据付・試運転・アフターサービスを自社一貫。R&Dセンターで3炉を見学できる
産廃向け焼却炉などの環境関連プラントを、行政への申請の支援から設計・製造・据付・試運転・アフターサービスまで自社一貫で請け負う。自社工場で作ったブロックを現地で組み上げて工期を短くし、感染症廃棄物やドラム缶を有姿のまま運搬・投入するシステムも付けられる。R&Dセンターでは焼却プラント3炉を24時間稼働させ、廃熱ボイラ(発電能力770kw)やバグフィルタを見学できる。
動物・汚物・塔婆など特殊なものを焼却するなら
インシナー工業株式会社
全自動のガス化小型炉から、牛一頭を投入できる大型動物炉、紙おむつ・汚物炉、ペット火葬炉まで
小型焼却炉JX型・FX型はごみを入れてボタンを押すだけの全自動運転で、木くず・紙くず・段ボール・塔婆を対象に挙げる(JX-3は16kg/h・火床面積0.29m²、FX型は15〜25kg/h)。特殊焼却炉ではAKS型が牛一頭を丸ごと引き込み投入でき能力180kg/h、紙おむつ・小型汚物焼却炉KBX型、ペット火葬炉PET型・PSM型もある。保守点検と現地解体・移設工事も行う。