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鋳物・ダイカストのバリを自動で取りたい|ロボット・専用機の考え方【2026年版】

鋳物・ダイカストのバリ取りを自動化したい方向けに、バリの発生箇所(パーティングライン・ゲート)、トリミングとの役割分担、ロボット・熱バリ取り・バレル研磨の使い分け、導入手順と安全規則を解説します。

公開 2026年9月24日

鋳物やダイカストのバリ取りは、硬いバリと複雑な立体形状のため、手作業に頼りがちな工程です。人手不足と品質のばらつきから、自動化の相談が増えています。このページでは、バリの発生箇所、方式の使い分け、ロボット導入の手順、安全規則を説明します。

鋳物・ダイカストのバリはどこに出るか

鋳造のバリは、型の合わせ目に溶湯が流れ込んで固まったものです。工具メーカーの解説では、鋳造・射出成形のバリは「型の合わせ目の微細なすき間に素材が流れ込み凝固」して発生するとされています。

発生箇所内容主な処理
パーティングライン型と型の合わせ面に沿った薄いバリトリミングプレス、ロボット、手作業
ゲート(湯口)跡溶湯を圧入する湯口を切断した跡湯口切断、荒加工
エア抜き・オーバーフロー跡空気の逃げ口に流れ込んだ部分トリミング、荒加工
機械加工部との境界鋳肌と切削面の境界に出る切削バリロボット、熱、ブラシ

業界団体の技術解説では、ダイカストには型の合わせ面(パーティングライン)が必ず存在するとされています。溶湯を圧入する湯口とエアの逃げ口も、この面にあると説明されています。製品のパーティングラインには「線跡またはゲート、バリがついている」と記載があります。

ロボットツールメーカーの解説では、鋳鉄製品は硬く強固なバリ、ダイキャスト製品は薄く鋭利なバリが特徴とされています。同じ「鋳物」でも、必要な工具と力が異なります。

自社のワークで、どの箇所のバリを自動化したいかを先に決めてください。全箇所を1つの方式で処理するのは難しく、工程を分けるのが一般的です。

トリミングとバリ取りの役割分担

ダイカストでは、鋳造後にトリミングプレスで湯口・ランナー・オーバーフローを一括で切り落とす工程が一般的です。その後に残る薄いバリや、切断面の残りをバリ取りで処理します。

  1. 鋳造・型開き・取り出し
  2. トリミング(湯口・ランナー・オーバーフローの除去)
  3. 荒加工(ゲート跡などの大きなバリをざっくり除去)
  4. 仕上げバリ取り(微細なバリの除去、表面をなめらかに)
  5. 機械加工・洗浄・検査

ロボットツールメーカーの解説では、荒加工は湯口切断後に「残った大きなバリ(ゲート跡など)をざっくりと取り除き、ワークの全体形状を大まかに整える作業」とされています。仕上げは微細なバリを除去して表面をなめらかにする工程です。

荒加工と仕上げでは、必要なトルクと工具が異なります。同社は荒加工向けのバリ取りホルダに一定以上のトルク出力を推奨しており、1本のツールで全工程を兼ねない設計になっています。

トリミング型で落とせる範囲を広げれば、後工程のバリ取り量が減ります。型の改良とバリ取り機の導入は、セットで検討するのが効率的です。

方式の使い分け:ロボット・熱・バレル

鋳物・ダイカストのバリ取り自動化には、主に3つの方式があります。ワークのサイズと数量、バリの位置で使い分けます。

方式向くワーク強み注意点
ロボット+回転工具中〜大型、多品種、立体形状プログラムで品種切替、稜線に沿った処理ティーチング、ツール摩耗、粉じん対策
熱バリ取り(TEM)小〜中型の量産品、亜鉛・アルミダイカスト位置の教示が不要、30〜60秒で数百個酸化物の後洗浄、ガス設備
バレル・振動研磨小物の大量品一括処理、エッジ全体のR付け狙い撃ち不可、打痕、乾燥

熱バリ取りの装置メーカーは、対象として「亜鉛、ZAMAC合金、アルミのダイカスト部品」を公式に挙げています。ダイカストのバリに隠れた異物も同時に除去できるとされています。

バレル研磨は、表面処理機器メーカーの用語解説で「ワークとメディア、コンパウンドとの相対摩擦により加工を行う研磨方法」と定義されています。全面に作用するため、特定箇所のバリだけを取る用途には向きません。

実務では、トリミング→熱またはロボット→バレルというように、複数方式を組み合わせる工場も多くあります。1方式で全てを解決しようとしないことが重要です。

ロボットバリ取りシステムの構成

ロボットでバリを取るには、ロボット本体、バリ取りツール、治具、安全設備、集じんが必要です。鋳物は寸法がばらつくため、ワークに倣う仕組みが欠かせません。

  • フローティングツール:エア圧などで工具が浮動し、押し当て力を一定に保つ。押し当て力を可変できる機種がある
  • 力覚センサ:ロボット手首のセンサで接触力を検知し、負荷を感じたところから倣う
  • 協働ロボットの内蔵センサ:外付けセンサなしで倣い(研磨、バリ取り)ができる機能が公式に案内されている
  • 治具:ワークを繰り返し同じ位置に固定する。品種ごとに必要
  • 集じん・カバー:鋳物の粉じんからロボットと周辺機器を守る

ロボットメーカーの公式資料では、力センサの定格は147Nから2500Nまで5種類があり、小型から大型ロボットまで対応するとされています。ワークの重量と押し当て力に応じて選びます。

ロボットツールメーカーの解説では、自動化の実現にはツール選定・ティーチング・加工条件の最適化の3要素が必要とされています。同社のエアフロート式アタッチメント導入で、加工時間を約30%短縮した実例が紹介されています。

ワーク固定型か、ロボットがワークを持って固定工具に当てる把持型かも決めます。重い鋳物は固定型、小さいダイカストは把持型が一般的です。

導入の手順

ロボットシステムの設計・組立はロボットSIerが担うのが一般的です。日本ロボットシステムインテグレータ協会は、導入相談時に確認すべき項目を事前チェックシートとして公開しています。

  1. 目的の明確化:品質安定、省人化、作業環境改善のどれを優先するか
  2. 現状の把握:対象ワーク、月産数、品種数、現状の工数、バリの写真
  3. 要求の整理:バリの許容基準(JIS B 0051 の指示)、サイクルタイム
  4. SIer・ツールメーカーへの相談とテスト加工
  5. システム設計・見積・補助金の検討
  6. 製作・据付・ティーチング・試運転
  7. 運用:ツール交換周期、品種追加時の教示体制

同協会の手引きでは、チェックシートの整理レベルが高い状態でSIerとの連携を始めると導入がスムーズに進むとされています。サンプルワークを複数個用意し、荒加工と仕上げの両方でテストを依頼してください。

費用は公式サイトに記載がなく、ロボット本体・周辺機器・SI費用・治具・ツールで構成されます。SIerからは項目を分けた見積を受け取り、品種追加時の教示費用も確認してください。

設備投資には中小企業省力化投資補助金などの制度があります。公式サイトには、一般型で上限1億円、カタログ注文型で上限1,500万円と掲載されています。要件は公募要領で確認してください。

安全規則とリスクアセスメント

産業用ロボットの運転には、労働安全衛生規則第150条の4が適用されます。ロボットに接触して労働者に危険が生じるおそれがあるときは、さくや囲いなどの措置が必要です。

  • 駆動用原動機の定格出力が80W以下の機械は規制対象から除外
  • ISO 10218-1・10218-2 に基づき設計・製造・設置されたロボットを、使用条件に基づき適切に使うことで、さく等の代替が可能
  • リスクアセスメントで危険がないと評価できれば「危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しない
  • 評価結果は指針に基づき記録・保管する

バリ取りは回転工具を使うため、ロボット本体が協働仕様でも工具側の危険源が残ります。鋳物の粉じんや飛散する切りくずも含めて、SIerとリスクアセスメントを文書化してください。

導入前に確認するチェックリスト

最後に、鋳物・ダイカストのバリ取り自動化で見落としやすい点をまとめます。テスト加工の前に確認しておくと、手戻りが減ります。

  • バリの発生箇所ごとに、どの工程で取るかを決めたか
  • トリミング型の改良で減らせるバリはないか
  • ワークの寸法ばらつきの範囲を把握しているか(倣い方式の選定に必要)
  • 荒加工と仕上げで工具を分ける前提になっているか
  • 粉じん・切りくずの対策をシステムに含めているか
  • 品種追加時のティーチング体制を決めているか
  • 後工程(機械加工・洗浄・検査)との接続方法を決めているか

数量が少ない品種は、無理に自動化せず手作業や外注に残す判断も必要です。自動化する品種と残す品種を分けることが、投資を回収する近道です。

参照元

よくある質問

ダイカストのバリ取りはトリミングプレスだけで済みますか?

トリミングで湯口・ランナー・オーバーフローは落とせますが、パーティングラインの薄いバリや切断面の残りは別工程で処理するのが一般的です。ロボット、熱バリ取り、バレル研磨が候補になります。

鋳物のバリ取りロボットは寸法ばらつきに対応できますか?

フローティングツールや力覚センサで押し当て力を一定に保ち、ワークに倣う仕組みで対応します。ロボットの位置精度だけに頼る構成は避けてください。

小さいアルミダイカスト部品を大量にバリ取りしたい場合は?

熱バリ取り(TEM)は亜鉛・アルミのダイカスト部品を対象に挙げており、30〜60秒のサイクルで数百個を処理できるとされています。全面のR付けでよければバレル研磨も候補です。

鋳物バリ取りの自動化に補助金は使えますか?

中小企業省力化投資補助金(一般型は上限1億円、カタログ注文型は上限1,500万円)などが候補です。対象経費と要件は最新の公募要領で確認してください。

【用途別】バリ取り機メーカーおすすめ3選

※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

レーザー・パンチ加工後の板金なら

オーセンテック株式会社

板金のバリ取りを機械化するなら、まずショールームへ

板金専用のブラシ式バリ取り機「AUDEBU」シリーズを幅0.1〜1,500mm・厚さ0.1〜20mmまで揃え、酸化被膜・ドロス除去専用の「BlackLine」も持つ。相模原のショールームに11機種を展示し、持ち込みワークでのテスト加工とオンラインデモに対応している。

オーセンテック株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

鋳物・鍛造品の自動化(ロボット)なら

株式会社クロイツ

バリ取りロボット専業。工作機械と同じGコードで動く

バリ取りロボット専業で、ロボット本体・工具・ツーリング・周辺機器を一社で製造する。アルミダイカスト・鉄鋳物・ギア・鍛造品の製作事例を機種別に公開し、5軸CNC制御でGコードと3D CAD/CAMに対応する「BARISTA」も持つ。

株式会社クロイツの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

小物・薄物を大量に処理するなら

新東工業株式会社

1mmの薄物から一括処理。テスト加工も量産加工も受ける

回転・振動・遠心・流動と全種類のバレル研磨機を揃え、厚さ1mmの薄物や小物の大量バリ取りに対応する。公式事例ではスラストレースやクラッチプレートの面粗さ改善を数値で示し、加工サービス「ロルコセンター」でテスト加工・試作・量産加工まで受ける。

新東工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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