ロボットSIer(システムインテグレーター) · 基礎知識
ロボット導入の安全対策と特別教育|安全柵・協働ロボット・教育を受けられる場所【2026年版】
産業用ロボットを工場に入れるときの安全対策(安全柵、エリアセンサー、非常停止)と、協働ロボットを使うときの考え方、ティーチングを行う人の教育について整理します。特別教育や操作講習を行っているSIerの例、導入後に社内で運用するための準備まで、掲載27社の公式情報をもとにまとめました。
産業用ロボットは、人よりはるかに速く、強い力で動きます。そのため、導入では安全対策と、ロボットを扱う人の教育が欠かせません。
このページでは、安全対策の基本と、教育を受けられる場所、導入後の運用の準備を整理します。
安全対策と教育は、ロボットの費用の中で後回しにされがちな部分です。最初の見積の段階から含めておくことで、導入後に追加の工事や費用が出るのを防げます。
ニッコーはFAQで、産業用ロボットは高速で動作するため、安全柵・エリアセンサー・非常停止などの設計が不可欠だと説明しています。また、ロボットの教示作業には産業用ロボット特別教育の受講が必要だと書いています。
安全対策の3つの基本
ロボットの安全対策は、人がロボットの動く範囲に入らないようにすることと、入ったときに止めることが基本です。代表的な対策は次のとおりです。
| 対策 | 役割 |
|---|---|
| 安全柵 | ロボットの動作範囲を囲い、人が入れないようにする |
| エリアセンサー・セーフティレーザスキャナー | 人が近づいたことを検知して減速・停止させる |
| 非常停止 | 異常のときにすぐ止められるボタンを配置する |
| 扉のインターロック | 柵の扉を開けるとロボットが止まる |
安全対策の費用は、ロボットの見積に含まれているかを必ず確認してください。ニッコーは、費用は安全柵などを含むシステム全体で決まると説明しています。
協働ロボットを使うときの考え方
人と同じ空間で作業できるように作られたロボットを、協働ロボットと呼びます。ニッコーはFAQで、安全性が高く安全柵で囲まずに使用できる協働ロボットを導入する企業も増えていると書いています。
- 人と並んで作業できるので、狭い工場でも置きやすい
- 重いワークや速い動作には向かないことがある
- 使い方によっては、協働ロボットでも柵やセンサーが必要になる
- 導入前に、作業の内容に合わせた危険の洗い出しが必要
特電はユニバーサルロボットの認定インテグレーターで、各メーカーの協働・協調ロボットによるハンドリングを提案しています。日晃オートメもユニバーサルロボットの認定システムインテグレータとして、製品の箱詰めや部品のセットなどの事例を挙げています。
ティーチングを行う人の教育
ロボットに動きを教える作業(ティーチング)や点検は、ロボットの近くで行うため危険を伴います。ニッコーはFAQで、教示・検査などで扱う作業者は産業用ロボット特別教育を受講する必要があると説明しています。
| 教育を受けられる場所(ニッコーのFAQより) |
|---|
| ロボットメーカー |
| 専門教育機関 |
| 労働基準協会(一部地域) |
| 特別教育を行うSIer |
導入の前に、誰がティーチングと点検を担当するかを決め、教育の日程を組んでおくと、立上げがスムーズに進みます。
特別教育や講習を行っているSIer
掲載会社の中には、特別教育や操作講習を自社で行っている会社があります。公式サイトの記載を並べます。
| 会社 | 公式の記載 |
|---|---|
| ニッコー | 社内のロボラボで導入企業向けの特別教育・操作講習 |
| ROBO TAC | 特別教育の実技機種に不二越MC20、安川電機GP7、ダイヘンFD-A20、ファナックLR Mate 7-7D |
| エース設計産業 | ACE ROBOT LABで産業用ロボット特別講習 |
| 髙丸工業 | ロボットテクニカルセンターでオペレーター教育 |
| ヤナギハラメカックス | ロボティクス支援センターのロボットスクール(安全特別教示コース・安全特別保守コース 各2日間、学科7時間・実技6時間) |
| タワシテック | 労働安全衛生規則第36条第31号に基づく特別教育を行い、特別教育修了証を発行 |
実技に使うロボットのメーカーが、導入する機種と同じかどうかも確認してください。ROBO TACのように複数メーカーの実技機を持つ会社なら、機種に合わせて受講できます。
導入後に社内で運用するための準備
ロボットは、導入した後に社内で動かし続けられるかどうかで効果が決まります。次の準備をしておくと、SIerに頼りきりにならずに済みます。
- 日常点検の手順を、SIerと一緒に作っておく
- 品種が増えたときの再ティーチングを、社内でできるようにする
- 止まったときの復旧手順と、連絡先を決めておく
- 定期点検の時期と、交換部品の在庫を決める
ニッコーは、基本操作や日常点検は短期間で習得でき、ワークが変わった場合の再ティーチングも自社でできるよう教育を支援すると書いています。導入の契約に、教育の範囲と回数を入れておくと安心です。
レイアウトと人の動線を考える
安全対策は、ロボット単体ではなく、工場の中の人の動きと一緒に考える必要があります。レイアウトの段階で次の点を決めておきます。
| 検討すること | 理由 |
|---|---|
| ワークの補充・取り出しの位置 | 人がロボットの範囲に入らずに作業できるようにする |
| フォークリフトや台車の通路 | 柵や設備とぶつからないようにする |
| 点検・保守のスペース | 扉を開けて安全に作業できる広さを確保する |
| 省スペースの工夫 | 天吊り式や小型ロボットの採用 |
ニッコーは、ロボットの腕を折りたたむ、ラインを調整する、天吊り式や小型を使うなど、レイアウト次第で省スペース化を提案できると書いています。狭い工場でも、まずは設置場所の図面を見せて相談してください。
立上げのときに受け取っておきたいもの
ロボットを安全に使い続けるには、立上げの段階でSIerから必要な資料を受け取っておくことが大切です。担当者が替わっても運用を続けられるよう、次のものをそろえてください。
| 資料 | 使い道 |
|---|---|
| 取扱説明書・操作手順書 | 日常の運転と停止・復旧 |
| 点検表 | 日常点検と定期点検の記録 |
| 電気図面・レイアウト図 | 改造や故障のときの確認 |
| プログラムのバックアップ | 故障や誤操作からの復旧 |
| 安全装置の配置図 | 柵・センサー・非常停止の位置の確認 |
プログラムのバックアップは、変更のたびに更新して保管しておきます。どこに保管し、誰が更新するかを、導入時に決めておいてください。
安全をSIerと確かめる段取り
安全対策は、設計の段階からSIerと一緒に決めていくものです。次の順番で確認すると、抜けが少なくなります。
- 構想の段階で、人とロボットの作業範囲を図に書く
- 危険な場面を洗い出し、柵・センサー・停止の方法を決める
- 出荷前の試運転で、停止の動作を実際に確かめる
- 据付後に、作業者全員で停止と復旧の手順を練習する
安全の考え方は、工程や作業の内容で変わります。自社の作業をよく知っている現場の担当者が、最初から打ち合わせに加わることが大切です。
この記事に出てくる会社
- エース設計産業株式会社設計・シミュレーションから
- 日晃オートメ株式会社協働ロボットで組立(東海)
- 株式会社ニッコー食品の箱詰め・トレー詰め
- 株式会社ROBO TAC溶接ラインの複数メーカー対応
- 髙丸工業株式会社溶接ロボット+補助金
- 株式会社タワシテック加工機・プレスのワーク供給(新潟)
- 株式会社特電協働ロボットを見て選ぶ
- 株式会社ヤナギハラメカックス組立・検査ラインの自動化
参照元
よくある質問
ロボットを入れるときに必要な安全対策は何ですか?
安全柵、エリアセンサー、非常停止などで、人がロボットの動く範囲に入らないようにし、入ったときに止める対策が基本です。ニッコーはFAQでこれらの設計が不可欠だと説明しています。
協働ロボットなら安全柵はいりませんか?
協働ロボットは安全柵で囲まずに使える場合がありますが、作業の内容によっては柵やセンサーが必要になります。導入前に危険の洗い出しを行い、SIerと対策を決めてください。
ロボットの特別教育はどこで受けられますか?
ニッコーのFAQでは、ロボットメーカー、専門教育機関、労働基準協会(一部地域)などを挙げています。ニッコー、ROBO TAC、エース設計産業のように自社で特別教育や講習を行うSIerもあります。
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創業以来1,400件以上のロボットシステムの納入実績があり、主に工作機械とのワーク脱着作業や射出成型でのワーク取り出しの実績だと公式に示している。実機を持ち込んでの訪問デモを行う。FANUC GLOBAL ROBOT PARTNER OF THE YEAR 2025で「Application Award」を受賞し、ファナックロボット会の会員。事例にはストッカから円筒ワークを取り出して2台の旋盤へ取り付けるシステムなどがある。