自動ドア · 基礎知識
自動ドアの事故と安全対策|消費者庁の調査報告と通行者への7つのポイント【2026年版】
消費者庁 消費者安全調査委員会は2021年6月に「自動ドアによる事故」の調査報告書を公表し、衝突・挟まれの被害が9歳以下の子どもと高齢者に多いと指摘しました。事故の型ごとの建物側の対策製品、全国自動ドア協会の通行者向け7つのポイント、所有者・管理者の責任を整理しました。
自動ドアは便利な反面、衝突・挟まれ・引き込まれの事故が起きています。消費者庁の消費者安全調査委員会が調査報告書を出し、安全規格JIS A 4722の改正にもつながりました。
このページでは、報告書の要点、事故の型と建物側の対策製品、通行者向けの7つのポイント、子どもへの配慮、所有者・管理者に求められる行動を整理します。
消費者安全調査委員会の報告書が指摘したこと
消費者庁 消費者安全調査委員会は、自動ドアの事故について経過報告と最終報告を公表しました。
| 年月日 | 内容 |
|---|---|
| 2020年8月25日 | 経過報告を公表 |
| 2021年6月25日 | 「自動ドアによる事故」事故等原因調査報告書を公表 |
| 報告書の指摘 | 衝突・挟まれ等の被害は9歳以下の子どもと高齢者に多い |
| 意見の宛先 | 経済産業大臣・国土交通大臣 |
| 取り組みを求めた相手 | 製造業者・JIS原案作成団体・保全業者・建物所有者・管理者・設計者 |
報告書は製造業者だけでなく、建物の所有者・管理者・設計者にも安全対策を求めています。設置後の管理が事故防止の一部と位置づけられました。
この報告書の翌年、2022年9月20日にJIS A 4722が改正され、子どもへの配慮が必要な場合の追加要求事項が加わりました。
衝突・挟まれ・引き込まれの3つの型と規格上の対策
事故の型は、ドアの動きの局面で整理できます。JIS A 4722の引戸の安全対策は、この局面ごとに対策を定めています。
- 開くときの事故(戸袋側の挟まれ・引き込まれ・指挟み):ガード、安全距離、低エネルギー作動、開保護センサーで対策する
- 閉じるときの事故(閉まる扉との衝突・挟まれ):保護領域の確保、速度制御、起動検出・タッチスイッチで対策する
- ガラスへの衝突:戸の形状・ガラス、案内・警告表示で対策する(共通の要求事項)
全国自動ドア協会の安全ガイドは、光電センサーがドア走行部での挟まれ防止のために設置されていると説明しています。走行部の保護は「閉じるとき」の対策です。
戸袋側は起動センサーの検知エリア外になりやすく、子どもが扉と壁の間に引き込まれる事故が起きます。「開くとき」の対策が独立して定められた理由です。
建物側でできる対策:ガード・補助センサー・案内表示
既設の自動ドアでも、部品の追加で対策できる項目があります。公式サイトに製品の記載がある会社を整理しました。
| 対策 | 製品例(公式記載) |
|---|---|
| 戸袋侵入防止ガード | ナブコドア NDガード/ディフェンスキング/セフティーウォール/セフティバリア、ナブコシステム 防護柵・ガードスクリーン・セフティバリア、竹中エンジニアリング 自動ドア用防護柵DGS-700/800/900/1000 |
| 作動中の補助センサー | 昭和オート 上部補助センサー(ドア作動時のみ反応し挟まれを防止)、オプテックス 補助光電、ホトロン サポートセンサー |
| 開閉ごとの自己診断 | ナブテスコ NATRUS(開閉ごとの安全試験機能、高密度センサーエリア) |
| 音声案内 | 竹中エンジニアリング 自動ドア用音声装置DSV-100 |
| シャッターの非常停止 | 日本シャッター製作所 タッチオフ(電動シャッター降下時非常停止装置) |
ナブコシステムは、集合住宅の防護柵をリニューアル事例として公開しています。既設のドアに後から防護柵を足す工事は一般的に行われています。
フルテックは、技術者が全国自動ドア協会の安全ガイドラインに沿って点検すると公式サイトに記載しています。昭和オートも同ガイドライン(2006年4月以降施工適用)に準拠すると記載しています。
通行者に「守っていただきたい7つのポイント」
全国自動ドア協会は、通行者向けの安全ガイドとして7つのポイントを掲げています。建物側の対策と合わせて、掲示や案内に使えます。
- ドアが十分に開いてから通行する
- かけ込まない
- ドアの間に立ち止まらない
- 斜めから入らない
- 通行中のスマートフォン使用禁止
- 周りで遊ばない
- 小さな子どもは手をつなぐ
「斜めから入らない」は起動センサーの検知エリアと関係します。斜めに入ると検知が遅れ、開ききる前に扉に接触します。
「ドアの間に立ち止まらない」は、閉じる動作の保護領域から外れる位置に立たないための注意です。案内表示はJIS A 4722の共通要求事項でもあります。
子どもへの配慮:規格の改正と安全教室
報告書が9歳以下の子どもの被害を指摘したことを受け、規格と業界の両方で子ども向けの取り組みが進んでいます。
- JIS A 4722の2022年改正で、子どもへの配慮が必要な場合の追加要求事項を追加
- ナブテスコ NATRUSはキッズデザイン賞奨励賞(2018年、NATRUS+eは2019年)を受賞
- ナブコシステムは子ども向け「NABCO自動ドア安全教室」を開催(第4回、2026年8月)
保育施設・学校・小児科・商業施設の入口は「子どもへの配慮が必要な場合」に当たる可能性があります。設計時に追加要求事項への対応を確認してください。
所有者・管理者が担う日常点検と記録
報告書は建物所有者・管理者にも取り組みを求めています。全国自動ドア協会とJIS A 4722が所有者に求める行動は次のとおりです。
- 所有者による日常点検と、専門技術者による定期保守点検(全国自動ドア協会)
- 安全への影響が大きい部品・消耗しやすい部品は3ヶ月毎(年4回)の点検を推奨
- 保全点検と記録はJIS A 4722の共通要求事項に含まれる
- 九州オートドアーは最大5,000万円補償の生産物賠償責任保険に加入し、点検結果を毎回「自動ドア点検報告書」で提出すると公式サイトに記載
事故が起きたとき、点検の記録があるかどうかで管理者の対応は変わります。点検報告書を受け取り、保管する体制を先に作ってください。
今日から着手できる安全対策の順番
設備の更新を待たずに始められる対策から順に並べます。
- 戸袋側に隙間があるか、ガードがあるかを現地で見る
- 起動センサーの検知エリアが通行動線に合っているか、斜めから入る人がいないかを観察する
- 7つのポイントの掲示を入口に置く
- 保守会社に、JIS A 4722の「開くとき」「閉じるとき」の対策の有無を点検項目に入れてもらう
- 2017年以前に設置したドアは、開保護センサーとガードの追加を見積もる
これらは製品を替えなくても着手できます。更新を決める場合は、JIS A 4722準拠を公式に明記した製品(NATRUS、S-ミリオン L・M・H・HSシリーズなど)から検討してください。
この記事に出てくるメーカー
- フルテック株式会社遠隔監視保守なら第一候補
- 株式会社ホトロン(ホトロングループ)センサー・スイッチ単体なら
- 九州オートドアー株式会社九州で頼む地元密着型
- ナブコドア株式会社(NABCO西日本地区総代理店)西日本のNABCO窓口
- ナブテスコ株式会社(NABCO 自動ドア)迷ったらまずここ
- ナブコシステム株式会社(NABCO東日本地区総代理店)東日本のNABCO窓口
- 株式会社日本シャッター製作所大開口の高速シャッター
- オプテックス株式会社センサー選定の基準機
- 昭和オート株式会社首都圏の小回りメーカー
- 竹中エンジニアリング株式会社(TAKEX)周辺機器で安全性を足す
参照元
よくある質問
自動ドアの事故は誰に多いですか?
消費者庁 消費者安全調査委員会が2021年6月25日に公表した「自動ドアによる事故」の調査報告書は、衝突・挟まれ等の被害が9歳以下の子どもと高齢者に多いと指摘しています。報告書は経済産業大臣・国土交通大臣に意見を出し、製造業者・保全業者・建物所有者・管理者・設計者に安全対策を求めました。
自動ドアに挟まれないための注意点は?
全国自動ドア協会の「守っていただきたい7つのポイント」は、ドアが十分に開いてから通行する、かけ込まない、ドアの間に立ち止まらない、斜めから入らない、通行中のスマートフォン使用禁止、周りで遊ばない、小さな子どもは手をつなぐ、の7つです。
既存の自動ドアに後から安全対策を追加できますか?
できます。戸袋侵入防止のガード(ナブコドアのNDガード、竹中エンジニアリングのDGSシリーズなど)、作動中だけ働く補助センサー(昭和オートの上部補助センサーなど)、音声装置(竹中エンジニアリングのDSV-100)が公式サイトに記載されています。ナブコシステムは集合住宅の防護柵をリニューアル事例として公開しています。
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