自動ドア · 基礎知識
バリアフリー法と自動ドア|出入口幅80cm・自動開閉・多目的トイレのスイッチ【2026年版】
バリアフリー法施行令第19条は、移動等円滑化経路の出入口を幅80cm以上・自動開閉構造など・前後に高低差なしと定めています。義務対象の規模、JIS A 4722の2022年改正、多目的トイレ用スイッチと駆動装置、車椅子・ベッドが通る開口幅を確保する製品を整理しました。
自動ドアは、車椅子使用者や高齢者が建物に入るための設備でもあります。バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)は、出入口の幅と構造を施行令で定めています。
このページでは、施行令第19条の要件、義務の対象規模、JIS A 4722の2022年改正、多目的トイレの自動ドアとスイッチ、ベッドやストレッチャーが通る開口幅を確保する製品を整理します。
施行令第19条が出入口に求める3つの条件
バリアフリー法施行令第19条は、移動等円滑化経路を構成する出入口について、次の条件を定めています。
| 項目 | 施行令の要件 |
|---|---|
| 幅 | 80cm以上 |
| 戸の構造 | 戸を設ける場合は、自動的に開閉する構造その他の車椅子使用者が容易に開閉して通過できる構造 |
| 段差 | 前後に高低差がないこと |
| 廊下等 | 幅120cm以上 |
「自動的に開閉する構造」は要件の一例で、車椅子使用者が容易に開閉できる構造であれば満たします。実務では自動ドアが最も確実な選択肢になります。
扉の厚みや取っ手で通れる幅が削られないよう、設計時に余裕を持たせてください。
「前後に高低差がないこと」は、自動ドアの床レールや敷居にも関わります。ユニフローのスライドドアは床レールなしを公式に明記しており、段差を作らない引戸の例です。
自動ドアは「自動的に開閉する構造」に当たりますが、開いてから閉まるまでの時間が短いと、車椅子使用者が通り切れません。JIS A 4722が「閉じるとき」の対策として保護領域の確保と速度制御を定めている点は、この場面で意味を持ちます。
義務の対象になる建物の規模
基準適合義務は、すべての建物にかかるわけではありません。施行令の規定は次のとおりです。
- 基準適合義務の対象となる特別特定建築物の規模は、床面積の合計2,000㎡以上(第9条)
- 公衆便所は50㎡以上で対象
- 車椅子使用者用便房の出入口も幅80cm以上
自社の建物が基準適合義務の対象かどうかは、設計者か特定行政庁に確認してください。
義務の対象外でも、JIS A 4722の内容は「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」令和3年改正版に反映されています。設計標準に沿えば、規模を問わず同じ考え方で設計できます。
2022年改正でJIS A 4722に加わったバリアフリートイレの要求事項
歩行者用自動ドアの安全規格JIS A 4722は、2022年9月20日の改正で対象を広げました。
- 子どもへの配慮が必要な場合の追加要求事項
- 車椅子使用者用便房用・一般便房用(バリアフリートイレ用)自動ドアセットの個別要求事項
トイレの自動ドアは、入口の引戸と違って狭い空間で使われ、スイッチで開閉します。個別要求事項が設けられたのは、この使われ方が入口と異なるためです。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)は平成31年版以降(令和7年版まで)JIS A 4722を反映しています。公共施設のトイレ改修では、改正後の要求事項が前提になります。
多目的トイレ(車椅子使用者用便房)の自動ドアとスイッチ
多目的トイレの自動ドアは、駆動装置・押しボタンスイッチ・呼出(警報)システムの組み合わせで構成されます。公式サイトに製品の記載がある会社を整理しました。
| 会社 | 製品・記載 |
|---|---|
| ナブテスコ(NABCO) | HDS-4iα 押しボタンスイッチ(バリアフリートイレ用、2009年度グッドデザイン賞)、バリアフリートイレ用自動ドア |
| 昭和建産(S-ミリオン) | 多機能トイレ用駆動装置(公共建築協会性能評価 第211-24030005号)、車椅子使用者用便房用駆動装置(第211-24031001号) |
| ホトロン | 多目的トイレ制御器/互換器 HT-C2/HT-GU、多目的トイレ警報システム |
| ワーム(WRM) | 多機能トイレ用システム、病院用スイッチ |
| 北陽オートドア | 障害者用トイレシステム |
| 寺岡オート・ドアシステム | バリアフリー・多目的トイレ設備 |
| 昭和オート | 多機能トイレ |
| ナブコドア | 多機能トイレ |
| オリエント産業 | バリアフリートイレ自動ドア。羽田空港国際旅客ターミナルJALファーストクラスラウンジで2009年度グッドデザイン賞 |
| 竹中エンジニアリング | 自動ドア用音声装置DSV-100、電池レスワイヤレススイッチDLWシリーズ |
昭和建産の駆動装置は「多機能トイレ用」と「車椅子使用者用便房用」で別の性能評価番号を持っています。JIS A 4722の改正が、便房の種類ごとに要求事項を分けたことに対応しています。
車椅子・ベッド・ストレッチャーが通る開口幅を確保する製品
80cmは最低限の幅です。病院や福祉施設ではベッドやストレッチャーが通るため、より広い有効開口が必要になります。公式サイトに開口幅に関する記載がある製品を挙げます。
- 扶桑電機工業 ダブルスライドドア:戸袋1枚分に2枚を引き込み、有効開口幅が約1.5倍。同社は対応施設に医療施設(ストレッチャー・気密・X線遮蔽)を記載
- ユニフロー スライドドア:床レールなしで、車椅子・ベッド通行可。防火・気密仕様に対応
- 日本自動ドア 多重スライド(DS-230/TRI):複数枚の扉を重ねて引き込む
- ナブテスコ ワイドオープン/ブレークアウト:扉を開放して開口を広げる方式
- フルテック ダブルスライドドア:自社開発の引戸
- 三和シヤッター:医療・福祉施設向けドアを製品カテゴリに用意
床レールの有無は、車椅子の通行しやすさに直結します。ユニフローのスライドドアは床レールなしを明記しています。
設計・改修前に確認する項目
バリアフリー対応の自動ドアは、法令・規格・製品の3層で確認すると漏れがありません。
- 建物が基準適合義務の対象(床面積2,000㎡以上の特別特定建築物、公衆便所は50㎡)に該当するか
- 移動等円滑化経路上の出入口の有効幅が80cm以上、廊下が120cm以上か
- 出入口の前後に高低差がないか(自動ドアの敷居やレールで段差が生じないか)
- トイレの自動ドアはJIS A 4722の2022年改正の個別要求事項に対応する製品か
- スイッチの高さ・位置と呼出システムの連動を、利用者の動作に合わせて決めているか
公共建築工事標準仕様書と建築設計標準の両方がJIS A 4722を参照しています。設計者に「どちらの版を参照しているか」を確認すると、要求事項の取り違えを防げます。
この記事に出てくるメーカー
- フルテック株式会社遠隔監視保守なら第一候補
- 扶桑電機工業株式会社(ドリーム自動ドア)特殊仕様の引戸に強い老舗
- 北陽オートドア株式会社(アラビアン)関西の大型・産業用ドアに
- 株式会社ホトロン(ホトロングループ)センサー・スイッチ単体なら
- 日本自動ドア株式会社製品幅と直営保守のバランス型
- ナブコドア株式会社(NABCO西日本地区総代理店)西日本のNABCO窓口
- ナブテスコ株式会社(NABCO 自動ドア)迷ったらまずここ
- オリエント産業株式会社(NABCO九州・沖縄地区総代理店)九州・沖縄のNABCO窓口
- 昭和オート株式会社首都圏の小回りメーカー
- 昭和建産株式会社(三和ミリオン自動ドア/S-ミリオン)公共工事向け性能評価機
- 竹中エンジニアリング株式会社(TAKEX)周辺機器で安全性を足す
- 寺岡オート・ドアシステム株式会社医療・研究の特殊ドアに強い
参照元
よくある質問
バリアフリー法で自動ドアは義務ですか?
施行令第19条は、移動等円滑化経路の出入口に戸を設ける場合は「自動的に開閉する構造その他の車椅子使用者が容易に開閉して通過できる構造」とするよう定めています。自動ドアは要件を満たす代表的な方法ですが、唯一の方法ではありません。義務の対象は床面積2,000㎡以上の特別特定建築物(公衆便所は50㎡)です。
バリアフリーの出入口の幅は何cm必要ですか?
バリアフリー法施行令第19条は出入口の幅を80cm以上、廊下等を120cm以上と定めています。車椅子使用者用便房の出入口も80cm以上です。ベッドやストレッチャーが通る場合は、扶桑電機工業のダブルスライドドア(有効開口幅約1.5倍)のように、より広い開口を取る製品があります。
多目的トイレの自動ドアのスイッチはどのメーカーがありますか?
ナブテスコのHDS-4iα押しボタンスイッチ(2009年度グッドデザイン賞)、ホトロンの多目的トイレ制御器HT-C2/HT-GU、ワームの多機能トイレ用システム、竹中エンジニアリングの音声装置DSV-100と電池レスワイヤレススイッチDLWシリーズが公式サイトに記載されています。駆動装置は昭和建産が公共建築協会の性能評価を取得しています。
【用途別】自動ドアメーカーおすすめ3選
店舗・ビル・公共施設の入口を新設・更新するなら
ナブテスコ株式会社(NABCO 自動ドア)
駅・空港・病院で使われる標準。全国の販売施工網で、どこでも同じ保守が受けられる
引戸の開閉装置は軽量から超重量まで5クラス、防火戸・気密遮音・回転ドア・高速シートドアまで一社でそろう。次世代標準機NATRUSは安全規格JIS A 4722に準拠し、開閉ごとの安全試験機能を持つ。羽田空港・JR博多駅・虎ノ門ヒルズなどの施工事例を公式に載せ、東日本はナブコシステム、西日本はナブコドアなど全国16社の正規販売施工会社が保守を担う。
止められない入口の保守で選ぶなら
フルテック株式会社
24時間365日の修理受付と遠隔監視。技術者は全員正社員の上場会社
業界でいち早く24時間365日の修理受付と、IoT遠隔モニタリングによる自動ドア保守を始めたと公式に掲げる。技術者は全員正社員で、自動ドア施工技能士の指導のもと全国自動ドア協会の安全ガイドラインに沿って点検する。JIS A 4722対応の保守契約プランを用意し、札幌から福岡まで拠点を持つ。渋谷ヒカリエ・平塚市本庁舎などの事例を公開。
工場・物流・食品の高速シートシャッター、スイングドアなら
株式会社ユニフロー
最大2.0m/s・50万回耐久の高速シートシャッター。スイングドアは国内シェア85%(自社推計)
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