自動ドア · 基礎知識
JIS A 4722とは?歩行者用自動ドアの安全規格の中身と、対応製品の見分け方【2026年版】
JIS A 4722「歩行者用自動ドアセット-安全性」は2017年制定・2022年改正の安全規格です。開くとき・閉じるとき・共通の3区分で求められる対策、JIS A 1551・A 4723との役割分担、公式サイトで対応を明記する製品と保守プランを整理しました。
JIS A 4722は「歩行者用自動ドアセット-安全性」を定めた日本産業規格です。2017年の制定まで、引戸の自動ドアには全国自動ドア協会の安全ガイドラインしかありませんでした。
このページでは、規格の経緯、求められる安全対策の中身、関連する2つのJISとの関係、そして公式サイトで「JIS A 4722対応」を確認できる製品と保守プランを整理します。
制定から改正までの経緯を年表で見る
規格の位置づけを理解するには、制定と改正の順番を押さえるのが早道です。全国自動ドア協会とナブテスコの解説ページに基づいて整理します。
| 年月日 | 出来事 |
|---|---|
| 2017年3月21日 | JIS A 4722「歩行者用自動ドアセット-安全性」制定 |
| 2017年9月20日 | JIS A 4721「自動回転ドア-安全性」廃止。内容はJIS A 4722に統合 |
| 2021年4月 | JIS A 1551「自動ドア開閉装置の試験方法」改正 |
| 2021年6月25日 | 消費者庁 消費者安全調査委員会が「自動ドアによる事故」の事故等原因調査報告書を公表 |
| 2022年9月20日 | JIS A 4722改正。子どもへの配慮が必要な場合の追加要求事項と、車椅子使用者用便房用・一般便房用(バリアフリートイレ用)自動ドアセットの個別要求事項を追加 |
制定によって、メーカー・設計者・建物所有者それぞれの取り組みが明確になったとナブテスコは説明しています。規格は製品設計から保全点検まで全プロセスを対象にします。
「開くとき」「閉じるとき」「共通」の3区分で見る安全対策
JIS A 4722の引戸の安全対策は、ドアの動きの局面ごとに整理されています。ナブテスコの解説ページに基づく区分は次のとおりです。
| 区分 | 対策の内容 |
|---|---|
| ドアが開くとき | 戸袋側の挟まれ・衝突防止(ガード/安全距離/低エネルギー作動/開保護センサー)、引き込まれ・指挟み防止 |
| ドアが閉じるとき | 保護領域の確保、速度制御、起動検出・タッチスイッチ |
| 共通 | 戸の形状・ガラス、装置・センサー、案内・警告表示、保全点検/記録 |
「開くとき」の対策が独立して定められている点が、従来のガイドラインとの違いです。戸袋側で子どもが引き込まれる事故は、開く動作で起きます。
「共通」に保全点検と記録が含まれるため、規格への対応は設置時だけで終わりません。所有者・管理者による点検の継続が前提です。
JIS A 1551・A 4723との役割分担
自動ドアに関わるJISは3つあり、それぞれ対象が違います。全国自動ドア産業振興会とナブコシステムの記載に基づいて整理します。
| 規格 | 対象 | 誰が使うか |
|---|---|---|
| JIS A 1551 | 自動ドア開閉装置の試験方法(2021年4月改正) | メーカーの試験・評価 |
| JIS A 4722 | 歩行者用自動ドアセットの安全性 | メーカー・設計者・所有者・保全業者 |
| JIS A 4723 | 自動ドア開閉装置の性能要求事項(駆動装置と検出装置の性能規定) | メーカーの性能表示 |
ナブテスコは、JIS A 4723で表示を要求される性能項目を公開しています。駆動装置を比較するときは、この表示項目をそろえて見ると条件が合わせやすくなります。
JIS A 4722が「ドアセット」を対象にしている点も重要です。駆動装置だけでなく、扉・ガラス・センサー・表示まで含めた組み合わせで安全性を判断します。
公共建築工事標準仕様書と建築設計標準への反映
JIS A 4722は民間の任意規格にとどまらず、公共工事と設計指針に取り込まれています。
- 「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」平成31年版以降(令和7年版まで)に反映
- 「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」令和3年改正版に反映
- 消費者庁の調査報告書は、経済産業大臣・国土交通大臣へ意見を出し、製造業者・JIS原案作成団体・保全業者・建物所有者・管理者・設計者に安全対策の取り組みを求めた
公共建築の入口は、仕様書を通じてJIS A 4722が事実上の要件になります。民間建物でも、設計事務所が同じ仕様書を参照するケースが多いと考えてください。
公式サイトで「JIS A 4722対応」を確認できる製品と保守プラン
今回調査した31社のうち、公式サイトでJIS A 4722への対応を明記している会社と、その内容を整理しました。対応の形は「製品」と「保守契約」の2通りあります。
| 会社 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| ナブテスコ(NABCO) | NATRUSはJIS A 4722に準拠した「安全性・快適性・耐久性」の次世代標準。開閉ごとの安全試験機能、高密度センサーエリア |
| ナブコシステム | JIS A 4722準拠の設置を推奨。NATRUS保守契約プランを用意 |
| ナブコドア・オリエント産業 | NATRUS専用保守契約プランを用意 |
| 昭和建産(S-ミリオン) | エンジン装置L・M・H・HSシリーズがJIS A 4722準拠。公共建築協会性能評価(駆動装置)を取得 |
| 日本自動ドア | 対応ドアに「JIS A 4722対応自動ドア」を明記 |
| 扶桑電機工業 | 対応ドアに「JIS A 4722対応自動ドア」を明記 |
| フルテック | JIS A 4722対応自動ドア専用保守契約プラン。技術者は全国自動ドア協会の安全ガイドラインに沿って点検 |
規格の対象は「ドアセット」なので、駆動装置が準拠していても、センサーの配置やガードの有無で規格が求める状態にならない場合があります。設置後の点検を含めて確認してください。
見積・発注時に確認する5項目
製品名だけで判断せず、次の5項目を書面で確認すると、JIS A 4722への対応度が分かります。
- 提案されるドアセット(駆動装置・扉・センサー・ガード)が、JIS A 4722のどの要求事項に対応するか
- 戸袋側の対策(ガード・安全距離・開保護センサー)がどれか。ナブコドアはNDガード・セフティーウォールなどの戸袋侵入防止製品を扱う
- 子どもの利用が想定される建物の場合、2022年改正の追加要求事項への対応
- バリアフリートイレ用の自動ドアであれば、個別要求事項への対応
- 設置後の保全点検と記録を、誰がどの頻度で行うか(保守契約の内容)
2017年以前に設置した自動ドアは、規格制定前の製品です。更新を検討する場合は、現状のセンサー配置とガードの有無を先に点検してもらってください。
この記事に出てくるメーカー
- フルテック株式会社遠隔監視保守なら第一候補
- 扶桑電機工業株式会社(ドリーム自動ドア)特殊仕様の引戸に強い老舗
- 日本自動ドア株式会社製品幅と直営保守のバランス型
- ナブコドア株式会社(NABCO西日本地区総代理店)西日本のNABCO窓口
- ナブテスコ株式会社(NABCO 自動ドア)迷ったらまずここ
- ナブコシステム株式会社(NABCO東日本地区総代理店)東日本のNABCO窓口
- オリエント産業株式会社(NABCO九州・沖縄地区総代理店)九州・沖縄のNABCO窓口
- 昭和建産株式会社(三和ミリオン自動ドア/S-ミリオン)公共工事向け性能評価機
参照元
よくある質問
JIS A 4722は義務ですか?
JISそのものに法的な強制力はありませんが、「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」平成31年版以降と「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」令和3年改正版に反映されています。公共工事や設計事務所の仕様を通じて、実務上の要件になっています。
JIS A 4722の2022年改正で何が変わりましたか?
2022年9月20日の改正で、子どもへの配慮が必要な場合の追加要求事項と、車椅子使用者用便房用・一般便房用(バリアフリートイレ用)自動ドアセットの個別要求事項が追加されました。
JIS A 4722に対応した自動ドアはどれですか?
公式サイトで対応を明記しているのは、ナブテスコのNATRUS(JIS A 4722準拠)、昭和建産のS-ミリオン エンジン装置L・M・H・HSシリーズ(JIS A 4722準拠)、日本自動ドアと扶桑電機工業の「JIS A 4722対応自動ドア」です。フルテックはJIS A 4722対応の保守契約プランを用意しています。
JIS A 4722とJIS A 4723の違いは何ですか?
JIS A 4722は歩行者用自動ドアセット全体の安全性を定める規格で、JIS A 4723は駆動装置と検出装置の性能要求事項を定める規格です。もう1つのJIS A 1551は開閉装置の試験方法を定めます。
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