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バリ取り機 · 基礎知識

バリ取り機の粉じん・騒音・安全対策|乾式と湿式、集じん、ロボットの安全規則【2026年版】

バリ取り機の導入で必要になる粉じん対策(粉じん障害防止規則、局所排気装置、呼吸用保護具)、騒音対策(2023年改訂の騒音障害防止ガイドライン、85dB・90dBの管理区分)、ロボットと回転工具の安全(労働安全衛生規則第150条の4)を、公的資料と各社の公式記載で解説します。

公開 2026年9月29日

バリ取り機は、粉じん・騒音・回転工具・薬液とガスの4つの危険源を扱う設備です。このページでは、公的資料に基づく義務と、危険源を減らす機種の公式記載を整理します。

法令の解釈は所轄の労働基準監督署の判断が優先します。ここでは公開資料の記載の範囲で、導入前に押さえる点だけをまとめます。

バリ取りで生じる4つの危険源:粉じん・騒音・回転工具・薬液とガス

方式によって、どの危険源が主になるかが変わります。見積の段階で、自社の方式がどの対策を必要とするかを表に当てはめてください。

危険源主に生じる方式対策の柱
粉じん乾式のブラシ・研磨ベルト、ロボット、乾式バレル、ブラスト局所排気装置・集じん機、湿式化、呼吸用保護具
騒音手持動力工具、研削・研磨、ブラスト低騒音型機械の採用、遮蔽、聴覚保護具
回転工具・可動部ロボット、専用機、手持ち工具安全柵、リスクアセスメント、始動制御
薬液・ガス・高圧水電解、熱(TEM)、高圧水、湿式機液管理、廃液処理、ガスの取り扱い、防錆

労働者健康安全機構の資料では、粉じん対策の基本は「粉じんを発生させない」「拡散を防止する」「吸入しない」の3つとされています。バリ取り機の方式選びは、1つ目の「発生させない」に当たります。

厚生労働省の第10次粉じん障害防止総合対策(令和5年度〜令和9年度)は、地域の実情に即した事項として「金属等の研磨作業」を挙げています。バリ取りはこの範囲に入る作業です。

粉じん:「金属の研磨作業」は粉じん障害防止規則の対象

労働局の資料では、粉じん作業は鉱物の掘削作業、金属の研磨作業、アーク溶接作業などをいい、じん肺法と粉じん障害防止規則の適用があるとされています。乾式でバリを削る作業は、この「金属の研磨作業」に当たります。

  • 発生源対策:作業の密閉化・自動化・遠隔化で作業者を発生源から離す。局所排気装置等の設置、湿潤化
  • 局所排気装置・除じん装置:1年以内ごとに1回の定期自主検査(法定)と、少なくとも月1回以上の自主的な検査
  • 作業環境測定:常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場は6か月以内ごとに1回、記録は7年間保存
  • 清掃:毎日1回以上の清掃と、1か月以内に1回のたい積粉じんの除去
  • 呼吸用保護具:国家検定合格品を使い、粉じん保護具着用管理責任者を選任
  • じん肺健康診断:常時粉じん作業に従事する労働者に実施、記録は7年間保存

厚生労働省の家内労働向け資料では、粉じんを発散する作業の例として「研削盤(グラインダ)やバフ盤で金属等を研磨」する作業が挙げられています。手作業のバリ取りも、同じ粉じんを出します。

バリ取り機を導入すると、作業者が発生源から離れ、集じんを機械側に集約できます。ロボット装置メーカーは、粉塵が発生する作業環境から作業者を開放することで作業環境の改善を実現したと記載しています。

乾式と湿式:粉じんを出さない側に寄せる

同じ板金バリ取りでも、乾式は集じん機、湿式は水で粉じんを抑えます。公式サイトに粉じんに関する記載がある機種を挙げます。

機種・メーカー方式公式サイトの記載
アマダ IBT-610Ⅱ湿式「湿式加工で粉塵発生を抑え、作業環境を大幅に改善」
富士機工 ツインバリトール湿式粉塵・発熱のない湿式加工式。タンク内蔵
トーバン工業 BURRY TACK Ⅲ-R湿式セラミックホイールとロータリー4軸バフの湿式機
マコー ウェットブラスト湿式「水を使うことで粉塵を抑え、熱や静電気の発生も少ない」
富士機工 バリマスター加圧成形研削・研磨方式でなくバリを加圧成形するため粉塵が出ない
NSK 超音波トリム超音波廃水・切り屑処理不要、低騒音・省スペース
マツノシステム コンパクトバートル乾式集じん機の吸引でワークを固定する2軸機
新東工業 乾式回転バレル EK-100型乾式「乾式で湿式と同等の平滑を実現」、廃水処理不要

湿式は粉じんを抑える代わりに、水タンク・フィルタ・廃水処理と防錆管理が必要です。乾式は廃水処理が不要な代わりに、集じん機と定期自主検査が必要です。

アルミの粉じんは発火のリスクがあるため、湿式が選ばれることが多い材質です。アルミと鉄を同じ機械で処理する場合は、粉じんの混合について集じん機の仕様をメーカーに確認してください。

騒音:2023年改訂ガイドラインの管理区分と手持動力工具

厚生労働省は2023年4月に「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。パンフレットでは、一度失われた聴力は元に戻らないとして、管理者の選任、測定、聴覚保護具、健康診断、教育を主なポイントに挙げています。

管理区分等価騒音レベル措置の例(パンフレットの記載)
第Ⅰ管理区分85dB未満作業環境の継続的維持に努める
第Ⅱ管理区分85dB以上90dB未満作業環境改善のため必要な措置、必要に応じて聴覚保護具
第Ⅲ管理区分90dB以上改善措置と再測定、聴覚保護具の使用、標識で明示

対象は、作業環境測定が義務づけられている8作業場と、騒音が生じる可能性の高い52作業場です。「手持動力工具を取り扱う業務を行う作業場」が対象に含まれています。

手持動力工具を使用する業務では、継続して第Ⅰ管理区分または85dB未満の場合を除き、必ず聴覚保護具を使用させるとされています。ハンドグラインダーやベルトサンダによる手作業のバリ取りが、この対象です。

測定は6月に1回のほか、施設・設備・作業工程・作業方法を変更した場合にその都度行います。バリ取り機の導入は「設備の変更」に当たるため、導入後に再測定してください。

騒音発生源対策として「低騒音型機械の採用」が挙げられています。機械設備の製造業者には、騒音レベルに関する情報の公表が望ましいとされているため、見積時に騒音値の資料を求めてください。

ロボットと回転工具:労働安全衛生規則第150条の4

産業用ロボットには労働安全衛生規則第150条の4が適用され、接触して労働者に危険が生じるおそれがあるときは、さくや囲いなどの措置が必要です。厚生労働省の通達では、次の条件で代替が認められています。

  • 駆動用原動機の定格出力が80W以下の機械は規制対象から除外
  • ISO 10218-1・10218-2 に基づき設計・製造・設置されたロボットを、使用条件に基づき適切に使う
  • リスクアセスメントで危険がないと評価できれば「危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しない
  • 評価結果は指針に基づき記録・保管する

バリ取りは回転工具を使うため、ロボット本体が協働仕様でも工具側の危険源が残ります。工具とワークを含めたシステム全体でリスクアセスメントを行い、SIerと文書化してください。

安全機能を公式に記載する機種もあります。ヤマハファインテックのWS056は粉塵処理を考慮した安全柵、FINESYSTEMのFDM-001は標準で安全機能を装備、JOHNANはロボット特別教育を提供と記載しています。

手持ち工具にも始動制御の工夫があります。日東工器のバリカッター BC-005は「ワークに当てないと刃物が回転しないプッシュスタート式」、ワイテックのBARUZOは回転体ではなく往復運動で安全と記載されています。

電解装置では、中央製作所が短絡遮断システムの装備を記載しています。薬液・ガス・高圧水を扱う方式は、装置の保護機能と社内の取り扱い手順を合わせて確認します。

見積とリスクアセスメントに安全設備を最初から入れる

安全設備を据付後に足すと、面積と費用が増え、補助金の申請内容とも食い違います。見積の段階で、次の項目を仕様に含めてください。

  1. 集じん機・局所排気装置と、その定期自主検査の方法
  2. 湿式の場合は廃水処理と防錆、乾式の場合はダクトと清掃の計画
  3. 騒音値の資料と、導入後の測定計画
  4. ロボット・専用機の安全柵、インターロック、リスクアセスメントの分担
  5. 呼吸用保護具・聴覚保護具の選定と、着用管理責任者の選任
  6. 薬液・ガス・高圧水の取り扱い手順と保護具

労働局の資料では、常時特定粉じん作業に就かせる者には特別教育が必要とされています。設備の導入と一緒に、教育の計画も立ててください。

安全と粉じんの対策は、投資回収の効果にも含まれます。粉じん・騒音・振動作業から作業者を離せることは、機械化の効果の一つです。

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

バリ取り作業は粉じん障害防止規則の対象ですか?

労働局の資料では、粉じん作業には金属の研磨作業が含まれ、じん肺法と粉じん障害防止規則の適用があるとされています。乾式でバリを削る作業は、この範囲に当たります。判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

手作業のバリ取りに聴覚保護具は必要ですか?

2023年4月改訂の騒音障害防止のためのガイドラインでは、手持動力工具を使用する業務は、継続して第Ⅰ管理区分または85dB未満の場合を除き、必ず聴覚保護具を使用させるとされています。

粉じんを出さないバリ取り機はありますか?

湿式機(アマダ IBT-610Ⅱ、富士機工 ツインバリトール)、ウェットブラスト(マコー)、加圧成形方式(富士機工 バリマスター)が、粉塵を抑える・出ないと公式サイトに記載しています。トーバン工業のBURRY TACK Ⅲ-Rも湿式機です(粉塵に関する記載は未確認)。

協働ロボットでバリ取りをすれば安全柵は不要ですか?

ロボット本体が ISO 10218 に基づく協働仕様でも、回転工具の危険源は残ります。工具とワークを含めたリスクアセスメントで危険がないと評価できる場合に限り、さく等の代替が認められます。

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※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

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