防爆タブレット・防爆スマホ · 基礎知識
Zone1とZone2の違いとEx表示の読み方|防爆タブレットを使う場所の区分【2026年版】
防爆タブレットは、使う場所の危険の程度(Zone)に合った機種を選ぶ必要があります。法令の定めと、掲載会社の公式ページに載っているEx表示の実例から、区分と表示の見方を整理しました。
可燃性のガスや粉じんがある場所では、電気機器の小さな火花や熱が爆発のきっかけになります。そのため、使える機器は法令で決められています。
この記事では、法令の定めと、掲載会社の公式ページに載っている防爆の表示を見比べながら、使う場所の区分を整理します。
法令で決まっていること
労働安全衛生規則は、爆発の危険のある場所で電気機械器具を使うときの条件を定めています。要点は次のとおりです。
- 第280条: 第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお引火性の物の蒸気や可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所で電気機械器具を使うときは、その蒸気・ガスの種類と、爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を持つ防爆構造電気機械器具でなければ使ってはならない
- 第281条: 可燃性の粉じん(マグネシウム粉、アルミニウム粉等の爆燃性の粉じんを除く)についても同様
- 第282条: 爆燃性の粉じんが存在して爆発の危険のある場所でも同様
- 各条の第2項: 労働者も、防爆構造電気機械器具以外の電気機械器具を使ってはならない
条文では、電気機械器具を「電動機、変圧器、コード接続器、開閉器、分電盤、配電盤等電気を通ずる機械、器具その他の設備のうち配線及び移動電線以外のもの」としています。スマートフォンやタブレットの持ち込みをどう扱うかは、この定めを踏まえて事業所の安全担当が判断します。迷う場合は、販売会社の資料と所轄の労働基準監督署などに確かめてください。
電源を切っても持ち込めない理由
「電源を切っていれば一般のスマートフォンを持ち込んでも問題ないのでは?」という疑問に、太平貿易は防爆エリアでは認められないと答えています。理由として次の部品を挙げています。
- バッテリー
- 内部基板
- コネクタ接点
- 充電回路
- 振動モーター
これらは故障や異常時に発熱や火花が出る可能性があります。電源の状態にかかわらず、防爆の認証を受けた機器を使うのが前提です。
ZoneとDivisionの呼び方
危険な場所の区分は、ガスや蒸気がどのくらいの頻度で存在するかで分けます。掲載会社のページでは、Zoneという呼び方が多く使われています。
| 呼び方 | 掲載会社の説明(公式記載) |
|---|---|
| Zone1(第一類危険箇所) | システムギア: 可燃性ガスがしばしば発生する場所。ガスや蒸気の排出場所や注入開口部付近 |
| Zone2(第二類危険箇所) | JFEエンジニアリングやアークテイクの製品は、この区分のみで使用可能と明記 |
| Zone21(粉塵) | システムギア: 空気中の粉塵が通常状態で断続的に存在する状態 |
| Div. 1 | ジャパンマシナリーのSmart-Ex 03のページで、Zone 1/21と並べてグローバルの認証として表記 |
どの場所がどのZoneに当たるかは、事業所の側で決めておくものです。機種を選ぶ前に、使う場所の区分を社内の設備担当に確かめてください。
Zone1対応はZone2でも使える
Zone1に対応した機種は、より危険の少ないZone2でも使えます。逆に、Zone2専用の機種をZone1に持ち込むことはできません。
| 対応 | 掲載会社の機種の例 |
|---|---|
| Zone1(とZone2) | ビーエヌテクノロジーのIS940.1・IS930.1・Aegex100M、システムギアのSmart-Ex 03 |
| Zone2のみ | 日本ノヴァシステムのUX10-EX、ジャパンマシナリーのPad-Ex 01 P12、JFEエンジニアリングのLANEXシリーズ、アークテイクのarkPhone |
工場の中にZone1とZone2の場所が混ざっている場合は、どちらで使うかで機種が変わります。持ち歩く範囲が広いなら、Zone1対応の機種でそろえる方が運用は単純になります。
Ex表示の実例を比べる
防爆機器には、どの方式で、どのガスに、どの温度まで対応するかを示すEx表示が付きます。掲載会社のページに載っている表示を、Zoneとあわせて並べます。
| 機種(会社) | Ex表示(公式記載) | Zone(公式記載) |
|---|---|---|
| Aegex100M(マーストーケンソリューション) | Ex ia IIC T4 Gb | Zone 1 |
| UX10-EX(日本ノヴァシステム) | Ex ic op is IIC T4 Gc | Zone 2 |
| CT60NI(日栄インテック) | Ex ic IIC T4 Gc | Zone2 |
| LANEX-Phone・LANEX-Tablet(JFEエンジニアリング) | Ex nC IIC T5 Gc | Zone2のみ |
| arkPhone(アークテイク) | Ex nC IIC T6 Gc | ゾーン2 |
この実例では、Zone1対応の機種にGb、Zone2の機種にGcが付いています。表示の末尾を見れば、どちらの区分向けかの見当がつきます。
表示の中の記号
Ex表示は、いくつかの記号の組み合わせです。掲載会社のページで説明されている範囲で、記号の意味を整理します。
- ia、ic、nC: 防爆構造の種類を表す部分。アークテイクはnCを非点火防爆構造タイプn(C)と説明
- 本質安全防爆構造: 協栄エレクトロニクスは、機器内部の電気エネルギーを着火が生じないレベル未満に制限した構造と説明
- IIC: アークテイクはガスグループIICに対応し、IIA・IIBを含むと説明
- T4・T5・T6: 温度に関する等級の表示
- IIIC・Db・Dc: 粉じんの区分(Zone21・22)に対応する機種で、ガスの表示と並べて記載されている
記号の正確な意味や組み合わせの可否は、規格と機器の取扱説明書で確かめてください。扱うガスの種類がIIA・IIBなのかIICなのかは、事業所の側で把握しておく必要があります。
粉じんの場所で使う場合
粉体の原料を扱う工程など、ガスではなく粉じんで危険になる場所もあります。粉じんの区分にも対応している機種を挙げます。
- ビーエヌテクノロジー IS540.1: Zone1/21。粉塵防爆の型式検定合格番号を別に明記
- マーストーケンソリューション Aegex100M: Ex ia IIIC T135℃ Db IP67の表示
- 日本ノヴァシステム UX10-EX: Zone2/22、Ex ic op is IIIC T130°C Dcの表示
粉じんの場所で使うなら、ガスの表示だけでなく粉じんの表示や検定もあるかを確かめてください。両方の環境が混ざる工程では、両方に対応した機種が必要です。
区分を確かめてから機種を選ぶ
防爆タブレット選びは、機種の比較より先に、使う場所の確認から始まります。次の順に確かめてください。
- 使う場所がZone1かZone2か(粉じんならZone21か22か)
- 扱うガスの種類と、ガスグループ(IIA・IIB・IIC)
- 持ち歩く範囲に、より危険な区分の場所が含まれないか
- 候補の機種のEx表示と、国内の検定の有無
区分が分からないまま問い合わせても、販売会社は機種を絞れません。設備の図面や危険場所の区分図があれば、相談のときに見せると話が早く進みます。
この記事に出てくる会社
- 株式会社アークテイク社給iPhoneをZone2へ
- 株式会社ビーエヌテクノロジーZone1のAndroidをそろえる
- ジャパンマシナリー株式会社Smart-ExとPad-Exを保守付きで
- JFEエンジニアリング株式会社iPhone・iPadをZone2で
- 日本ノヴァシステム株式会社Windowsをデモ機で試して
- 株式会社協栄エレクトロニクス九州で映像連携と一緒に
- 株式会社マーストーケンソリューションバーコード業務と組み合わせて
- 日栄インテック株式会社Zone2のバーコード業務に
- システムギア株式会社検定番号つきのZone1スマホ
- 太平貿易株式会社無線機・PHSの置き換えに
参照元
よくある質問
Zone1とZone2はどう違いますか?
可燃性ガスが存在する頻度の違いです。システムギアはZone1を可燃性ガスがしばしば発生する場所(ガスや蒸気の排出場所や注入開口部付近など)と説明しています。Zone1対応の機種はZone2でも使えますが、Zone2専用の機種はZone1では使えません。
電源を切った普通のスマホなら持ち込めますか?
持ち込めません。太平貿易は、電源を切っていても防爆エリアでは認められないと説明し、バッテリーや充電回路などが故障時に発熱や火花を出す可能性を理由に挙げています。
Ex表示のGbとGcは何を見ればいいですか?
掲載会社の実例では、Zone1対応のAegex100MがEx ia IIC T4 Gb、Zone2対応のUX10-EXやLANEXシリーズがGcで終わる表示です。区分の確認には、各社がページに書いているZoneの記載もあわせて見てください。
【用途別】防爆タブレット・防爆スマホの販売会社おすすめ3選
Zone1(第一類危険箇所)で、Androidのスマホとタブレットをそろえるなら
株式会社ビーエヌテクノロジー
i.safe MOBILE製品の正規総輸入販売代理店。国内防爆検定合格のZone1対応タブレットIS940.1と5GスマホIS540.1
i.safe Mobile社製品の日本における正規総輸入販売代理店で、購入後の技術対応と保守サービスの体制を整えていると記載。防爆タブレットIS940.1は国内防爆検定に合格したZone1/21対応の10.1インチ機で、IECExとATEXの認証も受ける。防爆スマートフォンIS540.1は国内防爆検定合格で、型式検定合格番号(ガス防爆 第TC22900X号、粉塵防爆 第TC22901X号)を公式ページに明記している。
Zone2の点検・記録を、Windowsの既存システムのまま回すなら
日本ノヴァシステム株式会社
Getacと協業した国内防爆検定合格のWindowsタブレットUX10-EX。デモ機の無料貸出と、過失故障も含む3年無償保証
UX10-EXは、GETACと同社が協業して国内でリリースした防爆検定合格品の10.1インチWindowsタブレットの3世代目で、Zone 2に対応。OSはWindows 11 Professionalで、第12世代Core i5/i7を選べる。人為的ミスによる損傷も3年間無償保証・国内修理とし、デモ機の無料貸し出し、キッティングやアプリのインストールにも対応すると公式に記載。
iPhoneやiPadの業務アプリを、Zone2の現場でそのまま使うなら
JFEエンジニアリング株式会社
iPhone SEを組み込むLANEX-Phoneと、iPad miniを組み込む水素防爆対応のLANEX-Tablet。いずれもEx nC IIC T5 Gc
LANEX-PhoneはApple製iPhone SEを搭載した防爆型スマートフォン、LANEX-TabletはiPad mini(A17 Pro)や第6世代を搭載した防爆型タブレットで、いずれも非点火防爆構造(Ex nC IIC T5 Gc)、第二類危険箇所(Zone2)のみで使用可能。LANEX-Tabletは水素防爆に対応し、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルがある。