防爆タブレット・防爆スマホ · 基礎知識
専用端末型とiPhone・iPad組込み型の違い|本質安全防爆と非点火防爆の防爆スマホ・タブレット【2026年版】
防爆スマホ・タブレットには、最初から防爆機器として作られた専用端末と、市販のiPhoneやiPadをケースに組み込むタイプがあります。掲載会社の公式情報から、方式ごとの違いと向き不向きを整理しました。
防爆スマホ・タブレットを調べると、AndroidやWindowsの専用端末と、iPhoneやiPadを組み込んだ製品の両方が出てきます。見た目は似ていても、作り方と使い方の条件が違います。
この記事では、掲載会社の公式情報をもとに、2つの方式の違いを整理します。
2つの方式の全体像
アークテイクは、防爆スマートフォンには「スマートフォン組込み型」と「専用端末型」の2つの方式があると説明しています。掲載会社の製品を方式で分けると次のとおりです。
| 方式 | 掲載会社の製品の例 |
|---|---|
| 専用端末型 | i.safe MOBILEのIS940.1・IS540.1(ビーエヌテクノロジー)、Smart-Ex 03・Pad-Ex 01 P12(ジャパンマシナリー、太平貿易)、UX10-EX(日本ノヴァシステム、アイ・ビー・エス・ジャパン)、Aegex100M(マーストーケンソリューション) |
| 組込み型(iPhone) | arkPhone(アークテイク)、LANEX-Phone(JFEエンジニアリング) |
| 組込み型(iPad) | LANEX-Tablet(JFEエンジニアリング) |
専用端末はAndroidかWindowsで、組込み型は今回の調査ではiOSの製品でした。使いたいOSが決まっていると、方式もほぼ決まります。
専用端末型の特徴
専用端末は、最初から防爆機器として設計された端末です。協栄エレクトロニクスは、市販の端末を防爆ケースに収めたタイプではなく、ゼロから防爆製品として開発されたものだと説明しています。
- 外側に余分なケースがないため、軽くコンパクトで携帯性に優れる(協栄エレクトロニクス)
- 購入したらそのまま対応する危険場所で使える(カナデン)
- Zone1に対応する機種がある(IS940.1、IS540.1、Smart-Ex 03、Aegex100Mなど)
- バーコードリーダーやLTEなど、現場向けの機能をオプションで載せられる機種が多い
一方でカナデンは、防爆構造の特殊なケースに入っていて簡単に開けられないため、故障時の修理に時間がかかる傾向があると指摘しています。予備機を用意するなどの対策を勧めています。
組込み型の特徴
組込み型は、市販のiPhoneやiPadを防爆の容器に入れ、端末と容器を組み合わせた状態で検定を受けた製品です。公式に書かれている特徴を挙げます。
| 会社・製品 | 公式記載 |
|---|---|
| アークテイク arkPhone | 市販のiPhoneを組み込む構造のため、iPhone本体の基本機能や操作性はそのまま使える。利用者から支給されたiPhoneを組み込んで提供 |
| JFEエンジニアリング LANEX-Phone | iPhone SEを搭載。キャリア回線の通話のほか、プラント内の無線LANに接続して使う |
| JFEエンジニアリング LANEX-Tablet | iPad miniを搭載。水素防爆に対応 |
| カナデン(解説記事) | 端末が故障した場合は端末のみを修理に出せるため、手間も時間も少なくなる |
組込み型は、今回の調査ではいずれもZone2用でした。Zone1で使う必要があるなら、専用端末型から選ぶことになります。
本質安全防爆と非点火防爆
防爆の構造にもいくつか種類があり、掲載会社の製品では次の2つがよく出てきます。各社の説明を並べます。
- 本質安全防爆構造: 協栄エレクトロニクスは、機器内部の電気エネルギーを火花や発熱で着火が生じないレベル未満に制限した構造と説明。太平貿易は、正常時だけでなく想定される故障時にも爆発を起こすエネルギーを出さない設計と説明
- 非点火防爆構造: アークテイクのarkPhoneは非点火防爆構造タイプn(C)、JFEエンジニアリングのLANEXシリーズも非点火防爆構造(Ex nC)
ジャパンマシナリーはPad-Ex 01 P12を本質安全防爆構造と書き、太平貿易はPepperl+Fuchsの防爆モバイル製品が本質安全防爆構造を採用していると説明しています。構造の種類によって使える区分が変わるので、Ex表示とZoneの記載で確かめてください。
OSと管理のしやすさ
方式の選択は、端末の管理のしかたにも関わります。アークテイクは、iOSとAndroidの管理の違いとして次の点を挙げています。
- iOS: Apple Business Managerで管理。アプリはApp Store
- Android: Android Enterpriseに対応。アプリはGoogle Play
- 専用端末型のAndroid: メーカーごとにアップデートの提供が分かれる
社内のスマホがiPhoneで統一され、MDMもiOS向けに組まれているなら、組込み型の方が運用を変えずに済みます。
Androidの専用端末を選ぶ場合は、GMS(Googleのサービス)の認証の有無も確かめてください。ジャパンマシナリーは、Smart-Ex 03がGMS認証済みでPlay Storeのアプリを使えると書いています。
端末を更新するときの違い
スマホやタブレットは数年で買い替えるものです。方式によって、更新のときの手間が違います。
| 方式 | 更新のときに確かめること |
|---|---|
| 専用端末型 | 後継機種の有無と、国内の検定を取り直しているか。日栄インテックのページでは、AEGEX10が販売終息で後継機がAEGEX100Mと案内されている |
| 組込み型 | 新しいiPhone・iPadの機種で検定を受けた組み合わせがあるか。arkPhoneはiPhone 13〜17eに対応 |
JFEエンジニアリングは、機種ごとの販売状況を表にし、修理対応期間を内機の終売から5年としています。導入時に、何年使う予定かと、その間の更新の見通しを聞いておいてください。
方式を選ぶための質問
どちらの方式が合うかは、次の質問に答えると見えてきます。
- 使う場所にZone1が含まれるか(含まれるなら専用端末型)
- 社内の業務アプリやMDMはiOSか、Androidか、Windowsか
- 社給のiPhoneやiPadをそのまま使いたいか
- 故障したときに、端末だけを修理に出したいか
- バーコードやRFIDなど、現場向けの機能を本体に載せたいか
答えが混ざる場合は、Zone1の場所だけ専用端末を使い、Zone2では組込み型を使うといった組み合わせもあります。台数と運用のしやすさを比べて決めてください。
この記事に出てくる会社
- 株式会社アークテイク社給iPhoneをZone2へ
- 株式会社ビーエヌテクノロジーZone1のAndroidをそろえる
- アイ・ビー・エス・ジャパン株式会社認証番号を確かめて導入
- ジャパンマシナリー株式会社Smart-ExとPad-Exを保守付きで
- JFEエンジニアリング株式会社iPhone・iPadをZone2で
- 日本ノヴァシステム株式会社Windowsをデモ機で試して
- 株式会社カナデンメーカーをまたいで相談
- 株式会社協栄エレクトロニクス九州で映像連携と一緒に
- 株式会社マーストーケンソリューションバーコード業務と組み合わせて
- 日栄インテック株式会社Zone2のバーコード業務に
- 太平貿易株式会社無線機・PHSの置き換えに
参照元
よくある質問
iPhoneを組み込んだ防爆スマホはZone1でも使えますか?
今回の調査で確認できたiPhone・iPadの組込み型(アークテイクのarkPhone、JFEエンジニアリングのLANEXシリーズ)は、いずれもZone2用でした。Zone1で使うならビーエヌテクノロジーのIS540.1などの専用端末から選んでください。
専用端末の防爆スマホは修理に時間がかかりますか?
カナデンは、防爆構造の特殊なケースに入っていて簡単に開けられないため、故障時の修理に時間がかかる傾向があると説明し、予備の用意を勧めています。ジャパンマシナリーは修理で預かる間の代替機の貸出を案内しています。
本質安全防爆とは何ですか?
協栄エレクトロニクスは、機器内部の電気エネルギーを、火花や発熱で着火が生じないレベル未満に制限した防爆構造と説明しています。太平貿易は、想定される故障時にも爆発を引き起こすエネルギーを発生させない設計と説明しています。
【用途別】防爆タブレット・防爆スマホの販売会社おすすめ3選
Zone1(第一類危険箇所)で、Androidのスマホとタブレットをそろえるなら
株式会社ビーエヌテクノロジー
i.safe MOBILE製品の正規総輸入販売代理店。国内防爆検定合格のZone1対応タブレットIS940.1と5GスマホIS540.1
i.safe Mobile社製品の日本における正規総輸入販売代理店で、購入後の技術対応と保守サービスの体制を整えていると記載。防爆タブレットIS940.1は国内防爆検定に合格したZone1/21対応の10.1インチ機で、IECExとATEXの認証も受ける。防爆スマートフォンIS540.1は国内防爆検定合格で、型式検定合格番号(ガス防爆 第TC22900X号、粉塵防爆 第TC22901X号)を公式ページに明記している。
Zone2の点検・記録を、Windowsの既存システムのまま回すなら
日本ノヴァシステム株式会社
Getacと協業した国内防爆検定合格のWindowsタブレットUX10-EX。デモ機の無料貸出と、過失故障も含む3年無償保証
UX10-EXは、GETACと同社が協業して国内でリリースした防爆検定合格品の10.1インチWindowsタブレットの3世代目で、Zone 2に対応。OSはWindows 11 Professionalで、第12世代Core i5/i7を選べる。人為的ミスによる損傷も3年間無償保証・国内修理とし、デモ機の無料貸し出し、キッティングやアプリのインストールにも対応すると公式に記載。
iPhoneやiPadの業務アプリを、Zone2の現場でそのまま使うなら
JFEエンジニアリング株式会社
iPhone SEを組み込むLANEX-Phoneと、iPad miniを組み込む水素防爆対応のLANEX-Tablet。いずれもEx nC IIC T5 Gc
LANEX-PhoneはApple製iPhone SEを搭載した防爆型スマートフォン、LANEX-TabletはiPad mini(A17 Pro)や第6世代を搭載した防爆型タブレットで、いずれも非点火防爆構造(Ex nC IIC T5 Gc)、第二類危険箇所(Zone2)のみで使用可能。LANEX-Tabletは水素防爆に対応し、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルがある。