5軸マシニングセンタ · 用途別
旋削も1台にまとめる5軸機の選び方|旋削仕様・複合型を公式に載せる4社の比較
旋盤とマシニングセンタを行き来する部品を5軸マシニングセンタ1台に集約したい工場向けに、オークマ(MU-V旋削仕様)、ヤマザキマザック(VARIAXIS i-T)、松浦機械製作所(CUBLEX・MX-520T)、キタムラ機械(Mytrunnion-1)を公式情報で比べ、選ぶときの注意点を整理します。
フライス加工と旋削が混ざる部品を、マシニングセンタと旋盤の2台で回している工場は少なくありません。5軸機の中には、テーブルを回して旋削までこなす機種があり、1台で工程をまとめられます。
このページでは、旋削の仕様や複合型を公式に載せている4社の機種を比べ、選ぶときの注意点を整理します。
旋削を5軸機にまとめると何が変わるか
旋盤とマシニングセンタを行き来する部品は、そのたびに段取りと待ち時間が発生します。1台にまとめると、付け替えによる誤差と仕掛品も減ります。
- 段取り替えの回数と、機械の間での運搬・待ち時間が減る
- 付け替えによる芯ずれや累積誤差を抑えられる(ヤマザキマザックは工程集約による累積誤差の最小化を説明)
- 旋盤と5軸機の2台分の設置スペースを1台分にできる
- 作業者が2台を見る必要がなくなる
- 中間仕掛品の置き場と管理の手間が減る
一方で、1台で全工程を受け持つため、その機械が止まると工程全体が止まります。台数と稼働率のバランスも合わせて考えてください。
旋盤を全部置き換えるのではなく、行き来の多い部品だけを5軸機に移し、単純な旋削部品は旋盤に残す組み合わせも有力です。
旋削を公式に載せている4社の機種
今回の16社のうち、5軸機に旋削の仕様や複合型を公式に載せていたのは4社でした。区分と公式に書かれた内容は次のとおりです。
| メーカー | 機種 | 公式の区分・内容 |
|---|---|---|
| オークマ | MU-5000V/MU-6300V/MU-8000V | 旋削仕様(L)。旋削能力の実績値を公表 |
| ヤマザキマザック | VARIAXIS i-700T/i-800T/i-1050T | 旋削機能を備えた5軸加工機 |
| 松浦機械製作所 | MX-520T、CUBLEX-35/CUBLEX-63 | 5軸複合マシニングセンタ |
| キタムラ機械 | Mytrunnion-1 | マシニング・グラインディング・ターニングを1台に集約した複合型 |
同じ旋削でも、オークマとヤマザキマザックは5軸加工機に旋削仕様を足す考え方、キタムラ機械は研削まで含めて集約する考え方です。部品に研削工程があるかどうかも、候補を分ける材料になります。
オークマは製品動画で、MU-6300V-Lによる半導体製造装置ケーシングの5軸加工と旋削の工程集約を紹介しています。自社の部品に近い事例があるかどうかも、相談先を選ぶ手がかりになります。
オークマ:旋削能力を実績値で公開
オークマのMU-Vは、剛性の高い両端支持のトラニオンテーブルを使い、旋削仕様(L)を展開しています。旋削の能力を数字で公開しているので、今の旋盤の加工条件と比べやすいのが特長です。
| 項目 | 公式の実績値(MU-5000V、[ ]はMU-6300V) |
|---|---|
| 旋削加工能力 | 3mm²(S45C) |
| 加工径 | ø164mm[ø250mm] |
| 切削速度 | 130m/min(テーブル回転速度252min-1) |
| フライス加工能力 | 504cm³/min(S45C、ø80正面フライス) |
| エンドミル加工能力 | 672cm³/min(S45C、ø20ラフィングエンドミル) |
実績値は仕様や工具、加工条件で変わると注記されています。本社のショールームでテストカットができると公式に書いているので、自社の部品で旋削と5軸加工の両方を試せます。
ヤマザキマザック・松浦機械製作所・キタムラ機械の特徴
ほかの3社も、それぞれ違う切り口で旋削を取り込んでいます。部品の大きさと必要な工程で見比べてください。
- ヤマザキマザック VARIAXIS i-700T・800T・1050T:旋削機能を備え、i-700TはパレットΦ630mm。ジェットエンジンのブリスク加工や旋削テーブル搭載の同時5軸制御の動画を公開
- 松浦機械製作所 CUBLEX:5軸化×複合化×無人化をうたう5軸複合マシニングセンタで、CUBLEX-35と63の2機種
- 松浦機械製作所 MX-520T:MX-Tシリーズの5軸複合マシニングセンタ
- キタムラ機械 Mytrunnion-1:位置決め精度±0.002mm、マシニング・研削・旋削を1台に集約
松浦機械製作所は、CUBLEXで長時間の無人運転まで含めた工程集約を打ち出しています。旋削とあわせて夜間運転も狙うなら、パレットや工具の自動化も一緒に確認してください。
旋削付き5軸機を選ぶときの注意点
旋削は、ワークを高速で回すため、ワークの重さと振れ回りが加工の限界を決めます。フライス加工だけの5軸機より、確認する項目が増えます。
特に偏った形の部品は、回したときのバランスで回転速度を上げられないことがあります。
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 旋削できる最大径と質量 | テーブルで回せる大きさと重さに上限がある |
| テーブルの回転速度 | 必要な切削速度を出せるかが決まる |
| 工具の保持方法 | 旋削工具とフライス工具を同じマガジンで扱えるか |
| 治具とバランス | 偏ったワークは回転時に振れが出る |
| プログラム | 旋削とミーリングを1本のプログラムで扱えるか |
オークマは旋削の実績値をテーブル回転速度とあわせて公開しています。ほかの会社でも、同じ項目の数値を見積の段階でそろえてもらうと比べやすくなります。
旋削とあわせて考えたい無人運転
旋削まで1台に集約すると、1つのワークにかかる時間が長くなり、夜間や休日に回す価値が上がります。旋削付きの機種を選ぶときは、自動化の選択肢も一緒に見てください。
- 松浦機械製作所 CUBLEX:5軸化×複合化×無人化を打ち出し、さらなる長時間無人運転をうたう
- ヤマザキマザック VARIAXIS i:2パレットチェンジャ、MPP(多段パレットストッカシステム、i-700Tのみ)、PALLETECH SYSTEMに対応
- オークマ MU-6300V:昇降2段式APCによる省スペースでの機械稼働率向上を紹介
- キタムラ機械:同時5軸FMCのSUPERCELL-800Gは最大21パレット仕様等のFMS対応
無人運転では、旋削工具の摩耗と切りくずの絡みが止まる原因になりやすいので、工具の監視と切りくず処理もテストカットで確認しておくと安心です。
旋削付き5軸機を試せる窓口
旋削は条件が合わないとびびりや振れが出るため、実機で確かめる価値が大きい工程です。公式に試せる場所を書いている会社を並べると次のとおりです。
| メーカー | 窓口 | 公式に書かれた内容 |
|---|---|---|
| オークマ | 本社(愛知県丹羽郡大口町) | テストカットを実施するショールーム、NCスクール。5軸・複合加工機の導入時教育として訪問スクール |
| ヤマザキマザック | テクノロジーセンタ(中部・関西・瀬戸内・九州など) | 所在地を公式に掲載。テストカットの受付方法は製品ページに記載なし |
| 松浦機械製作所 | 記載なし | マツウラスクールの案内あり |
| キタムラ機械 | 記載なし(国内) | 問い合わせで確認が必要 |
旋削を集約するかどうかの判断の流れ
すべての旋削部品を5軸機に移すのが正解とは限りません。旋盤で十分な部品は旋盤に残し、行き来が多い部品から移すのが現実的です。
- 旋盤とマシニングセンタを行き来している部品を洗い出す
- 部品ごとの旋削径・長さ・質量を書き出す
- 段取り回数と待ち時間を数え、集約の効果を見積もる
- 旋削仕様のある機種で、旋削能力と最大ワークを比べる
- テストカットで旋削とフライスの両方を確かめる
候補の入口としては、旋削能力の実績値を公開し本社でテストカットができるオークマと、旋削付きの系列が広いヤマザキマザックを並べると比べやすくなります。研削まで含めるならキタムラ機械、無人運転まで狙うなら松浦機械製作所も加えてください。
この記事に出てくるメーカー
- キタムラ機械株式会社小物〜大物のトラニオン
- 株式会社松浦機械製作所初めての5軸と無人運転
- ヤマザキマザック株式会社系列が広く比べやすい
- オークマ株式会社5軸+旋削の工程集約
参照元
よくある質問
5軸機の旋削は旋盤と同じ精度が出ますか?
部品と条件によります。オークマはMU-5000Vの旋削能力(加工径ø164mm、切削速度130m/min)を実績値として公開しています。今の旋盤の加工条件と比べ、テストカットで確かめてください。
旋削付きの5軸機はどのメーカーにありますか?
今回の16社では、オークマ(MU-Vの旋削仕様L)、ヤマザキマザック(VARIAXIS i-700T/800T/1050T)、松浦機械製作所(MX-520T、CUBLEX)、キタムラ機械(Mytrunnion-1)の4社が公式に載せています。
研削工程もまとめられますか?
キタムラ機械のMytrunnion-1は、マシニングセンタ・グラインディングセンタ・ターニングセンタの加工を1台に集約した複合型と公式に説明しています。
【用途別】5軸マシニングセンタメーカーおすすめ3選
アルミ・鉄の小物部品を、省スペースで多面・5軸加工するなら
ブラザー工業株式会社
床面1,560×2,026mmの30番機。テクノロジーセンターで実機デモ
U500Xd1は治具エリア最大⌀500の傾斜ロータリーテーブル(A軸120〜−30度・C軸360度)を持つ30番の立形機で、テーブル作業面⌀260mm・最大積載100kg、主軸10,000min-1(オプション16,000)。所要床面は1,560×2,026mm。5AX仕様のCNC装置はCNC-D00v。東京・大阪などのブラザーテクノロジーセンターで実機デモとセミナーを行っている。
旋削も含めて1台に工程集約するなら
オークマ株式会社
両端支持トラニオンに旋削仕様。本社ショールームでテストカット
MU-V seriesは剛性の高い両端支持のトラニオンテーブルで、テーブルø500〜ø800×630幅、主軸10,000/6,000min-1。MU-5000V/6300V/8000Vには旋削仕様(L)があり、旋削能力の実績値(加工径ø164mm、MU-6300Vはø250mm)を公表している。本社にはテストカットを実施するショールームがある。
難削材・重量物の中物〜大物を横形5軸で削るなら
株式会社ニイガタマシンテクノ
トラニオンの横形HN-5X。積載1,500kgまで、テックセンターで実ワークを試す
HN50E-5X〜HN80E-5Xは高剛性トラニオンテーブルを載せた5軸横型で、パレット500×500〜800×800mm、最大積載600〜1,500kg、最大ワークФ750×700〜Ф1,250×1,000mm。難削材部品の加工に適した剛性を打ち出す。テックセンターで実際のワークのテストカットができ、加工可否・精度・サイクルタイムを導入前に確認できる。
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削りたいワークの材質・最大寸法・質量、今の工程(3軸機や旋盤の台数)、月の生産数、置ける場所の広さを送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載メーカーへ匿名で概要を伝え、テストカットやショールームの窓口をおつなぎします。費用はかかりません。