5軸マシニングセンタ · 用途別
航空機部品・インペラーを5軸で削るなら|材料と大きさで分かれる専用系列の選び方
航空機の構造部品、ジェットエンジンのブリスク・ブレード、インペラーを5軸マシニングセンタで加工したい工場向けに、牧野フライス製作所(MAG・T)、新日本工機(GHP・HGM・HLM)、オークマ(BLADE T400)、三井精機工業、ヤマザキマザックの機種を公式情報で整理します。
航空機の構造部品、ジェットエンジンのブレードやブリスク、ポンプやコンプレッサのインペラーは、5軸加工が欠かせない代表的な部品です。材料がアルミか難削材か、大きさが数百mmか数mかで、向く機種はまったく違います。
このページでは、航空機やインペラーを用途として公式に挙げている5軸機を、材料と大きさで整理します。
インペラー・ブレードは同時5軸が前提
羽根がねじれた形状は、工具の向きを連続して変えないと削れません。三井精機工業は、インペラー、ブリスク、タービンブレードなどは同時5軸制御でなければ加工できない部品だと説明しています。
| 部品 | 公式に挙げているメーカーと機種 |
|---|---|
| インペラー | 三井精機工業 Vertex(同時5軸制御によるインペラーの高能率加工を紹介) |
| ジェットエンジンのブリスク | ヤマザキマザック VARIAXIS i-700T(加工動画を公開) |
| タービン・コンプレッサのブレード | オークマ BLADE T400(5軸制御高速ブレード加工専用機) |
| 航空機部品 | ヤマザキマザック VARIAXIS i-1050T(加工動画を公開) |
オークマのBLADE T400は、移動量1,860×400×450mm、主軸18,000min-1、最大加工径ø400・最大加工長1,500mmの専用機です。長いブレードを専用機で削るか、汎用の5軸機で削るかも比べる材料になります。
航空機のアルミ構造部品は大型・高速の系列
航空機の機体の構造部品は、アルミの大きな板から多くを削り取るため、主軸の出力と切りくずの処理が勝負になります。航空機向けを公式に挙げる牧野フライス製作所のMAGと、大型アルミ部品向けを公式にうたう新日本工機の機種は次のとおりです。
| メーカー・機種 | 公式に書かれた用途 | 主な数値 |
|---|---|---|
| 牧野フライス製作所 MAG1 | 航空宇宙関連の1,500mm以下のアルミ構造部品 | パレット1,000×800mm、主軸端HSK-F80 |
| 牧野フライス製作所 MAG3・MAG3.EX | 航空機アルミ機体構造部品 | パレット3,000×1,500mm/3,500×1,500mm |
| 牧野フライス製作所 MAG4 | 主翼リブ、胴体フレーム、鉄道車両などのアルミ製大型部品 | パレット3,500×2,000mm |
| 新日本工機 GHP | アルミ部品加工機 | パレット4,000〜6,000×2,000mm、主軸150〜30,000min-1 |
| 新日本工機 HGM | 大型アルミワークを超高速で加工するハイレール型ガントリー | 有効門幅4,400〜5,400mm、主軸500〜20,000min-1 |
新日本工機は、横型プロファイラのHPSを切粉の排出能力を特長とする機種として紹介しています。アルミの大量切削では、切りくずをどう落とすかが機械選びの大きな要素です。
難削材のエンジン・脚まわり部品
チタン合金やインコネルは、工具が摩耗しやすく、切削の負荷も大きい材料です。牧野フライス製作所は、航空機部品の難削材向けにTシリーズを分けています。
- 牧野フライス製作所 T1:チタン合金、インコネル、ステンレスなどの難削材に加え、アルミ合金の能率的な加工も可能
- 牧野フライス製作所 T2:難削材の大物部品に特化し、切りくず除去量と工具寿命を向上(HSK-A125)
- 牧野フライス製作所 T4:Tシリーズの最大機(パレット4,000×1,500mm)
- 新日本工機 RB-FⅡ:門型5軸で、チタン加工の動画を公開。対象分野に航空機を挙げる
難削材では、工具寿命が加工費を大きく左右します。テストカットでは加工時間に加えて、工具1本で何個削れたかも記録してください。
複合材や大型デザインモデルの5軸
航空機には、炭素繊維などの複合材の部品もあります。金属とは削り方も切りくずの性質も違うため、専用の機種が用意されています。
- 新日本工機 HLM:複合材加工に最適な連続5軸・高速主軸のガントリー型
- 新日本工機 MKS:大型デザインモデルの一体加工が可能な高速5軸モデルミル
- 新日本工機 PS/PM/PSR:省スペース型の大型ガントリー5軸
複合材は粉じんの対策も必要になるため、集じんの方法も見積の段階で確認してください。
金属と複合材を同じ機械で削る計画なら、切りくずと粉じんを分けて扱えるかも事前に相談しておくと安心です。
航空機向けで確かめておくこと
航空機部品は、品質の記録や工程の再現性まで求められることが多い分野です。機械の性能に加えて、次の点も比べてください。
特に大型機は導入後に機種を変えにくいため、最初の比較で項目をそろえることが大切です。
| 項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 材料 | アルミ、チタン、インコネル、複合材のどれが主か |
| 大きさ | パレット・テーブルの寸法と、ガントリーの門幅 |
| 主軸 | アルミなら高速・高出力、難削材ならトルクと工具寿命 |
| 切りくず | 横形・プロファイラなど切りくずが落ちる構造か |
| 実績 | 航空機を対象分野に挙げているか、加工事例の公開 |
DMG森精機のソリューションセンタでは、航空機部品のデモ加工として、複数工程を段取り替えなしで削り、バレル工具と5軸で垂直壁面を加工する例(DMC 60 H linear)を紹介しています。近い事例を持つ会社に相談すると、条件の詰めが早くなります。
材料と大きさで見る候補の早見表
ここまでの機種を、材料と部品の大きさで並べ直すと次のようになります。自社の部品が当てはまる行から相談先を選ぶと、遠回りを減らせます。
| 材料・部品 | 小〜中物 | 大物 |
|---|---|---|
| アルミの構造部品 | 牧野フライス製作所 MAG1 | 牧野フライス製作所 MAG3・MAG4、新日本工機 GHP・HGM |
| チタン・インコネル | 牧野フライス製作所 T1 | 牧野フライス製作所 T2・T4、新日本工機 RB-FⅡ |
| インペラー・ブリスク | 三井精機工業 Vertex、ヤマザキマザック VARIAXIS i-700T | 記載なし(今回確認範囲) |
| ブレード | オークマ BLADE T400(最大加工長1,500mm) | 記載なし(今回確認範囲) |
| 複合材 | 記載なし(今回確認範囲) | 新日本工機 HLM |
大型機の導入前にできること
航空機向けの大型機は、テストカットの準備にも時間と費用がかかります。公式に導入前の検討手段を書いている例は次のとおりです。
- 新日本工機:検討機種で加工シミュレーションを行うタイムスタディと、実際に機械加工を行うテスト加工。導入後の現地での試削りは事前に別途契約等で確認
- DMG森精機:ソリューションセンタで持ち込み図面やプログラムを用いたテスト加工
- 牧野フライス製作所:テクニカルスクールで定期コースと企業向けコース
大型機では、シミュレーションで候補を絞ってから実機で試す二段構えが現実的です。試削りの費用と条件は、最初の問い合わせで確認してください。
航空機・インペラー部品で機種を絞る手順
この分野は、部品の種類ごとに専用の系列が分かれています。まず部品と材料で系列を絞り、そのうえでテストカットをしてください。
- 部品の種類(構造部品、ブレード、ブリスク、インペラー)と材料、最大寸法を書き出す
- 大きさと質量から、立形・横形・ガントリーのどれかを決める
- 同時5軸の制御とCAM、ポストプロセッサの準備を確認する
- 主軸と切りくず処理の仕様を比べる
- 近い加工事例を持つ会社でテストカットをする
インペラーや小型ブレードなら三井精機工業やヤマザキマザック、長いブレードはオークマの専用機、アルミの大型構造部品は牧野フライス製作所のMAGや新日本工機のGHP、難削材の大物は牧野フライス製作所のTシリーズが入口になります。
この記事に出てくるメーカー
- DMG森精機株式会社テスト加工の窓口が明確
- 株式会社牧野フライス製作所金型・航空機・難削材の専用系列
- ヤマザキマザック株式会社系列が広く比べやすい
- 三井精機工業株式会社省スペースの立形5軸
- オークマ株式会社5軸+旋削の工程集約
- 新日本工機株式会社門型・ガントリーの大物5軸
参照元
よくある質問
インペラーは割出し5軸で削れますか?
羽根がねじれた形状は工具の向きを連続して変える必要があり、三井精機工業はインペラー、ブリスク、タービンブレードなどは同時5軸制御でなければ加工できない部品と説明しています。
航空機のアルミ構造部品に向く機種はどれですか?
牧野フライス製作所はMAG1〜MAG4を航空機のアルミ構造部品向けとし、新日本工機はアルミ部品加工機GHP(主軸150〜30,000min-1)やハイレール型ガントリーのHGMを掲載しています。
ブレード専用の5軸機はありますか?
オークマはBLADE T400を5軸制御高速ブレード加工専用機として掲載しています。移動量1,860×400×450mm、主軸18,000min-1、最大加工径ø400・最大加工長1,500mmです。
【用途別】5軸マシニングセンタメーカーおすすめ3選
アルミ・鉄の小物部品を、省スペースで多面・5軸加工するなら
ブラザー工業株式会社
床面1,560×2,026mmの30番機。テクノロジーセンターで実機デモ
U500Xd1は治具エリア最大⌀500の傾斜ロータリーテーブル(A軸120〜−30度・C軸360度)を持つ30番の立形機で、テーブル作業面⌀260mm・最大積載100kg、主軸10,000min-1(オプション16,000)。所要床面は1,560×2,026mm。5AX仕様のCNC装置はCNC-D00v。東京・大阪などのブラザーテクノロジーセンターで実機デモとセミナーを行っている。
旋削も含めて1台に工程集約するなら
オークマ株式会社
両端支持トラニオンに旋削仕様。本社ショールームでテストカット
MU-V seriesは剛性の高い両端支持のトラニオンテーブルで、テーブルø500〜ø800×630幅、主軸10,000/6,000min-1。MU-5000V/6300V/8000Vには旋削仕様(L)があり、旋削能力の実績値(加工径ø164mm、MU-6300Vはø250mm)を公表している。本社にはテストカットを実施するショールームがある。
難削材・重量物の中物〜大物を横形5軸で削るなら
株式会社ニイガタマシンテクノ
トラニオンの横形HN-5X。積載1,500kgまで、テックセンターで実ワークを試す
HN50E-5X〜HN80E-5Xは高剛性トラニオンテーブルを載せた5軸横型で、パレット500×500〜800×800mm、最大積載600〜1,500kg、最大ワークФ750×700〜Ф1,250×1,000mm。難削材部品の加工に適した剛性を打ち出す。テックセンターで実際のワークのテストカットができ、加工可否・精度・サイクルタイムを導入前に確認できる。
自社のワークに合う5軸機を、無料で相談する
削りたいワークの材質・最大寸法・質量、今の工程(3軸機や旋盤の台数)、月の生産数、置ける場所の広さを送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載メーカーへ匿名で概要を伝え、テストカットやショールームの窓口をおつなぎします。費用はかかりません。