原価管理システム · 基礎知識
原価管理システムと生産管理・会計の連携|独立型・一体型・ERP型の違い【2026年版】
原価管理システムは、原価計算だけを独立させる型、生産管理や販売管理と一体の型、会計や基幹業務まで含むERPの型に分かれます。掲載製品の公式表記をもとに、型ごとの違いと選び方を整理しました。
原価の計算には、材料の受払、作業時間、外注費、経費など、いくつものシステムのデータが必要です。原価管理システムを選ぶことは、どのシステムからデータをもらうかを決めることでもあります。
この記事では、掲載製品を生産管理や会計との関係で3つの型に分けて整理します。
3つの型
原価管理システムは、他のシステムとの関係で大きく3つに分けられます。どれがよいかは、今どんなシステムを使っているかで決まります。
| 型 | 考え方 | 掲載製品の例 |
|---|---|---|
| 独立型 | 原価計算だけを担い、生産管理・会計などからデータをもらう | J-CCOREs、ProSee、テクノシステム、ProSCOPE-C |
| 一体型 | 生産管理や販売管理と同じシステムで原価まで集計する | Prevision、UM原価、アラジンオフィス、Dr.原価PRO(Dr.工程PROと一体運用) |
| ERP型 | 会計や支払など基幹業務とまとめて原価を管理する | ガリバーシリーズ、PROCES.S、ZAC、勘定奉行iクラウド[個別原価管理編] |
生産管理や会計のシステムがすでにあり、変えたくないなら独立型です。これから基幹業務をまとめて入れ替えるなら、一体型やERP型が候補になります。
独立型の特徴
独立型は、既存のシステムを残したまま、原価計算だけを強くできるのが利点です。公式の書き方を並べます。
- J-CCOREs: 原価計算単体のパッケージで、生産管理システム、会計システム、販売システムの有無、種類は問わない。現行システムやExcel管理の各種データを連携
- ProSee: 生産管理システムからデータ連携するほか、生産管理システムがなくてもBOM×完成数で必要なデータを生成
- テクノシステム: 使っているシステムから部品・材料の受払実績などの基礎データをリンクして実績原価計算
- ProSCOPE-C: 原価計算に特化し、スクラッチや個別システムの情報をもとにした導入にも対応
独立型は、データをもらう側なので、元のシステムからどんな形でデータを出せるかが導入の鍵になります。今のシステムの出力の形を、早めに確かめてください。
一体型の特徴
一体型は、日々の受注・手配・実績の入力が、そのまま原価の集計につながります。二重入力をなくせるのが利点です。
| 製品 | 一体の範囲(公式記載) |
|---|---|
| Prevision | 受注・手配・工程・在庫・原価・出荷。設計部品表から発注、仕入、原価集計まで二度入力なし |
| UM原価 | UM工程進捗・UM販売購買との併用が条件。単体では導入不可 |
| アラジンオフィス | 販売・在庫と一体で製番別に原価を積み上げ |
| Dr.原価PRO | 単体でも使え、Dr.工程PROとの一体運用で進捗と原価を把握 |
UM原価のように、原価だけを単体で導入できない製品もあります。生産管理も一緒に入れ替える計画があるかどうかで、候補が変わります。
ERP型の特徴
ERP型は、会計や支払、販売などの基幹業務と原価を一つにまとめます。建設業とプロジェクト型で多い型です。
- PROCES.S: 会計・原価管理・支払・請求入金管理・JV管理・給与労賃などを網羅。既存業務やシステムに合わせて段階的に導入可能
- ガリバーシリーズ: 財務、原価、支払などの各システムが連動し、経営情報をリアルタイムに把握
- ZAC: プロジェクトごとに販売、購買、勤怠、工数、経費を一元管理
- 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編]: クラウド会計で個別原価管理まで対応
ERP型は入れ替えの範囲が広い分、導入の手間も大きくなります。PROCES.Sのように段階的に導入できるかは、確かめておきたい点です。
会計との連携の仕方
どの型でも、原価の結果は最終的に会計に入ります。会計との連携について、公式に書かれている内容をまとめます。
| 製品 | 会計との連携(公式記載) |
|---|---|
| どっと原価 | 仕訳伝票データの双方向での連携。会計連動オプション |
| BEStPRO-原価C3 | 支払確定データを会計システムへ連携。会計からの振替項目を原価実績として紐付け |
| ZAC | 仕掛品から売上原価への振替仕訳を財務会計システムと連携 |
| UM原価 | 会計システムから労務費・経費(減価償却費等)のデータを連携できることが導入条件 |
| アラジンオフィス | 会計システムなど多数の外部システムと連携 |
会計からもらうデータと、会計に渡すデータの両方があります。どちら向きの連携が必要かを分けて確かめてください。
クラウドとオンプレミス
型と並んで決めておきたいのが、クラウドで使うか、自社のサーバーで使うかです。掲載製品の提供形態を公式の書き方でまとめます。
| 製品 | 提供形態(公式記載) |
|---|---|
| J-CCOREs | オンプレミス型、クラウド型(IaaS)。Microsoft Azure向けの構成テンプレート |
| Prevision | オンプレミス(買い切り)とクラウド(VPN不要のセキュア接続) |
| UM原価 | SaaS(Salesforce基盤) |
| どっと原価 | クラウド版(どっと原価3)とオンプレミス版(NEO) |
| 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編] | クラウド(Microsoft Azure上で運用) |
| PROCES.S | クラウド対応 |
図面や仕様書を社内のフォルダで扱う工場では、オンプレミスを選ぶ理由があるとPrevisionはFAQで説明しています。社外や在宅から使いたいかどうかも、あわせて考えてください。
データの流れを書き出す
型を決める前に、原価の元になるデータがどこから来てどこへ行くかを書き出すと、必要な連携がはっきりします。製造業を例に、よくある流れを示します。
- 受注・手配のデータ(販売管理・生産管理)
- 材料の購入と消費、作業時間・工数(生産管理・日報)
- 経費、労務費、減価償却費(会計・給与)
- 原価の計算(原価管理システム)
- 仕掛品・在庫・売上原価の仕訳(会計)
この流れのうち、今Excelで手渡ししている箇所がどこかを印を付けておくと、デモで聞くべきことが明確になります。
型を選ぶための質問
最後に、自社に合う型を決めるための質問をまとめます。答えを持って資料請求すると、各社の提案がそろいやすくなります。
- 生産管理(または工事管理・案件管理)のシステムはあるか、変える予定はあるか
- 会計ソフトは何を使っていて、変える予定はあるか
- 原価の元になるデータ(受払・日報・工数)は、どこに入力しているか
- Excelで原価を計算している部分はどこか
- 原価の結果を、会計にどう反映しているか
生産管理も会計も変えないなら独立型、生産管理を入れ替えるなら一体型、会計まで入れ替えるならERP型、というのが大まかな目安です。
この記事に出てくるサービス
- アラジンオフィス(株式会社アイル)販売・在庫とまとめて製番原価を見るなら
- BEStPRO-原価C3(富士通エンジニアリングテクノロジーズ株式会社)土木の代価まで扱うなら
- どっと原価(株式会社建設ドットウェブ)料金を見ながら建設業の原価管理を選ぶなら
- Dr.原価PRO(株式会社シー・アイ・エム総合研究所)金型・一品物の製番原価なら
- ガリバーシリーズ(あさかわシステムズ株式会社)建設業の基幹業務をまとめるなら
- J-CCOREs(JFEシステムズ株式会社)工程の多いプロセス製造業なら
- 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)会計と原価を一つのクラウドにするなら
- Prevision(株式会社インプローブ)生産管理と原価を一緒に入れるなら
- PROCES.S(株式会社内田洋行ITソリューションズ)建設業経理まで一体でまとめるなら
- ProSCOPE-C(株式会社日立ハイシステム21)化学・素材の連産品まで扱うなら
- ProSee(株式会社ソートウェア)生産管理なしで脱Excelするなら
- テクノシステム株式会社(原価管理システム)原価計算の方式を自社流に組むなら
参照元
よくある質問
生産管理システムと原価管理システムは別に必要ですか?
製品によります。J-CCOREsやProSeeは原価計算だけを担う独立型、PrevisionやUM原価は生産管理と一体型です。UM原価はUM工程進捗・UM販売購買との併用が条件です。
会計ソフトとつなげられますか?
つなげられる製品が多いです。どっと原価は会計と仕訳伝票データを双方向で連携でき、ZACは仕掛品から売上原価への振替仕訳を財務会計システムと連携すると説明しています。
Excelのデータは取り込めますか?
J-CCOREsはExcel管理の各種データを連携できるとし、PrevisionはExcelから部品表を直接取り込めるとしています。
【業種別】原価管理システムおすすめ3選
工程の多いプロセス製造業で、工程別・製品別の原価を積み上げるなら
J-CCOREs(JFEシステムズ株式会社)
鉄鋼業の原価計算ノウハウをパッケージ化。ころがし計算で実際・標準・個別原価に対応し、最短5ヶ月で導入
工程ごとの受払から製造原価を出し最終製品まで積み上げる「ころがし計算」や相互配賦に対応し、実際原価・標準原価・個別原価の各制度に合わせたモジュールを用意。原価計算単体のパッケージで、生産管理・会計・販売システムの有無や種類を問わず連携でき、オンプレミスとクラウド(IaaS)を選べる。最短5ヶ月での導入が可能と公式に記載。
建設業で、工事ごとの予算・原価・請求を料金を見ながら選ぶなら
どっと原価(株式会社建設ドットウェブ)
クラウド版どっと原価3は1ライセンス参考月額13,000円(税抜)から。オンプレミス版のセット価格も公開
建設業向けの原価管理システムで、予算履歴で原価を管理し、会計とは仕訳伝票データを双方向で連携できると記載。製品はクラウド版どっと原価3とオンプレミス版NEO LT・ST・EXの4種類。どっと原価3(ライト)は利用者1ライセンス参考月額13,000円、スタンダードは23,000円(いずれも税抜)、NEO LT LAN版Aセットはソフトウェア価格850,000円(税抜)と料金ページに掲載。
IT・広告・コンサルなどプロジェクト型で、工数から原価と仕掛品を自動計算するなら
ZAC(株式会社オロ)
工数を労務費として案件別に自動集計し、配賦と仕掛品振替、原価比例法まで。初期設定費用10万円と料金構成を公開
プロジェクトごとに販売・購買・勤怠・工数・経費を一元管理し、個別原価計算を自動化すると記載。工数は案件別の直接作業・間接作業の労務費として集計され、共通費や販管費の配賦、仕掛品から売上原価への振替仕訳、原価比例法による売上・原価の自動計算に対応。料金は初期設定費用10万円、保守費用6万円~/月、機能×人数のライセンス費用の構成(税表記なし)。