原価管理システム · 基礎知識
原価管理システムの配賦の考え方|間接費・共通費の配り方と製品ごとの対応【2026年版】
製品や工事、プロジェクトの原価を正しく出すには、間接費や共通費の配賦が欠かせません。配賦の基本と、掲載製品が公式に書いている配賦の機能を整理しました。
原価のうち、材料費や外注費のように製品や案件に直接ひもづくものは集めやすい部分です。難しいのは、工場の光熱費や管理部門の人件費のように、複数の製品や案件にまたがる費用です。
この記事では、こうした費用を配る配賦の考え方と、掲載製品の配賦の機能を整理します。
直接費と間接費の分け方
配賦を考える前に、どの費用が直接費で、どの費用が間接費かを分けます。分け方は業種で変わります。
| 業種 | 直接費の例 | 間接費・共通費の例 |
|---|---|---|
| 製造業 | 材料費、外注加工費、製品に付けた作業時間の労務費 | 工場の光熱費、設備の減価償却費、間接作業の労務費 |
| 建設業 | 工事ごとの材料費、外注費、現場の労務費 | 本支店の経費、共通の仮設費 |
| プロジェクト型 | 案件に付けた工数の労務費、外注費 | 間接作業の工数、管理部門の費用 |
直接費に付けられるものを増やすほど、配賦の影響は小さくなります。日報や工数入力で、どこまで案件に付けられるかを先に確かめてください。
配賦の基準の例
間接費は、何かの基準に比例させて配ります。基準の選び方で、製品や案件の原価が大きく変わります。
- 作業時間・工数: 人の手間がかかる製品や案件に多く配る
- 機械の稼働時間: 設備を長く使う製品に多く配る
- 生産量・売上高: 量や売上の大きい製品に多く配る
- 人数: 部門の人数に応じて共通費を配る
どの基準が正しいという答えはありません。費用が発生する理由に近い基準を選ぶと、配賦後の原価が実態に近づきます。
製造業向け製品の配賦の機能
製造業向けの掲載製品が、配賦について公式に書いていることを並べます。段階や細かさに違いがあります。
| 製品 | 配賦についての記載 |
|---|---|
| J-CCOREs | 相互配賦計算などの独自の配賦処理。プロセス製造業の原価業務にフィット |
| ProSCOPE-C | 原価部門、原価要素、細目の3段階の配賦設定。柔軟なマスタ設定で配賦基準を詳細に設定 |
| ProSee | 費用配分の計算過程を見えるようにする「ガラス張り原価計算法」 |
| UM原価 | 間接費の正確な配賦により精度の高い原価計算 |
| Prevision | 物件・部品ごとの粗利を自動集計(配賦の方法は確認したページに記載なし) |
配賦の計算過程が見えるかどうかは、原価の数字を現場に納得してもらうときに効いてきます。ProSeeは、原価情報の理解度・納得度を上げることを狙いに挙げています。
プロジェクト型の配賦
プロジェクト型では、間接作業の工数や管理部門の費用を案件に配る作業が、月次の負担になりがちです。プロジェクト型の製品は、ここの自動化を前面に出しています。
- ZAC: 共通費や販売費、一般管理費の配賦に対応。間接作業の案件を指定して工数を登録すると、配賦基準にもとづいて自動的に配賦
- ZAC: 外部システムの原価・費用データをインポートし、案件と費目または科目を指定して直接原価として紐付け
- マネーフォワード クラウド個別原価: プロジェクト工数や労働時間などを配賦基準にした多段階配賦
- 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編]: 原価管理を正確に行うための配賦作業や複雑な計算を自動化
工数を配賦基準にするなら、工数の入力が日々きちんと行われていることが前提です。入力のしやすさも、製品選びの材料に入れてください。
建設業の共通費と配賦
建設業では、工事に直接付けられない費用や、複数の工事にまたがる費用の扱いが課題になります。建設業向け製品の記載をまとめます。
| 製品 | 関連する記載 |
|---|---|
| どっと原価NEO | セットモデルに原価配賦の機能を含む |
| ガリバーシリーズ | オプションで労災保険料を工事原価へ自動賦課 |
| BEStPRO-原価C3 | 会計からの振替項目を実行予算項目へ原価実績として紐付け |
労災保険料のように、決まったルールで工事に割り振る費用は、自動化の効果が出やすい部分です。今手作業で割り振っている費用を書き出して、デモで扱えるか確かめてください。
配賦で起きやすい問題
配賦は、ルールを決めた後も揉めやすい部分です。よくある問題を先に知っておくと、システムの設定で防げるものがあります。
- 配賦の基準が年に何度も変わり、月ごとの比較ができなくなる
- 配賦後の原価だけを見て、配る前の直接費の差が見えなくなる
- 配られる側の部門や担当者が、基準に納得していない
- 配賦の計算をExcelで別に行い、システムの数字と合わなくなる
配賦前と配賦後の両方の数字を残し、どちらも見られるようにしておくと、議論がしやすくなります。デモでは、配賦の結果から元の費用までたどれるかを見せてもらってください。
日報・工数の入力が配賦の土台になる
作業時間を基準に配るなら、日々の作業時間がきちんと記録されていることが前提です。日報や工数の入力について、公式に書かれている工夫を並べます。
| 製品 | 入力の工夫(公式記載) |
|---|---|
| Prevision | 現場のスマホ実績収集と連動し、物件・部品ごとの粗利を自動集計 |
| アラジンオフィス | 社内作業の作業内容・時間の入力を社内原価(労務費)に反映 |
| ZAC | 予定表を日報登録の際にそのままインポートし、二重入力を省く |
| Dr.原価PRO | 加工実績の入力機能。オプションで機械稼働連携 |
入力の手間が大きいと、記録が月末にまとめて行われ、配賦の数字が当てにならなくなります。現場の担当者がその場で入力できる仕組みかを、デモで確かめてください。
配賦の結果を何に使うか
配賦は、原価を出すこと自体が目的ではありません。結果を何に使うかを決めておくと、配賦のルールも決めやすくなります。
- 値決め: 製品や案件ごとの採算から、見積の単価を見直す
- 原価低減: 配賦前の直接費と配賦額を分けて、下げられる費用を探す
- 決算: 仕掛品や在庫の金額を正しく評価する
- 部門の評価: 共通費を負担したあとの部門の利益を見る
ProSeeは、財務会計の全部原価と採算分析の直接原価を同時に出せると書いています。決算と管理で使う数字を分けて持てると、配賦の議論が整理しやすくなります。
配賦の機能を確かめるときの質問
最後に、資料請求やデモで配賦について聞くときの質問をまとめます。自社の配賦のルールを1つ持っていくと、具体的な答えが返ってきます。
- 配賦の段階は何段階まで設定できるか
- 配賦の基準を、費目や部門ごとに変えられるか
- 相互配賦(部門同士で費用を配り合う計算)に対応するか
- 配賦の結果を、過去にさかのぼって計算し直せるか
- 配賦前と配賦後の両方の数字を帳票で出せるか
ProSCOPE-Cは3段階、マネーフォワード クラウド個別原価は多段階の配賦を挙げています。段階の数だけでなく、自社のルールをそのまま設定できるかを確かめてください。
この記事に出てくるサービス
- アラジンオフィス(株式会社アイル)販売・在庫とまとめて製番原価を見るなら
- BEStPRO-原価C3(富士通エンジニアリングテクノロジーズ株式会社)土木の代価まで扱うなら
- どっと原価(株式会社建設ドットウェブ)料金を見ながら建設業の原価管理を選ぶなら
- Dr.原価PRO(株式会社シー・アイ・エム総合研究所)金型・一品物の製番原価なら
- ガリバーシリーズ(あさかわシステムズ株式会社)建設業の基幹業務をまとめるなら
- J-CCOREs(JFEシステムズ株式会社)工程の多いプロセス製造業なら
- 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)会計と原価を一つのクラウドにするなら
- マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)IPO準備のプロジェクト原価なら
- Prevision(株式会社インプローブ)生産管理と原価を一緒に入れるなら
- ProSCOPE-C(株式会社日立ハイシステム21)化学・素材の連産品まで扱うなら
- ProSee(株式会社ソートウェア)生産管理なしで脱Excelするなら
- UM原価(株式会社シナプスイノベーション)クラウドで生産管理と原価をそろえるなら
参照元
よくある質問
配賦とは何ですか?
複数の製品・工事・案件にまたがる間接費や共通費を、作業時間や生産量などの基準に比例させて配る計算です。基準の選び方で、個々の原価が大きく変わります。
配賦を自動化できる原価管理システムは?
ZACは間接作業の工数や共通費・販管費の配賦を自動化すると説明しています。ProSCOPE-Cは3段階の配賦設定、J-CCOREsは相互配賦計算、マネーフォワード クラウド個別原価は多段階配賦に対応しています。
配賦の結果に現場が納得しません。どうすればよいですか?
計算の過程を見えるようにすることが近道です。ProSeeは費用配分の計算過程を見えるようにする計算技法を「ガラス張り原価計算法」と呼び、原価情報の理解度・納得度を上げることを狙いに挙げています。
【業種別】原価管理システムおすすめ3選
工程の多いプロセス製造業で、工程別・製品別の原価を積み上げるなら
J-CCOREs(JFEシステムズ株式会社)
鉄鋼業の原価計算ノウハウをパッケージ化。ころがし計算で実際・標準・個別原価に対応し、最短5ヶ月で導入
工程ごとの受払から製造原価を出し最終製品まで積み上げる「ころがし計算」や相互配賦に対応し、実際原価・標準原価・個別原価の各制度に合わせたモジュールを用意。原価計算単体のパッケージで、生産管理・会計・販売システムの有無や種類を問わず連携でき、オンプレミスとクラウド(IaaS)を選べる。最短5ヶ月での導入が可能と公式に記載。
建設業で、工事ごとの予算・原価・請求を料金を見ながら選ぶなら
どっと原価(株式会社建設ドットウェブ)
クラウド版どっと原価3は1ライセンス参考月額13,000円(税抜)から。オンプレミス版のセット価格も公開
建設業向けの原価管理システムで、予算履歴で原価を管理し、会計とは仕訳伝票データを双方向で連携できると記載。製品はクラウド版どっと原価3とオンプレミス版NEO LT・ST・EXの4種類。どっと原価3(ライト)は利用者1ライセンス参考月額13,000円、スタンダードは23,000円(いずれも税抜)、NEO LT LAN版Aセットはソフトウェア価格850,000円(税抜)と料金ページに掲載。
IT・広告・コンサルなどプロジェクト型で、工数から原価と仕掛品を自動計算するなら
ZAC(株式会社オロ)
工数を労務費として案件別に自動集計し、配賦と仕掛品振替、原価比例法まで。初期設定費用10万円と料金構成を公開
プロジェクトごとに販売・購買・勤怠・工数・経費を一元管理し、個別原価計算を自動化すると記載。工数は案件別の直接作業・間接作業の労務費として集計され、共通費や販管費の配賦、仕掛品から売上原価への振替仕訳、原価比例法による売上・原価の自動計算に対応。料金は初期設定費用10万円、保守費用6万円~/月、機能×人数のライセンス費用の構成(税表記なし)。