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石膏鋳造とは?ダイカスト同等品質の試作ができる理由と限界【2026年版】

石膏鋳造(石膏鋳型による精密鋳造)の工程、ダイカスト同等の鋳肌・精度と言える根拠、抜き勾配ゼロ・薄肉0.6〜0.8mmが可能な理由を、国内11社の公式記載で解説します。最短5日〜3週間の納期、1〜100個のロット、最大1,500×800×700mmの寸法、対応合金、向かない案件まで整理しました。

公開 2026年9月30日

石膏鋳造は、金型の代わりに石膏で鋳型を作り、アルミやマグネシウムを流し込む精密鋳造法です。今回調査した34社のうち11社が公式に対応を明記しており、ダイカスト品の試作で対応会社の多い工法です。

石膏鋳造の工程:3Dデータから鋳型まで

ニューテックは公式サイトで石膏鋳造の工程を10ステップで説明しており、大きく分けると次の4段階です。共栄デザインも「金型を使用せず石膏製の鋳型で成形する精密鋳造法」と定義しています。

  1. 3Dデータ修正・マスターモデル製作:加工代と鋳造収縮を考慮したモデルを作る
  2. シリコンゴム型製作:マスターモデルをシリコンゴムで反転して一次型を作る
  3. 石膏型製作:一次型を再びシリコンゴムで反転して二次型を作り、石膏スラリーを流し込んで鋳型を完成させる
  4. 鋳造・仕上げ:溶かした金属を注湯し、鋳型を崩して湯口やバリを仕上げる

プロテックジャパンは工程の日数目安を「データ処理で1日、光造形で3日、鋳造工程が5日程度」と公開しています。共栄デザインは「鋳型1個につき鋳造品1個」なので、1個からの注文が成立します。

ダイカスト同等と言える根拠(材質・鋳肌・精度)

石膏鋳造の会社が「ダイカスト同等」と掲げる根拠は、材質・鋳肌・精度の3点です。各社の公式記載を並べます。

会社材質鋳肌・精度の公式記載
ニューテックADC12材でダイカスト同等品質の試作CT7級保証(CT5・CT6級実績)、鋳肌Ra6.4相当
日邦産業ADC1・ADC6・ADC10・ADC12・ADC14他アルミダイカストと同等の精度や鋳肌、CT6相当
共栄デザインADC12・ADC1・ADC6、亜鉛ZDC1・ZDC2ダイカストに匹敵する美しい鋳肌と寸法精度、寸法公差±0.2〜0.7mm
モールドモデルADC系ダイカスト材(ダイカスト用インゴット使用)ダイカスト同等の寸法精度、公差表±0.1mm(0〜25mm)〜±2.5mm(500mm超)
アドバンスADC12、AC4CH、HT-1などダイカスト同等の精度・滑らかな鋳肌
プロテックジャパンADC12、AZ91Dなどダイキャストと同じ品質の製品が製造可能、精度25mm以下±0.1〜0.15(PLに対する方向による)
ジャノメダイカストアルミ・マグネシウムダイカスト製品の試作微細な表面凹凸(12µm、0.2mm間隔)を再現

ポイントは、ダイカスト用合金ADC12を石膏型で鋳造できることです。日本ダイカスト協会の資料では、アルミニウム合金ダイカストのうちADC12が約94%を占めるとされており、量産材のまま試作できる意味は大きいです。

抜き勾配ゼロと薄肉が可能な理由

ダイカストでは金型から製品を抜くために抜き勾配が必要ですが、石膏型は鋳造後に崩して取り出すため、抜き勾配がなくても成立します。各社の公式記載は次の通りです。

  • ニューテック:「抜き勾配ゼロ度でも、石膏型を製作することが可能」、最小肉厚0.8mm〜
  • 日邦産業:抜き勾配0°対応、肉厚0.8mm〜
  • 共栄デザイン:「アンダーカットや抜き勾配ゼロにも対応」
  • モールドモデル:抜き勾配ゼロ・アンダーカット・薄肉・中空一体成形
  • プロテックジャパン:最小肉厚0.6mmまで可能、コーナーRは無しでも可能
  • ジャノメダイカスト:アンダーカット・抜き勾配なし・鉄インサート対応、薄肉0.5mm実績
  • 八百谷金属工業:薄肉鋳物やヒートシンクに用いられ、抜き勾配が不要
  • 寿金属工業:石膏鋳造の最小肉厚2mm(部分的に1.5mm)

協会の設計ガイドが示すアルミニウムダイカストの一般肉厚は、小物で0.8〜3.0mm、大物で2.0〜6.0mmです。石膏鋳造の各社が掲げる最小肉厚0.5〜0.8mmは、この下限と同じ水準にあります。

石膏鋳造の納期とロットの実測値(各社公式)

石膏鋳造の納期とロットは会社ごとに幅があります。公式サイトに数字を出している会社だけを並べます。

会社納期の公式記載ロットの公式記載
共栄デザイン最短5日で試作品、小ロット製造の素材初品は3週間〜1個から、月1個の少量生産も可、5〜100個程度でダイカスト相当の品質
ジャノメダイカスト3Dデータから最短7日で出荷少数・小ロット生産
ニューテック最短2.5週間(通常3.5〜4週、素材まで)5〜30個、100個まで相談可
日邦産業最短3週間(形状・数量による)1個〜最大1,000個/年
プロテックジャパン工法別目安で石膏鋳造30日石膏鋳造3個〜、推奨は数十個単位
モールドモデル金型製作リードタイム不要のため短納期(日数記載なし)コストパフォーマンスの高いレンジは5〜100個程度

「最短」の数字は素材のみの条件が多く、ニューテックは「最短2.5week」を素材のみ・条件によると注記しています。機械加工や表面処理まで含めるかで納期は変わるため、完成品の納期は別に確認してください。

石膏鋳造に対応する会社の最大寸法と材質

石膏型の大きさは会社の乾燥炉や溶解炉で決まります。公式に最大寸法を出している会社は次の通りです。

  • 日邦産業:アルミ1,500×800×700mm、マグネシウム800×600×400mm、重量50kg程度まで
  • プロテックジャパン:1,000×1,000×300mm
  • ニューテック:800×800mm(最長1,000mm実績)、最大重量35kg
  • モールドモデル:600×350×200mm程度
  • アドバンス:450×450×150mm

材質はアルミ鋳物合金(AC2A〜AC8A)、ダイカスト合金(ADC12など)に加え、共栄デザインは亜鉛ZDC1・ZDC2と高熱伝導アルミHT-1・DMS、ニューテックはマグネシウムZE41A・EV31・AM60、日邦産業はAZ91D・AM60B、プロテックジャパンはAZ91Dと亜鉛ZDC2を挙げています。モールドモデルはマグネシウム合金・亜鉛合金にも対応と記載しています。

石膏鋳造の限界と向かない案件

石膏鋳造には、公式記載から読み取れる限界があります。八百谷金属工業は自社の工法比較表で、石膏鋳造を精度・加工コストで「非常に優れている」、小ロット対応で「優れている」とする一方、量産・鋳造コストでは「不向き」としています。

  • 数量:ニューテックは「砂型より高くダイカストより安い位置づけ」とし、コストパフォーマンスの高い範囲をモールドモデルは5〜100個程度としている
  • 寸法:最大でも日邦産業の1,500×800×700mm・50kg程度で、JMCの大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)のような大物は対象外
  • 型の再利用:鋳型1個につき鋳造品1個(共栄デザイン)なので、数百個以上は1個ごとに型を作ることになる
  • 機械的性質:石膏型はダイカストのように高圧で圧入しないため、量産のダイカスト品と同じ条件での評価が必要なら簡易金型ダイカスト(協和合金、クライム・ワークス)も検討する

協和合金は「開発試作からダイキャスト品で評価しておけば量産時の不具合を未然に防ぐことができます」と、ダイカストそのもので試作する意義を説明しています。石膏鋳造か簡易金型かは、評価の目的で決めます。

量産へ移行するときの注意点

石膏鋳造で試作した部品を量産ダイカストに移す場合、抜き勾配とアンダーカットの扱いが変わります。石膏鋳造で抜き勾配ゼロのまま評価した形状は、量産金型では勾配を付けるか引抜中子を使う必要があります。

協会資料は、引抜中子を設けると金型が複雑・高価になるが多様な形状の生産を可能にすると説明しています。ジャノメダイカストのように石膏鋳造(試作)とダイカスト(量産、1250tマシン)の両方を持つ会社や、寿金属工業のように4工法を持つ会社なら、試作段階から量産金型を見据えた設計相談ができます。

  • 試作図面と量産図面で抜き勾配・R・肉厚の差分を明示する
  • 試作は素材のみで受け取り、加工は量産と同じ基準で行うか決めておく
  • 石膏鋳造のCT等級(CT6〜7)と量産ダイカストの公差を照らし合わせる

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

石膏鋳造とダイカストの違いは何ですか?

ダイカストは熱間工具鋼などで作った金型に溶融金属を圧入する量産工法で、石膏鋳造は石膏で作った鋳型に注湯し、鋳造後に型を崩して製品を取り出す試作向けの工法です。金型が不要なため、ニューテックは金型製造不要でコスト60%ダウン・納期50%短縮の事例を、共栄デザインは1個からの対応を公式に掲げています。

石膏鋳造でADC12は使えますか?

使えます。ニューテックは「ADC12材でダイカスト同等品質の試作」、日邦産業はADC1・ADC6・ADC10・ADC12・ADC14他、共栄デザインはADC12・ADC1・ADC6、アドバンスはADC12、プロテックジャパンはADC12を石膏鋳造の対応材質として公式に挙げています。

石膏鋳造の納期はどれくらいですか?

公式サイトの目安では、共栄デザインが最短5日、ジャノメダイカストが3Dデータから最短7日、ニューテックが最短2.5週間(通常3.5〜4週)、日邦産業が最短3週間、プロテックジャパンが工法別目安で30日です。多くは素材のみの条件で、機械加工や表面処理を含めると延びます。

石膏鋳造は何個まで対応できますか?

日邦産業は1個〜最大1,000個/年、ニューテックは5〜30個(100個まで相談可)、共栄デザインは1〜100個程度で月産20個ほどの小ロット製造にも対応、モールドモデルはコストパフォーマンスの高いレンジを5〜100個程度としています。鋳型1個につき鋳造品1個のため、数百個以上は簡易金型ダイカストなどと比較してください。

【目的別】軽金属鋳造の試作会社おすすめ3選

※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

量産と同じダイカスト材で、金型なしに評価したいなら

株式会社ニューテック

ADC12でダイカスト同等品質の試作。試作実績1万件超、石膏鋳造は最短2.5週間

アルミ・マグネシウムの精密鋳造専門で試作実績10,000件以上。ADC12・AC4CH・A357などアルミ9種、ZE41A・AM60などマグネシウムに対応し、石膏鋳造はCT7級保証(CT5・6の実績)、消失鋳造はCT8級保証。最大800×800mm・35kg、最小肉厚0.8mm。5軸加工機・熱処理炉2基・X線CTを社内に持ち、完成品で納める。

株式会社ニューテックの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大物・複雑形状・ギガキャスト級の砂型試作なら

株式会社JMC

3Dプリント砂型で木型を省き、2m角・500kgまで。熱処理から5軸加工・CT検査まで社内一貫

砂型3Dプリンター(造形800×500×400mm)と大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)を持ち、アルミ専用9基・マグネシウム専用2基の溶解炉で試作・小ロット量産に対応。T4〜T7熱処理、5軸機械加工、化成処理・アルマイト・含浸・HIP、X線CT6台まで社内一貫。ISO9001・JIS Q 9100、鋳造公差CT7(形状によりCT6)。ギガキャスト試作で自動車分野30型・500台以上の実績。

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3

まず1個を、数日で手に取りたいなら

株式会社 共栄デザイン

石膏鋳造で最短5日。1個から月1個の少量生産まで、亜鉛や高熱伝導合金も

金型を使わない石膏鋳型で「最短5日で高精度な試作品」を製作し、1個からの試作・月1個の少量生産に対応。アルミ鋳物合金AC2A〜AC8A、ダイカスト用ADC12・ADC1・ADC6、亜鉛ZDC1・ZDC2、高熱伝導アルミHT-1・DMSに対応。寸法公差±0.2〜0.7mm、Carl Zeissの三次元測定機、社内マシニングで機械加工。5〜100個ならダイカスト相当の品質、小ロット製造は素材初品3週間〜。

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