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鋳造試作の費用と納期の考え方|価格公開が少ない前提で見積の条件をそろえる方法【2026年版】

アルミ・マグネシウム鋳造試作の費用は、公式サイトに価格表を載せる会社がほとんどありません。公開されている数少ない価格の手がかり(共栄デザインのモデルケース、白銅の算出方法など)、費用を左右する5要素、工法別の公式納期目安、相見積で条件をそろえるテンプレート、ものづくり補助金(23次公募)の枠まで整理します。

公開 2026年9月30日

鋳造試作の費用を調べても、公式サイトに価格表はほとんどありません。このページでは、価格が公開されない理由と、それでも公開されている手がかり、見積条件をそろえて比較する方法を整理します。

なぜ価格表がほとんど無いのか

今回調査した34社の公式サイトで、具体的な金額を出している会社はごく少数でした。理由は各社の記載から読み取れます。

  • 形状・材質・数量・後加工の組み合わせで単価が変わる:白銅は「形状とサイズによる『造形時間+材料代』から算出」と説明
  • 型費の有無で構造が変わる:キャステムはデジタルキャストを「0円金型」、協和合金・プロテックジャパンは簡易金型で型費を抑える方式
  • 数量帯で工法が変わる:ニューテックは石膏鋳造を「砂型より高くダイカストより安い位置づけ」と説明
  • VA提案が前提:光軽金属工業は「価格についてお困りの製品があればいつでもVA案を検討します」と記載

価格表がないのは、見積が「部品ごとの設計」だからです。同じ条件で複数社に依頼しないと比較になりません。

公式に出ている数少ない価格の手がかり

金額や比率を公式サイトに書いている会社を並べます。いずれも特定条件の例で、そのまま自社の部品に当てはまるものではありません。

会社公式記載読み方
共栄デザイン石膏鋳造モデルケース「初度費:20万円」「製品単価:30,000円(10個時)」初度費(型・モデル)と単価が分かれている
白銅「造形時間+材料代」から算出、ショットブラスト3,000円〜、当日見積金属3Dプリントは造形時間が主要因
ニューテック金型製造不要でコスト60%削減・納期50%短縮の事例金型ダイカスト比の削減率
プロテックジャパン簡易金型により従来の約半額(コストは約1/2程度)、製作期間約2/3量産金型比の削減率
太陽パーツ切削・板金からの工法転換でコストダウン30〜70%、AC4C-T6軸受けで50%減切削比の削減率
キャステムデジタルキャストは型費が不要(0円金型)型費ゼロの構造
FIRMS「納期に余裕がある場合は格安でお請け致します」納期と価格のトレードオフ

共栄デザインの例は「初度費+単価×数量」という鋳造試作の費用構造をそのまま示しています。数量が増えるほど初度費の按分が下がる一方、鋳型1個につき鋳造品1個の石膏鋳造では単価は下がりにくい構造です。

費用を左右する5つの要素

各社の公式記載から、費用に影響する要素を5つに整理します。見積依頼ではこの5点を明示します。

  1. 工法と型費:金型(量産ダイカスト)>簡易金型(協和合金、プロテックジャパン)>石膏・砂型・ロストワックスの3Dプリント原型(型費が小さい)の順に初度費が変わる
  2. 数量:協和合金は数十〜数百個、ニューテックは5〜30個、モールドモデルは5〜100個がコストパフォーマンスの高い範囲と、会社ごとに得意な数量帯が異なる
  3. 材質:ADC12などの標準材か、HT-1・DMS・A201HP・MMC40のような特殊合金か
  4. 後加工の範囲:素材のみか、機械加工・熱処理・表面処理・検査を含む完成品か
  5. 納期:FIRMSは納期に余裕があれば格安と明記。最短納期の指定は費用に反映される

協会の設計ガイドは「設計はダイカストのコスト、品質に最も大きな影響を与える」とし、均一な肉厚、適当な強度と剛性を与える肉厚の選定、標準以上に厳しい寸法許容差を指定しないことを勧めています。試作でも設計の段階で費用の多くが決まります。

納期の公式目安を工法別に並べる

納期は価格より公開されています。公式サイトに日数を出している会社を工法別に並べます。

多くは素材のみ・条件付きの「最短」です。

工法会社公式の納期目安
石膏鋳造共栄デザイン最短5日(小ロット製造の素材初品は3週間〜)
石膏鋳造ジャノメダイカスト3Dデータから最短7日で出荷
石膏鋳造ニューテック最短2.5週間(通常3.5〜4週、素材まで)
石膏鋳造日邦産業最短3週間
石膏鋳造プロテックジャパン工法別目安30日(データ処理1日・光造形3日・鋳造5日程度)
消失鋳造ニューテック最短1.5週間
簡易金型ダイカスト協和合金データ完成から最短1週間
簡易金型ダイカストプロテックジャパン約20日(従来35日程度)
精密砂型イナテック試作最短3日
3Dプリント砂型木村鋳造所DMP通常納期7日から
砂型・石膏八百谷金属工業最速翌日発送(モデルがない場合は加工まで約2週間)
デジタルキャストキャステム最短2週間対応の実例
ロストワックスキャステム、キングパーツ最短3週間(キャステムは生産図面確定後、キングパーツは初品)
ロストワックスプロテックジャパン工法別目安40日
金属3Dプリント白銅最短4日で納品できる場合もあり、基本は数日
マグネシウムダイカストSTG最終図面から実稼働40〜45日
ギガキャスト級砂型JMC初品まで1.5〜2か月
量産ダイカスト光軽金属工業3.5ヶ月〜(砂型1.5ヶ月〜、金型重力鋳造2ヶ月〜)

ニューテックの「最短2.5week」は素材のみ・条件によると注記されています。完成品の納期は、加工・熱処理・表面処理・検査の日数を足して確認してください。

見積条件をそろえるテンプレート

相見積で比較できるのは、同じ条件で依頼したときだけです。各社の公式記載で問われる項目を、そのまま依頼文の項目にします。

項目書く内容根拠となる各社の記載
3Dデータ・図面データ形式と図面の有無、重要寸法と公差(CT等級または±mm)ジャノメダイカスト「3Dデータから最短7日」、前橋橋本合金「図面をいただければすぐに御見積」
材質・質別JIS記号と質別(例:ADC12、AC4CH-T6)各社の対応材質一覧
数量今回の個数と量産想定光軽金属工業の工法別MIN(砂型1・重力40・ダイカスト100)
納品状態素材のみ/機械加工済/熱処理・表面処理済/検査報告書付きニューテック「完成品でお届けします」
希望納期必着日と、余裕がある場合はその旨FIRMS「納期に余裕がある場合は格安」
用途形状確認か機能評価か、気密・強度の要否協和合金「ダイキャスト品で評価しておけば量産時の不具合を未然に防ぐ」

同じ依頼文を2〜3社に送り、初度費と単価を分けて回答してもらうと、共栄デザインのモデルケースと同じ形で比較できます。

ものづくり補助金の対象と枠(23次公募)

試作品開発の設備投資は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)の対象です。事務局公式サイトは、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発を行うための設備投資等を支援するとしています。

  • 23次締切:電子申請 令和8年4月3日開始・5月8日締切
  • 製品・サービス高付加価値化枠の補助上限額(補助下限額100万円):従業員数1〜5人750万円、6〜20人1,000万円、21〜50人1,500万円、51人以上2,500万円
  • 補助率:中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者2/3
  • 補助対象経費:機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
  • 補助事業実施期間:交付決定日から10か月
  • 製品・サービス高付加価値化枠は革新的な新製品・新サービス開発の取組が対象で、既存製品の生産プロセス改善のみは対象外

鋳造試作を外注する費用は「外注費」、試作用の材料は「原材料費」に該当し得ますが、機械装置・システム構築費が必須経費です。公募要領で自社の計画が枠の要件を満たすかを確認してください。

相見積で比較するときの落とし穴

条件をそろえても、回答の読み方を誤ると比較がずれます。各社の公式記載から、注意点を挙げます。

  1. 「最短」納期は素材のみの条件が多い(ニューテックは素材まで、共栄デザインの3〜4週間は「二次加工により異なります」と注記)
  2. 工法が違えば得られる評価が違う(石膏鋳造でADC12を鋳るのと、簡易金型で実際にダイカストするのでは圧入の有無が異なる)
  3. 数量帯の得意不得意で単価が変わる(モールドモデルは5〜100個、協和合金は数十〜数百個)
  4. 「ダイカスト同等」の根拠を確認する(ニューテックCT7級保証、日邦産業CT6相当のように等級で示す会社と、鋳肌の表現だけの会社がある)
  5. 認証・検査報告書の有無で費用が変わる(白銅は検査成績書の発行を明記)

費用を比べる前に、まず工法と数量帯を合わせた会社を選ぶこと。その上で同じ依頼文を送るのが、鋳造試作の相見積で最も確実な方法です。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

鋳造試作の費用はいくらくらいですか?

公式サイトに価格を載せている会社はほとんどありません。公開例として、共栄デザインは石膏鋳造のモデルケースで「初度費:20万円」「製品単価:30,000円(10個時)」、白銅は金属3Dプリントを「造形時間+材料代」から算出しショットブラスト3,000円〜と記載しています。形状・材質・数量・後加工で変わるため、同じ条件で2〜3社に見積を依頼してください。

鋳造試作の納期はどれくらいですか?

公式の目安では、石膏鋳造が最短5日(共栄デザイン)〜最短3週間(日邦産業)、簡易金型ダイカストがデータ完成から最短1週間(協和合金)〜約20日(プロテックジャパン)、精密砂型が最短3日(イナテック)、3Dプリント砂型が7日から(木村鋳造所)、金属3Dプリントが最短4日(白銅)、ギガキャスト級が初品まで1.5〜2か月(JMC)、量産ダイカストが3.5ヶ月〜(光軽金属工業)です。多くは素材のみの条件です。

鋳造試作にものづくり補助金は使えますか?

ものづくり補助金は事務局公式サイトで「革新的サービス開発・試作品開発を行うための設備投資等を支援する」とされています。23次締切は令和8年4月3日申請開始・5月8日締切、製品・サービス高付加価値化枠の補助上限は従業員数1〜5人750万円〜51人以上2,500万円、補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3です。機械装置・システム構築費が必須経費で、外注費・原材料費も対象経費に含まれます。

鋳造試作の見積を安くするにはどうすればいいですか?

各社の公式記載から、納期に余裕を持たせる(FIRMSは「納期に余裕がある場合は格安」)、数量帯が得意な会社を選ぶ(モールドモデルは5〜100個、協和合金は数十〜数百個)、素材のみと完成品を分けて見積を取る、日本ダイカスト協会の設計ガイドに沿って均一な肉厚と標準公差で設計する、の4点が挙げられます。光軽金属工業はVA案の検討を公式に受け付けています。

【目的別】軽金属鋳造の試作会社おすすめ3選

※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

量産と同じダイカスト材で、金型なしに評価したいなら

株式会社ニューテック

ADC12でダイカスト同等品質の試作。試作実績1万件超、石膏鋳造は最短2.5週間

アルミ・マグネシウムの精密鋳造専門で試作実績10,000件以上。ADC12・AC4CH・A357などアルミ9種、ZE41A・AM60などマグネシウムに対応し、石膏鋳造はCT7級保証(CT5・6の実績)、消失鋳造はCT8級保証。最大800×800mm・35kg、最小肉厚0.8mm。5軸加工機・熱処理炉2基・X線CTを社内に持ち、完成品で納める。

株式会社ニューテックの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大物・複雑形状・ギガキャスト級の砂型試作なら

株式会社JMC

3Dプリント砂型で木型を省き、2m角・500kgまで。熱処理から5軸加工・CT検査まで社内一貫

砂型3Dプリンター(造形800×500×400mm)と大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)を持ち、アルミ専用9基・マグネシウム専用2基の溶解炉で試作・小ロット量産に対応。T4〜T7熱処理、5軸機械加工、化成処理・アルマイト・含浸・HIP、X線CT6台まで社内一貫。ISO9001・JIS Q 9100、鋳造公差CT7(形状によりCT6)。ギガキャスト試作で自動車分野30型・500台以上の実績。

株式会社JMCの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

まず1個を、数日で手に取りたいなら

株式会社 共栄デザイン

石膏鋳造で最短5日。1個から月1個の少量生産まで、亜鉛や高熱伝導合金も

金型を使わない石膏鋳型で「最短5日で高精度な試作品」を製作し、1個からの試作・月1個の少量生産に対応。アルミ鋳物合金AC2A〜AC8A、ダイカスト用ADC12・ADC1・ADC6、亜鉛ZDC1・ZDC2、高熱伝導アルミHT-1・DMSに対応。寸法公差±0.2〜0.7mm、Carl Zeissの三次元測定機、社内マシニングで機械加工。5〜100個ならダイカスト相当の品質、小ロット製造は素材初品3週間〜。

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