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アルミ・マグネシウム・亜鉛の材質記号(JIS H 5202/5302/5303/5301)の読み方【2026年版】

鋳造試作の図面に書くAC4C・ADC12・MDC1D・ZDC2などの材質記号を、JIS H 5202(アルミニウム合金鋳物)、JIS H 5302(アルミニウム合金ダイカスト)、JIS H 5303(マグネシウム合金ダイカスト)、JIS H 5301(亜鉛合金ダイカスト)の区分で解説します。日本ダイカスト協会の生産比率、質別記号、国内34社が公式に挙げる合金の傾向、図面への書き方まで。

公開 2026年9月30日

鋳造試作の見積で最初に聞かれるのが材質です。同じアルミでも「鋳物用のAC」と「ダイカスト用のADC」では規格が違い、会社によって対応の有無も変わります。

このページでは、JISの4つの規格に沿って記号の読み方を整理します。

JIS記号の体系:AC・ADC・MDC・ZDC・MCの意味

軽金属鋳造の材質記号は、金属の種類と鋳造方法の組み合わせで頭文字が決まります。JISCの規格一覧に掲載されている規格名と、記号の対応は次の通りです。

規格番号規格名記号の頭文字対象
JIS H 5202アルミニウム合金鋳物AC砂型・金型・LW型(ロストワックス)の鋳物
JIS H 5302アルミニウム合金ダイカストADCダイカスト
JIS H 5303マグネシウム合金ダイカストMDCダイカスト
JIS H 5203マグネシウム合金鋳物MC砂型・金型・精密鋳造
JIS H 5301亜鉛合金ダイカストZDCダイカスト

「D」が入る記号(ADC・MDC・ZDC)はダイカスト用、入らない記号(AC・MC)は砂型・金型・精密鋳造用と覚えると読み分けられます。石膏鋳造や砂型で「ダイカスト用合金ADC12」を鋳る試作も多く、記号と工法は必ずしも一致しません。

JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物(AC記号)

JIS H 5202は金型鋳物・砂型鋳物などのアルミニウム合金鋳物を規定します。合金記号はAC1B、AC2A、AC2B、AC3A、AC4A、AC4B、AC4C、AC4CH、AC4D、AC5A、AC7A、AC8A、AC8B、AC8C、AC9A、AC9Bです。

  • 鋳造方法として砂型鋳物・金型鋳物・LW型鋳物(ロストワックス)を区別する
  • 質別はJIS H 0001によりF、O、T4、T5、T6などで表す
  • AC4CHはハヤカワロストワックスが「356.0(AMS 4260/JIS H 5202(AC4CH))」と海外規格との対応を記載している
  • 三和軽合金製作所は系統別に、Al-Si-Mg系AC4A/4C/4CH、Al-Si-Cu系AC2A/2B/4B、Al-Mg系AC7A/7B、Al-Si系AC3A、Al-Si-Cu-Mg系AC8A/8B/8C、その他AC1A/1Bと整理している

今回調査した34社では、AC4CとAC4CHを挙げる会社が多く、前橋橋本合金の製造事例はすべてAC4C/AC4CH、東京鋳造所はAC4C-T6・AC4A-T6、木村鋳造所の試作事例はJIS AC4Cです。

JIS H 5302 アルミニウム合金ダイカスト(ADC記号)と生産比率

JIS H 5302の種類記号は、合金系ごとに次のように分かれます。日本ダイカスト協会の資料では20種類が規定されているとされています。

記号合金系協会資料の特徴
ADC1Al-Si系耐食性・鋳造性に優れ、耐力は幾分低い
ADC3Al-Si-Mg系—
ADC5Al-Mg系耐食性が最も良好で伸び・衝撃値は高いが鋳造性が劣る
ADC6Al-Mg-Mn系—
ADC10/ADC10Z/ADC12/ADC12ZAl-Si-Cu系ADC12は機械的性質・被削性が良く、ADC10に比べて鋳造性に優れる
ADC14Al-Si-Cu-Mg系—

協会資料によると、ダイカスト用合金の生産比率はアルミニウム97.9%、亜鉛1.7%、その他0.5%(2020年経済産業省統計)で、アルミニウム合金ダイカストのうちADC12が約94%を占めます(2001年の協会資料)。量産ダイカスト部品の試作でADC12指定が多いのはこのためです。

石膏鋳造のニューテックは「ADC12材でダイカスト同等品質の試作」、日邦産業はADC1・ADC6・ADC10・ADC12・ADC14他、共栄デザインはADC12・ADC1・ADC6と、ダイカスト用合金を試作工法で鋳る対応を公式に掲げています。

JIS H 5303 マグネシウム合金ダイカストとASTM名の対応

マグネシウム合金は、JIS記号よりASTM系の名称(AZ91D、AM60Bなど)で呼ばれることが多く、両方を読めると各社の記載を突き合わせられます。JIS H 5303の種類記号と相当合金は次の通りです。

JIS記号相当合金(ASTM系)公式に挙げる会社の例
MDC1BAZ91B相当—
MDC1DAZ91D相当STG(標準材MDC1D)、JMC(AZ91D(MDC1D))、日邦産業(AZ91D)、プロテックジャパン(AZ91D)、イナテック(AZ91D)
MDC2BAM60B相当STG(MD2B実績あり)、日邦産業(AM60B)、ニューテック(AM60)
MDC3BAM50A相当—
MDC4AE44相当—
MDC5AS41相当—
MDC6——

協会資料によると、マグネシウム合金ダイカストはJIS H 5303に7種類が規定され、すべてのダイカストの中で最も軽量です。Mg-Al-Zn系のMDC1D(AZ91D相当)が87%を占め、通常はJIS H 8651の仮防食処理が施されます。

砂型・金型・精密鋳造用のマグネシウム合金鋳物はJIS H 5203で、MC2C、MC2Eなどの記号です。前橋橋本合金は砂型用に「AZ91(MC2)」と両方の名称を併記しています。

JIS H 5301 亜鉛合金ダイカスト(ZDC1・ZDC2)

亜鉛合金ダイカストはJIS H 5301に2種類が規定されています。協会資料の特徴と生産比率は次の通りです。

  • ZDC1:Zn-Al-Cu系、生産比率22.8%
  • ZDC2:Zn-Al系、生産比率76.1%
  • 機械的性質・鋳造性に優れ、アルミニウム合金ダイカストに比べ薄肉のものができ、寸法精度がよく精密ダイカストが可能
  • めっきが容易で装飾性に優れる

34社ではZDC2を挙げる会社が多く、三協ダイカスト(ADC12・ZDC2、25tホットチャンバーマシン)、太陽パーツ(ZDC2、検査機器用ラックギアの事例)、プロテックジャパン(ZDC2)、共栄デザイン(ZDC1・ZDC2を石膏鋳造で)が公式に記載しています。

質別記号(F・T5・T6)と熱処理

材質記号の後ろに付く「-T6」などは質別記号で、JIS H 0001に基づきます。JIS H 5202ではF、O、T4、T5、T6などが使われ、キングパーツは「AC1B-T6、AC4C-T6、AC7A」、東京鋳造所は「AC4C-T6、AC4A-T6」のように質別まで含めて対応材質を記載しています。

質別の例(JIS H 0001の区分)公式に対応質別・熱処理設備を記載する会社
F、O記載なし(JIS H 5202の質別として規定)
T4、T5、T6、T7JMC(T4/T5/T6/T7)、ニューテック(T5・T6・T7、熱処理炉2基)、東京鋳造所(T5・T6処理炉)、前橋橋本合金(T6処理炉)、光軽金属工業(熱処理炉2基)、白銅(アニール処理・時効硬化処理・析出硬化処理)

試作で機械的性質を評価するなら、材質記号だけでなく質別も図面に書きます。熱処理炉を社内に持つ会社か、協力会社で行う会社かで納期が変わるため、質別指定がある場合は見積時に伝えてください。

図面に材質を書くときの注意

34社の公式サイトを見ると、材質の書き方は会社ごとに幅があります。図面と見積依頼では、次の点をそろえると解釈のずれを防げます。

  1. 規格番号と記号を併記する(例:JIS H 5302 ADC12、JIS H 5202 AC4CH-T6)
  2. マグネシウムはJIS記号とASTM名を併記する(例:MDC1D(AZ91D相当))
  3. 会社独自の合金名(共栄デザインのHT-1・DMS、日邦産業のDMS1・DMS3・DMS4・DMS5・DHT-1、日本プレシジョンキャスチングのA201HP、ハヤカワロストワックスのMMC40など)は、対応できる会社が限られる前提で選ぶ(HT-1は共栄デザインのほかプロテックジャパン・太陽パーツも、DMSは共栄デザインと日邦産業の両社が記載)
  4. 金属3Dプリントの材料(白銅のAlSi12・AlSi10Mg、J・3DのAlSi10Mg、NTTデータザムテクノロジーズのScalmalloyなど)は鋳造JISとは別体系と理解する
  5. JMCのように対応材料ページに「当社の参考値であり規定値ではありません」と注記がある場合、成分・物性の保証範囲は別途確認する

材質が決まったら、次は寸法公差です。鋳造公差等級CT(JIS B 0403)の読み方は別ページで解説しています。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

AC4CとADC12の違いは何ですか?

AC4CはJIS H 5202「アルミニウム合金鋳物」の記号で、砂型・金型・ロストワックスなどの鋳物用合金です。ADC12はJIS H 5302「アルミニウム合金ダイカスト」のAl-Si-Cu系合金で、日本ダイカスト協会の資料ではアルミニウム合金ダイカストの約94%を占め、機械的性質・被削性が良くADC10に比べて鋳造性に優れるとされています。

AZ91DはJISだと何という記号ですか?

JIS H 5303「マグネシウム合金ダイカスト」ではMDC1DがAZ91D相当です。STGは標準材をMDC1D、JMCは対応材料をAZ91D(MDC1D)と併記しています。砂型・金型用のマグネシウム合金鋳物はJIS H 5203で、前橋橋本合金はAZ91(MC2)と記載しています。

ZDC1とZDC2はどちらが一般的ですか?

日本ダイカスト協会の資料によると、亜鉛合金ダイカストの生産比率はZDC2(Zn-Al系)が76.1%、ZDC1(Zn-Al-Cu系)が22.8%です。今回調査した34社では三協ダイカスト、太陽パーツ、プロテックジャパンがZDC2を、共栄デザインがZDC1・ZDC2を公式に挙げています。

材質記号の後ろのT6は何ですか?

T6はJIS H 0001に基づく質別記号で、熱処理の状態を表します。JIS H 5202ではF、O、T4、T5、T6などが使われます。キングパーツはAC4C-T6、東京鋳造所はAC4C-T6・AC4A-T6のように質別まで含めて対応材質を記載しており、JMC(T4〜T7)やニューテック(T5・T6・T7、熱処理炉2基)は社内に熱処理設備を持つと公式に記載しています。

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※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

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