ベンディングロール · 基礎知識
2本・3本・4本ロールの違い|ベンディングロールのロール本数と得意な板厚・形
ベンディングロール(板曲げロール)の2本・3本・4本ロールの仕組みと向く仕事を、マツモト機械・日本酸素G&W・栗本鐵工所・神埼工業・アイセル・MIYAi・エスカディアの公式の機種と仕様で整理します。
ベンディングロールは、回転するロールの間に板を通して、少しずつ曲げて円筒や円弧にする機械です。ロールの本数で、端の曲げ方や得意な板厚が変わります。
このページでは、2本・3本・4本ロールの違いを、掲載9社の公式サイトに載っている機種と説明をもとに整理します。
ロール本数ごとの仕組みと公式の機種
| ロール本数 | 仕組み | 公式に載っている機種の例 |
|---|---|---|
| 2本ロール | 硬いロールをウレタンのロールに押し込み、巻き付けるように曲げる | マツモト機械 MUR-550・MUR-1050、エスカディア SRT・SRN |
| 3本ロール | 上1本・下2本のロールで3点を押して曲げる | 栗本鐵工所 MJ・MP・M、日本酸素G&W Dシリーズ、神埼工業 TAH・TPB・TBH、エスカディア SRY・SRS、マツモト機械 MBR、アイセル BU-SK |
| 4本ロール | トップ・ピンチ・サイド2本で板をはさんで保持しながら曲げる | MIYAi MR-S、アイセル BS-B・BS-BH・BS-BM、エスカディア SRF-55 |
今回の9社では、3本ロールを掲載している会社がいちばん多く、4本ロールはMIYAi、アイセル、エスカディアの3社でした。同じ会社が本数の違う機種を並べていることもよくあります。
2本ロールはウレタンで薄板をきれいに
2本ロールは、片方のロールがウレタンでできていて、そこに板を押し付けて曲げる方式です。マツモト機械は、油圧式2本ウレタンロールMURを、簡単な操作で高精度な端曲げができ、加工品に傷が付かないタイプとして紹介しています。
| 機種 | 公式の仕様 |
|---|---|
| マツモト機械 MUR-550 | SS400で板厚2.3mm、有効ロール幅550mm |
| マツモト機械 MUR-1050 | SS400で板厚2.3mm、有効ロール幅1050mm |
| エスカディア SRT | 端曲げの量産対応、最大板厚はSPCCで記載 |
| エスカディア SRN | 端曲げの汎用タイプ |
2本ロールは、板厚が薄く、傷を付けたくない小物の量産に向く方式です。厚い板には使われないため、板厚の上限を最初に確かめてください。
3本ロールは構造が簡単で種類が多い
3本ロールは、最も一般的で扱いやすい機種だと日本酸素G&Wは説明しています。下の2本のロールで板を支え、上のロールを押し下げて曲げます。
- 日本酸素G&W Dシリーズ:2本駆動のSR-D型、跳ね上げ機構付きのSR-DS型、3本駆動のSR-D3型、両方を備えたSR-DS3型
- 日本酸素G&W:3本駆動は2本駆動よりワークのくい込みが良く、薄板・小径は3本駆動、厚板・大径は2本駆動と使い分けられる
- マツモト機械 MBR-1050-3B:3本駆動・ブレーキモータ・焼入れ研磨・ロール跳上機構が標準
- 栗本鐵工所:トップロール水平移動式の3本ロールで、加圧能力25ton〜490ton以上
跳ね上げ機構は、曲げ終わった円筒をロールから抜き取るための機構です。小径の円筒を多く曲げるなら、跳ね上げや跳上機構の有無を確認してください。
3本ロールの弱点は板の端
3本ロールで普通に曲げると、板の両端は下のロールの間にかからないため、まっすぐな部分が残ります。日本酸素G&Wは、標準型の3本ロールで曲げると曲げ始めと曲げ終わりの部分が折れ曲がってRにならないと説明しています。
| 対策 | 公式に載っている例 |
|---|---|
| トップロールを水平に動かす | 栗本鐵工所(トップロール水平移動式)、神埼工業 TPBシリーズ |
| 端曲げ用の金型で挟む | 神埼工業 TAH-O3Atシリーズ(端曲げ金型方式) |
| 油圧で端曲げする | 日本酸素G&W SR-DOH(油圧式端曲げタイプ) |
| 端曲げ機構付きの小型機 | アイセル BU-SP、エスカディア 端曲げタイプ、マツモト機械 MBR-1050-3BH |
端曲げの方式は、仕上がりの真円度と工程の数に直結します。詳しくは端曲げの記事で比べています。
4本ロールははさんで保持する
4本ロールは、上下のロールで板をはさんだまま、左右のサイドロールで曲げます。MIYAiは、常にワークを加圧保持できるため、3本ロールのような外れや跳ね、掴み変えがないと説明しています。
| 機種 | 公式の説明 |
|---|---|
| アイセル BS-B | 端曲げから円筒成形までを1工程で行い、プレスでの端曲げが要らない |
| アイセル BS-BH | 12〜16mmの厚板を加工できる、オール油圧駆動 |
| MIYAi MR-S | 油圧4本ロール、曲げ能力0.3〜9.0mm(MR-550S)、円筒・円錐・オーバル・多角形 |
| エスカディア 4本ロール | 全ロールに高耐久ウレタンをライニングし、同一工程で端曲げと円筒成形 |
4本ロールは端曲げの手間が少ない分、機械の構造は複雑になります。厚板の大型機は3本ロールが中心で、今回の公式の数値では4本ロールの最大はアイセルBS-BHの16mmでした。
駆動と加圧の方式も見ておく
同じ本数のロールでも、ロールを回す動力と、板を押す力の出し方が機種によって違います。公式に書かれた方式を並べると、次のようになります。
| 方式 | 公式に載っている例 | 向く仕事 |
|---|---|---|
| 手動 | 日本酸素G&W SR-D型(手動式標準タイプ) | 板厚が厚く曲げRが大きい作業と説明 |
| 電動ジャッキ・加圧電動 | 日本酸素G&W SR-DJ、エスカディア 加圧電動タイプ | 上ロールの昇降を電動で行う |
| 電動(モーター駆動) | マツモト機械 MBR(200V 0.75kw)、エスカディア SRSH(3相200Vプラグ付) | 薄板〜中厚板の一般的な曲げ |
| 油圧 | MIYAi MR-S、アイセル BS-BH、神埼工業 TBH・TAH、日本酸素G&W SR-DOA | 厚板や端曲げで大きな加圧力が要る仕事 |
| フルサーボ | アイセル BS-BM | 位置を細かく制御したい仕事 |
小型の電動機は、プラグを差すだけで動かせる機種もあります。エスカディアのSRSHは3相200Vのコンセントプラグ付きで、すぐに運転できると書いています。
本数を決めるための判断表
| 曲げたいもの | 候補になる本数 | 理由 |
|---|---|---|
| 2.3mm前後の薄板の小物を傷なく | 2本(ウレタン) | 材料をスリップさせず、傷を付けにくい |
| 6mm前後までの一般的な製缶品 | 3本 | 機種が多く、構造が簡単 |
| 端曲げを1工程で、円錐も | 4本 | はさんだまま曲げられ、掴み替えが要らない |
| 数十mmの厚板の大径円筒 | 3本(端曲げ機構付き) | 大型機は3本ロールが中心 |
迷ったときは、いちばん多く曲げる製品の板厚・板幅・仕上がり径を3つ書き出して、複数の本数を扱うメーカーに相談すると、偏りのない提案を受けられます。
この記事に出てくるメーカー
- アイセル株式会社4本ロールの機種が豊富
- 神埼工業株式会社金型端曲げの油圧3本ロール
- 株式会社栗本鐵工所厚板・大型のNC/CNC
- マツモト機械株式会社薄板と小型製缶の標準機
- 株式会社MIYAi円錐と自動運転の4本ロール
- 日本酸素G&W株式会社手動〜油圧の標準3本ロール
- 株式会社エスカディアウレタンロールで薄板を傷なく
参照元
よくある質問
いちばん一般的なのは何本ロールですか?
日本酸素G&Wは、標準型の3本ロールを最も一般的で扱いやすい機種と説明しています。今回の9社でも、3本ロールを掲載している会社がいちばん多くありました。
4本ロールは厚板も曲げられますか?
機種によります。アイセルの厚板用4本ロール機BS-BHは12〜16mmの厚板を加工できると書いています。数十mmの厚板は、栗本鐵工所のような3本ロールの大型機が中心です。
2本ロールはどんな仕事に向きますか?
ウレタンロールで薄板を傷なく曲げる仕事です。マツモト機械のMURはSS400で板厚2.3mm、エスカディアもSRT・SRNの2本ロールを端曲げの量産・汎用向けに用意しています。
【用途別】ベンディングロールメーカーおすすめ3選
圧力容器・タンク・造船部品の厚板を、真円に近く曲げたいなら
株式会社栗本鐵工所
加圧能力25ton〜490ton以上、板厚110mm・板幅8mの製作実績。NCとCNCで端曲げまで
トップロールを前後に動かして端曲げを行う、トップロール水平移動式の3本ロール。材質・板厚・板幅・内径を入れるとロールの位置が演算され、半自動NC(TNC)と全自動NC(CNC)を選べる。MJシリーズ25〜65ton、MPシリーズ75〜430ton、Mシリーズ490ton〜で、製作は板厚110mm・板幅8mまで実績がある。
ホッパーやダクトの円錐と端曲げを、1台で自動化したいなら
株式会社MIYAi
油圧4本ロールMR-S。円筒・円錐・オーバル・多角形を1台で、完成径と板厚を入れて自動運転
MR-Sは油圧4本ロール式で、最大曲げ幅550mm・1000mm、曲げ能力0.3〜9.0mm(MR-550S)。端曲げ円筒・円錐・オーバル・多角形状を1台で加工でき、円錐曲げ用の支点軸を持つ。自動円筒曲げ機能AutoRollerは完成径・板厚・曲げ幅を入れてスタートするだけで円筒を曲げる。公式サイトに円錐の可否を判定するツールも載せている。
ステンレスやカラー鋼板の薄板を、傷とストレート残りを抑えて曲げたいなら
株式会社エスカディア
ウレタンロールの2本・3本・4本ロールベンダー。鉄芯ロールならSS材9mmまで
ウレタンロールは材料とロール軸がスリップしないため、加工の開始位置を材料端に近づけられ、ストレートの残りが少ないと説明する。傷を付けにくく、ステンレス・アルミ・カラー鋼板に対応。3本ロールにスタンダード・加圧電動・端曲げタイプがあり、4本ロールは同一工程で端曲げと円筒成形ができる。鉄芯ロールのSRSHシリーズはSS材9mmまで。