ベンディングロール · 基礎知識
ベンディングロールのNC・CNCとティーチング|熟練の曲げを数値と自動運転に置き換える
ベンディングロールの制御を、手動・プリセット・半自動NC・全自動CNC・ティーチングに分け、栗本鐵工所(TNC・CNC)、大同マシナリー(CNC・ティーチングプレイバック)、MIYAi(AutoRoller・自動プログラム運転)、アイセル(フルサーボ)の公式の説明で比べます。
ベンディングロールの曲げは、長く熟練者の勘と経験に頼ってきた作業です。上ロールをどこまで押し込むか、何回に分けて曲げるかで、仕上がりの径と真円度が変わるからです。
このページでは、その操作を数値で制御するNC・CNC・ティーチングの違いを、掲載9社の公式の説明で整理します。
制御の段階と公式に載っている機種
| 段階 | できること | 公式に載っている例 |
|---|---|---|
| 手動・電動の操作 | 作業者がロールの位置を見ながら操作する | 日本酸素G&W Dシリーズ、マツモト機械 MBR、エスカディア |
| 表示・プリセット | ロールの位置を数値で表示し、決めた位置に合わせる | 神埼工業(上ロールのデジタル表示はオプション)、アイセル BS-B(ダイヤル式セットメーター)、MIYAi(位置決めプリセット) |
| NC(半自動) | 材料の条件を入れるとロールの位置を演算し、その位置に制御する | 栗本鐵工所 TNC |
| CNC(全自動) | 演算した位置で自動運転し、最後まで成形する | 栗本鐵工所 CNC、大同マシナリー CNCベンディングロール |
| ティーチング・自動プログラム | 作業を覚えさせて再生する、プログラムで自動運転する | 大同マシナリー(ティーチングプレイバック)、MIYAi(ティーチング・自動プログラム運転・AutoRoller) |
同じNCという言葉でも、会社によってできる範囲が違います。何を入力すれば、どこまで自動で動くのかを具体的に確かめてください。
今回の9社で、NC・CNC・自動プログラム運転・フルサーボのいずれかを公式に掲げていたのは、栗本鐵工所、大同マシナリー、MIYAi、アイセルの4社でした。ほかの5社は手動・電動・油圧の操作が中心です。
栗本鐵工所の半自動NCと全自動NC
栗本鐵工所は、NCを2種類に分けて説明しています。半自動NC(TNC)は多品種少量生産に、全自動NC(CNC)は多品種大量生産に推奨しています。
| 項目 | 半自動NC(TNC) | 全自動NC(CNC) |
|---|---|---|
| 入力 | 材料の降伏値・板厚・板幅・内径をタッチパネルに入力 | 同じ |
| 演算 | トップロール位置(Y1〜Y4・X1・X2)とバックアップロール昇降量 | トップロール位置(Y1〜Y6・X1・X2)、ボトムロール駆動量(Z1〜Z6)、バックアップロール昇降量 |
| 運転 | 演算した値で位置制御 | 自動運転フローに沿って最後まで成形(自動中断機能あり) |
| データ保存 | 100種類 | 100種類以上 |
今まで経験とカンに頼っていた操作が、条件値を入れるだけで数値化され、熟練者でなくても操作できると説明しています。初めて曲げるワークでも、短時間で操作できるとしています。
ティーチングで熟練者の曲げを残す
CNCには、条件から演算する方式のほかに、熟練者の操作を記録して再生する方式があります。大同マシナリーは、これまでのノウハウをもとに曲げパターンをソフト化し、ティーチングプレイバックを含めて対話式で操作できると説明しています。
- 対話式で操作が容易になり、操作ミスも防げると説明
- 故障表示で操作を明確にし、メンテナンス性を高めた
- ワークに接触させるメジャーリングロールで送り量を正確に測り、端曲げと真円度を確保
- 加工条件からCNCでロールのたわみ量を演算し、バックアップロールの昇降で前もって補正
同じ形をくり返し曲げる工場では、熟練者が一度うまく曲げた条件を残しておけるのが利点です。人が替わっても同じ仕上がりを出しやすくなります。
4本ロールの自動運転
MIYAiのMR-Sは、操作盤でのマニュアル操作に加えて、位置決めプリセット、ティーチング、自動プログラム運転を備えています。自動円筒曲げ機能AutoRollerは、完成径・板厚・曲げ幅を入れてスタートボタンを押すだけで円筒を曲げると説明しています。
| 機能 | MIYAiの公式の説明 |
|---|---|
| AutoRoller | 完成径と板厚、曲げ幅を入力するだけで自動で円筒曲げ |
| プリセット・ティーチング | 位置決めプリセット機能とティーチング機能 |
| 自動プログラム運転 | プログラムで自動運転 |
| ソフトウェア | ソフトウェアのアップデートで機能や性能が上がる仕組みを強化すると説明 |
アイセルも、フルサーボ4本ロール機BS-BMを掲載しています。4本ロールは板を保持したまま曲げるため、自動化と相性がよい方式です。
精度を支える補正の仕組み
制御で位置を正しく決めても、ロールそのものが板を押す力でたわむと、円筒の中央と端で径が変わります。各社は、たわみや送りのずれを補う仕組みを公式に説明しています。
| メーカー | 補正の仕組み(公式の説明) |
|---|---|
| 栗本鐵工所 | トップロールのクラウニング加工とバックアップロールの調整でロールのたわみを補正し、円筒度を確保 |
| 大同マシナリー | 加工条件からCNCでたわみ量を演算し、バックアップロールの昇降で前もって補正。メジャーリングロールで送り量を測定 |
| アイセル | 左右同調機構やバックアップロールで、太鼓状や鼓状の変形を防止 |
| MIYAi | 厚鋼板溶接構造のベッドとタイロッドで一体化した高剛性フレーム |
太鼓状は中央がふくらんだ形、鼓状は中央がくびれた形のことです。長い円筒ほど差が出やすいため、板幅いっぱいに曲げる品物が多いなら、補正の仕組みを詳しく聞いてください。
NC・CNCが向く工場、向かない工場
| 工場の状況 | 向く制御 |
|---|---|
| 同じ形の円筒を毎日くり返し曲げる | ティーチング・自動プログラム(大同マシナリー、MIYAi) |
| 径や板厚の違う品物を少しずつ曲げる | 条件を入れて演算する半自動NC(栗本鐵工所 TNC) |
| 多品種を大量に、最後まで自動で | 全自動NC(栗本鐵工所 CNC) |
| 熟練者がいて、月の数が少ない | 手動・電動の標準機(日本酸素G&W、マツモト機械など) |
NC・CNCは、熟練者が少ない工場ほど効果が大きくなります。逆に、扱う板が限られていて熟練者がいる工場では、標準機で十分なこともあります。
制御方式を確かめる質問
- 何を入力すれば、どのロールが自動で動くか
- 曲げ条件のデータを何件まで保存できるか
- 初めて曲げる品物で、何回の試し曲げが必要になるか
- 端曲げと円筒成形を、自動で続けて行えるか
- 材質(SS400以外)の違いを、入力で補正できるか
制御の説明は、実際の操作を見るのがいちばん分かりやすい部分です。展示会や工場見学で、自社の品物に近い条件の操作を見せてもらうよう依頼してください。
この記事に出てくるメーカー
- 大同マシナリー株式会社ティーチング付きCNC
- アイセル株式会社4本ロールの機種が豊富
- 神埼工業株式会社金型端曲げの油圧3本ロール
- 株式会社栗本鐵工所厚板・大型のNC/CNC
- マツモト機械株式会社薄板と小型製缶の標準機
- 株式会社MIYAi円錐と自動運転の4本ロール
- 日本酸素G&W株式会社手動〜油圧の標準3本ロール
- 株式会社エスカディアウレタンロールで薄板を傷なく
参照元
よくある質問
NCとCNCの違いは何ですか?
栗本鐵工所は、半自動NC(TNC)は演算した値でロールを位置制御し、全自動NC(CNC)は自動運転フローに沿って製品を最後まで成形すると説明しています。半自動は多品種少量、全自動は多品種大量生産に推奨しています。
熟練者がいなくてもベンディングロールは扱えますか?
NC・CNCの機種なら、条件を入れるだけで操作できると各社は説明しています。栗本鐵工所は熟練者でなくても簡単に操作でき、MIYAiのAutoRollerは完成径・板厚・曲げ幅を入れてスタートするだけで円筒を曲げるとしています。
ティーチングとは何ですか?
作業者の操作を記録して、同じ動きを再生する機能です。大同マシナリーはティーチングプレイバックを含めて対話式で操作できると説明し、MIYAiもティーチング機能を備えています。
【用途別】ベンディングロールメーカーおすすめ3選
圧力容器・タンク・造船部品の厚板を、真円に近く曲げたいなら
株式会社栗本鐵工所
加圧能力25ton〜490ton以上、板厚110mm・板幅8mの製作実績。NCとCNCで端曲げまで
トップロールを前後に動かして端曲げを行う、トップロール水平移動式の3本ロール。材質・板厚・板幅・内径を入れるとロールの位置が演算され、半自動NC(TNC)と全自動NC(CNC)を選べる。MJシリーズ25〜65ton、MPシリーズ75〜430ton、Mシリーズ490ton〜で、製作は板厚110mm・板幅8mまで実績がある。
ホッパーやダクトの円錐と端曲げを、1台で自動化したいなら
株式会社MIYAi
油圧4本ロールMR-S。円筒・円錐・オーバル・多角形を1台で、完成径と板厚を入れて自動運転
MR-Sは油圧4本ロール式で、最大曲げ幅550mm・1000mm、曲げ能力0.3〜9.0mm(MR-550S)。端曲げ円筒・円錐・オーバル・多角形状を1台で加工でき、円錐曲げ用の支点軸を持つ。自動円筒曲げ機能AutoRollerは完成径・板厚・曲げ幅を入れてスタートするだけで円筒を曲げる。公式サイトに円錐の可否を判定するツールも載せている。
ステンレスやカラー鋼板の薄板を、傷とストレート残りを抑えて曲げたいなら
株式会社エスカディア
ウレタンロールの2本・3本・4本ロールベンダー。鉄芯ロールならSS材9mmまで
ウレタンロールは材料とロール軸がスリップしないため、加工の開始位置を材料端に近づけられ、ストレートの残りが少ないと説明する。傷を付けにくく、ステンレス・アルミ・カラー鋼板に対応。3本ロールにスタンダード・加圧電動・端曲げタイプがあり、4本ロールは同一工程で端曲げと円筒成形ができる。鉄芯ロールのSRSHシリーズはSS材9mmまで。